TKOPEACENEWS
 1面 NO.103 2011.6.27

さようなら原発1000万人アクションの取り組み
-脱原発・持続可能で平和な社会をめざしてー

9.19「原発にさようなら全国集会」(明治公園)に5万人を結集し、1000万署名を成功させて、脱原発社会を実現させよう

 脱原発、持続可能で平和な社会をめざして、平和フォーラム・原水禁は617日第一回運営委員会を開催し以下の取り組みを決定しました。東京平和運動センターもこれを踏まえ、713日の常任幹事会で取り組みを協議します。
 以下、その抜粋を掲載します。

 「さようなら原発1000万人アクション-脱原発・持続可能で平和な社会をめざして-」のとりくみについて(抜粋)

( 平和フォーラム・原水禁第1回運営委員会)
(略)           
 福島第一原子力発電所の事故は、原子炉内の燃料の溶融や水素爆発にまで至り、今なお放射性物質を周辺地域に拡散しています。さらに原子炉や燃料プールの冷却のために注入した冷却水は、高濃度の放射性物質を含む汚染水となり、海中への放出を余儀なくされています。原子力施設とその周辺地域は、放射性物質によって人が立ち入ることができない状態です。
 私たちは、人間の生存を脅かす計り知れない原子力エネルギーの恐怖に、多大な犠牲を伴いながら直面することになりました。この恐怖と犠牲の現実を未来に残してはなりません。エネルギー政策を根本から見直すことが求められています。
 福島原発事故は海外へも大きな衝撃を与え、ドイツのメルケル政権はこれまでの原発稼働延長の方針を転換し脱原発に舵を切ることなり、イタリアにおいても国民投票で原発排除の方針が決定されました。EU諸国においても脱原発の動きが加速しています。
 平和フォーラム・原水禁は、「安全神話」のもとで、原子力政策を推進してきた政府、電力会社、産業界、原子力学会などの責任をきびしく求めると同時に、経済成長を求めエネルギー需要を拡大し続けてきた日本社会の暮らしや働き方の見直しも求められていると考えます。
 平和フォーラム・原水禁は、原子力中心のエネルギー政策を見直し、自然エネルギーを中心とする「持続可能で平和な社会(脱原発社会)」を実現するため、「原水禁プロジェクトからの提言」を本年1月にとりまとめ、内閣府に提出するとともに全国会議員に配布しました。3月11日の福島原発事故以降以下に提起する「さようなら原発1000万人アクション-脱原発・持続可能で平和な社会をめざして」に全力で取り組むことを提起してきました。6月15日には、以下の呼びかけ人(会見参加は内橋克人さん、鎌田慧さん、澤地久枝さん)によって、全国にとりくみを発表しました。
 今後、以下の提起に沿って、日本政府が従来の原子力中心のエネルギー政策を見直し、省エネルギー・自然エネルギー環境を整備しつつ近い将来に脱原発社会を実現するよう政策転換を求め、多くの仲間の参加を求めながら全力でとりくみをすすめることとします。
(1)「さようなら原発1000万人アクション」の求めるもの
� 原子力発電所の新規計画を中止し、
浜岡をはじめとした既存の原子力発電所
の計画的な廃炉
� もっとも危険なプルトニウムを利用する、
高速増殖炉「もんじゅ」と、青森県六ヶ所な
ど再処理工場の廃棄
� 省エネルギー・自然エネルギーを中心に
据えたエネルギー政策への転換

 これらを実現し、自然エネルギーを中心とした「持続可能で平和な社会」を創造し、私たちの生存と未来の子どもたちへの責任を果たす。

(2)全国への呼びかけ 
「原発にさようなら全国集会」

日 時  9月19日(月・祝)13:00
場 所  明治公園
     集会・デモ行進
 以下の呼びかけ人によって、「原発にさようなら全国集会」および「全国1000万署名」を呼びかける。
【呼びかけ人】 
大江健三郎 落合恵子 内橋克人 鎌田慧 坂本龍一 澤地久枝 瀬戸内寂聴  辻井喬    鶴見俊介
(中略)


(3)中央団体および各県組織のとりくみ

�賛同人・賛同団体の募集(全国集会への参加や署名のとりくみの基盤をつくる)
�)平和フォーラム・原水禁は、農業・漁業など第一次産業に携わる中央団体組織、食品や生活の安全に関わる組織、健康や教育に関わる組織、自然保護や環境問題に関わる組織など、広範な組織に賛同を求めていくオルグ活動を展開する。これまで、原水禁大会に賛同してもらっている友誼団体などに働きかけを行う。 政党への参加要請は行わないが、全ての国会議員への個別要請を行う。
(中略)
�1000万署名のとりくみ  
署名集約期間 9月10日(第1次集約)
 12月20日(中間集約)
  2月28日(第2次集約)

署名集約目標 1,000万筆

提  出  先  衆・参両院議長
内閣総理大臣

�「原発にさようなら全国集会」のとりくみ
�)規模は5万人とし、賛同団体の参加予想規模に応じて、平和フォーラム・原水禁は中央団体・地方組織への参加要請を行う。
�「原発にさようなら全国集会」関連イベントについて   
9月17日(土)~18日(日)に全国集会の前段のとりくみとして都内各所で実施する。

�「福島へ、線量計を送ろう!」全国カンパ
�)全国アクションの一環として、「福島へ、線量計を送ろう!」全国カンパを実施する。
※ カンパは街頭カンパを主にして、各県10万円を目標に実施する。街頭カンパを署名行動と結びつけて、運動の広がりを求める。
�)線量計は、福島平和フォーラムで管理しそれぞれ要請に応じて貸与して活用する。  
 
7月31日  原水禁大会福島集会
8月4~6日 原水禁世界大会広島大会
8月5日 原水禁世界大会国際会議(広島)
8月7~9日 原水禁世界大会長崎大会
8月11日 原水禁大会沖縄集会
9月10日 署名第1次集約
9月19日 「原発にさようなら全国集会」
(明治公園)
12月上旬 「もんじゅを廃炉へ、全国集会」 (敦賀市)
12月20日 署名第2次集約
2月28日 署名第3次集約
3月11日 震災一周年「原発さようなら集会」(芝公園) 



原水禁/平和フォーラム 
ヨーロッパ派遣団
    関 久(東京平和運動センター副議長)


 
5月24日~6月1日の8日間、13名(内1名は通訳)でベルリンを中心にエコ運動、反原発、軍縮、核廃棄運動などNPOや緑の党などと討論・交流・視察を行いました。3月27日行われた2つのドイツ州議会選挙で、東日本大震災による福島第一原発事故が原発論争を呼び覚まし、一貫して脱原発を訴えてきた90年連合・緑の党が大躍進した。メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)が58年間も州政権を担ってきた南西部バーデン・ヴェルテンベルク州では独政治史上初の緑の党州知事が誕生。ドイツでは2000年、社民党と緑の党のシュレーダー政権が2020年ごろまでにすべての原発を廃止する脱原発政策を決定。自民党と連立を組んだメルケル首相は昨年9月、原発の稼働年数を平均で12年間延長する計画を発表した。福島原発事故を受け、メルケル首相は3月14日、原発の稼働年数の延長計画を3ヶ月間凍結。3月15日に1980年以前に運転を開始した原発7基を一時停止した。訪独中はこの結論をめぐって各地で熱い市民討論に出遭いました。それらの報告をします。

 5月25日、10時に緑の党フライブルグ支部へ表敬訪問し、スタッフの方から組織や活動についてブリーフィングを受けた。バーデン・ヴェルテンベルク州は緑の党の拠点で、しかもフライブルグ支部がその中心的な運動を担い、全国へ省エネの発信を行っていると話されました。ここでは30年間も州議会議席を持ち、前に触れたように今年の3月に選挙で24%を獲得し、州知事を獲得した。また現在では連邦議会で68議席をもつ5番目の政党に発展している。福島事故以来停止している原発の扱いを全面停止・廃炉か稼働年数の延長かあるいは妥協案かをめぐって国内での最重要課題となっている。党としては全面停止・廃炉を求め結論の出る6月初旬まで運動を盛り上げると述べました。この後、ファウバン地区エコツアー・持続可能な市街を現地のスタッフとともに視察しました。
フライブルグはライン川沿いに位置し、近隣の都市としては、65キロ北にフランスのストラスブール、約50キロ南にスイスのバーゼルに位置している。人口218,000人。フライブルグの環境政策で有名なのは、廃棄物、リサイクル政策、自然エネルギー政策、交通政策、都市計画・景観政策などである。元はと言えば1970年代に酸性雨によって黒い森が枯死の危機に瀕し、なおかつ近郊のヴィールに原子力発電所を建設する話が持ち上がり、原発反対運動が起きたのがきっかけであった。1975年にフライブルグに設立されたBUND(ドイツ環境自然保護連盟)などが中心となって、フライブルグは黒い森を守るために、エネルギーでは脱原発・自然エネルギー推進をとり、大気汚染対策としてクルマ依存からの脱却と公共交通・自転車の強化を採用した。自然エネルギーでは太陽光発電の普及を中心にしている。交通面では都心への自動車乗り入れを制限し、以前より走っている路面電車(LRT)を強化すべく、郊外への延伸工事を行い、パークアンドライドを整備するなどの諸政策をとった。また、旧フランス軍駐留地である市南部のヴォバーン(Vauban)地区では、フォーラム・ヴォバーンというNPOの活動により、エコロジーを重視した団地が造成されている。フライブルグの環境政策は単に環境対策上の成果にとどまらず、経済面でもプラスの効果をもたらした。まずは太陽光発電をさらに推進するために、太陽光発電の研究機関を誘致した。この研究所が中核となり、太陽光関連企業がフライブルグに立地するようになり、フライブルグはドイツにおける太陽光発電の重要な開発・生産拠点となった。太陽光発電はフライブルグに新たな雇用を生み出したのである。また、環境政策の先進事例と紹介されたため、各国から視察が相次いだ。視察団向けに環境ツアーが組まれるようになった。環境政策も一つの観光資源として、観光産業としての役割も果たしている。

 フライブルグは、1984年にドイツで初めて「環境定期券」を導入した都市として知られている。その特徴は、定期を所有している人が市内の路面電車とバスの全路線を利用でき、日曜日には1枚で家族全員が利用できる点にある。さらに、1991年には、1市2郡を走る14交通会社の全路線を利用できる「レギオ環境定期券」となった。その後、この種の定期券がドイツ各地に普及したため、1996年に「レギオカルテ」と改称されている。フライブルグの都心はトランジットモールが整備され、路面電車やバスの利用が便利なので公共交通が広く市民に利用されている。路面電車の路線を乗り換えるのに便利なように、都心のベルトレズ・ブルネン停留所では、複数路線の電車が同じ時刻に到着して数分間停車することになっていて、利用者は自由に乗り換えることができる。フライブルグ大聖堂、新旧市庁舎、フライブルグ大学などが集まる旧市街地には、マイカーが入るのを規制し、裏通りに商品の運搬車などの業務用車両が入ることだけが認められている地区もある。もちろん、そのすぐ外側の都心環状線まではマイカーで来て、車を駐車することも容易である。都心環状線周辺には、大規模な駐車場が何箇所も整備されており、全体で4,000台以上の駐車容量がある。
 ファウバン地区エコツアーでは、団地を通り抜ける路面電車(LRT)、車を阻害するような脇道(子供たちの遊び場所で、車は遠慮しながら低速で走らされる。)パッシブハウス(Passive House)超エコ型住宅で気温が-20度になる極寒の地でも、暖房なしで過ごせるほどで、省エネ性、断熱性、気密性がよい。フライブルグでは今後の建築予定の住宅は、条例でエコ住宅にしなければならない。脱原発とともに省エネにも力を注いでいる。また、団地などは風向きや森林などの自然な環境を利用し、省エネに取り組んでいる。また、独自に発電システムを持ち、太陽光発電と組み合わせたコジェネレーションで電力と熱湯を利用している。ツアー後はフライブルグ市にあるエコ研究所を訪ねた。NPO法人は大きく分けて3部門あり、100名以上の科学者・研究者による自然エネルギーの科学的な研究グループ。再生可能なエネルギー関連の個人、法人を含む大企業、第3セクター、電気会社などでNPOを作り、地域の100%再生可能なエネルギーめざすグループ。また、政策活動をバックアップするロビー集団グループで構成されている。現在のドイツの発電は原子力22.6%、活炭23.7%、褐炭18.7%、自然エネルギー16.5%、天然ガス13.6%である。エコ研究所は脱原発を進め、再生可能な自然エネルギーに転換することをめざしている。ドイツの政策では自然エネルギーの全量買い取り制度や原発4社(大手企業)に対し、自然エネルギーの送電工事の負担や電力自由化による自然エネルギーの指定購入など政策面でも自然エネルギーへの転換・拡大が図れるよう国や州の政策が強化されている。この日の最後の行動は、日独協会表敬訪問であった。会長の菊・マンスハードさんは日本人女性で、東北で過ごしたこともあるそうです。この国で出遭う全ての人が福島原発事故を悼み、被災者への見舞いと早期の事故収束を伝えて欲しいと述べています。留学生や2世の若者が大勢集まり、福島事故の現状や今後の原発の動向などに話が集中しました。このグループも28日の脱原発パレードの準備に大忙し。

 26日から28日まではベルリンで活動しました。26日は議員会館でアグネス緑の党軍縮政策アドバイザーと会合。シュミット緑の党副議長との会見。「平和・国際問題」連邦ワーキンググループ代表と会合。場所を変えて核軍縮に取り組むドイツNGOネットワークのブラウン・ライナー会長と会合。

[緑の党との意見交換、女性は一番若い連邦議員]
特に気を引いたのは「平和・国際問題」連邦ワーキンググループ代表との意見交換でした。緑の党は各州の市民代表の政策提言を重要視しており、分野ごとにワーキンググループの意見が連邦議会での党の政策に色濃く反映されている。この国(日本)は、何かあると官僚OB・財界・御用学者・評論家などで構成する諮問委員会や提言グループなどを使い、政府や省庁の言いなりの結論を出さしている。市民の意見が全く反映されず、東日本大震災や福島原発事故でも同じことを繰り返している。

 27日は緑の党核政策広報担当シルビア・コティングウールとドイツの核問題と環境問題、自然エネルギー問題など意見交換。トーマス・ダーシー放射能防護協会政府委員と意見交換。ドイツ防護協会は「日本における放射線リスク最小化のための提言」1.放射線ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面は、汚染の可能性のあるサラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念することが推奨される。2.評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kg当り4ベクレル以上のセシウム137を含む飲食物を与えないように推奨されるべきである。成人は1kgあたり8Bq以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことが推奨される。3.日本での飲食物の管理及び測定結果の公開のためには、市民団体および基金は、独立した放射線測定所を設けることが有益である。ヨーロッパでは、日本におけるそのようなイニシアチブをどのように支援できるか、検討すべきであろう。としています。また、日本ではホウレン草1Kgあたり54,000Bqのヨウ素131が検出されたが、こうしたホウレン草を100g摂取しただけで、甲状腺の器官線量は次の通りなると警告しています。
 乳児(1歳未満)甲状腺量20ミリシーベルト
 幼児(1~2歳未満)甲状腺量19.4mSv
 子ども(2~7歳未満)甲状腺量11.3mSv
 子ども(7~12歳未満)甲状腺量5.4mSv
 青少年(12~17歳未満) 甲状腺量3.7mSv
 大人(17歳以上)甲状腺量2.3mSv
 2001年のドイツは放射線防護令第47条によれば、原子力発電所通常稼働時の甲状腺器官線量の限界値は年間0.9mSvであるが、上に述べたような日本のホウレン草をわずか100g摂取するだけで、すでに何倍もこの限界値を超えることになる。原発事故の場合には、甲状腺量は150mSvまで許容されるが、これは実効線量7.5mSvに相当する。またヨウ素の半減期は8.06日であるが、ヨウ素131が当初のの量が1%以下にまで低減するには7半減期、つまり2カ月弱かかることになる。1Bq以下に低減するのは4.3カ月かかる。など指摘された。
 28日はドイツ国内で20か所以上の会場で脱原発パレードがあり、私たちはベルリン市内のパレードに参加。国内で16万人、ベルリンは2万5千人が参加。色とりどりのフラッグ、老若男女、自転車、リヤカー、ベビーカー、サンウンドカー和気あいあいとパレード。警察官は姿を見せず、周囲で待機。
国会議事堂の前でも規制なしのあまりにも日本と違う。ベルリンでのパレードでは多くの市民やメディアに声を掛けられ、原水禁とドイツの脱原発の市民との一体感が得られた。

 訪欧中の5月25日、スイス政府は国内にある5基の原発を、寿命を迎える2034年までに廃炉とし、改修や新規建設はしないと国家目標を決めた。スイスでは電力使用量の約39%を原発が担っている。今後は56%を占める水力発電の割合を高める方針。アルプスの水源を活用した水力発電所が500か所以上あり、これらの設備を改修するなどして効率を高めるという。さらに、太陽光や風力など、再生可能エネルギーの導入も進め原発分の穴埋めを図る。一方ドイツ政府は、6日福島第一原発事故を受けて従来のエネルギー政策を転換、2022年までに国内原発17基を全て停止する改正原子力法案など閣議決定した。またイタリアでは6月12・13日原発再開の是非を問う国民投票が行われ、投票率57%で、反原発票が96%を超えた。原発再開を進めていたベルスコーニ首相は13日、記者会見で「イタリアは原発にさよならを言わなければならいないだろう」と述べ、敗北宣言を行った。
 日本では5月に浜岡原発の稼働停止命令を菅首相が行い、最近では自然エネルギーの全量買い取り制度を含めた自然エネルギーへの転換をめざした、「再生エネルギー特別措置法案」の立法化をめざす動きがある。消費税増税や原発安全宣言で停止している37基の稼働を認めるなど、矛盾だらけの菅路線だが「脱原発」路線は支持するものである。6月の全国世論調査では廃炉推進が82%にも上り、現状維持派14.1%に大きく水をあけ、原発安全神話を疑う国民が増えたことが明確になった。この間の政府・経産省・保安院・東電などの情報公開不備やは放射能垂れ流し、収束作業の怠慢などメディアに頼らず世界の動きと自己判断がもたらしたものと思われる。

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