人事委員会
平成10年(不)第3号懲戒戒告処分事案
第14回口頭審理調書
2000年7月25日(火)
(Web管理者記)
┌────────────────────────────────────┐
│ 第 14 回 口 頭 審 理 調 書 │
├───────────┬────────────────────────┤
│ 事 案 の 表 示 │ 平成10年(不)第3号事案 │
├───────────┼────────────────────────┤
│ 請 求 人 │ 竹永 公一 │
├───────────┼────────────────────────┤
│ 処 分 者 │ 埼玉県教育委員会 │
├───────────┼────────────────────────┤
│ 期 日 │ 平成12年7月25日 │
├───────────┼────────────────────────┤
│ 場所及び公開の有無 │ 県民健康センター 大会議室 公開 │
├───────────┼────────────────────────┤
│ 開会及び閉会時刻 │ 午後2時30分開会 午後4時58分閉会 │
├───────────┼────────────────────────┤
│ │ 委 員 長 坂 巻 幸 次 │
│ 審 理 委 員 │ 委 員 久保木 宏太郎 │
│ │ 委 員 渡 邉 圭 一 │
├───────────┼────────────────────────┤
│ │ 事務局長 加村 トク江 │
│ │ 次 長 渡辺 三男 │
│ 審理事務補助職員 │ 主 幹 吉野 昇 │
│ │ 主 査 小山 堅 │
│ │ 主 任 高田 裕之 │
│ │ 主 任 星 友治 │
│ │ 主 任 海野 直子 │
├───────────┼────────────────────────┤
│ │ 請求人側 │
│ │ 請求人 竹永公一 │
│ │ 代理人 桜井和人 中山福二 堀 哲郎 │
│ │ 野本夏生 鍛治伸明 池永知樹 │
│ │ 岩下豊彦 谷村勝彦 和田 茂 │
│ 当事者の出席状況 │ 米浦 正 竹下里志 │
│ │ │
│ │ 処分者側 │
│ │ 代理人 鍛治 勉 飯塚 肇 白鳥敏男 │
│ │ 清水 憲 根岸 玲 赤松峰親 │
│ │ 桝澤 智 桐生貞雄 和田幸男 │
│ │ 伊東良男 古川治夫 │
│ │ │
├───────────┼────────────────────────┤
│ 審理の記録 │ 別 の と お り │
├───────────┼────────────────────────┤
│ 付属書類 │ な し │
└───────────┴────────────────────────┘
------------------------------------(01)------------------------------------
平成10年(不)第3号事案 第14回公開口頭審理
平成12年7月25日(火曜日)
午後2時30分開会
○委員長(坂巻) ただ今から、平成10年(不)第3号懲戒戒告処分事案第14回
口頭審理を行います。
人事委員会としましては、不服申立て制度の趣旨のもとにこの審理を進めて
いきますので、当事者及び代理人においては、秩序ある審理が行われますよう、
御協力を願います。
また、傍聴人の方も、不服申立て制度の趣旨を御理解のうえ、静粛にお願い
いたします。
審理に際しまして、3点ほど、注意申し上げます。両当事者の発言は速記者
が記録を取りますので、その都度、名前を言って発言してください。
録音機の使用や写真撮影を行うことは禁止いたします。
傍聴人は、傍聴券の裏に記載されている傍聴規則を守ってください。特に審
理関係者の発言に対して批判や野次を加えたり、拍手をしたりすることは厳に
慎んでいただきます。 また、審理進行の妨げになるので、場内では携帯電話
やポケットベルのスイッチは切っておいてください。
これらを守らない傍聴人には退場していただくことになりますので、御注意
ください。
前回の審理以降提出された書面を確認いたします。
まず、請求人側から、2000年7月25日付けで証拠申出書(11)及び
甲第125号証ないし132号証が提出されております。既にその写しは処分
者側に渡されていると思いますけれども、よろしいですね。
○処分者代理人(鍛冶) はい。
○委員長(坂巻) それから、処分者側からは、平成12年7月18日付けで書証認
否書及び証人申出書が提出されております。これもまた請求人側に渡っている
と思いますが、よろしいですね。
○請求人代理人(中山) はい。
○委員長(坂巻) そのほかは出ておりませんね。
それでは、前回に引き続きまして、請求人側からの申請に係る請求人の竹永
公一さんの本人尋問を行いますので、証人席にお座りください。
第11回口頭審理での宣誓の効力が維持されておりますので、今回は行いま
せん。良心に従って真実を述べていただくことになっておりますので、御注意
申し上げます。
前回の第13回口頭審理では、証人の尋問時間につきましては処分者側が3
0分、請求人側が10分、合わせて40分という時間内で尋問並びにお答えを
いただき、その後、前回決定いたしました請求人側証人申請の林証人を、その
残りの時間でと言っては語弊がありますけれども、今日で終わらせていただく
ということで御協力願います。
それでは、どうぞ処分者側から。
○処分者代理人(鍛治) 代理人の鍛冶でございます。
竹永さんにお聞きいたします。簡単に答えてくださいね、簡単に質問します
から、よろしいですか。
竹永さんは、本件で問題になっている所沢高校の平成10年度の入学式は、
所沢高校の誰が、あるいはどういう組織が行うか行わないかを決定できるもの
と考えていたのですか。
簡単でいいですよ。生徒会か、職員会議か、あるいは校長先生か。
------------------------------------(02)------------------------------------
○請求人(竹永) 校長先生を含めた職員会議だと思います。
○処分者代理人(鍛治) 何かそのことについての法令上の根拠というのはございま
すか。職員会議も加わっちゃうわけですね。
○請求人(竹永) 所沢高校では、学校運営の一切に関して、職員会議で議論をして
いくというルールでやっていましたので。
○処分者代理人(鍛治) それが根拠だということですか。
○請求人(竹永) それは校長も認めていましたので。
○処分者代理人(蝦治) それから本件のですね、所沢高校の平成10年度の入学式
は行わない、入学を祝う会のみ行うということを職員会議で決定したのは、平
成9年の10月23日の職員会議でよろしいんですか。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛治) この入学式は行わない、入学を祝う会のみ行うという議案
をですね、職員会議に提案したのは誰ですか。
○請求人(竹永) 生徒会顧問です。
○処分者代理人(鍛冶) この入学式は行わない、入学を祝う会のみ行うという提案
はですね、どういうことから、どういう経過で行われたのか、簡単で結構です
から述べていただけますか。
○請求人(竹永) 同じような質問が何回かありまして、何回か答えていると思うん
ですが、生徒たちは、順番から言うと、混乱のない卒業行事を行いたいと。そ
のためにいろいろ準備をしてきたわけですね。卒業行事を行うに当たっては、
関連して入学行事も自分たちの手でやっていきたいというような動きがあった
わけです。最終的には、11月11日の生徒総会で決定するんですが、その動
きを指導したり援助したりするためにも、職員会議であらかじめ決定しておく
ことが必要であったということです。
○処分者代理人(鍛治) 内田校長はですね、この10月23日の職員会議で、入学
式は行いますと、入学を祝う会のみを行うことは認めませんと、ということは
言っていたんでしょう。
○請求人(竹永) 言っていません。
○処分者代理人(鍛冶) それは、そうすると、いつの職員会議で校長はそのような
ことを言ったんですか。
○請求人(竹永) 3月の……
○処分者代理人(鍛冶) もっと前じゃないですか。
○請求人(竹永) いや、そうです。
○処分者代理人(鍛冶) 竹永さんは、3月になってから、その職員会議の席で校長
はそういうことを言いましたよということですか。
○請求人(竹永) はい。正式にはということですよ。
○処分者代理人(鍛冶) 正式には。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) 正式ではないとすると、10月の23日の職員会議ですか。
○請求人(竹永) いや、それも違います。年を越してからだと置います。
○処分者代理人(鍛冶) それはいつですか。1月……
○請求人(竹永) 1月か2月ぐらいだと思います。職員会議の場ではないですけれ
ど。
○処分者代理人(鍛治) どういう場所で言ったんですか。
------------------------------------(03)------------------------------------
○請求人(竹永) 例えば、職員会議が終わってから、ぼそぼそと言っているとか。
○処分者代理人(鍛治) 職員会議が終わったというのは、どういうことですか。
○請求人(竹永) つまり、正式な議題ではなくて、何というんですか。
○処分者代理人(鍛冶) 正式な議題ではなくて、職員会議で、何というんですかね、
議題が終わってから、その席でそういうことを言いましたよということですか。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) そのことを校長が言ってから後、平成10年度の入学式が
終わるまでの間の職員会議でこのことを認めたということはないんですよね。
○請求人(竹永) このことというのは、何を指していますか。
○処分者代理人(鍛治) だから、入学式を行います。入学を祝う会のみを行うこと
は認めませんということについて、その後の職員会議で、そのことをじゃ職員
会議でも認めましょうかということはなかったわけですか。
○請求人(竹永) ありました。
○処分者代理人(鍛治) あったんですね。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) それはいつの職員会議。
○請求人(竹永) 3月23日の職務命令が出たときですね。
○処分者代理人(鍛治) そのときですか。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人く鍛冶) その前はないわけですか。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) 入学式は行いますと。入学を祝う会のみを行うことは認め
ませんということについて、職員会議でもそのことを認めたということですか、
3月の幾日かの職員会議で。
○請求人(竹永) それは職務命令ですから、しょうがないと思いますね。
○処分者代理人(鍛冶) 職務命令で、それに従ったということ。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛治) それ以外ではないわけですか。
○請求人(竹永) 職員会議として認めたことはないです。
○処分者代理人(鍛冶) ないですか。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛治) それから、その後、平成10年1月16日の職員会議で、
入学を祝う会は入学式が終わってから行うということを校長は言ったのではあ
りませんか。
○請求人(竹永) ちょっとはっきりしません。
○処分者代理人(鍛治) 校長は変えて、入学を祝う会はですね、入学式が終わって
から行いますよということを言ったんじゃないですか。
○請求人(竹永) はっきりしません。
○処分者代理人(鍛治) 1月16日の職員会議で。
○請求人(竹永) はっきりしていません。
○処分者代理人(鍛冶) そこで言ったことは確かですか。
○請求人(竹永) だから、はっきりしていません。
○処分者代理人(鍛冶) はっきりしない。
------------------------------------(04)------------------------------------
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛治) 記憶にないという意味ですか。覚えていないと。
○請求人(竹永) はっきりした記憶にありません。
○処分者代理人(鍛治) はっきりした記憶にはないと。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) それからまた、同じようなことになりますけども、入学を
祝う会は入学式が終わってから行いましょうということについて、職員会議で
これを議案として出されて、それを審議したと、認めたということはないんで
すね。
○請求人(竹永) これも前回の質問で出ていたと思うんですが、2月の半ばぐらい
に校長がプリントを配ったというお話をしたと思います。で、職員会議が、校
長が出張のために、1時間強ぐらいで終わっていまして、継続審議になってい
るはずです。ただ、校長の方から継続審議にはなっているんですが、再度、職
員会議に提案をしたということはありませんでした。
○処分者代理人(鍛治) それから、職員会議でね、入学式は行わないということは、
それはもう決めてあったんですよね、いずれにしろね。
○請求人(竹永) 冒頭の質問で答えたとおりです。
○処分者代理人(鍛治) そうですよね。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) 入学式は行わないということを職員会議で決めたというの
は、これは入学式が行われると、国旗が掲揚されたりですね、国歌が斉唱され
たりすると、そういうおそれがあるということも一つの理由になっているんで
すか。
○請求人(竹永) 大きな理由ではありませんけれども、一つの理由にはなっている
と思います。
○処分者代理人(鍛冶) 一つの理由になっている。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛治) それから生徒会の方では、入学式は行わないということに
していたんでしょう。これは間違いないですよね。
○請求人(竹永) 生徒会というのは何を指していますか。
○処分者代理人(鍛治) 所沢高校の生徒会で、そういうことに、入学式は行いませ
んよと。入学を祝う会を行うんですよということは決めていたんでしょう。
○請求人(竹永) それが11月11日の生徒総会での決定です。
○処分者代理人(鍛治) そうですよね。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) それが何か、入学式を行うと入学式が混乱するということ
からですか。
○請求人(竹永) そういう配慮ももちろんあったと思いますが、先ほども述べたよ
うに、卒業式に代わる卒業記念祭、卒業行事を生徒の手で運営するわけですか
ら、それは今度は、学校生活のスタートである入学式に代わるものとして入学
を祝う会を運営していこうというのが自然な流れだと思うんですね。
○処分者代理人(鍛治) それはなぜかと。校長の方では、少なくとも、竹永さんの
言葉でも、入学式は行いますよと。入学を祝う会はその後で行いますよという
意向は、竹永さんも認識していたんでしょう。
------------------------------------(05)------------------------------------
○請求人(竹永) 校長がそういう意向であるというか、それは十分予想はつきまし
た。
○処分者代理人(鍛治) 生徒の方は、それは承知していたんでしょう。
○請求人(竹永) もちろん、それも分かっていたと思います。
○処分者代理人(鍛冶) そうすると、入学式を行ってもいいような気がするんです
けれども。職員会議でも生徒会の方でも、それはどうしてだめなのか。
○請求人(竹永) 生徒たちは、また長くなってしまいますけれども、やはり混乱を
避けたいわけですね。
○処分者代理人(鍛治) そこが分からないんですけどね。なぜ混乱が起こるのか、
入学式をやると。
○請求人(竹永) ですから、今までの所沢高校の中では、卒業式も入学式も混乱し
たことはないわけですよ。内田校長が来て、しかも、前年度の職員会議で決ま
っていて、生徒たちもある程度納得をしている入学式を、全く自分たちの独断
で変えてしまったわけですね。
○処分者代理人(鍛冶) 内容をですか。
○請求人(竹永) 内容をですね。
そのことに関しては、生徒たちは、自分たちで決めたことを校長が一方的に
下してしまうという不安を持っていたわけですね。
○処分者代理人(鍛冶) それはね、内容というのを変えたというのは、あれでしょ
う。国旗を掲揚すると、国歌を斉唱すると、そういうことにいたしますという
ことではないんですか。
○請求人(竹永) もちろん、日の丸、君が代の決議文を持っていましたから、生徒
たちはそれにのっとって活動しているわけですね。当然、一つの要素だったと
思います。
○処分者代理人(鍛冶) それをされると困るという考えも生徒の方ではあったんじ
ゃないですか。
○請求人(竹永) いや、困るということではなくて、ですから、内田校長が赴任し
たときに、私は生徒会の本部担当ではありませんでしたけれども、生徒会本部
役員の生徒たちは、内田校長の所へ実際にごあいさつに行っているわけです。
私たちが生徒会の役員ですと。今までと違う入学式を行うのであれば、事前に
連絡をして話合いをしてくださいと。内田校長は、そのときはそうするような
返事をしているわけですね。ところが実際にはしなかったわけです。
○処分者代理人(鍛冶) どういうことについて話合いを……
○請求人(竹永) 今までのとは違う、異なる、例えば、日の丸、君が代の問題もも
ちろんだと思いますけれども。
一方的にだから校長は、自分の意向だけで入学式を行ってしまったと。しか
も生徒たちが見ているのは、入学式の混乱ぶり、例えば管理職3人だけで行っ
た、これはもう随分述べてきた話だけれども。
○処分者代理人(鍛冶) 入学式が行われると、その内容というか、その中で国旗が
掲揚されたり国歌が斉唱されたりすると、そういうことが大きな理由になって
いたんじゃないですか。
○請求人(竹永) だから、一つの理由にはなっていたと思います。
○処分者代理人(鍛冶) 一つの理由ですか。
○請求人(竹永) はい。
------------------------------------(06)------------------------------------
○処分者代理人(鍛治) 前回ですね、竹永さんは、職員会議では校長も一人の教員
としてというようなことを言っているんですよね。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛治) これはどういう意味なんですか。
○請求人(竹永) 例えば、所沢高校、ほかの学校もそうかもしれませんが、所沢高
校では、校長の方も何か考えがあれば、きちんと会議のルールにのっとって提
案をし、審議して、全体で決めていくと、そういうスタイルをずっととってき
たわけですね。
○処分者代理人(鍛冶) 一人の教員としてというのは、意味が分からないんですけ
ど、校長は職員会議でね、他の教員とは全く違った立場で臨んでいるんじゃな
いですか、そうではないんですか。同じ資格で、一教員として……
○請求人(竹永) それは資格は違いますよ、校長なんですから。
○処分者代理人(鍛冶) でしょうね。
○請求人(竹永) はい。ただ、校長だからといって、例えば職員会議で多くの不安
材料や反対があることを、校長が独断でやったりというようなことはできない
わけですよね。
○処分者代理人(鍛治) だから、単なる一教員ではないんでしょう。校長は校長の
立場として職員会議で発言したり、そういうことをやっているんでしょう。
○請求人(竹永) ですから、会議の運営上、特別な扱いをしていないということで
すね。
○処分者代理人(鍛冶) そうすると、何か職員会議で決めますよね、そのとき校長
も1票だけを投ずるということになるんですか。何か決めるとき、争いごとが
あって。
○請求人(竹永) 所沢高校では、管理職と議長団、これは回り持ちでやっています
が、3名には裁決権を除いてあります。
○処分者代理人(鍛冶) それは除いているんでしょうね。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) だから、一教員だということは、ちょっと竹永さんは誤解
しているんじゃないですか。
○請求人(竹永) いや、それは言葉じりをとらえているだけなんじゃないでしょう
か。
○処分者代理人(鍛冶) それから、3月18日のこの入学許可候補者説明会が終わ
りまましたよね。その後ですね、先生方あるいは職員会議でもいいんですけれ
ども、入学式は行いますと。入学を祝う会は、入学式が終わってから行います
というようなことを校長が言っていたことについて、内田校長に対して何か申
入れをしたことはありますか。
○請求人(竹永) だれがですか。
○処分者代理人(鍛治) 先生方あるいは職員会譲の中で、職員会議で。
○請求人(竹永) 議論は出たと思いますが。
○処分者代理人(鍛冶) どういう議論が出ましたか。
〇請求人(竹永) 細部にわたっては、はっきり覚えていません。
〇処分者代理人(鍛治) 職員会議で、今言ったようなことは審議されたと。議題と
して出されて審議されたというようなことはありましたか。
〇請求人(竹永) 審議というよりは、一方的な職務命令ですから、職務命令を議論
しても仕方がない面がありますよね。
○処分者代理人(鍛治) 職員会議で校長先生がそう言っていると。それについてど
うしようかというようなことが議題というか、議案として出されて審議された
ことがありますか。
------------------------------------(07)------------------------------------
○請求人(竹永) 議題としてではなくて、一連の流れの議案の中で、例えば、3月
5日の職員会議は、直近の卒業行事の方がウエートが大きかったんですけれど
も、説明会のための資料とかも、祝う会の総務から出ているんですが、そうい
う議論の中では、慎重論ももちろん出ていました。
○処分者代理人(鍛治) 職員会議あるいは先生方は、入学式は行わないんだという
ことで、もう決めてあったんでしょう。入学式を行ってもいいという考えは全
くなかったんでしょう。
○請求人(竹永) 意味がとれないんですが。実際に入学式をやったわけですから。
○処分者代理人(鍛冶) だけど、先生方の考え方、そのときの意見というかね、職
員会議。入学式を行ってもよろしいというような考え方も出ていたんですか。
まあ、いいですよ、お答えがなければね。
○請求人(竹永) ちょっと意味がとれないんですけれど、入学式を行う、入学式の
代わりに入学を祝う会をするということは、職員会議で決まりましたよね。そ
れの、例えば変更提案なり修正提案がなければ、個人個人がどういうふうに考
えているとは別にしても、学校全体としては、その方向に向かって動いていく
しか仕方がないわけですよ。
○処分者代理人(鍛冶) だから、動かなかったんでしょう。そういうことが議題に
上がって、職員会議で審議されたということもなかったんでしょう。
○請求人(竹永) それは、だから校長が、先ほどの2月の何日かに資料は配って、
再提要するよというふうに校長は言っていたんですが、あえて校長の方が、ず
っと提案してこなかったわけですね。
もちろん、そこでは、もし出てくれば、どういう議論になったかは別にして
も、いろいろ意見は出たんだろうと思いますよ。
○処分者代理人(鍛冶) それから、別なことなんですけどね、生徒会に提出される
議案というのは、あらかじめ職員会議に報告されるんですか。
○請求人(竹永) 正確に、生徒会……
○処分者代理人(鍛冶) 生徒会に提出される議案。
○請求人(竹永) 生徒総会ですか。
○処分者代理人(鍛冶) 生徒総会、はい。
○請求人(竹永) 生徒総会に、これも前回の質問でも答えていますが、生徒総会議
案は、必ず生徒総会前に職員会議に報告として出します。
○処分者代理人(鍛冶) しかし、生徒総会に提出される議案が適当かどうかは、職
員会議で検討するんでしょう。していたんでしょう。
○請求人(竹永) 事前にですか。それも、この前お答えしたんですが、内容の審議
ではなくて、例えば、学校現場として……
○処分者代理人(鍛冶) いや、そうじゃなくて、生徒総会に議案として提出される
でしょう。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) 提出される議案というのは職員会議に報告されていたんで
しょう。
○請求人(竹永) もちろんしています。
○処分者代理人(鍛冶) そこで、それはいいかどうかということを職員会議で検討
していたんでしょう。
------------------------------------(08)------------------------------------
○請求人(竹永) していません。
○処分者代理人(鍛冶) していないの。
○請求人(竹永) はい。それは前回答えたとおりです。
○処分者代理人(鍛治) 何か、一部訂正したことがあるということを言っていたで
しょう。
○請求人(竹永) それも前回答えましたが、事前の報告の意味は、こういう内容で
生徒総会をもってよいかという意味合いの確認なんですね。ですから、資料の
訂正があれば、当然こういうふうに資料が訂正になりましたという報告、訂正
をするわけです。職員会議録の訂正を承認というのは、会議資料が訂正になっ
たけれども、この資料で生徒総会をもってよいだろうという意味の承認です。
○処分者代理人(鍛治) それは職員会議で、そうするとね、そういうことまで職員
会議でどうして検討するんですか。
○請求人(竹永) ですから、それもこの前もお話しましたが、例えば、人権問題に
抵触するようなことが議題にあがっていてはまずいわけです。
○処分者代「理人(鍛冶) だから、そういうことをチェックしていくんでしょう、
職員会議で。
○請求人(竹永) はい、そうです。
○処分者代理人(鍛治) そうしないと、生徒総会に議案として提出できないんでし
ょう。
○請求人(竹永) それは、この前も説明したとおりです。
○処分者代理人(鍛治) だから、そうでしょうと言っているんですよ。確認してい
るの。
○請求人(竹永) そうです。ただ、だから、内容の審議ではないですということを
確認したいわけです。
○処分者代理人(鍛冶) 内容の審議になるんじゃないですか。
○請求人(竹永) それは、生徒総会でどう決まるか分からないわけですよね。それ
が可決されるか否決されるかは別の問題なわけです。そのテーマで話合いをも
ってよいということです。
○処分者代理人(鍛冶) だけど、人権問題か何かにかかわってくると、それは議案
としてまずいよということはチェックするんでしょう。
○請求人(竹永) もちろんします。
○処分者代理人(鍛冶) 内容まで検討しているんじゃないですか、そうじゃないの、
どう思っているか、竹永さん。
というのはね、生徒の自主性というのを盛んにやっているでしょう、竹永さ
んは。それはどういうふうに思っているのかということを聞きたいんですよ。
生徒総会に出すのを職員会議でチェックすることはないじゃないですか。
○請求人(竹永) よろしいですか、じゃ、そのことにお答えして。
○処分者代理人(鍛冶) 簡単でいいですよ。〔傍聴人 発言多数あり〕質問に対し
て意見があるんだったら、後で書面で述べてください。
それから、竹永さんは、入学候補者説明会のときに、第1学年の代表だった
ということで出ているんですよね。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) この代表。という意味はどういう意味なんですか。簡単に
ちょっと。
------------------------------------(09)------------------------------------
○請求人(竹永) 学年の中での取りまとめや、対外的な窓口という程度の意味です。
○処分者代理人(鍛冶) だから、そうするとね、1学年の代表ということはですよ、
他の1学年の先生方を代表していろいろな行為を行うことになりますよという
ことでしょう。
○請求人(竹永) 皆さんの意見をまとめて述べたりということはします。
○処分者代理人(鍛治) 代表として、こういう行動をするんじゃないの、代表です
から、でしょう。
○請求人(竹永) ですから、代表としては行動しますが、代表というのをどういう
意味で使われているんだから分かりませんけれども。
○処分者代理人(鍛治) ほかの先生方よりかも責任が重いんじゃないですか。
○請求人(竹永) いや、そういうことはないです。それはないです。
○処分者代理人(鍛冶) ないんですか。
○請求人(竹永) 所沢高校では、そもそも、その制度に反対するために、つまり主
任制度に反対するために代表を置いているわけです。ですから、ある学年では、
代表は学期ごとに入れ替わってしまったりとか、学年ごとに入れ替わったりと
か、学年の事情で様々な代表の置き方があります。
○処分者代理人(鍛冶) 代表でしょう。
○請求人(竹永) 代表です。
○処分者代理人(鍛冶) みんなを代表として行動をとるんでしょう。そうじゃない
の。
○請求人(竹永) みんなの意見がまとまれば、もちろん同じように行動しますよ。
○処分者代理人(鍛冶) それから、本件の入学候補者説明会で配布する資料はあり
ましたよね。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) これは、配布する資料書面というのは、校長が配布すると
いうのが建前でしょう。校長が配布するんでしょう。あるいは校長の承諾を得
て配布していくんでしょう。
○請求人(竹永) ですから、職員会議に事前に報告、提案をしているわけですね。
○処分者代理人(鍛治) だけど、他の先生がですよ、自分の考えで書面を配布する
ということはできないんでしょう。
○請求人(竹永) 他の先生という意味が、どういう……
○処分者代理人(鍛治) 校長が知らない間に書面を、その候補者説明会に出すとい
うことはできないんでしょう。
○請求人(竹永) できないかどうか分かりませんけれども、実質的には、その関係
文書なり、関係学年がある程度の責任を持ってやっておりますので、例えば、
その年の入学説明会でも配られた文書はかなり多いわけですね。
○処分者代理人(鍛治) そうすると、1点だけ開きますけれども、乙第1号証の別
添3という書面ね。
〔乙第1号証別添3を示す〕
○処分者代理人(鍛冶) この書面、これは配布するというか、配布しようとした書
面でしょう。
○請求人(竹永) これは配布した書面です。
○処分者代理人(鍛冶) これは、校長の承諾を得ていない書面でしょう。
------------------------------------(10)------------------------------------
○請求人(竹永) これは得ていないです。ですから、学年団名になっていますね。
○処分者代理人(鍛冶) だけど、内容がね、学校の公の行事の場所で配布すること
ができる書面じゃないんじゃないですか。
○請求人(竹永) いや、私たちは学年会議で検討したんですが、別に問題ないだろ
うというふうに判断をしましたので。
○処分者代理人(鍛治) 校長の承諾を必要とするというようなことは考えなかった
んですか。
○請求人(竹永) 日常的にはあまり考えませんね。
○処分者代理人(鍛冶) いや、この書面のこと。
○請求人(竹永) ですから、学年団名ですからね。校長名で学年団で勝手に作った
のであれば、もちろん校長の許可がいるとは思いますけれども。
○処分者代理人(鍛治) この書面は校長のことが書かれているでしょう、内容の中
で。少なくとも、そうすると、校長にこの書面は配布してよろしいかというよ
うなことを求めるんじゃないですか。
○請求人(竹永) ただ、書かれている内容は事実ですから。
○処分者代理人(鍛冶) だけど、校長のことが書かれているんでしょう。そういう
書面でも構わないんですか、出しても。
○請求人(竹永) どういう点が問題なんですか。
○処分者代理人(鍛冶) 校長先生のことが書かれているでしょう。分かるでしょう。
○請求人 く竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) そういう書面については、少なくとも校長が出してもよろ
しいと、配布しても結構ですよということが必要となるんじゃないですかとい
うこと。
○請求人代理人(野本) 質問の趣旨を明確にしていただけませんか。
○処分者代理人(鍛冶) 今聞いているとおりじゃないですか。
○請求人代理人(中山) いや、さっぱりわからない。評価に当たる話でしょう。そ
んなのやめた方がいいですよ。
○請求人代理人(桜井) 意見を聞いているだけじゃないですか。
○処分者代理人(鍛冶) いいですか。
○委員長(坂巻) いいですよ、続けてください。
○処分者代理人(鍛冶) その書面を校長の承諾を得ないで、この入学候補者説明会
に出すと、配布すると、そういうことができるんですかということですよ。
○請求人(竹永) 校長というのは学校を代表している人間ですよね。ですから、こ
の当時の内田達雄氏個人を攻撃しているわけでも、名前を載せているわけでも
ありませんよね。当然、その1年間、教育活動を一緒にやってきた。そういう
意味では一緒にやってきた校長のことが書かれているだけですから。
○処分者代理人(鍛冶) それで、もう1点ね、この文書を読むと、教職員や生徒会
ではね、入学式は行わないんですよという趣旨の文書にもなっているでしょう。
○請求人(竹永) それは、ですから、職員会議でも生徒総会でも、そう決まってい
るんですから、そう書かざるを得ませんよね。
○処分者代理人(鍛冶) だから、そういう書面をね、どうしてこの入学許可候補者
説明会のときに出したんですか。
○請求人(竹永) 入学許可候補者説明会の次に新入生や保護者が来るのは、入学行
------------------------------------(11)------------------------------------
事当日なわけですね。つまり、そのときのための連絡というのを、3月18日
が最後なわけですね。ですから、実は3月5日の職員会議では、4月9日の細
かい時程が載ったものを配ってよいというふうに職員会議では認められたんで
すが、校長が入学式をやりたいという意向は十分考えられたので、その文書は
配布をやめたわけです。
○処分者代理人(鍛冶) 校長がやめろと言ったんじゃないの。
○請求人(竹永) いいえ。
○処分者代理人(鍛治) そうじゃないですか。
○請求人(竹永) その文書ですか、校長はやめろと言いましたよ。
○処分者代理人(鍛治) そうでしょう。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) それから、甲第25号証と甲第68号証かな。
〔甲第25号証、甲第68号証を示す〕
○処分者代理人(鍛冶) この甲第25号証という書面ね、これはいつ作成されたも
のですか。
○請求人(竹永) これは、前日の3月16日の学年会の記録の一番最後の部分だと
思います。
○処分者代理人(鍛治) 第1学年団で作成した書面ですよね。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) それから、甲第68号証、これはあなたのメモですか。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) これは、もちろん請求人、竹永さんが作成したものですよ
ね。
○請求人(竹永) はい、そうです。
○処分者代理人(鍛治) その中の、甲第68号証の中の入学許可についてとある部
分ね、これはいつ書かれたんですか。
○請求人(竹永) これは、全体が18日の、時間ははっきりしませんが、午前中、
空き時間を見ながら、ちょっと自分のメモ程度にまとめたものです。
○処分者代理人(鍛冶) これだけ丸が付いているのは。
○請求人(竹永) これも、どなたかの質問に答えましたが、入学説明会の冒頭に、
校長は、入学式の中で入学を許可するということを、あいさつの中で述べたわ
けですね。それは、2月の3年生の卒業認定会議のときに、一般的には、どこ
の校長も、その時点で資格要件を備えているわけですから、卒業認定をすると
いうふうに言うのが一般的なわけですけれども、内田校長は卒業認定できない
と言ったわけです。
○処分者代理人(鍛治) 甲第25号証にはですね、入学許可どうのこうのと書いて
いないんじゃないですか。
○請求人(竹永) ですから、その質問にも私、答えたと思うんですが、ここだけ丸
が付いているのは、説明会の会場で、入学許可についてと私が書き足して丸を
付けたわけです。ですから、今話したように、あいさつの冒頭で、あえてそう
いうことを述べましたので、それは補足をしておかなければいけないというふ
うに考えたわけですね。
○処分者代理人(鍛治) それは、竹永さんの考えですか。
○請求人(竹永) ですから、私ももちろんそう考えましたし、学年の中の何名かの
教員も、このことについては触れてほしいうというふうに言われました。
○処分者代理人(鍛冶) そのときに。
------------------------------------(12)------------------------------------
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) そうすると、ほかの学年団の先生方は知らない人もいるん
でしょう。分からなかった人もいるんでしょう。
○請求人(竹永) もちろんいますよ、その場で考えたわけですから。
○処分者代理人(鍛冶) 関係してお聞きしますけれども、入学を許可するという学
校の行為、意思表示というかね、それは校長が行うものでしょう。
○請求人(竹永) もちろんですよ。
○処分者代理人(鍛治) そうですよね。
○請求人(竹永) ただし、校長が恣意的に行うんではなくて、当然、入学試験とか
様々なものをクリアして、全体で認めていくわけですよね。最終的に、形式的
にというのか、校長が行うわけですよね。
○処分者代理人(鍛冶) 学校としての行為、意思表示、入学を許可しますよという
のは校長が行うものでしょう。
○請求人(竹永) もちろんそうです。
○処分者代理人(鍛冶) 校長はね、この時点では、入学の許可は入学式のときに行
うということは、そういうことはしていたんでしょう。言っていたんでしょう。
○請求人(竹永) 冒頭に、ですから、入学式の中で入学を許可すると。
○処分者代理人(鍛治) その前に。その入学候補者説明会以前にもそういうことを
言っていたんじゃないですか。
○請求人(竹永) はっきりしません。
○処分者代理人(鍛冶) 入学候補者説明会が行われる以前にもね、入学式のときに
入学許可は校長は行いますよということは言っていたんでしょう。
○請求人(竹永) はっきりしません。
○処分者代理人(鍛冶) しませんか、はっきりしない。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛冶) それから、もう一度お聞きしますけれども、第13回審理
調書の22ページの終わりのほうにですね、教職員が補助していくという言葉
があるんですよね。その審理調書の22ページの終わりの行から6行目ですか、
終わりから、最後の行から。教職員が補助していくという言葉はありますよね。
○請求人(竹永) はい。
○処分者代理人(鍛治) この補助という意味はどういう意味なんですか。
○請求人(竹永) 援助していくとか、補助していくとか、そういう意味ですが。
○処分者代理人(鍛冶) 生徒会の活動を、それからその他のね、生徒の学校におけ
る行事や部の活動ね、それは学校の教育活動の一環として行われているんでし
ょう。
○請求人(竹永) もちろんそうです。
○処分者代理人(鍛冶) そうですよね。そうすると、単に補助をしていくというん
ではないんではないですか。生徒の活動について、学校の先生方が責任を持っ
て指導して監督していくということになるんじゃないですか。
○請求人(竹永) もちろん指導をし、援助し、補助していく、もちろんそういうこ
とです。
○処分者代理人(鍛冶) 指導、監督指導、責任というものがもっと大事なことにな
っていくんでしょう、先生方の。
------------------------------------(13)------------------------------------
○請求人(竹永) どこだけが大事かどうかは別の問題だと思いますけれど、全般的
に言われるとおりだと思いますよ。
○処分者代理人(鍛冶) 補助と言っているからね、お聞きしたんですけどね。
○請求人(竹永) いや、補助する場合もあると思うんですよ。
○処分者代理人(鍛治) だから、もっと大事なのは、学校における生徒の活動につ
いて指導、監督、それで先生方が責任を持っていくんでしょう。
○請求人(竹永) ですから、指導も監督も援助も補助もします。
○処分者代理人(鍛冶) はい。終わります。
○委員長(坂巻) それでは、請求人側の再尋問、どうぞ。
○請求人代理人(野本) 請求人代理人の野本から質問します。
前回の尋問調書の中で白鳥代理人の方から示されて、ちょっと意味が分から
なくなっている箇所があるので、そこの確認から、まずします。
尋問調書の23ページの所で、3月5日の職員会議に配布された資料のこと
を聞かれているんですが、この3月5日の職員会議で、祝う会総務の方から配
布された資料、これは覚えていらっしゃいますか。
○請求人(竹永) 祝う会の役割分担と説明会での祝う会のための案内だったと思い
ます。
○請求人代理人(野本) 甲第24号証を示します。
〔甲第24号証を示す〕
○請求人代理人(野本) 甲第24号証のB4、2枚になっているんですが、この2
枚が配布された資料ということでよろしいでしょうか。
○請求人(竹永) 甲第24号証の1枚目の上の方は、第1学年からの入学許可侯補
者説明会についての分担や会場案内図、会場図、それから2枚目の方の入学を
祝う会役割分担というのと入学を祝う会御案内というのが祝う会総務からの提
案です。
○請求人代理人(野本) この2枚目の資料、これはB4、1枚になってしまってい
ますけれど、実際はB5の二つの文書ということなんですね。
○請求人(竹永) はい、そうです。
○請求人代理人(野本) 入学を祝う会総務の方からでは、これは職員会譲の決定に
基づいて、当然、祝う会のみを行うということを前提にしたスケジュールをこ
れ組んで、配布資料なんかもそのために作ったわけですよね。
○請求人(竹永) はい、そうです。
○請求人代理人(野本) 保護者への案内文も、それに沿ってこの案は作られている
わけですね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) この3月5日の職員会議では、この保筆者への案内文をめ
ぐって議論があったと、こういうことでしょうか。
○請求人(竹永) 議論というか、校長は入学式をやるかもしれないという状況にあ
りましたので、それを配布してしまってよいかどうかというような不安とか意
見とかはあったと思います。
○請求人代理人(野本) 先ほど処分者の代理人の鍛治先生の方から、校長が、それ
は校長には出さないでほしいと言ったのは、この文書のことですね、保護者の
案内文ですね。
○請求人(竹永) はい、そうだと思います。
○請求人代理人(野本) 職員の方、教員の方の方から、この案内文をね、このとお
------------------------------------(14)------------------------------------
り出すことについて慎重論も出たんだということは、前々回ですか、主尋問の
中でも証言されていますね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) ところで、この保護者への案内文ですが、これは入学説明
会当日に配られたんでしょうか。
○請求人(竹永) いえ、それは配りませんでした。
○請求人代理人(野本) この配布をやめた経緯について、主尋問の中でも出ていま
すけれども、もう1回確認させてください。
○請求人(竹永) 新1学年の最大の、その当時の目標は、新入生に不安を与えたり、
混乱を含めて不安要素を与えないということをねらいにしていましたので、校
長の方の考えがまだはっきりしていない段階で、祝う会1本の時程を含んだ資
料を配布するのは、やはり好ましくないだろうという、そういう判断で配布を
やめました。
○請求人代理人(野本) 3月16日の新1学年団の会議、この中でそういう決断を
したわけですね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) ちょっと話は戻りますけれども、入学式をしないで入学を
祝う会というものを行うというのは、これは職員会議の方で決めたのは、その
前の年の10月23日の日でよかったですね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本)生徒総会の方が、同様の決議をあげたのが11月11日です
ね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) 前回ですね、処分者の代理人の先生の方から、なぜ11月
11日の生徒総会の前に職員会議の方でね、こういった決議をあげたのかとい
うことについて質問があったんですが、ここの経緯をもう1回説明してもらえ
ますか。
○請求人(竹永) 先ほどの質問の中でも答えましたけれども、一つは、生徒たちは
混乱のない卒業行事や入学行事を考えて、いろいろ相談をして、2学期に入っ
て具体的な形になっていったわけなんですが、最終的には、生徒サイドで決定
するのが11月11日の生徒総会。ただ、その以前に教職員の側も生徒への指
導や援助ということも含めて、卒業式や入学式をどう考えるのかということは、
審議して決定しておく必要があったと思います。
もう一つは、所沢高校の制度の問題ですけれども、例えば、11月11日の
生徒総会が決まってから、卒業式を行わない、もしくは入学式を行わないとい
う議論を教職員の側で初めて始めるようであると、一定程度の当然時間がかか
ると思われますし、そのことは実際に卒業行事や入学行事を準備する生徒の側
にとっては、準備不足で、実質的にできなくなってしまう可能性があったわけ
ですね。そういうことも含めて、教職員の側の不安や、そういうことをあらか
じめ検討しておきたいということがあったと思います。
○請求人代理人(野本) もう1回、3月5日の職員会議のことに戻りますけれども、
3月5日の日に内田校長が、卒業式の実行、施行に関連して職務命令、これを
出したということはありましたね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) この卒業式に関する職務命令なんですが、これは職員会議
の場でね、口頭で内田校長の方が出したものなのか、それとも、その後に掲示
されて、そこで初めて職務命令として出たものなのか、これはどういう点です
か。
------------------------------------(15)------------------------------------
○請求人(竹永) 3月5日に内田校長は、卒業式について、それから入学式につい
てというようなプリントを配布しています。職員会議の終了時点ぐらいだった
と思うんですが、口頭で、ちょっと聞き取りづらかったようなこともあったよ
うに思うんですが、職務命令のようなことを話をしたように思います。
ただ、正確には、職員会議が終わって、私たちが職員室に戻りますと、職員
室の黒板に、先ほどの中での卒業式に関する部分は職務命令であるというよう
な内容の文書が張られていました。
○請求人代理人(野本) 乙第10号証を示します。
〔乙第10号証を示す〕
○請求人代理人(野本) これは3月5日の職員会議の議事録なんですけれども、こ
の後ろに、標題が、2月19日(木)の校長発言内容と題するB4の1枚の資
料がありますね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) これが、今おっしゃられた内田校長の方が3月5日の職員
会議で配ったプリントということでしょうか。
○請求人(竹永) だと思います。
○請求人代理人(野本) 議事録の中身の方で、No.3と右上に入っているところ
ですけれども、この中段から、「平成9年度卒業式の実施について」とあって、
掲示されたものと同じような内容の文書なんですかね、これが会議録の中に記
載されていますよね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) これが今、あなたがおっしゃったような、職員会議の中で
もそういう職務命令的な話が出たように記憶しているというこの箇所のことで
すね。
○請求人(竹永) はい、そうです。
○請求人代理人(野本) この下にですね、そのNo.3の内田校長の「卒業式の実
施について」とある、その下のところに、「別紙P4のAの部分は直接は職務
命令とは関係なし。」、「Bの部分は職務命令とは書いていない。」とあるん
ですが、これは、だれがどういった説明をしたものを、こういうふうに会議録
の中へ書かれているんでしょうか。
○請求人(竹永) はっきりした記憶はないんですけれども、まず、内田校長が最初
この文書を出したときに、お願いというような言い方をしていたように思いま
す。お願いというのはどういうことなのかと、だれか教員が質問したと思うん
ですが、例えば、日常的に、初対面の人によろしくお願いしますというような
お願いなんだと。ですから、職務命令とは全く違うものなんだというようなこ
とを、それに答えていたと思います。
当初、両方ともお願いだったような気もするんですが、卒業式に関する部分
については、今述べたように、職務命令に変更になりました。
○請求人代理人(野本) 今の職員の中から、教員の中から、この中身について、こ
れはどういうことなのか、お願いとはどういう意味なのかというのが質問とい
う形で出たというのは、これは議事録の方にも載っていますね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) それで、結局、この日は入学行事、入学式あるいは入学を
祝う会、これに関しての内田校長の方が職務命令は出していないということで
よろしいんでしょうか。
○請求人(竹永) はい、出ていません。
○請求人代理人(野本) お願いという形で発言をしたにとどまっているということ
------------------------------------(16)------------------------------------
ですね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) 最後にですね、前回、この3月5日の職員会議から18日
の入学説明会の当日までの問に、内田校長との間で、生徒あるいは教員の方で、
入学行事に関して、これをどうもつかということの話合い、これがもてなかっ
たという証言、これを主尋問の中でしていますね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) これは、どうしてももてなかったというのを、もう1回簡
単に言っていただけますか。
○請求人(竹永) 実際には、3月9日が卒業記念祭当日だったわけですけれども、
翌日から、土日が挟まっているかもしれませんが、4日か5日間は、学年末試
験に入ります。学年末試験が終了すると、私たちは学年末の成績処理に入って
しまうため、比較的時間が取りづらい状況であったんですね、もう9日から1
週間もたつと、もう説明会の直前というような状況だったもので、もちたい気
持ちがあったんですが、なかなか会議を開けませんでした。
○請求人代理人(野本) 卒業記念祭自体も、その間にあってということになるわけ
ですね。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) その3月23日に職員会議があったわけですね、説明会後
には初めての職員会議があったと。
○請求人(竹永) はい。
○請求人代理人(野本) その後ですね、内田校長の方と入学行事について、どうい
ったもち方をするのかという、それの交渉、折衝というのは、先生の方、ある
いは生徒の方はもったんでしょうか。
○請求人(竹永) 実はですね、そこから先、時間を割いて、できるだけ交渉を詰め
たいというふうに私たちも生徒たちも考えていたんですが、残念ながら、春休
み3月の終盤に処分問題が出てきましたので、教職員も生徒の側の対応も、処
分問題について、何日かはそれにかかりっきりになってしまったという、実質
的に、本来であれば、一番話を詰める時期のはずだったところに、残念ながら
こういう問題が発生してしまったというのも事実なんですね。
私たちは、新1学年としては、できるだけ当日混乱がないようにということ
で、職務命令が出た後も、校長とは何度か話合いをしましたし、特に入学式、
入学を祝う会の前日は、全体での会議をもって、そのあと学年の会議をもって、
私たちが最終的に会議を終了したのは夜中の12時を超えていました。みんな
そのまま帰って、早朝出勤をしてくると、そういうような状況の中で、できる
だけ、しかし新入生に迷惑というか、不安を与えないような入学行事にしたい
という気持ちは、私たちも生徒たちも一緒だったと思います。
○委員長(坂巻) 時間がまいりました。よろしいですか。
○請求人代理人(野本) はい。
○委員長(坂巻) それでは、大変お疲れでした。元の席に戻ってください。
かずよし
林量俶証人、長い間お待たせしました。お忙しいところありがとうございま
す。それでは、証人席にお座りください。
〔証人、証人席に着く〕
------------------------------------(17)------------------------------------
○委員長(坂巻) これから証人尋問に入りますが、請求人側にお伺いいたします。
現在3時25分で、前回のお話ですと、4時半までということになっておりま
すので、大変膨大な意見書も提出いただいて、拝見させていただきましたので、
簡潔にひとつお願いします。
○請求人代理人(中山) はい。
○処分者代理人(鍛冶) 意見書に載っていない部分を聞いてくれませんかね。よろ
しいですか。膨大な意見書が出ているんですよね、詳しいね。そこに載ってい
ないことで何か確認したり、意見を述べていただきたいということだったら、
それを聞いてくれるようにしてくれませんかね。意見書は出ていますから。
○委員長(坂巻) そういう御意見も参考にして、ひとつ、要領よく聞いていただき
たい。それで、処分者側の反対尋問は。
○処分者代理人(鍛治) 聞いてみないと分かりません。
○委員長(坂巻) それでは、まず尋問に先立ちまして、証人にお聞きしますけれど
も、氏名、住所、職業、年齢をおっしゃってください。
かずよし
○証人(林) 林量俶、住所ですね、与野市新中里■■■■■■■■■■、職業、埼
玉大学教授、生年月日がありましたっけ。年齢ですか、■■歳です。
○委員長(坂巻) 証言に先立って宣誓をしていただきます。
御起立の上に宣誓書を朗読してください。両当事者と傍聴人も、恐縮ですが
御起立願います。
〔総員起立〕
○証人(林) 宣誓書。
良心にしたがって真実を述べ、何事も隠さず、何事もつけ加えないことを誓
います。
○委員長(坂巻) お座りください。
署名捺印をしていただきます。
〔総員着席、証人は署名捺印する〕
○委員長(坂巻) 証言に先立って一言御注意申し上げますが、証人が証言に際しま
して、正当な理由なく証言を拒み、若しくは虚偽の陳述をしますと、地方公務
員法第61条の規定により、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せら
れるという制裁がございます。良心に従って真実を述べていただくことになっ
ておりますので、御注意申し上げます。
それでは、請求人代理人の方から御質問をどうぞ。
○請求人代理人(池永) 請求人代理人の池永からお聞きします。
甲第125号証の意見書を示します。
〔甲第125号証を示す〕
この意見書は、証人が作成し、捺印したものですか。
○証人(林) これは捺印されておりませんけれども、捺印したのを提出しておりま
す。
○請求人代理人(池永) 意見書の末尾に添付の経歴書を示します。
証人の経歴は、この経歴書記載のとおりでよろしいでしょうか。
○証人(林) はい。記載した事項については誤りがないと思いますが、スペースの
関係上、職歴の欄においては、東京大学、筑波大学あるいは早稲田大学等で行
った非常勤講師歴ですね、これは省略させていただいてあります。
また、主な著書、論文等の欄におきましても、スペースの関係で、ドイツの
学校参加制度等について書きましたものについては省略させていただいている
部分がございます。
------------------------------------(18)------------------------------------
○請求人代理人(池永) 特に証人が専門としている分野は何でしょうか。
○証人(林) 学会の欄あるいは主な著書、論文等の欄等を見ていただければ大体分
かると存じますが、教育法学及び教育制度学ですね、これを専攻としておりま
すが、特に1980年代半ばから、体罰問題あるいは子どもの権利条約の問題
等、子どもの人権、権利問題を中心とした教育法学ですね、これを主な専門分
野としており、職歴の欄の最後にあります東京学芸大学を基幹大学として、埼
玉大学、横浜国立大学及び千葉大学の4大学で連合の博士課程を作っておりま
すが、そこの教授を併任しておりますが、教育法学を担当しております。
○請求人代理人(池永) 経歴書の著書、論文欄のNo.12のところですが、後に
学習指導要領の論点のところで触れていただく予定ですが、いわゆる特別活動
に関する著作がございますが、どのような著書なのか、簡潔に御説明ください。
○証人(林) これはちょうど平成元年版の現行の学習指導要顧が出された折に、教
員免許法ですね、これが改正になりまして、特別活動、これが免許状を取るた
めに必修の科目になって、教員養成の我々の課程でもですね、それを教えなけ
ればならなくなりまして、それに関して、5名の研究者で共同執筆した本です
ね、それがその本です。
○請求人代理人(池永) それでは、本論に入ります。
今回、処分者は、入学許可候補者説明会での学年関係の説明のときに、請求
人が校長の了解を得ることなく校長の説明に反した発言を行ったとして、これ
が信用失墜行為であることを理由に、請求人に懲戒処分を科しましたが、あな
たは請求人の発言部分をテープ反訳書で読みましたか。
○証人(林) 請求人の発言部分はもちろんですけれども、そのテープの反訳書を全
体ですね、丁寧に読んだつもりでおります。
○請求人代理人(池永) 反訳書の請求人の発言部分の中に、教育法規その他各種法
規・条理に照らし合わせてみて、信用失墜行為と言えるような発言が含まれて
いましたか。
○証人(林) これはですね、意見書で展開しましたように、関係する各種諸法令で
すね、これを総合的に考慮をしなければならないというのが私の考え方で展開
いたしましたが、総合的に考慮をして、信用失墜行為に該当するものではない
というふうに思慮いたします。
○請求人代理人(池永) それでは、証人がそのように判断する理由について、これ
から順に聞いていきます。
まずは、学習指導要領の観点からお尋ねします。
意見書では、1ページないし4ページの部分に相当します。ここを敷衍して
いただきます。
甲第126号証の高等学校学習指導要領を示します。
〔甲第126号証を示す〕
○請求人代理人(池永) この学習指導要領に関しては、処分者側は、入学式を行う
ことが校長の権限であること、その根拠として学習指導要領をあげられること
を主張しています。そこで、入学式を行うことを校長の権限とすることの根拠
として、学習指導要領をあげることができるのかどうか、証人の御意見をお聞
かせください。
○証人(林) この甲126号証に直接基づいてでよろしいでしょうか。
○請求人代理人(池永) はい、お願いします。
○証人(林) この126号証の元のページでですね、217ページ、第3章特別活
動という標題で始まって、217ページから219ページまでですね、これが
------------------------------------(19)------------------------------------
全部で3ページになりますけれども、学習指導要領における特別活動に関する
記載のすべてです。これがすべてです。
そして、その中において御覧いただけるように、まず217ページですね。
内容で、「A ホームルーム活動」、「B 生徒会活動」、次のページに行っ
て、「C クラブ活動」、そして「D 学校行事」というふうな内容が示され
ております。
そして、Dの学校行事の欄には、(1)として、「儀式的行事」、それの説
明がございます。2行ですけれども、そこの記述ですね。それを御覧いただい
ても、また、218ページの下から5行目から、「第3 指導計画の作成と内
容の取扱い」という説明があって、1というところから、ずっとですね、21
9ページの最後までにわたって指導計画の作成と内容の取扱いについての配慮
事項、これが書かれておりますが、そこのところで、教員の役割ということに
ついて書かれている箇所がございますが、校長の役割に触れている箇所は一切
ございません。これは。
そしてまた、学校行事、その中で、とりわけ儀式的行事として、入学式が必
ず行われなければいけない、言わば義務的行事である旨の記載というようなも
のも一切ここにはございません。詳細にお読みいただけば分かりますが、いわ
ゆる、この学習指導要領は、最高裁の、学テ旭川事件最高裁判決によれば、そ
の大網的基準として、その限りにおいて法的効力を持つという解釈がされてい
るものでありますけれども、この学習指導要領の特別活動の全3ページのどこ
を見ても、校長が入学式を行う権限を有するという根拠として、この学習指導
要領の記載は、一切それにかかわるところはないというふうに思慮いたします。
○請求人代理人(池永) 次に、甲第127号証の高等学校学習指導要領解説特別活
動編を示します。原本を示します。
〔甲第127号証を示す〕
○請求人代理人(池永) 今、証人に見ていただいた、この甲第127号証は、どの
ような書物なのか。それから、この甲第127号証との関連で、入学行事につ
いてどのようなことが言えるのか、御説明ください。
○証人(林) この高等学校学習指導要領解説特別活動編というのは、これは書証の
方でも出ておりますが、平成元年12月に文部省著作として出されたものであ
りまして、ただ、これは学習指導要領と違って、大綱的基準としても法的拘束
力を持つものという位置付けは一切なされていないものですが、文部省の学習
指導要領に盛り込んだことの、更に詳細な解説が書かれているものと理解して
よいものと考えますが、そこの下の66ページとあるところから、儀式的行事
の内容の説明が67ページ、そして68ページの一番上の段までにわたって書
かれております。そして、67ページの一番冒頭に罫線でくくってある、この
2行の文章というのは、学習指導要領の文章そのもので、それについて、その
下に説明があるわけですけれども、ですから、67ページの上から3行目、
「儀式的行事として、入学式、卒業式、開校記念日における儀式、始業式、終
業式などが考えられる」という記載がされております。
つまり、ここにおいてもですね、入学式、卒業式というものは、これは儀式
的行事として考えられる行事として例示されているにとどまりまして、これは
必ず行うべき儀式というものとしては全く位置付けられていない。
それから、これは長くなりますので、書証としてはですね、全体は出してお
りませんが、106ページまでですね、これは付録の部分が107ページ以降
になりますので、この指導要領解説ですね、特別活動編全体というのは106
------------------------------------(20)------------------------------------
ページまでのものでありますけれども、そこの中、これは字句の検索でもして
いただければ分かりますが、教師の役割ということについて書かれている部分
はかなりありますけれども、校長の役割とか権限とかということについて触れ
られている箇所は1か所もありません。校長という文字は1か所も出てきてお
りません。
これら学習指導要領、これは大綱的基準として法的拘束力を持つと解釈して
もですね、そしてまた、指導書はそれとは違ったものですけれども、その両者
を合わせ見ても、入学式を行うことが校長の権限であると、その根拠として学
習指導要領があげられるという主張は、失当な主張であるというふうに思慮す
るものです。
○請求人代理人(池永) 証人は、学習指導要領及び学習指導要領解説が、入学式を
行うことが校長の権限であるということの法的根拠にはならないと今証言され
ました。
それでは、入学行事を含む学校行事の企画・立案や指導は、学習指導要領上、
いかに記載されているのでしょうか。具体的に高等学校学習指導要領の中身を
指摘しながら簡潔に御説明ください。
○証人(林) 高等学校の教育課程というのはですね、これは御存じの方多いと思い
ますけれども、各教科と特別活動という2領域からなっております。各教科と
いうのは、もちろん国語であったり数学であったりというですね、各教科であ
るわけですけれども、それと特別活動という2領域からなっていますが、特別
活動の目標あるいは指導のあり方というところで、各教科における記載と非常
に異なる点、特別活動に関する目標設定や指導のあり方に関する学習指導要領
の記載で大きな特徴をなしている点というのは、まず冒頭の、「第1 目標」
と特別活動の目標というところにおいても、これは本文の目標という下の2行
目と言っていいでしょうか、途中ちょっと中略いたしますが、自主的、実践的
な態度を育てるということがその目標に据えられ、そして218ページの下か
ら5行目から始まっております「指導計画の作成と内容の取扱い」の冒頭部分
ですね、(1)からのところにありますが、学校の創意工夫を生かすとともに、
学校の実態や生徒の発達段階及び特性等を考慮し、教師の適切な指導の下に、
生徒による自主的、実践的な活動が助長されるようにすること。」というのが
筆頭の留意事項といいましょうか、配慮事項とされている。このように、生徒
による自主的、実践的な活動の助長というものが目標とされ、指導上配慮され
るべき事項として強調されているという点に、各教科とは異なる特別活動の大
きな特徴があるというふうに考えます。
○請求人代理人(池永) 入学行事を含む学校行事の企画・立案について、学習指導
要領が生徒の自主的、実践的活動が特に助長されなければならないというふう
に記載されていることに鑑みますと、ひるがえって、今回の入学許可候補者説
明会での請求人の発言をどうお考えになりますか。
○証人(林) まさに、生徒たちが今までの証言あるいは書証等で明らかなことであ
りますけれども、中心的には、前年の秋以降でしょうか、生徒会あるいは実行
委員会とか四者会議というんでしょうか、そういうような形での生徒の自主的
な取組ですね、こういうものを尊重した、この学習指導要領に書かれておりま
す生徒による自主的、実践的な活動の助長という趣旨に、まさに適合した言動
であったと、対応であったというふうに思慮いたします。
○請求人代理人(池永) 学習指導要領の点については、これで終わりにします。
次に、日本政府も批准している子どもの権利条約の観点からは、入学許可候
補者説明会での請求人の発言をどのように評価できるのかについてお尋ねしま
す。
------------------------------------(21)------------------------------------
証人は、甲第125号証の意見書の10ページないし13ページにおいて、
入学行事のあり方を決めるに際しては、子どもの権利条約12条が規定してい
る生徒の学校参加権の見地から、子供の意見が十分に取り入れられなければな
らないことを述べておりますが、ここでお尋ねしますが、そもそも学校参加権
とは、抽象的なプログラム規定ないし理念規定ではなく、具体的権利として、
法的保護の対象となる権利と言ってよいのですか。
○証人(林) これはですね……
○処分者代理人(鍛冶) ちょっと意見。質問は、全部先生が説明して、もっと省略
してくださいよ。一応、証人としてお聞きするわけでしょう。先生は最初から
最後まで全部説明して、それでどうですかという聞き方はやめていただきたい
と思いますよ。おかしいですよ。
○請求人代理人(池永) 簡潔にお尋ねしますが、証人は意見書の10ページないし
13ページにおいて、子どもの権利条約12条が規定している生徒の学校参加
権のことを述べております。ただ、生徒の学校参加権というのは抽象的なプロ
グラム規定ではなく、具体的権利として法的保護の対象となる権利なのですか。
○証人(林) これは何段階かの条件をクリアしなければならないというふうに考え
ておりますけれども、まず、条約、これは日本政府代表団が、この条約の実施
状況に関する日本の審査を子どもの権利委員会で行ったときに日本政府代表団
が行き、そこで子どもの権利委員会において正式回答しているものですけれど
も、条約が国内的効力をこれは明確に有するものであるとはっきりと回答して
いる。ですから、批准した条約というのは、これは子どもの権利条約だけでは
ありませんが、国内的効力を有するものであるとされている点。
それから次に、それじゃ、所沢高校なら、具体的に所沢高校でそれが保障さ
れるのかということになるわけですけれども、これは所沢高校においては、生
徒と教員の協議会規定というものが定められて、それが有効に運用されてきた、
定着確立してきた、その学校の内部規則である協議会規定、これによって所沢
高校の生徒は法的保護の対象となる具体的権利として、12条の意見表明権、
学校参加権、これの保障をされていると考えるべきものだと考えますし、それ
じゃ、3番目にですね、所沢高校の協議会規定というもの、これは内部規定と
して定めているだけで、法的な効力を持つのかという問題にも付随するわけで
すけれども、これにつきましては、文部省が出している通知のたぐい、これで
も校則等の学校内部規則というものが法的拘束力を持つということを、文部省
自身が特に各学校の校則制定権等を認める通知、これを出しております。
それから、いわゆる校則をめぐって今まで争われてきた裁判、これは熊本の
丸刈り校則裁判とか、これは公立中学校に関してですけれども、それから、修
徳高校パーマ退学事件あるいはバイク退学事件等ですね、それの判決等を見て
も、校則というものが、これは生徒を規制する法的効力を有するものであると。
そして各学校はそのような校則を、一定の制約内ではありますけれども、定め
ることができるという判決を下している。そのようなことからですね、各学校
は法的効力を持つ学内の規則制定権というものを持っていると。この三つの要
素から、所沢高校においては12条の内容とする生徒の意見表明権、学校参加
権というものが具体的権利として保護されるべき権利として有していたという
ふうに考えるものです。
○委員長(坂巻) 代理人に注意申し上げますが、尋問の仕方について工夫してくだ
さい。もう少し一問一答式になるように、鑑定人の意見とは違い、証人尋問で
------------------------------------(22)------------------------------------
すから、そういう形でやってください。
○請求人代理人(池永) 簡潔にということで配慮いたします。
○委員長(坂巻) はい。
○請求人代理人(池永) 今、証人にですね、段階的にですね、三つの要素とおっし
ゃられましたけれども、段階的に御説明してもらいましたけれども、書証の確
認をしておきます。甲第130号証を示します。
〔甲第130号証を示す〕
○請求人代理人(池永) 最初に証人は、子どもの権利条約が我が国において国内法
的効力を有するのだと。その根拠として、日本政府代表団の答弁をあげられる
のだということを証言されましたが、この甲第130号証のどこに記載がある
のか、具体的に指摘してください。
○証人(林) 甲第130号証の2枚目からですね、外務省の貝谷政府委員の回答部
分が始まっております。それが下のページで230ページ、231ページ、2
32ページ、233ページというふうにずっと続いておりますが、その232
ページの下から8行目になりますでしょうか、「わが国の憲法第98条第2項
は、日本が締結した条約および確立された国際法規はこれを誠実に遵守するこ
とを必要とすると規定しておりまして、わが国が締結をし、公布した条約は、
国内法として効力をもっております。」と。そして、「わが国の憲法には、わ
が国が締結した条約と、国内の法律との関係について明文の規定はございませ
んが、条約が法律に優位するものと考えられております。」というふうにです
ね、明確に批准した条約が国内法的な効力を持つものであるということ。そし
て、国内法上の法的位置としては、法律に優位する位置にこれはあるのだとい
うことを明確に答弁しております。これは通説と言えば通説であります。
それから、すぐその後にですね、条約の規定を直接適用をしうるかについて
は、具体的場面に則して判断すべきものであるという旨が、232ページの右
上のほうにつながっているところで、その旨が回答がされております。
それから245ページ左下のほうに、赤尾大使ですね、これは、日本政府代
表団の言わば団長に当たる人でありますけれども、その方の回答がですね、2
45ページ左下の段から右側の段ですね、フルチ委員というところで始まって
いるところまでが赤尾大使の回答部分ですけれども、そこの最後の6行のとこ
ろで、やはり国内における自動執行性についてということで、これは事例ごと
にケース・バイ・ケースで判断されるもので、ですから、自動執行性が全面的
に否定されるものではないし、また全面的に固定されるものではない。ケース・
バイ・ケースで適用されるものだということを回答しております。
○請求人代理人(池永) それから、所沢高校の現場において生徒が学校参加権を具
体的権利として有していたということの根拠として、証人は先ほど、所沢高校
の内部規則を指摘されましたが、具体的に甲号証のどれがそれに当たるのか御
指摘いただけますでしょうか。
甲第4号証を示します。
〔甲第4号証を示す〕
○請求人代理人(池永) この甲第4号証ということでよろしいでしょうか。
○証人(林) はい。この「生徒会活動に関する職員・生徒の協議会規定」ですね、
これが今までの審理の中でもですね、これがずっと有効に機能してきていると
いうことですね。それで、これに基づいて、まさに生徒総会にかけられること
------------------------------------(23)------------------------------------
が職員会議で承認され、というようことが必要になる、その手続になろうかと
思うわけですけれども、この第8条に書かれておりますように、1982年の
7月5日よりこれは執行されて、そして、本処分案件が生じました1998年
ですか、その時点まで、少なくとも、これは、その所沢高校において、これに
基づいて職員と生徒の関係というものが知られてきた、有効に機能してきたも
のであるというふうに考えます。
ですから、これが具体的に条約12条に則して、生徒の学校参加権といいま
しょうか、というものを所沢高校において具体化する校内規則になっていると
いうふうにとらえることができるというふうに考えます。
○請求人代理人(池永) 甲第128号証及び甲第129号証を示します。
〔甲第128号証、甲第129号証を示す〕
○請求人代理人(池永) 先ほど証人が甲第4号証の協議会規定のような、いわゆる
内部規則の制定権を各学校がそれぞれ独自に持っている、文部省の通知もそれ
を認めているという趣旨の証言をされましたが、文部省の通知とは、この甲第
128号証と129号証のことでよろしいでしょうか。
○証人(林) まず甲第128号証ですね、これは、子どもの権利条約、政府訳では、
児童の権利に関する条約となっておりますが、それを日本が批准した折に文部
省が出した通知ででありますけれども、下から2段目ですね、漢数字で「四」
というふうになっているところの、全体を読んでいると時間がありませんので、
ちょっと中略をさせていただきますが、4行目のところに、「もとより学校に
おいては」、ちょっと中略させていただいて文末にいきますが、「校則を定め
ることができるものであること」、そして、それに続いて、「校則は」、その
2行ほどいってですね、「これは学校の責任と判断において決定されるべきも
のであること。」と、このようにですね、校則、これが各学校の責任と判断に
おいて決定されるべきものであると、このように、校則制定権を各学校が持つ
ものであるということを文部省も認めているというふうに言えようと思います。
それから、甲第129号証でありますけれども、これは今年、学校教育法施
行規則が改正された折にですね、文部省が出した通知でありますけれども、こ
れの4枚目の真ん中あたりにですね、学校評議員の制度を定めたというのが、
この省令改正の一つのポイントでありますけれども、そこにおいてですね、
「① 設置のあり方」というところで、「本制度は、地域住民の学校運営への
参画の仕組みを新たに制度的に位置付けるものであること、学校や地域の実情
に応じて柔軟な対応ができるようにすることが望ましいことから、」というの
で、ちょっと中略させていただきますが、下から3行目ぐらいですね、「省令
に規定する学校評議員ではないが、これに類似する仕組みを既に設けている場
合、今回の省令改正により、これを廃止又は改正する必要がないこと。」と。
つまり、これは、埼玉県内においても、大宮市においてとか、蕨のある中学校
においてとか、この省令と異なる形での評議員制度的なものが置かれています。
というのは、この規定では、教職員あるいは生徒、これを学校評議員には含ま
ないという省令であるわけですけれども、ところが、既につくられているもの
というのは、教職員などを含んでいる場合が多い。あるいは長野県の上田六中
であるとか、あるいは長野県立辰野高校とか、そういうようなところで作られ
ているもの、生徒というものも、この協議会の中に入っている、生徒代表もで
すね。そういうものが既に全国で作られているわけですけれども、そういった
ものについて、この省令に規定するものとは異なる場合でも、それをそのまま
改正する必要はないということを言っているわけで、これはですから、一面で
------------------------------------(24)------------------------------------
はだから、各学校におけるこの学校評議員制度についても、規則制定権という
ものを認めている、このような通知文になっているというふうに考えておりま
す。
○請求人代理人(池永) ところで、子どもの権利条約12条の解釈と関連してお尋
ねしますが、処分者側は、平成10年10月6日付けの準備書面で、入学を祝
う会そのものを禁止したわけではないのだから、生徒の自主性を否定したわけ
ではないという主張をしておりますが、どのようにお考えになりますか。
○証人(林) それはですね、12条の意見表明権の意味内容の理解ですね、これに
かかわるものであるというふうに考えます。
これは意見書に述べましたので、ごく簡略に述べればですね、これは、子ど
もの権利委員会日本審査の際に、子どもの権利委員会で明確に表明されている、
あるいは最終所見と言われる、あるいは外務省訳では最終見解というような表
現がとられておりますけれども、そこの中において、12条の意見表明権とい
うのはですね、単に13条の表現の自由とは違って、勝手に言わせておけばい
いというものではないんだと、子どもの意見を最大限に尊重する義務がある、
子どもの意見尊重原則というふうに明確にこれは定式化して言っているもので
ありますし、そしてまた、もちろん意見表明権で表明されたことというのは、
必ずそれが実現され得るというものではない、これは自己決定権ではありませ
んから。もちろん予算の関係とか物的条件とか、様々なことで受け入れられな
い場合もある。だけどその場合には、子どもが納得がいくように説明を十分に
する義務、誠実応答義務ですね、これを果たさなければならないという趣旨。
それから、更に、その意見表明権を制度的に保障するための特別なシステム
というものが必要であって、それは学校参加権、社会参加権という、パーティ
スパトリーライツ(participatory rights)という、参加権という表現ですね、
これを明確にとって、それらが子どもの意見の尊重原則、誠実応答義務、そし
て参加権というものが12条の意見表明権には含まれているんだということが
明確に示されているわけです。
校長の、今回の対応というようなところを見れば、子どもの意見を十分に尊
重する、表現の自由としてただ聞き置くというのではなくて、十分に尊重する、
そして誠実に応答していく、誠実応答義務を果たすというような点において、
これは十分に、その12条の意見表明権を尊重したというふうには言えない結
果であったというふうに、私としては思料しております。
○請求人代理人(池永) 子どもの権利条約12条を、今、証人が述べたような、子
どもの意見の尊重原則、生徒の学校参加権及び子どもに対する誠実応答義務と
いったものを内実とするものだとしますと、ひるがえって、入学候補者説明会
での請求人の発言をどうお考えになりますか。
○証人(林) ですから、今、12条の内容として言った子どもの意見の尊重原則、
誠実応答義務、学校参加権、これは所沢高校においては、協議会規定によって
具体的な権利性を持っていたわけですけれども、そういったものを踏まえ尊重
した行動である、言動であるというふうに考えます。
○請求人代理人(池永) 子どもの権利条約の点については、これで終わりにします。
次に、学校教育法の見地から、請求人の発言をどのようにお考えになるのか
お尋ねします。
意見書では、8ページないし9ページが該当部分になります。
処分者側は、学校教育法第28条をあげて、入学式を行うことは校長の権限
------------------------------------(25)------------------------------------
であると主張しておりますが、この点についてどうお考えになりますか。
○証人(林) 極めて、28条の中の1項だけを取り上げての、これは28条だけを
とってみてもですね、一面的な主張であるというふうに考えます。
28条第3項には、「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」
という規定があるわけですけれども、28条、これは12項にわたるものであ
るわけで、その中の第6項というのは、これは「教諭は、児童の教育をつかさ
どる。」、これは小学校に関する規定で、読み替え規定、準用規定で高等学校
にそれが適用されるわけですけれども、教員のですね、児童の教育を、高校で
あれば生徒の教育をつかさどる権限というもの、この規定の趣旨というものを
全く勘案していない、総合的な考慮になっていない主張であるというふうに考
えます。
多少ちょっとそれに付け加えさせていただけば、これは戦前の国民学校令で
すね、1941年に制定されたものですけれども、これは、「訓導は、校長の
命を受け、児童の教育をつかさどる」と規定されていたものが、学校教育法に
ついては、「校長の命を受け」というところが削られているわけです。それは、
教育基本法第10条に、これは、教育は、国民全体に対し直接責任を負って行
われるべきものであるという趣旨ですね、こういう趣旨が盛り込まれている。
教員は、直接生徒に対し、あるいは父母に対し、住民に対し、直接責任を負っ
て教育をつかさどっていかなければならない、その旨の規定がなされている。
そして、文部省設置法でも、あるいは旧教育委員会法、現在の地方教育行政
の組織及び運営に関する法律というところでも、これは、教育活動に関して、
指揮命令というのはですね、基本的にはふさわしいものではない。ですから、
文部省が教育委員会に対しても、指揮命令権は、文部省設置法で、これは規定
されておりません。指導助言権、そして措置要求などをする勧告権ですね、と
いったものが規定されている。教育委員会が学校に対してというのが、地教行
法の規定になるわけですけれども、これも、指導というですね、概念が使われ
ていて、指揮命令というところは、教育活動に関しては、極力その、上命下服
というようなことではないことで行われるべきものであるという趣旨が、戦後
の教育立法全体にわたってその趣旨がありまして、それが、つまり「校長の命
を受け、児童の教育をつかさどる」ではなくて、単に「教諭は、児童の教育を
つかさどる。」という権限にもなっている。
そのような意味でですね、校長の「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」
というところだけを取り上げて、その校長が特別活動の一環である、特別活動
というのは、これは教育活動の一環であることは、教師のつかさどる教育活動
の一環であることは明白であるわけで、それに対して校長の指揮命令権といい
ましょうか、28条3項のみを突出して、根拠としてというのは、法令の総合
的な考慮という点で、極めてこれは、何と言うんでしょうか、不十分な主張で
あるというふうに考えるわけです。
○請求人代理人(池永) 後、10分ないし15分程度で終わります。
○委員長(坂巻) 時間調整もやらなくちやならないので、10分程度で。
○請求人代理人(池永) はい。
○委員長(坂巻) ちょっと聞きますが、意見書そのものを、ずっと聞いているよう
ですね。
○請求人代理人(池永) ポイントになるところを……。
○委員長(坂巻) いや、ポイントになるところだけれど、意見書に書いているより、
もっと詳しくおっしゃっている。
------------------------------------(26)------------------------------------
○請求人代理人(池永) いや、だから、必要なところですから。
○委員長(坂巻) いやいや、だから、そのためにこんな立派な意見書を出してもら
っているから。
○請求人代理人(池永) 大丈夫です。それは時間どおり、ちゃんと終わることにな
ってますから。
○委員長(坂巻) とにかく時間までで、終了してください。
○請求人代理人(池永) はい。それでは、ポイントを突いて聞いていきますので…
…。
○委員長(坂巻) 4時半までだけど、証拠認定とか……。
○処分者代理人(鍛治) 2、3ちょっと簡単にお聞きしたいんですが。
○委員長(坂巻) ある……、それでは、あと5分程度で。
○請求人代理人(池永) はい。それでは、学校教育法の点については、これで終わ
りにします。
それでは、ポイントを突いてお話、お願いいたします。
入学式を行うということについては、校長が学校の最終責任者として既に決
定していたことであるから、既に決定されていたことと異なる説明をすること
は許されないのだという趣旨の処分者の主張について、どのようにお考えにな
りますか。
○証人(林) これは、職員会議の議事録等を出されている書証類をずっと見ますと
ですね、3月18日の説明会の時点において、入学式を行うこと、これが既に
決定していたというのは、全く失当な主張であるというふうに考えます。
○請求人代理人(池永) それではですね、次に手続論のほうに、ちょっと移ります。
手続論についても、証人の方で意見書に詳しく述べられておりますが、そこ
の一番のポイントをおっしゃってください。
端的に聞きます。証人は、請求人に対する今回の処分に際し、適正な手続の
履践がなされたとお考えですか、重要事項に絞ってお話ください。
○証人(林) はい。これも意見書に十分書いてあると言えば書いてあることなので、
簡潔に申したいと思いますが、その年の1月8日、事故報告書の書式改定の通
知が県の教育委員会から公表されました。これは、その日の教育委員会の会議
で決定され、記者発表などされ、新聞で大きく報道されたものであるわけです
けれども、その後に各高等学校あてにそれが通知され、なおかつ、職員研修資
料というようなものも出されて、その周知徹底が図られたわけですけれども、
そこの眼目というのは、従来の事故報告書というのは、これは校長の一方的な
見方といいましょうかね、で書かれていて、非常にやはり客観性、公正性とい
うような点で問題があったと。
ですから、これは加害、被害がある場合には、加害者側、被害者側、目撃者
側、こういった者の言い分ですね、それからの事情聴取、あるいは意見がある
場合には意見、こういったものを載せてですね、記載して、出すようにという
ですね、そこに一番のこの通知の、書式改定の通知の眼目があったわけです。
それは、記者会見の趣旨説明のところなどでも十分記載されているところで
あるわけですけれども、そこの点において一番重要な、この問題のですね、正
確かつ公正な事実把握、そこの点で、事故報告書、一切それ記載がなく欠けて
いて、そして、その記載漏れがある事故報告書を3月24日に受け取り、そし
て、24日のその日のうちにですね、一切のその事故報告書の当否とか、ある
いは、そこで欠けている点の補正を命ずるとか、指示するとかいうことなしに
処分案が24日のうちに決裁される、当日に決裁されると。そして、25日の
------------------------------------(27)------------------------------------
教育委員会でその決定がなされる。
これは、証言によれば、そこにおいて質問とか意見とかいうものはなかっ
たというふうに言われるわけですけれども、これは、言わば、刑事事件に例え
れば、被害届だけによって起訴状が書かれ、起訴状の読み上げだけでもって教
育委員会で判決が下される、処分決定が下される、そういったものでありまし
て、こんなことで、教員の処分、重要な、それは権力的な処分というのは作用
であるわけですけれども、こんなことが行われていいのかというですね、そう
いうようなところがですね、一番手続のうえで問題があるところであると思い
ますし。
それから、この途中経過のことについて、校長から、教頭からというような
ところで、代行して3月20日、あるいは3月23日に事情聴取をしたという
ようなことがありますけれども、あるいは3月18日に、その電話でですね、
苦情電話があった、それを受けた、これは高校教育第二課ですか、の方で受け
た。校長からの電話も高校教育第二課の方で受けたと。それを担当部局である
第一課の方に伝えるのに、メモ類もない、あるいは、その20日、23日に同
校に行っての事情聴取結果について、メモも復命書もない。これは事実を正確
に伝えるというようなところで、口伝てのものというのは、伝言ゲーム的なも
のになるわけで、まさにその正確さというものを担保し得るものでは、これは
ないと言いましょうか、そういったこと、そういうような手続によって、その
処分についての決定がなされる、これもですね、極めて信じ難いことであると
いうふうに考えております。
○請求人代理人(池永) 最後の質問になりますけれども、今回の請求人に対する処
分について、教育法学者としての見地から、何か御意見があれば、最後に簡潔
にお願いします。
○証人(林) やっぱり一番見落としていただきたくないのは、これは、教育関係の
諸法令、憲法あるいは教育基本法、あるいは子どもの権利条約、学校教育法、
同施行規則、県のもちろん教育委員会規則もそうですし、それから、同校の職
員会議規程や、あるいは協議会規定等ですね、こういうものを総合的に、まさ
に考慮勘案して判断が下されるべきものを、処分者側主張の方は、28条3項
の校長権限なら校長権限、あるいは文部省の学習指導要領を告示する権限、そ
ういったものだけをと言っていいと思うんですけれども、校長権限にかかわる、
あるいは文部省権限にかかわるところだけを取り上げて、教員の教育をつかさ
どる権限、あるいは生徒自身の、子どもの権利条約等で保障されている、ある
いは同校の校内規則で具体的権利性を付与されている、そういったもの、生徒
の権利ですね、こういうものを総合的に勘案すべきである。
中心はですね、まさに生徒の学校における権利の最も根源的な主体というの
は、教育を受ける権利の主体であるその生徒の人権、権利に得られるべきであ
って、そして、それにかかわる父母の権利等ですね、これを、校長の権限や教
師の権限を考えるときには総合的に考慮すべきである。そこのところでですね、
校長権限に一面化したその解釈、主張というのは、やはり、日々の子どもの信
頼、あるいは父母の信頼、その権利、こういうものに応えて、学校というもの
をですね、より良いものにしていこうというような教職員の努力というような
ものを、非常に上からですね、権力的にこれはつぶしていくような結果になる、
そのことを私は非常に懸念するものです。
以上です。
○委員長(坂巻) 何か、どうぞ、処分者側で、何か2、3あるということで。
○処分者代理人(鍛冶) それでは簡単にちょっとお聞きいたします。
本件でもって問題になっている、入学式を行うということ自体は、校長が決
------------------------------------(28)------------------------------------
定できるということでよろしいんですか。
○証人(林) 入学式を行うということを決定できるのは、いや、私は、校長単独で
決定すべきことではないというふうに思っております。
これは学校行事のところでも、学習指導要領においても、これは、全校の教
員の協力によって学校行事というのは行われなければならないと……。
○処分者代理人(鍛冶) そういたしますと、学校の内部でいろんな争いがあってで
すよ、最終的になかなか結論が出なかったというときには、誰が入学式を行う
か、行わないかを決定するんですか、最終的に。職員会議で決めていくんでし
ょうか。
○証人(林) これは、あれじゃないでしょうか、先ほど言いましたように、私は、
職員会議規則ですね、同校で定めている職員会議規則というのも、有効な、こ
れは学内規則であるわけで、その職員会議規則に基づけば、当然、職員会議で
決めていくべき、同校では職員会議で決めていくことになるんじゃないでしょ
うか。
○処分者代理人(鍛冶) 林先生は、本件においていろんな資料を見まして、その結
果、そういう御判断をしたわけですか。
○証人(林り はい、そうですね。
○処分者代理人(鍛冶) 校長じゃなくて、本件における所沢高校では、職員会議で
入学を行うか行わないかを決定できますよと、そういうふうに御判断したわけ
ですか。
○証人(林) はい。教育をつかさどる権限、そして特別活動の趣旨から言いまして、
それは当然、全校の協議で合意点を作ってですね、全校の協力でやっていくべ
きもの、学習指導要領上の表現というのは、まさにですね、そういう意味で…
…。
○処分者代理人(鍛冶) それができなかった場合、どうなんですかと聞いているん
ですよ。誰が最終的にね、入学式を行いますよということを決めることができ
るんですか。
○証人(林) ええ、だから、同校で、これは校長も、その職員会議規程ですね、こ
れの有効性は認めていて、その改正の手続をとったのは、この事件が生じてか
ら半年後ぐらいのところでですね、それをしているわけですけれども、その職
員会議規程が有効なものとして校長が認めていたわけです。実際、認めていた
からこそ、その改正を行ったわけでですね、それによれば、まさに職員会議の
決定に従うべきものなのではないでしょうか。
○処分者代理人(鍛治) その後のことを聞いているんじゃないんですけどね。
○証人(林) その後のことではなくて、だから……。
○処分者代理人(鍛治) その当時ですね。
○証人(林) そうです。ですから、当時、職員会議規程というものが有効であった
わけで、そして、職員会議規程では、審議決定するというふうにされていたわ
けで、ですから、職員会議の審議決定に従うべきであると。
○処分者代理人(鍛冶) だから、職員会議の審議決定で、入学式も行うか行わない
かを決定できますよと。
○証人(林) はい。
○処分者代理人(鍛冶) 校長は、その権限外にいるんですよということになります
か。
○証人(林) 職員会議でもちろん、だから、これは本当は、専門的なリーダーシッ
プをとってですね、職員全体が納得できるような線を打ち出すというのが、本
当は校長のリーダーシップの最もあるべき姿であるというふうに思いますけれ
ども。
○処分者代理人(鍛治) その結果ですよ、校長がですよ、入学式は行いますよとい
う判断をして決定したらどうなるんですか。
------------------------------------(29)------------------------------------
○証人(林) だから……その、どうするんですかというのは……。
○処分者代理人(鍛治) 校長じゃありませんよと、校長はそんな決定ができません
よということになるわけですか。
○証人(林) ええ。ですから学習指導要領に、入学式について校長が決定できると
いうような旨の文言は一切ありません。これは。
○処分者代理人(鍛治) その学習指導要領のことを聞いているんじゃないんです。
○証人(林) それでは、何によってそれは根拠づけられるんでしょうか。
○処分者代理人(鍛治) 校長の学校における権限ですよ。
○証人(林) 何による権限でしょうか。
○処分者代理人(鍛治) 学習指導要領にはね、そんなこと書いてありませんよ、も
ともと。
○委員長(坂巻) その問題は、これは議論になるからね……。
○処分者代理人(鍛冶) それから、もう一つ聞きますけどね、入学を、試験を合格
したね、生徒、お子さんに対して、入学を許可するという学校の行為は、校長
が行うのではありませんか。
○証人(林) これは、対外的な表示権というような意味だけでしょうね。
○処分者代理人(鍛治) 一つ、あれですよ、学校の在学契約だとか、あるいは恐ら
く、行政処分かもしれませんけどね、行政処分的な行為を行うということは、
校長が行うんでしょう。
○証人(林) これは学校の責任者として、校長名で行うというのが確かでしょうけ
れども、入学式あるいは入学の許可とか、卒業認定とか、いうようなところで
明らかのことは、これは校長の一存によって行えるというようなものではない。
○処分者代理人(鍛冶) それを聞いているんではなくて、入学を許可するという行
為ですよ。
○委員長(坂巻) ちょっと静かにしてください。
○処分者代理人(鍛冶) 校長が行うんでしょう、内部的な問題を言っているんでは
ないんですよ。合格した生徒に対して、あなたに対して入学を許可しますよと
いう行為は当然行うんでしょう、学校として。それは校長が行うのではありま
せんかと、でないとすれば、誰が行うんですかということを聞いているんです
よ。
○証人(林) 当然、これ大学の入学試験、入学というようなところでも、卒業認定
というようなところでもそうですけれども、これは学部長名とか、学長名でそ
れが行われるのは確かですけれども、決定するのはそれは、それは教授会で決
定される、卒業判定会議なら卒業判定会議、あるいは入試の判定会議なら判定
会議で決定されるわけです。
○処分者代理人(鍛治) だから、一つの法律上の行為として、それは校長がね、合
格した生徒、その父兄に対して、そういう行為を行うんでしょう、第三者に対
して。
○証人(林) だから、決定を校長が行うのではなくて、学校で決定された結果を校
長が表示するというあれですね、ことですよね、当然。
○処分者代理人(鍛冶) はい、結構です。
○委員長(坂巻) それで終わりでいいですか、ほかにないですか。
○請求人代理人(池永) ちょっとね、1点だけちょっと。
○委員長(坂巻) ちょっと待ってください。ほかに反対尋問ないですか。
○処分者代理人(鍛治) なし。
------------------------------------(30)------------------------------------
○請求人代理人(池永) 書証の確認だけですね、10秒で終わります。
○委員長(坂巻) はい、ではどうぞ。
○請求人代理人(池永) 請求人代理人の池永です。
甲第123号証を示します。
〔甲第123号証を示す〕
○請求人代理人(池永) 3月18日の入学許可候補者説明会の時点で問題となって
いた職員会議規程というのは、この甲第123号証のことでよろしいでしょう
か。
○証人(林) はい、これに間違いないと思いますけれども。
○委員長(坂巻) よろしいですか。
それでは、大変長い間ありがとうございました。後ろに下がってください。
それでは、進行について、時間もまいりましたけれども。
○請求人代理人(中山) 進行について意見があるんですか。
○委員長(坂巻) いや、ちょっと、委員会の方で決定したことについて、処分者側
からの請求のありました遠藤孝一証人ですか、これを採用いたします。
○請求人代理人(中山) だからね、委員長ね、事前に意見言わせてくださいと申し
上げているんですよね。それについての決定にいかれる前にね。私の方はです
ね、全く……
○処分者代理人(鍛治) 今、なんでそんなこと言うんですか。
○請求人代理人(中山) だから、申し上げさせてくださいよ。じゃ今、人事委員会
の意見に対してね、決定に対して、じゃ意見言わせてください。
○処分者代理人(鍛冶) こちらだって、今初めて聞くんですから。
○請求人代理人(中山) だって請求は出しているけど、それに対する意見は、私ど
もの方述べていないんですから、それはやっぱり述べさせていただいたうえで
決定していただかないとおかしいわけですから。
○処分者代理人(鍛治) 意見を述べなさいよ。
○請求人代理人(中山) だって、それは今日見たんだからね、私ね。
○委員長(坂巻) 聞かせていただきます。
○請求人代理人(中山) 私どもの方としては、遠藤証人の尋問事項書を見ましても。
○委員長(坂巻) 尋問事項書はまだ出てない。
○請求人代理人(中山) この証明しようとする事項ですね、立証事項を見ましても、
陳述書、つまり、乙第30号証に書かれていることと全く同じことが書いてあ
ってですね、それこそ、人事委員会はですね、それに今日の、処分者側の尋問
を聞いていただいてもお分かりと思うんですけれども、何遍もですね、繰り返
しの尋問されているわけですよ、屋上屋を重ねてですね、更に遠藤孝一証人を
呼んで、全くその陳述書に書かれたのと同じ、なぞるような尋問をされること
はもう明らかなんですね。なんで、この機会にですね、更に尋問を続けるのか、
私は全く理解できません。
前回ですね、陳述書が突然出されたものですから、私どもはその内容を見る
間もなくですね、とりあえず、そういうことやれば反対尋問の機会も必要かな
と思ったんですが、検討した結果ですね、全く反対尋問の必要を感じさせない
内容のものでした。
既に、内田校長によって、十分その処分者側の言いたい主張はですね、証言
として出され、それに対して長時間かけて反対尋問なされたんです。
これをこのうえですね、いたずらに時間をかけて、人事委員会の審議を延ば
すというのはね、私どもとしては絶対賛成できません。
------------------------------------(31)------------------------------------
次回はですね、こちらの方としては、証拠調べとしては本日終了していただ
いて、最終意見陳述の機会を持っていただきたいというのが私どもの意見でご
ざいます。
以上です。
○委員長(坂巻) 暫時休懇します。
○請求人代理人(桜井) 今のとちょっと関連して一言だけですが。
○委員長(坂巻) では、ちょっと聞かせてもらいましょう。
○請求人代理人(桜井) 前回の尋問調書の33ページのところを見ますとですね、
委員長は、遠藤証人について述べられているところがあるんですよね、下から
2行目からですけれども、これは双方からですね、我々とそれから処分者側、
双方から申請書と尋問事項を出していただければ、その日に決定したいと、と
ころが尋問事項書、向こうからは出てないわけですよね、当方からも申請書も、
尋問事項書も出てないということでございますので、今、中山代理人が申しま
したようにですね、ぜひですね、御決定ということでありますけれども、これ
はそうじゃなくしていただきたいと。
なお、次の34ページの上から7行目あたりにですね、処分者代理人の鍛冶
先生はですね、「請求人の方から証人申請すれば、こちらも証人申請しますよ」
というふうに言っておられるので、こちらは証人申請やってないんですよ、と
いうこともぜひ勘案していただきたいと思います。
○委員長(坂巻) 分かりました。しばらくの間休憩いたします。
午後4時38分休憩
午後4時48分再開
○委員長(坂巻) お待たせいたしました。
委員会の方で、先ほど、両代理人から御意見伺いまして、慎重に検討いたし
ました結果、現場というか、その問題の職員会議、あるいはその他についても、
内田証人は、るる長く述べておりますが客観的な、多少距離を置いた遠藤証人、
委員会の方としては調べたいと、考えておりますので、採用いたします。そう
いうことで御了承願いたいと思います。
○請求人代理人(中山) 尋問時間は。
○委員長(坂巻) 尋問時間どのぐらいですか。
○処分者代理人(鍛治) 陳述書が出ていますから、30分か40分ぐらい、1時間
以内で終わらせます。
○請求人代理人(中山) 30分か40分か1時間以内……。
○処分者代理人(鍛治) 1時間以内で終わらせます。
○委員長(坂巻) それで、尋問事項書も早く出していただきたい。
○処分者代理人(鍛冶) はい。
○委員長(坂巻) そういうことで、ひとつ御了承願います。
○請求人代理人(中山) そうしたら、反対尋問はですね、やってみないと、聞いて
みないと分からないところありますけど、一応、基本的にはこちらの方も、そ
の1期日で終わるように準備しますので、しかし同じ時間は基本的には保証し
ていただく。だから1時間やるのではあれば1時間やらせていただきたい。し
かし、2時間で合計終わるのであれば、1期日で終わりたいんですね、その次
に延ばさないように。それだけ一応申し上げます。
------------------------------------(32)------------------------------------
○委員長(坂巻) それはよろしいですね、ということで、次回期日について協議し
ます。
○請求人代理人(中山) 次々回もですね、入れていただけないですか、そういうこ
とであれば。
○処分者代理人(鍛冶) あんまり険しい顔で……
○委員長(坂巻) ちょっと、まず次回の期日を……9月27日、午後2時30分。
○処分者代理人(鍛治) 差し支えます。
○委員長(坂巻) 差し支えるようです。そうすると9月29日は。
○処分者代理人(鍛冶) 29日……。こちらは大丈夫。
○請求人代理人(中山) 何時から始まりますか。
○委員長(坂巻) 午後。
○請求人代理人(中山) 何時ごろから始まりますか。
○委員長(坂巻) ですから、この日に終わらせるというと、少し早めに時間をとっ
て、2時。
○請求人代理人(中山) その日ね、修習生の旅行があるんですよね。
○委員長(坂巻) その日に。
○請求人代理人(中山) 大変申し訳ない。
○委員長(坂巻) そうしたら。
○請求人代理人(中山) やりましょうか、私の都合だけですから。
○委員長(坂巻) いや、いいですよ。10月の31日。
○請求人代理人(中山) そんなに下がっちゃうんですか。じゃやりましょう。9月
29日受けます。
○委員長(坂巻) そうしたら、もっとも午前中から行くんですか。
○請求人代理人(中山) 大丈夫です。だから、終わった後行けば。
○委員長(坂巻) そしたら2時、なるべく早くがいいでしょう。
○請求人代理人(中山) 早い方がいいです。
○委員長(坂巻) 2時から4時まで。一応、この日に終わると。
○処分者代理人(鍛治) そんなに長くかからないと思いますよ。
○請求人代理人(中山) 午前中は可能なんですか、午前中は駄目。
○委員長(坂巻) 委員会があるんで。
○処分者代理人(鍛冶) できるだけ早くこちら済ませますから。
○委員長(坂巻) 2時から4時までということで。
それではお待たせしまして申し訳ありませんでしたが、傍聴人の方も最後ま
で残っていただきまして。
○請求人代理人(中山) 次々回、ちょっと予定入れないですか。
○委員長(坂巻) 次々回。
○請求人代理人(中山) 予定だけでも入れていただいて。
○処分者代理人(鍛治) ただ、最終準備書面というのは相当時間かかりますよ。
○請求人代理人(中山) だから、終わる予定で考えて。
○処分者代理人(鍛治) 膨大な資料。
○請求人代理人(中山) 今から準備すればいい。
○処分者代理人(鍛冶) ちょっと検討しなきゃいけないので。
○請求人代理人(中山) 今日ぐらいで終わるつもりで、こちらはいたんですが。
------------------------------------(33)------------------------------------
○処分者代理人(鍛冶) こっちはそんな考えありませんから。資料を検討するの大
変でしょう、膨大な。
○請求人代理人(中山) スタッフが、そんなに優秀なスタッフがそれだけいるわけ
ですから、あっという間でしょう。
○委員長(坂巻) いつがいいですかね、11月、さっきのでいいですかね。
○請求人代理人(桜井) いいですよ10月31日。
○委員長(坂巻) 10月31日では、調書ができていない。
○請求人代理人(桜井) 大体分かってますよ。
○委員長(坂巻) 大丈夫ですか、次々回、10月31日に最終。それかあるいは、
11月10日ならいいでしょう。
○処分者代理人(鍛冶) 11月の10日……。
○委員長(坂巻) 差し支えますか。ただ最終だから、どちらでもあんまり差し支え
ないから、31日か10日。
○処分者代理人(鍛治) 10日の4時というのは駄目ですか。
○委員長(坂巻) 4時でもいいですか。
○請求人代理人(中山) いやいや、やっぱり1日ですと、1時間半は最低こっちは
ほしいですからね。
○委員長(坂巻)それでは……
○処分者代理人(鍛冶) その次の週にしてくれませんか。
○委員長(坂巻) 次の週というと24日ですか。
○処分者代理人(鍛治) いやいや、10日の次の週。13日の週。
○委員長(坂巻) 14日でどうですか。
○処分者代理人(鍛冶) はい。
○請求人代理人(中山) 11月14日ですか。
○委員長(坂巻) はい。
○請求人代理人(中山) はい。
○委員長(坂巻) 3時ごろでいいですか。
○請求人代理人(中山) こちらは1時間半ぐらいほしいんで、それ見ていただけれ
ば。県民の日、11月14日県民の日。
○委員長(坂巻) 1時間半の陳述。
○請求人代理人(中山) 意見陳述ですよね。
○委員長(坂巻) そうです。
○請求人代理人(中山) いわゆる証拠調べでもないし、書面で出していただければ
いいんじゃないですか。
○委員長(坂巻) いろいろやり方がありますので。
○処分者代理人(鍛治) 要旨を述べてもらわないと。
○請求人代理人(中山) でしたら2時半。
○委員長(坂巻) 2時半で大丈夫ですか。
○請求人代理人(中山) はい。
○委員長(坂巻) それでは、もう一度申し上げます。
次回が9月29日2時。これで実質的な審理は終わりにし、その次が11月
14日2時30分からが、最終審理ということでよろしいですか。
------------------------------------(34)------------------------------------
それでは、以上で平成10年(不)第3号事案の第14回公開口頭審理を終
了いたします。
御協力ありがとうございました。
午後4時58分閉会
調書作成事務職員 高田 裕之
委員長 坂巻 幸次
委 員 久保木宏太郎
委 員 渡邊 圭一
------------------------------------(end)-----------------------------------
(Web管理者記)
前のページ(所高資料)に戻る
前のページ(経過)に戻る