所高生の自由と教育を考える委員会だより
発行:所沢高校PTA・所高生の自由と教育を考える委員会
発行日:1999年7月17日(土)
所高生の自由と教育を考える委員会だより
所沢高校PTA
1999.7.17 所高生の自由と教育を考える委員会発行
'99.6.22 懇談会「校長先生を囲んで所高教育を語り合いましょう」報告
新年度になり、校長先生が替わられましたので、一緒に所高の教育について考えた
いと企画したところ、校長・教頭先生の出席の快諾を得られまして、6月22日に集
まりを持ちました。当日は校長・教頭先生の自己紹介と所高への感想をのべていただ
き、所高の教育をどう考えるぺきかと活発な討論が続きました。また当日は保護者・
生徒・教職員で約50名ほどの参加者がありました。
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│ 長沢校長先生の自己紹介: │
│ 生まれは入間市。専門は英語(英語教授法)。英会話を早めに重視。ラジオ・ │
│民間の研修会等で勉強。教師としては川越工業(定時制)、狭山高、豊岡高等を │
│経て、鶴ケ島(教頭)、県教委、狭山経済(校長)、県教委1年のあと、現所沢 │
│高校長。 │
│ 5月のPTA総会で狭山高の教え子(所高保護者)に出会った。新任時の教え │
│子が、保護者の皆さん位の年齢。(生徒への印象は)時代・学校で相違あり。定 │
│時制時代は、年上の生徒もいた。教わったことも多い、昭和40年代の生徒は落 │
│ち着いていて、50年代は教員と距離を置いていたような気がする。 │
│ いま郷愁を感じるのは昭和40年代。最近は教科としてかかわっていないので │
│(教頭・校長なので)特段の感想はない。(所沢高校への感想は)教員や他校の │
│校長時は本校への印象・感想は別になかった。着任前は報道での情報のみで、私 │
│服というのはどんなものかと思っていた。着任後では、服装は落ち着いている。 │
│明るい印象。校内はゴミが多いが、最近前よりきれいになってきた気がする。先 │
│生方にそれぞれがんぱって指導してほしいと思う。 │
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保護者:所高に対するヴィジョン、また「所高の正常化」とよくいわれているが、正
常化したいところはどういうところなのか。
校 長:難しい質問で一言では答えられない。今の教育課程はまあよいパターンになっ
ていると思う。より一層の改善を。個々には、生徒指導では校内の環境美化。
部活動はより一層活発化の希望。放課後部活動を見回っている。無言の激励の
つもり。進路指導は、各家庭・生徒が各自頑張ってほしい。所高のヴィジョン
は正式に職員にも言っていない。まだ、描ききれていない。
保護者:中学等では新年度に学校の教育目標を掲げているが、高校では教育目標はな
いのか。先生方で話し合われるというようなことはないのか。
校 長:特段やっていない。
保護者:どこが異常でどこを正常化したいのかという問いについては?
校 長:正常化という言葉は私は使っていない。新聞に報道されたようなことは、異
常というか、残念。それ以外ではごく普通の高校と思う。
保護者:所高の自主・自立のところを学校運営に生かすべきでは。管埋職候補者の先
生方が異常に多く(9名)配属されているが、その状況でどういう学校運営を
していくのか。他と同じ、特色のない学校となるのではという危険性を生徒達、
PTAが感じている。
校 長:「危険性」と言われるが、言葉の問題なのかそれ以上なのかわからない。特
色ある体育祭もちゃんと行われている。
保護者:今回の入学説明会で生徒に発言機会を与えなかった。PTAにも話させなかっ
たということ。
生 徒:説明会は生徒のほうで自主的にやらないことにした。問題としては入学式当
日、式に出たくないがどうしたらよいかという意見に対して、その場所(昨年
は講堂が控室になった)を作らせなかった校長先生への不満がある。
保護者:入学説明会と入学を祝う会に出席した。直接情報を知る機会がなかったこと
が問題。新間情報しかなく、学校からの説明がなかったので生徒・保護者共に
不安だった。校長先生は「90%の出席に謝意を表したい」と言ったが、それ
にどれほどの意味があるのか。また所高には9名の管理職候補が配属されたり
(県立高1校当たり平均1.2名)、内田前校長が県の公開審理で、県の指示
で職員会議録の改竄をしたという報道も聞いている。異常なのはどちらかとい
う気がする。
校 長:私だったら自分で入学説明会の時に説明したかも。本来入学説明会は校長
(教職員)サイドからの連絡。前校長はそれなりに説明したと思う。全員に
100%理解させることは難しい。
保護者:所高は普通の学校だけど、特徴がある。校長も普通の高校だと認めている。
生徒の位置をどうとらえるかが違っていて、所高では生徒の自主自立を励ます
システムがあり、生徒の意見が学校運営に反映されてきたことが他校とは違っ
ている。そこが県教委とぶつかる間題になっている。他の体育祭云々は何も問
題ない。システムを否定されれぱそれは大問題。このシステムをどう考えてい
るか。
校 長:自主的行動は育てなければいけないと思うが、その「際(きわ)」が難しく
ケースバイケースだと思う。原則としては校長・教員の考えを生徒に理解して
もらいたいと思う。
保護者:前校長は押しつけが強すぎた。協議会の様なシステムを新校長はどう思うか?
校 長:ケースバイケースで生徒のことを考えながら行うのが教育では。学校行事は
校長に最終的に決定権限がある。基本的には生徒のことを思いながらやる。
保護者:PTA総会で校長先生が「立場もあるので理解していただきたい」と云われ
たが、親の気持ちも理解してほしい。楽しく通っている学校を壊してほしくな
い。日の丸・君が代問題にしても大人で片づいていない問題を生徒に求めてし
まった。結果ではなく話し合いのプロセスを大事にしてほしい。
校 長:子供達が楽しい学校は否定しない。
保護者:所高の協議会システムは良いと思う。維持していく考えなのか。積極的に活
用するつもりか。
私は、協議会に親も入れぱ理想的と思う。
校 長:協議会の存続や意義については特段考えていない。あるという感想のみ。先
生方に任せるという考え。基本的には生徒を教師が指導する上でのシステムと
思っている。先生方が指導される場合(負担が大きく)大変だと思う。積極的
には評価しない。
保護者:所沢はAET(Assiatant English Teacher)など市が先んじて導入してきた。
県教委から見て地域的にも浦和から遠く、勝手なことをしているというイメー
ジがあるのでは。
保護者:形式的に生徒と話合いをしても、結局教師の意見で決まるのでは、常に生徒・
教師は服従すもの・させるものの関係になる。生徒に押しつけるのではなく納
得させる努カをするのか。
校 長:「服従させる」ではなく「指導」で、教育する立場・される立場で説得する
ことが教育だと思う。
教 師:今年度も協議会が開かれることになった。この労力は大変なもの。しかしこ
れで逆に生徒から教えられにとがある。所高は教員と生徒で議論していくこと
を大切にしている学校だと思う。これは、勝手なことを言っていくこととは全
然違うものである。話合いはとても大切で、教師・生徒が水平な立場で行わな
けれぱいけないと思う。
校 長:指導するときには(気持ちでは)水平でよいが、学校制度がある以上、「指
導する立場」と「される立場jは崩せない。これを崩すと学校が成り立たない。
――教頭先生も出席していただいているので教頭先生のご意見も――
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│ 神澤教頭先生の自己紹介: │
│ 教師としての経験は定時制高から、新設校、古い高校、生徒指導が多い学校等 │
│を経て、妻沼高(教頭2年)、今年度から所高の教頭。(所高の感想は)制服の │
│ない学校ということで興味があった。印象はのびのびしている。以前勤務した学 │
│校では頭髪のチェック、月一回の服装指導などをしていた。当時でも厳しい学校。│
│所高は生徒に任せている(よい)部分が多い高校だと思う。カリキュラムや生徒 │
│指導は特に教師の領域です。生徒に任せていい部分はどこの学校にもある。問題 │
│になっているのは「際」の考え方。学校によって「際」の位置が違うのでは。所 │
│高は生徒に任せる部分が非常に広くなっている。所高のシステムにはこのままで │
│大丈夫なのかなという不安がある。子供たちが幼くなってきているため所高の歴 │
│史的システムがそのままやっていけるのか疑問。子供たちに合わせたシステムを │
│考えるのが必要では。こういうスタイルの学校を残していくためにはよく見て正 │
│しく指導していかなければと思っている。「ケースパイケース」で子供たちに任 │
│せる部分をどのようにしていくのかを考えたい。 │
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生 徒:生徒のことを判断力が弱いと教頭先生が思っでいるのは逆に教育不是。教育
を行ってから言ってほしい。なぜ判断カが鈍いかというと、それは生徒を常に
レールの上においているから。
保護者:もっと生徒に任せてみることはできないのか。判断力が低下していると言わ
れるが、それで、もっと指導しなけれぱ、なのか、もっと任せてみようという
指導なのか。また教頭先生の「指導jとは、所沢高校ではそれなりの指導、た
いへんな学校では別な指導という、そういう考え方か。
教 頭:そこへ行ってそれに応じた指導をするということ。一人の判断ではなく、そ
この学校の教職員でそれに応じた指導をするということ。子供たちの様子を見
て決定するもの。
保護者:教頭先生がいわれるように、生徒の自主・自立は先生方の負担を決して軽減
するものではなく、たいヘんなことだと思う。しかし「所高だから出来る」の
ではなく、どんな学校でもできるはず。実際に北海道の高校の例もある。生徒
の力を信じてほしい。
教 師:卒業記念祭実行委員会にしても生徒たちは、大人以上にメリット、デメリッ
トを揚げ、いろいろな状況を考えて発言・行動している。
保護者:内田前校長と違い、今日のような話し合いがもてたことは少し進歩した気が
する。ただ「指導する」の言葉が多すぎる。また県教委から来たとの事で結局
は前校長と同じなのかという不安もある。所高のシステムが不安だといわずに、
「際」をどう考えるかということでよく話し合ってほしい。
校 長:あくまで最終的に「指導する」ことが「教育」で、これがないと教育が成り
立たなくなる。
保護者:教育は前から引っ張るだけではなく、後ろから見守るのも教育だと思う。
自主・自立の校風を、この学校の目玉にすべきなのでは。
校 長:論点が違う気がする。
保護者:中学校は選ぶことが出来ないが、高校は自分で行きたい学校を選ぶことが出
来る。所高の自主自立の募囲気を感じて学校を選んだはずが、入学したら(校
長が替わって)所高が違ってしまったところが問題。それをあるべき状況に戻
すことが校長先生の責任では。文部省の研究所所長の著作を読むと、中央の考
え方と私の考えはそう違っていない。県教委のほうがおかしいのでは。
校 長:県は教育行攻の制度に基づいて(行って)プいる。また校長としてやらなけ
ればならないこともあるのでご意見のように100%ご要望どおりは難しい。
保護者:校長は、学校を作っていく視点を出さなければいけないのでは。それが親の
考えているところと違う可能性があり、所沢高校は変えられていってしまうの
ではないかというおそれを抱いている。
具体的に示していってほしい。
校 長:具体論は言えるが、一つのキーワードではなかなか…。ヴィジョンとは、私
は校風のことをいているのではない。教育課程も含めてのことで。校風こつい
てはこれでいいのでは。
保護者:受験時の学校紹介に所高は「校風を大切にして尊重する生徒に入ってほしい」
とあり、それに感動して所高を選んだ。校長先生にも所高の校風を尊重してそ
れを育てると言ってほしい。
校 長:12年度の生徒募集ではそういう方向でいっている筈。校風ではなく学校作
りのヴィジョンは一言では言えない。
保護者:言葉はどうでもよいのだがヴィジョンと校風は密接で、切り離しては考えら
れないのでは。ヴィジョンがあってこその具体的教育で、生徒の自主自立を尊
重するといくら(校長が)言っても、具体的なところで制約さわることがあれ
ぱ問題で、最終的には指導という言葉のもとに自主自立が制約されでいるので
はないか。あいまいで核心がはっきりしない。
校 長:結局は入学、卒業式のことではないのか。
保護者:ポイント的な事でなく、プロセスの部分。所沢高校には協議会というシステ
ムがありそれを大事にしてほしい。
教 師:協議会は去年も5回も行った。教師にとっても大変な労力。内田前校長はそ
の決定を大事にしなかった。
校 長:最終的には学校の立場で指導したのでは。
保護者:協議会には既に教師の(良き)指導(教育)が反映されている筈だが、前校
長は協護会の決定を無視し、教師達の努カも否定したかたち。校長権限とは独
断も許されるということか?
教 師:協議会の後、その後臨時生徒総会にかけられ、職員会議を経て通ってきて意
見として出るもの。それを内困前校長は大事にしなかった。
校 長:いきさつがわからないので、独断かどうかわからないが校長の最終権限で行っ
たのでは。
保護者:職員会護は補助機関と意味づければ、校長は何でも出来てしまう。多くの高
校では実際そうなっているのかもしれないが、私たちは所高の今までのシステ
ムを大事にしてほしいと思う。この「際lは譲れないと思い、校長先生に理解
していただきたく、ここに出席している。
保護者:文部省の言う Clobal International な人材とは所高生のような子供たち。
校長先生は「所沢高校にはこんないいシステムがあるんですよ」と逆に県教委
(文部省)に言う位であってほしい。
保護者:栗田元校長も当然教育行攻の論理に基づいて入・卒業式を行ったはず。だか
ら校長先生も内田前校長とは違ったやり方ができるのでは。
保護者:3年保護者クラス委員の部会を行ったが、3年生の親は内田前校長の入学式
(97年)に未だに釈然としない思いを抱いている。長沢校長先生に替わった
ことで全てクリアされたわけではない。
保護者:今年の入学式のまえに校長先生は「ふつうの高校のふつうの入学式をしたい」
と言っていた。
保護者:前教頭は所高を好きで生徒を尊重して信頼していた。説明会時の話で、それ
がとても伝わって、感動して、入学してきた。管理職の方にお願いだが、生徒
を見守り育てる、ゆとりを持った教育をする姿勢がほしい。
保護者:秋か冬にもう一度こういう機会を設けてほしい。その時には校長先生のヴィ
ジョンも固まって私たちに話してくれにとを期待する。
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後日の反省会で、話し合いの進め方に対する意見、入学式・卒業式に対する校長先
生の具体的な姿勢を聞けなかった、前校長への不満から新校長・教頭先生の言葉遺い
(「指導」など)に過敏になって議論を詰められなかった、もっと冷静にPTAと共
に一致できるところを探すことが大事等々、多数の意見が出ました。個々の気持ちも
それぞれ異なるのは勿論、毎年、(今までの所高の入学風景と違った)たいへんな
「入学式」を経験しできた保護者は、学年によってもまた少しづつ異なる気がしまし
た。保護者・生徒は3年間で1年ごとに少しづつ入れ替わっていきますが、教師も保
護者とはまた違った立場でこの問題に特別な思いをもっているとのことでした。委員
会では、秋にまた機会を持ち一歩進めた議論をしていきたいと思います。これから夏
休みに向けて各地区で支部懇談会が閉かれますが、この資料なども参考にして、皆で
所高の自由と教育について考える機会を持っていただければと思います。
以上
(Web管理者記)
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