主 張
決して戦争への道を進ませない!
7.1「集団的自衛権行使」行使容認の閣議決定
事務局長 桐田 達也
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70年前、日本人は戦争の悲惨さ愚かさを知りました。沖縄の地上戦、東京大空襲、そして広島、長崎に投下された原爆、数十万人の市民の命が戦争によって奪われました。そして、二度と悲惨な戦争は嫌だ、戦争はしない、させないという思いから戦争放棄の憲法のもと、戦後70年平和主義を貫いてきました。しかし、安倍首相は、戦争のできる国へ変えようと集団的自衛権の行使を可能にしようとしています。
集団的自衛権行使容認に向けて閣議が開かれた7月1日、首相官邸前には戦争をしない、させないために多くの市民が集まり、プラカードを掲げ閣議決定反対の声を上げました。その数は時間を追うごとに増え続け、歩道にあふれたその数は1万人にも達しました。夕方6時前、閣議決定がされたことが主催者から報告された瞬間は、それまでのシュプレヒコールが「ふざけるな」「安部やめろ」悲鳴にも似た絶叫に変わりました。その後も4万人の怒りのシュプレヒコールは11時過ぎまで国会周辺に響き渡りました。
これまで、戦争反対を訴える集会などには年齢層の高い参加者が目立っていましたが、ここにきて若い人たちの参加者も増えてきていました。この日の集会にも多くの若い参加者が「集団的自衛権行使容認反対」「戦争反対」の声を上げていました。「戦争をさせない東京1000人委員会」も6月に駅頭で署名行動を実施しましたが、学生や若い主婦などの署名する姿も見受けられました。安部首相のアベノミクスの衣の下の「戦争のできる国」が見え始め、「戦争」が現実のものとして、一人ひとりの生命の問題として戦争反対の声が広がってきています。閣議決定後の週末には大規模な抗議デモが行われましたし、世論調査では集団的自衛権に反対する意見が増えています。当初は公務員の守秘義務の罰則強化としか捉えられていなかった「特定秘密保護法」もその内容が明らかになるにつれて反対の声が広まってきましたが、安倍政権はろくな説明のないまま民主主義を無視し強行採決で成立をさせてしまいました。
閣議決定後の記者会見で安倍首相は「日本は再び戦争をする国になるということは断じてない。」と言っています。しかし、歯止めを失った軍事力の行く先は歴史を見れば明らかなことです。これ以上安倍政権の独裁を許すわけにはいきません。
戦争への道を開く「集団的自衛権行使」を可能にするには関連法案の成立などまだ幾つかのハードルがあります。戦争へ向かって暴走を続ける安倍首相を止めるのは国民の「絶対戦争はしない、させない」という大きなうねりしかありません。
戦争をさせない1000人委員会は「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に反対します(声明) |
日本国憲法は、前文に「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」と謳い、第9条には「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めました。
この条文は、アジア・太平洋戦争における、アジア諸国民2000万人、日本国内で310万人ともいわれる多数の犠牲の上にたつものです。また、900万人以上の戦死者を出した第一次世界大戦の反省から63か国間で締結されたパリ不戦条約第1条の「締約国は、国際紛争解決のため、戦争に訴えないこととし、かつ、その相互関係において、国家の政策の手段としての戦争を放棄することを、その各自の人民の名において厳粛に宣言する」と通底するものです。その意味で、日本国憲法の平和主義は、全世界が求める理想に立脚するものと言えます。この憲法のもと、私たちは、他国に直接に銃を向け、傷つけ合う不幸だけは味わうことなく、戦後69年を過ごしてきました。
しかし、今日、安倍政権は、「集団的自衛権」の行使は憲法上許容されていないとする、これまでの憲法解釈を逸脱する閣議決定を行いました。「集団的自衛権」行使は限定的であるなどと言っていますが、政府の用意した想定問答集には今回盛り込まれなかったはずの「集団安全保障」も憲法上許容され得るとしているように、その狙いは明らかです。「集団的自衛権」を行使するということは、中立の立場を捨て敵対国になることであり、戦争に参加すること以外のなにものでもありません。そして、これまで行われてきた多くの戦争が、「集団的自衛権」の行使として正当化されてきたことを、見逃すことはできません。
この間、安倍政権は、単に憲法の破壊だけではなく、人権の破壊、生活の破壊を行ってきました。その安倍首相の言う、「国民の生命と財産を守る」ために、これからどれだけの人々が傷つき、犠牲となることを強制されるのでしょうか。誰かに犠牲を押しつける社会を、もう私たちは許してはなりません。いまこそ憲法の理念を、それを弄ぶ権力者から、私たち自身の手に取り戻さなくてはならないのです。
私たち「戦争をさせない1000人委員会」は今回の「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に対し、怒りを込めて抗議するとともに、憲法破壊・人権破壊・生活破壊の安倍政権と真っ向から対決し、全力で闘っていく決意をあらためて表明します。ひとりひとりの命を大切にする社会の実現のために、すべてのみなさんに、私たちとともに、立ち上がることを呼びかけます。
2014年7月1日
戦争をさせない1000人委員会
集団的自衛権行使容認の閣議決定を断じて許さない
閣議決定前の国会前・官邸前行動
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6月13日にも「安全保障法制の整備に関する与党協議会」に、自民党から閣議決定の文書案が提出されるとされ、17日および20日開催の閣議において検討または決定される見通しが出てきた。公明党は、解釈改憲での「集団的自衛権」行使容認に慎重な姿勢を崩さず、「集団的自衛権」の文言の閣議決定への挿入には反対と言われており、安倍首相および自民党執行部のかたくなな姿勢によって自民党と公明党の間での攻防は緊迫度を増している。
7.1 多くの国民の声を無視して閣議決定を強行
自民党と公明党間で「安全保障法制の整備に関する与党協議会」が重ねられてきました。24日の会合では、政府から閣議決定の最終案の提示を行い、これをもって週内の与党間合意をめざそうとしています。
7月6日からの安倍首相の外遊までに閣議決定を行うことを目論み、政府はさまざまな策動を強めています。そのなかで、7月1日に閣議決定を行おうとする動きが出てきています。
こうした、戦争をさせない1000人委員会を中心とする連日の行動にもかかわらず、政府は、閣議決定を強行しました。断じて許せない行為です。
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