所高生の自由と教育を考える委員会だより
発行者:所高生の自由と教育を考える委員会
発行日:2000年7月19日(水)
所高生の自由と教育を考える委員会だより
所沢高校PTA
所高生の自由と教育を考える委員会発行
2000.7.19
「長沢校長先生といっしょに所高教育を語り合いましょう」報告
6月29日(木)、長沢校長先生を囲んで懇談会を開きました。当日は、生徒、先
生、保護者合わせて20名の参加がありました。前もってお願いしてあった質問につ
いて、校長先生に答えていただくことから懇談会を始めました。
【質問】
(1) ご自身のお子さんはどう育てられましたか?
(2) 校長先生の「所高三つの努力日額」について(所高に入学すると学力が低下す
る、などという声も一部にありますが、生徒たちにはどのような力をつけて卒業
していってほしいですか。)
(3) 所高について、外部で訪(ママ)ねられる機会が多いと思いますが、どんな風に
話されていますか?
(4) 「21世紀いさいさハイスクール構想」について(「校長のリーダーシップ」
「学校評議員制度の導入について」の2点をからめてお話を)
校長:委員会からこのお話があった時、正直いってためらいがあり、初めはお断りし
た。昨年、着任早々、同じ企画で話し合いをしたのと、直接、生徒と接して教育
に携わっている先生方の話の方が面白いだろうと思った。しかし、委員会のたっ
ての要請があり、着任当時は所高についてまだ知らないことが多く、教育方針を
きかれて十分に答えられなかったが、一年経った今どう思っているか話していた
ださたいということだったので、あらかじめいただいた四つの質問に沿ってお答
えしたい。
(1) 7:3、8:2くらいで、母親に任せていた。小さいときは意識的に話し合い
をしたが。子離れは早かった。父親と母親の役割分担については「父は糸を切
る役目」「母は糸をつなぐ役目」と考え、意識的にそうした。しかし、今は時
代が変わってきており、年代によって父親の役割が変わってきているようです。
(2) 今年のPTA総会を前に、今実際に現場の先生方が努力されていることを、
言葉にして整理したのが三つの努力目標だ。
1.学習指導・個別相談などを通じて、進路意識を高める。自分の個性、関心
あることを把握することが大事。
2.部活・生徒会活動など自主活動を充実させる。
3.環境美化・生活指導を通じて公共心を育てる。
「どんな力をっけて卒業してはしいか」については、将来、どんなことがあっ
ても、たくましく生きていける基礎力を、体力も含めてだが、身につけてほし
い。
(3) 着任当時はよく聞かれたが、最近はあまり聞かれなくなった。「所高は?」
と聞かれるより、式について、PTAは、生徒は、先生はと、個別に聞かれる。
生徒の服装・頭髪は一部を除いてそう気にならなくなった。生徒会は活発で、
生徒たちは挨拶には元気よく答える。ただ、清掃意識が弱いのと、授業をさぼ
る生徒がいる。
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校長:
PTAは熱心で、理事会などの出席率が高い。校長に厳しい質問も出る。会議
が夜遅くなるのが度々ある。
所高生のいわゆる「学力低下」について/「学力」をどうとらえるかによって
違うと思う。ある講演会で印象的だった話を、去年二学期の終業式で生徒に話し
た。これからは求められる人材が変わってきている。高度成長期は上からの指示
に従ってガムシャラに働く人材が求められたが、これからは自分で考えて自分で
動く、創造牲が求められる。自主・自立ということだが、自分で勝手に思い込ん
だものではダメで、まわりの第三者も納得させることが大事だ。学歴社会から学
力社会へ移ってきているという話だった。この場合の学力は「人間力」という広
い意味だと思う。
(4) 「いきいきハイスクール構想」は三年かけてまとめられたもの。目玉は高校
再編だと思っている。学校評議員制度については、県レベルでは方針が出てい
ないので国レベルでしかいえない。県は一年かけて検討中だが、導入の方向だ
と思う。導入するかどうかは改定者(県・県知事)が学校の実情に応じて決め
るとなっている。
ただ、この評議員は評議会ではないので個人としての役割になる。一人一人
から意見を聞くというものだ。生徒と教職員は評議員制度の対象外で、校長が
推薦し、県が任命するとなっている。何についての意見を聞くかは校長が決め
る。その意見を取り入れるかどうかは校長の判断でということだ。
「校長のリーダーシップ」については、そのために、管理職研修の充実も盛
り込まれている。また、職員会義を補助機関として位置づけている。県は年度
内に方針を出すだろう。学校管理規則の変更という形で実施される。これはす
でに国では学校教育法の施行規則が四月から変更されている。校長職務の円滑
な遂行を資するため、職員会義を置くことができる。校長が主宰する等となっ
ている。
参加者質疑(Pは保護者、Sは生徒、Tは先生)
P:「たくましく生きる」の具体的イメージは?
校長:どんな境遇にも負けないで、強く生きるということ。それには気力と体力が要
る。
S:集会の時、校長先生の話はだれかを引用した話が多い。先生自身はどう思って
いるのか。先生の人間性が知りたい。それが伝わってくるような話をしてもらい
たい。自分の体験したこととか。
S:生徒は興味をもてば聞くと思う。もっと印象に残る話を熱く語ってはしい。
校長:努力はするが、できるかどうかわからない。
S:教育とは伝えることではないか。正面から自分の思いを語ってほしい。
校長:千人近い生徒を前に、テーマをどう選ぶかむずかしい・・・
P:(生徒会選挙の)立会演説はお聞きになりましたか。
校長:いや、聞いていない。
P:生徒二人の発言は厳しくて心うつ指摘だった。「いきいきハイスクール構想」
の話も制度解鋭としてはよくわかったが、校長先生自身どう考えるか聞きたい。
もう一つ、先日PTA連合会西部支部の総会後の懇親会で、ある学校の校長が耳
元で辛辣な話を囁いた。お宅の高校では教師が十分指導していない。PTAから
どんどん言っていったほうがいいということだった。外部からそんなイメージを
もたれているのだろうか。
校長:教師の指導力にはどこの学校でも差がある。先生によって授業の運び方の上手
下手はあると思うが、それが学校全体のイメージになることはないと思う。
P:校長の人気は三年くらいだが、それで学校のことがどれだけわかるのか。二、
三年ではリーダーシップの発揮は無理と思えるが、プロだからできるのか。校長
同士でそんな話は出ないんですか。もっと長くと文部省に言わないんですか。
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校長:県ではもっと長くという考え方もあるようだが。総論賛成、各論反対というと
ころかもしれない。
P:管理規則が変わるということだったが、教育委員会ですべて決まるのか。校長
会に意見は求められないのか。
校長:よくわからない。
P:所高は先生の議論が大事にされ、民主的運営でいいと思ったが、職員会議の位
置づけをどう考えているのか。世間では職員会議の決定が校長の一存で変えられ
るということもあるようだが。
校長:そういうことはありうる。ケース・パイ・ケースです。赴任した時、職員から
公開質問状が出された。会義の結論を尊重するが、場合により校長権限で決定す
ることもあると答えた。
P:今、職員会議の雰囲気はどうですか。
T:なんでも言える雰囲気だと思う。
P:「ふりーとーくin所沢」でも学力低下が話題になった。その時の先生の話では、
所高では生徒が自分で進路を考え決める。指定校推薦の粋があっても、先生が埋
めようとせず、生徒が選んでいくということで、いいなと思った。一方、所高は
入ってから勉強しなくなるという評判も聞くが、校長先生もそう思うか。
校長:地元の校長からそう言われたことがある。その時は着任したばかりだったから
とくに反応しなかった。進路意識を高めるというのは、広い、意味でもっと先を
見越した進路ということ。今、同じ質問をされたら、先生方は一生懸命指導して
いると思うと答える。
P:国公立を蹴る生徒もいると聞いた。高望みして浪人した子もいる。レベルを下
げて現役めざすのと、どちらを望むか。
校長:本人次第だから。実績を上げるために受けさせるとかいうことはできない。大
学に入って何を学ぶかが大事で、ネームバリューでは通用しない。そういう意味
で先生にはきちんと指導してもらいたい。
生徒が本校に入学してからの学力低下は困るが、それとどの大学に入っている
かは別のこと。一流の大学に入って、ちゃんと力をつけて卒業するのが一番よい
し、預かった生徒の力を伸ばすよう努めるが、生徒の希望を曲げて合格させると
いうことはしない。どこの学校でもそうだと思う。
P:いや、できるだけ現役で入れるところに入ってもらおうという学校は多い。
P:進路意識を高めるために、具体的、組織的にはどうするつもりか。
校長:組織的にどういうことをするのか、今は答えられない。日常的に「生徒にどん
どん情報を伝えていくこと。大学のあり方もどんどん変わっているので。
P:所高には、生徒に何を学びたいかじっくり考えるチャンスを与えるという気風
が以前からあった。進路がどの大学に行くかということだけに狭められると困る。
P:自主活動を充実させるという目標について、どこが良くて、どこが弱いと見て
いるのか。
校長:委員会などどんどん自分たちで招集して、盛んなところ。弱いのは、各係がも
う少し自分たちで役割を考えて動けないかと思う。
P:三者面談で先生と話してみて、所高は先生自身が生き生きしていて、いいと思
った。自由に教育実践ができる開放的な雰囲気があるからと思う。職員会義でも
いろんな意見が出るから。補助機関化するのは、逆行ではないか。
校長:先生たちの参加意識がなくなるのは困ると心配している。県の方針が出てみな
いとわからないが。
S:生徒の自主活動がすごいといわれでいるが、最近、本当にそうかと疑問。もっ
と質を高めたい。ロング・ホームルームをすぐ自習にしてしまうクラスもあるし。
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S:生徒の内面を変えていかないと。やる気、聞く気がないと何をいっても無駄。
「自分たちの責任においての自由」がどこかに行ってしまっている。行事でも現
実にやる人とやらない人と差が出てしまっている。自分たちの代だけで変えるの
は無理だが、長い目で、三年周期ぐらいで変わるのでは。
S:先生と話し合うシステムかあるが、あまり活用されていない。自分が動くこと
で所高を変えられるという意識を持つことが必要。今の定例連絡会議(先生と生
徒の)をもっと充実させたい。
S:先生を前にすると構えてしまう。生徒総会でも、二、三人でぞろぞろ出て発言
する傾向がある。一人一人が意見を言える環境と、自分で責任をもつ風潮をつく
らないといけない。
P:生徒は学校のことを考えているのに、学校評議員制度には生徒が入っていない
ことをどう思うか。
枚長;とりあえず生徒は入っていないほうがいいと思う。
P:立会演説会にも、生徒総会にも出ていないそうだが、意図してそうしたのか。
校長:意図的です。出ないはうがよいと思っている。
S:できれば出てはしい。生の声を聞いてほしい。
P:昨年の生徒総会で13時間の話し合いの時間を保障してくださったのは感謝し
ている。今度はお願いとして、ちょっとのぞいていただけたらうれしい。
校長:要望として聞いておく。方法論の問題で平行線だと思う。
P:去年の卒業・入学行事に関していえば、生徒は悩んだ未に結論を出した。それ
をしっかりご自分の目で見ていただきたかった。
T:本校に来て三年目だが、初めはすごい学校という印象だった。最近は、とくに
すぐれた、劣ったということはないと思っている。進路意識についても、すべて
の生徒が低いわけでも高いわけでもない。二年の時点でオープンキャンパスとか、
資料もかなり出している。所高をこんな学校と決めつけないでやっていったらよ
い。
P:三人子どもがいて、上の二人は他県の高校だった。面談はまず点数の話からで、
振り分けられた。ここでは、本人の希望を聞いた上で、そこに入るにはこれとこ
れを頑張らなくてはというアドバイスだったので、すばらしいなと感動した。
校長:情報は多面的にあるほうがよいと考える。決めつけてはいけない。選択は本人
次第だが。
P:上の子は私立で他県だったが、やはり点数で分けられた。所高は違う。校長先
生が言われる「学歴より学力」とか創造牲とかの考えが定着していると思う。そ
ういう意味でむしろ時代にマッチしている。
校長:保護者の中には違うニーズの人もいて、それにも対応していかなければいけな
い。
P:今日はもう少し本音のお話を聞きたかったが・・・。
枚長:それはなかなか難しい。テープ録音もされているし、ちゃんとした委員会だか
ら。
S:生徒の声を心を広くして聞いてもらいたい。校長としての立場もわかるが、話
しやすい雰囲気を保ってもらいたい。人間と人間のぶつかりあいがあってもいい
のではないか。
司会:前の内田校長先生とは話し合う場がなかったが、長沢校長になって、このよう
に話し合える雰囲気になってよかったと思う。ともに生徒を育て合うということ
で、これからもお願いしたい。
(了)
担当:E.M. / S.J. / H.M. / M.H.
発行責任:S.S.(042-***-****)
(Web管理者記)
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