処分撤回要求
1998年3月31日(火)

埼玉県教育委員会委員長 藤井 均 様
要求書
埼玉県立所沢高等学校 竹永公一教諭への処分の撤回を求める

理由 1 第一に、1998年3月26日付けの竹永公一教諭に対する教育委員会の  処分事由は、事実無根である。   処分事由は「4月9日は『入学を祝う会』のみを行い、教職員も校長の行  う『入学式』に反対するという主旨の発言した」とあるが、3月18日の  「入学候補者説明会」の際、一学年代表の挨拶として、同教諭は「教職員、  生徒は『入学を祝う会』のみを行いたいと思っていますが、校長は『入学式』  を行うと言っていますので、混乱が起きないようにしたいと思っていますか  ら安心してください。現時点では生徒と校長とは考えが違っていますが、ま  だ時間がありますから、学年としては混乱がないよう努力していきます。」  と説明した。新聞報道で不安になっている新入生や保護者に混乱がないよう  説明したにすぎず、「入学式」反対ともそのような主旨の発言もしていない。  「『入学式』に反対する主旨の発言をした」と教育委員会に報告した校長の  責任は重大であり、このような虚偽の報告をした校長こそが処分されるべき  である。 2 第二に、「発言の主旨」を事由にした処分は不当である。   処分事由では、「『入学を祝う会』のみを行い」の個所だけを具体的な発  言として取り上、前後の脈絡を全く無視した上、「教職員も校長の行う『入  学式』に反対するという主旨の発言した」との校長の一方的な報告に基づき、  教育委員会は処分を出している。およそ「発言の主旨」なるものは、具体性、  客観性に欠け、主観的・恣意的に受け取られるものである。このような校長  の報告に基づいて出された処分は、重大な欠陥がある。また、発言の内容を  処分の対象としたことは、今後教職員は自由にものが言えなくなり、教育活  動そのものを否定するものである。教育委員会の責任は重大である。 3 第三に、教育委員会の調査は杜撰であり、公正さを欠くものである。   通常、このような処分に対しては、教育委員会は、本人はもちろん教職員  及び関係者に事実を確認するものである。また、事情聴取にあたっては、校  長からの事故報告があったことを明確にし、それがどのような内容であるか  を説明した上で行うのが常識である。しかし今回はそのような手続きは一切  せず、校長からだけの一方的報告に基づいて処分が出された。3月18日の  説明会に発し、3月26日には異例の早さで処分するという教育委員会の決  定は、このように杜撰であり、著しく公正さを欠き、竹永教諭の身分・人権  を不当に侵すものである。と同時にこの処分は、竹永教諭と同じく所沢高校  の教育現場に立ち、生徒の自主的活動を支える教職員を恫喝し、教育活動を  阻害するものである。 4 今回の竹永教諭の処分事由は地公法第33条「信用失墜行為の禁止」に違  反するものとされている。   所沢高校では生徒の「自主・自立」を教育目標に置き、全教職員がその実  践にあたっている。またこのような教育活動は、保護者の理解と暖かい支え  の基に創られるものである。3月9日に行われた「卒業記念祭」は生徒の自  主的活動と保護者・教職員によって生み出された成果であり、全国的に高い  評価を得た。   しかし、このような生徒の活動を全く評価せず、生徒、保護者、教職員の  意見を一切聞かず、職務命令を再々発し、強引な学校経営を続け、入学式以  来現場を混乱させてきた校長こそが教育に対する信頼を失わせるものである。   所沢高校教職員は、このような校長の責任に対し何ら追求もせず、竹永教  諭に対し不当な処分を断行した教育委員会に対し、断固抗議をするとともに、  このような不当な処分を直ちに撤回することを強く要求する。                      1998年3月31日                      埼玉県立所沢高等学校職員一同

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