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  1面 NO.2号/99.12.15発行

狭山東京実行委員会第5回総会

 狭山東京実行委員会第5回総会は団体、労働組合、政党から42人が代議員として出席し開催されました。総会には石川一雄さんも出席し、7月8日東京高等裁判所刑事第4部高木裁判長が狭山事件の再審請求に対して「棄却決定」したことに強い怒りと、「真実が認められるまで何十年でも闘い続ける」とした決意も表明されました。
 第5回総会の特徴は一つは東京高裁は13年間事実調べをまったく行わず棄却決定したことに強い怒りを表明したこと。二つに異議申立をした刑事第5部に事実調べと証拠開示を保障し、棄却決定の取り消しと再審開始をつよく求めること。三つに1994年東京実行委員会を結成し以降のマンネリを克服すること。であったと思います。
 今年度の活動の重点は@2000年2月7日の東京集会を全力で取組むこと。A東京高裁・高検への働きかけを全力をあげること。マスコミなどへの働きかけも行う。B棄却決定の問題点や今後の方向などを学ぶ活動を広く呼びかけること。C石川さんが逮捕された日に毎年中央集会として取組まれる「5・23中央集会」など中央、関東などの活動に積極的に参加すること。D今年も引き続いて部落解放関東ブロックに、オブザーバーとして参加し関東の仲間との連携を強めること。などを決定しました。
 なお、総会決議と新役員は以下のとおりです。



狭山東京実行委員会第5回総会アピール

 私たちは、東京高等裁判所刑事第4部(高木俊夫裁判長)が、1999年7月8日に狭山事件の再審請求に対しておこなった不当な棄却決定を許すことはできません。この決定に強く抗議するとともに、現在同裁判所刑事第5部(高橋省吾裁判長)に提出されている石川さんの「異議申し立て」を、東京高裁が真摯に審理し、新証拠の事実調べを実施するとともに狭山事件の再審を開始するよう強く求めます。
 高木裁判長は先の決定において、この間弁護団が提出してきた一連の新証拠について、「明確に(石川さんの)無罪を立証するものではない」などとして全てこれを退けました。しかし、新証拠の中には「石川さんの自白によって発見されたとされる万年筆が、実は警察による証拠ねつ造であったことを示唆する元捜査関係者の証言」「殺害現場とされる雑木林に隣接する畑で、事件がおこったとされるまさにその時間に農作業をしていた方の『悲鳴も聞かなかったし人影も見なかった』という証言」など、確定判決の前提を根底から疑わしめる重大な新証言・新証拠が多数存在していました。
 真実解明と公正な審理を保証する意味からも、裁判所にはこれらの証拠を十分調べる責務があったはずです。しかし、高木裁判長はじめ歴代の裁判官は、一度の事実調べを実施することもなく石川さんの訴えを退けました。このような裁判所の行為は司法の責務に反するものです。個別証拠の認定にあたって最高裁の「白鳥・財田川決定」に明らかに違反する論理をもちいている点とあわせて、高木裁判長の決定は裁判所に対する信頼と期待を裏切る重大な背信行為と言わざるを得ません。
 また東京高等検察庁は、事件発生から35年たった今もなお、数々の証拠を隠し持ったまま開示していません。こうした検察の行為は、「真実を明らかにするために、すべての事実を法廷に」という憲法・刑事訴訟法の理念に反する行為であって、絶対に許されるものではありません。狭山事件での検察の証拠隠しについては、1998年11月、国連の人権〈自由権〉規約委員会も、「日本では刑事裁判の証拠を検察側が独占しており、弁護側に充分開示されていない。これは大きな人権問題である」として、日本政府に対して「証拠の開示を法律的にも、また実務的にも保障する」よう勧告しました。これは、委員会の討議の中で具体的に「狭山事件で証拠が充分開示されていない」事実が問題となったうえでの結論です。わたしたちもこのような検察官の証拠隠しを絶対に許すことはできません。東京高等検察庁は速やかに全ての証拠を開示すべきです。石川一雄さんは再審棄却決定を受けた記者会見で、「裁判所を信じていたのに無念だ。しかし私は事実が認められるまで何十年でも闘い続ける」と声明を発表しました。私たちの気持ちも同じです。狭山事件の真実が認められないかぎり、私たち一人一人の人権も守られたとは言えません。私たちも石川さんとともに、この異議審で事実調べと再審を勝ち取るために全力で闘います。
上決議する。
1999年11月30日
狭山東京実行委員会第5回総会


 狭山東京実行委員会新役員体制

議 長   本郷 真一 (東京平和運動センター議長自治労都本部委員長)

副議長   花輪不二男 (社民党東京都連合都民運動局長)

〃     竹内謙太郎 (東京同宗連議長)
〃     石居 秀夫 (解放同盟都連委員長)
事務局長  森本 一雄 (東京平和運動センター事務局長)

事務局次長 長谷川三郎 (解放同盟都連書記長・政治共闘部長)

幹 事   各団体から1名づつ

狭山事件の再審を求める2・7東京集会に結集しよう!


1.集会の名称  狭山事件の再審を求める
         2・7東京集会
2.日   時  2000年2月7日(月)
         午後6時〜8時
3.場   所  千代田公会堂
         千代田区九段南1−6−17
         地下鉄九段下下車3分
4.内   容  フリージャーナリスト江森陽弘氏の講演を中心に狭山事件を徹底的に掘下げ、石川一雄さんの無罪を証明し、異議審闘争に勝利するまで闘う決意を固める集会にします。
5.集会の規模   800人
6.集会の基調については以下の通りです。


狭山事件の再審を求める2・7東京集会 集会基調(案)


1.狭山事件第2次再審請求に不当な棄却決定
 1999年7月8日、東京高等裁判所刑事第4部(高木俊夫裁判長)は、狭山事件の再審請求に対して「棄却決定」をおこないました。再審請求に対する審理としては異例とも言える13年間もの時間を費やしながら、弁護団が提出してきた数々の新証拠について「いずれも確定判決をくつがえすほどの有力な証拠とはいえない」として、結局「再審はおこなわない」という結論を出したのです。
 しかし、東京高裁は13年間、結局一度も証拠調べをおこないませんでした。まともに調べもせずに「有力な証拠とはいえない」というのは、あまりにも横暴な理屈です。これではいかなる事件においても再審・無罪の獲得は不可能です。えん罪者の裁判を受ける権利を全く認めないというにひとしく、断じて容認できません。
 また、今回の決定が、司法・政治の反動化の大きな流れの中で出された事実も見ておかなくてはなりません。「ガイドライン関連法」「国旗・国歌法」「盗聴法」「住民基本台帳法改正案」の成立、有事法制や靖国問題の検討、憲法改悪論議など最近の政治反動の流れと、「再審を認めない」「白鳥・財田川決定を死文化する」司法の動きとは同一線上にあるものです。この動きに反撃していくことなくしては狭山の最終勝利は勝ち取れません。
 7月12日、石川さんと狭山弁護団はこの「高木決定」を許さず、東京高裁に「異議申し立て」をおこないました。東京高裁では刑事第5部(高橋省吾裁判長)がこの「異議申し立て」の審理を担当します。私たち狭山東京実行委員会も全力をあげてこの闘いの勝利を目指します。

2.再審請求の手続きと狭山事件の異議審の今後
 再審請求の闘いは、石川さんの異議申し立てに対する審理「異議審」へと舞台を移しました。
 刑事訴訟法の規定によって、再審請求はその事件の確定判決を出した裁判所に対して申し立てることになっています。狭山事件では第2東京高裁の「無期懲役判決」が確定判決となっています。したがって再審請求を東京高裁に対しておこなっているわけです。
 やはり刑事訴訟法によれば、再審請求に対する裁判所の「決定」に不服がある場合、異議を申し立てることができます。地裁に対して再審請求をしている場合は、上級審である高裁に対して異議を申し立てることができます。一方、高裁の決定に対してさらに不服がある場合は、今度はいきなり最高裁に不服を申し立てることはできません。そのかわり同じ高裁に対して「異議申し立て」をすることになっています。もしその「異議申し立てに対する決定」がさらに不服がある場合はどうなるか、今度は「特別抗告」と言って最高裁に対して不服申し立てをすることになります。
 この刑事訴訟法の規定に従って、狭山事件では、同じ東京高裁に異議を申し立てたわけです。東京高裁では、「決定」(「高木決定」)を出した部(刑事第4部)とは違う別の部(刑事第5部)がこの異議申し立ての審理を担当します。
 今後狭山事件の異議審では、石川さんの異議申し立てに理由があるかどうか、が争われることになります。石川さんは「『高木決定』は誤りである」という異議申し立てをしてますから、当然異議審では「『高木決定』が正しいかどうか」ということが争点になるわけです。弁護団は「高木決定」に対する批判を、この異議審で徹底的に展開することになります。
3.これまでの闘いの成果を拡大し、異議審闘争で勝利を勝ち取ろう
 私たちは、1994年に狭山東京実行委員会を結成して以来、都内の闘うなかまたちとともに全力で再審を求める闘いを展開してきました。当初30団体でスタートしまた実行委員会も、2000年1月現在45団体となり、その形態も労働組合から宗教団体・民主団体など、幅広い組織の集合体となっています。
 1997年には部落解放中央共闘会議や部落解放同盟中央本部から呼びかけのあった「事実調べを求める新 100万人署名」を実行委員会として取り組み、当初割り当てのあった20,000人をはるかにこえる46,000人分を集めることに成功しました。また、毎年2・7東京集会に向けて取り組んできた「再審開始を求める団体署名」「全証拠開示を求める団体署名」も、実行委員会の結成前からのものとあわせて、7年間でのべ10,000団体をこえる数となっています。狭山東京実行委員会の繰り広げてきた幅広い共同闘争がこうした成果をあげてきたことを、みなさんとともに再確認したいと思います。
 また一方で、ここ数年徐々にではありますが各種集会や取り組みへの参加が漸減する傾向にあるなど、今後闘いをすすめるうえでの課題も明らかになっています。
 今後異議審の闘いを始めるにあたって、私たちはつぎのような視点で当面する異議審の闘いをすすめていきます。
 まず、中期的な展望を持って、地道に闘う体制を作っていきます。異議審闘争は、過去の例から見ても数カ月で終わる短期決戦ではありません。少なくとも数年の期間を要する闘いになるもと考えられます。また、過去に著明な再審開始決定が「異議審」で出たことでも分かるように、「異議審闘争」を全力で闘うことで「高木決定」を破棄させることも可能です。
 また、成果の見える、達成感の共有できる取り組みや新しい取り組み、東京の特色ある狭山の闘いを造り出します。高裁・高検・マスコミ等への「はがき」「てがみ」活動を参加団体によびかけて取り組んだり、集会の中身についてもこれまでやってこなかったような工夫をこらして取り組んでいきます。東京の特色ある狭山闘争を展開し、この異議審の闘いで事実調べと全証拠の開示を実現することを目指します。

 私たちは本日の集会を通じて、新たな段階に入った闘いに一歩を踏み出したました。これまで以上の積極的な取り組みを、地域や職場・教会など、それぞれの現場から積み上げ、石川さんとともに再審無罪を勝ち取りましょう。

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