私達所高生は卒業式をボイコットしたの???
1998年3月18日(水) 入学説明会生徒資料(1/2)
(生徒会本部発行)
私達所高生は卒業式をボイコットしたの???
――――――新聞・テレビ・ラジオの報道について――――――
3/9(月)に行われた卒業記念祭と、行われてしまった卒業式について、その後
新聞やテレビ・ラジオでたくさん取り上げられましたが、皆さんもご覧になりました
か? しかし、今の所高の状況を短時間で説明するのはなかなか難しいもので、記者
の方々にうまく伝わらなかった部分もありました。
新入生の皆さんに誤解のないよう、事実をしっかりと伝えたいので、ここで少し報
道されたことについて説明したいと思います。
『卒業生400人式をボイコット』『生徒1200人ボイコット』
こういう見出しの新聞がたくさんあったし、この「ボイコット」という言葉、ほと
んどのテレビやラジオでも使われていました。・・・でも、違うのです。私達は卒業
式に代わる行事として卒業記念祭を行ったのです。つまり、この「卒業式」というの
は、今この所高にははじめからないものなのです。
これは生徒総会でも職員会議でも承認されたことなんですよ。─┐
↓
┌────────────────────────────────────┐
│※でも別に永遠に存在しないわけではないです。これは毎年みんなで話し合って│
│ 決めることだから、来年は式を復活させたければそうすればよいし、このまま│
│ が良ければそれでもよいのです。こうやって毎年毎年自分達で決めてゆくので│
│ すよ。 │
└────────────────────────────────────┘
↓
┌────────────┐
│生徒総会で話し合います。│
└────────────┘
だから校長先生は、学校中の誰の承認も得ていない「卒業式」を独断で行ったので
す。
…ということで、この場合、卒業式に生徒のほぼ全員が出なかったことを「ボイコッ
ト」とは言わないのです。だってもともとないはずのものだからです。
校長の行った「卒業式」は生徒の認めたものではないのですよ。
『卒業式を一部、卒業記念祭を二部』
こういう表現も報道番組の中にありました。今までの「ボイコット」についての説
明をひととおり眺めると自然に分かることかな?と思いますが、「卒業式」はないは
ずなのですから、一部も二部もないのです。所高が3/9、卒業生をあたたかく送る
ために行った行事は、「卒業記念祭」ひとつです。…分かっていただけたでしょうか?
この他にも、新聞、テレビ、ラジオを見たりきいたりして意見や疑問を感じた方は、
いつでも所高生に直接きいてみて下さい。きっと親切に対応してくれます。誰でも。
思ったことを口に出して伝えてみることが、自主・自立の第一歩かな?と思います。
入学を祝う会とは!?
★まず始めに…
従来の所高の入学式は日の丸君が代に関する決議文(参考資料、日の丸君が代は、
公立高校である所高には持ち込まないという内容)にもとづいた日の丸君が代のない
式(所高のシステムによって自分達で話し合って決めた)でした。しかし、去年の入
学式は決議文があるにもかかわらず、日の丸君が代の持ち込まれた式となってしまい
ました。なぜかというと、去年新しい校長に代わられて「所高の従来の式は厳粛で清
新な式ではない」とお考えになり、従来通りの入学式をとりやめ日の丸君が代のある
厳粛で清新な式を行うとおっしゃいました。そこで、生徒会本部は校長と話し合いを
持ち従来通りの式をやりたいと言いに行きました。しかし、校長先生との話し合いは
決着がつかなかったのです。また、職員会議でも「従来の式をやるべきだ」という職
員側と「日の丸君が代のある厳粛で清新な式をやるべき」とする校長先生との話し合
いが入学式の開始ギリギリまで行われました。しかし、校長先生は職員会議を途中退
出し、式を強行してしまったのです。生徒は、校長先生の独断の行為を止めましたが、
校長先生はそのまま続けました。そのため、去年の入学式は大混乱となってしまいま
した。このことは、私達の意見を全く無視されてしまったことになるのです。そこで
本部は、式に代わるものとして生徒の意見を取り入れた卒業記念祭・入学を祝う会を
行おうと提案したのです。
そして、その提案は生徒総会・職員会議で可決され行うことに決定したのです。
★入学を祝う会というのは…
文字通り新入生の入学を所高全体で祝うというものです。内容は所高の様々な行事
や出来事をスライドで上映したり、担任の先生からの呼名や在校生から新入生へ話が
あったりと、いろいろな要素を盛り込んだ会になっています。新入生に、所高の素晴
らしさを理解してもらい、これからの3年間にいかしてもらえたらと思っています。
所高のシステムって??
実際に所高のシステムとは、どのようなものなのでしょうか?
裏の協議会に代表されるように、所高では生徒と先生が対等な立場で「話し合い」
により決めていくというのがシステムなのです。
先生の意見も生徒の意見も所高では同じ様に尊重されるのです。
(このような機関を持つ公立高校は関東で2校のみだそうです。)
他にも「教職員と生徒との定例連絡会議」などがあり、これらのシステムや所高の
自由な校風は、所高の100年にもなる歴史の中で、数多くの先輩達が問題提起し、
獲得して築き上げてきたものなのです。
(これより裏面)
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『日の丸*君が代』に関する決議文
-高等学校学習指導要領の改訂において-
「日の丸・君が代」について、現在国政・県政の場においての解釈は様々であり、
法律上でも国旗・国歌としてして定められていません。又その点についての私達所
高生一人一人の中での解釈も賛成・反対その他様々です。このような状況の中で、
教育行政機関が「日の丸」の掲揚や「君が代」の斉唱を強制することは、私たち一
人一人の意志を全く無視した行為であり、又教育基本法第10条(教育は不当な支
配に服することなく、国民全体に対し直接責任を負って行われるべきものである)
の「不当な支配」にあたることは明確で、さらに憲法第19条(思想及び良心の自
由はこれを侵してはならない)をも明らかに侵しています。これは人格を形づくる
時期にある高校生活の場において、思想の統制・画一化につながるおそれが多分に
あると考えます。
よって私達所高生徒会は、この度高等学校学習指導要領を改訂した文部省の行為
に非常に大きな不満を感じるということをここに確認すると共に、今後我が校内で
の儀式その他における「日の丸」掲揚及び「君が代」斉唱の強制に一切反対します。
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└─ これがいわゆる『決議文』。“日の丸を揚げるのも揚げないのも、君が
代を歌うのも歌わないのも個人の自由。だからこそ学校という公の団体
が強制するのはおかしいのでは”ということで強制反対の決議文が出さ
れたのです。これは毎年の生徒総会で承認されています。(1990年発行)
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協議会
協議会は、生徒会の諸機関(文化祭・体育祭の実行委員会、生徒総会など)と職
員会議との間で、意見や協議がくい違った場合、開かれる。ここで生徒と先生がお
互い納得のいくまで話し合い、所高で行われる行事や規則などについて決めている。
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生徒会権利章典
〈前文〉
人間は、人間らしく自由に生きる権利を生まれながらに持っている。
自由な高校生活を送ることは、所高生の普遍的な願いである。そのために必要な
様々な権利がある。過去、所高生は数多くの努力を重ね、自由を手にしてきた。又、
その過程でいくつかの権利が保障され、その中には生徒と職員との信頼関係により
得たものがある。それら、手にしてきた自由を持ち続けるために私たちは自治を確
立する必要がある。自治が崩れるということはそれらの権利を失うということであ
る。自治が崩れる危険がある場合、できる限りの努力をし、それを防がなければな
らない。
ここで「生徒会権利章典」を制定し、自由という権利の価値・意味の認識をす
る。
1.学校は生徒と教職員によって構成されており、その構成員一人一人の個性は認
められ一人一人の主張は尊重される。
2.生活向上のための自治的かつ民主的な活動の自由は保障される。
3.服装、頭髪を含む表現の自由は保障される。
4.思想の自由は保障される。
これらの自由は、他人の権利を侵さない範囲において有効であり、又常に責任を
伴うものであることを忘れてはならない。ただし、思想の自由は他人の権利を侵害
し得ないものであるから、いかなる場合においても保障されるものである。
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└─ 1990年に出された「権利章典」。
生徒手帳にものっています。当たり前だけど忘れてしまいがちな権利を
再確認し、後に受けついでいくために文章化されました。
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校長先生の一連の行動に対する抗議文
私達は、生徒自らの話し合いによって、所高祭や体育祭をはじめ、様々な学校行
事を生徒主催で行っています。このことは、自主自立を掲げる所高にとって重要な
ことです。今年度も私達は、民主的な手続きにより、卒業記念祭を進めてきました。
しかしながら、校長先生の今回の一連の行動は私達の行ってきたものを否定して
いるものです。まず第一に、生徒総会と職員会議で決まったことに対してまったく
無視するかのような発言や行動を取ったこと。そして第二に、民主主義の基本であ
る話し合いにも応じないこと。その他にも所高のスタイルを根底からくつがえすよ
うな行動とってきました。
このように、私達が、民主的な手続きで、話し合い、活動してきたにもかかわら
ず、校長先生の一連の行動に対する私達への明確な回答は得られませんでした。こ
のような状況で校長先生が今回のように、卒業式を行うという突然の発言等は私達
のこれまでの活動や、意見を踏みにじっているにほかなりません。さらに三年生に
とって高校生活の間、話し合いという民主的な手続きにより、自治を行ってきたこ
とを否定され、所高を気持ちよく卒業できないでしょう。
このような、校長先生の納得しがたい発言や行動に対し、私達は抗議します。
1998年1月8日 所沢高校生徒一同
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└─ 一、二、三年生から出された抗議文。
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3年生抗議文
私たち3年生は校長先生の独断により卒業式を強制されることに反対します。
私たちは所沢高校の民主的な手続きにしたがい『卒業式と門出式に替わるもの
として卒業記念祭を行う』という計画を進めてきました。何代も前の先輩たち
が勝ち取り、守ってきた当然認められるべき権利を私たちも全力で守らなけれ
ばならないと考えています。ほぼ1年間をかけて考えてきた計画に対し、責任
を持ち、行動してゆくことを強く望んでいます。
私たち3年生にとっては「所沢高校を気持ち良く卒業したい」というのが何
よりも一番の願いです。校長先生が私たち生徒のことを大切に思って下さるの
なら、私たちのこれまでの努力と一生懸命な気持ちを受けとめて下さい。卒業
記念祭が校長先生の協力のもとで行われるよう請願します。
1998年1月30日
所沢高校3年生一同
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└─ 3年生は1/30に次のような抗議文を出しています。
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