所高生の自由と教育を考える委員会だより
発行日:1998年3月7日(土)
発行:所高生の自由と教育を考える委員会
シンポジューム
教育における「式」とは
“シンポジューム・教育における「式」とは” 報告
2月21日(土)、所高会議室において、東京都立大学総長の山住正己さんをお迎
えして、教育における「式」についてのシンポジュームを行いました。当日は、保護
者のみならず、生徒や教職員の皆さん、所高OB、PTA・OBの方も参加し、熱気
あふれた会となりました。以下はその概要です。
―山住さんの講義より―
◎学校でいつ“式”がはじまったか
*1890年以前は(全国的に統一された)式は行われてなかった。
*1890年(明23)に“教育勅語”が出された。
・教育勅語とは天皇の名で教育のあり方を決定的に決めた日本の教育の大方針で
あった。
*1891年(明24)に“小学校祝日大祭日儀式規定”が出された。
・祝日大祭日の儀式規定による式は子のためではなく、天皇国家を支えていくこ
とを子に印象づけるために行われた。これに合わせ、歌(“君が代”などの祝
日大祭日唱歌)も歌われた。歌を通じて子の脳裏に刻まれる。
・式の内容は、天皇・皇后の御真影拝礼、君が代などの唱歌、祝辞などで構成さ
れ、超国家主義、軍国主義を推進する儀式であった。
◎戦前の入学式・卒業式について
あくまで上で決めたことを子どもたちに伝える上意下達の式であった。
校長訓辞、来賓(地域の偉い人々)の祝辞、君が代斉唱、万歳三唱がプログラム
で、子のためのものではなかった。
生徒からなにかやるというものではなかった。
送辞答辞もあったが、先生方が内容をしっかり指定したもので、生徒自身のこと
ばで語られなかった。自分(=山住氏)もそれを経験している。
◎戦後の式について
第2次世界大戦後の学校教育改革で、式は子の立場に立って作られなければなら
ないとした。
しかし、現在、依然として管理職が善意としても自分達の考えを式に持ち込もう
としている学校が無いでもない。
◎山住氏の“式”感
・“式”というものは、そこに参加する中心的メンバーが成長するにふさわしい
ものにするべきべある。
・“式”とは大事な節目である。
・学校の式は大事にしたい。しかし、日本の学校の式の起源は、教育勅語との関
連で始まり、祝日大祭日唱歌が1893年(明26)に官報告示された。
・生徒たちが自ら作り、先生が助言する方式が一番いいと思う。
・自分たちが巣立っていく日の式でなにをやるのかは、3年間を振り返り、何が
充実していたか腹立たしかったかなどを語り合い、将来を見ていく会に出来れ
ばいい。
・“式”(ということば)は堅苦しいので、“卒業を祝う集い”とか“卒業を記
念する会”とか、“式”にまとわりつく古いイメージを振り払うのがおもしろ
いと思う。
・最近は、小学校でも先生だけでなく子が参加して迎える入学式が増えている。
2年生が新入生を迎えるためのことばかけをやるとか。
だから高校では、当然生徒の手作りですすめられるといい。
それにより生徒も自信を持つ。
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―討議の場での山住さんのご発言より―
{(所高の生徒権利章典について)これは在校生が声を出して読むと、
入学式にふさわしいね。}
{卒業式は卒業生が明るく輝いている時がよいので、
大爆笑などがあったっていいと思う}
{都立豊多摩高校では、卒業式で憲法前文を朗読した。
これはとても価値ある文章である。}
{【「日の丸・君が代をやりたい人を含め、何でも言い合える状況にしたい」
という生徒会メンバーの発言を受けて】
という意見でもなんでも言える状況づくりはとても重要だ。}
{所高の校歌を作ってくれた人について語り伝えた方がいいね。}
{公立は私立と違っていろんな人がはいるのだから
特定の歌・旗は“公立校”としては相容れないはずだ。
例えばミッションスクールとかは選んで入るのだから、
讃美歌を歌ってもいいが・・・}
{無条件で国旗国歌をやれというのは、個人の権利を踏みつけている。
そういう人たちは歴史を知ろうとしていない。}
{卒業式は(卒業生にとって)「私たち自身が、ひとつの段階を終えて
次のステップを踏むための決意を新たにする日であり、私たちの会だ」と思う。}
{生徒たちが楽しく学び、楽しく卒業していくようにさせるのが校長と思うが・・・}
{校長だって生徒が自発的に作ったのを受入れた方が楽しいと思うんだよ。
うちの生徒はこんなことをやれたとよそに誇れると思う。}
{(生徒たちに向かって)入学を祝う会で歌う歌が決まったら案内くれよ。}
{校長を大きくしていくのは教職員と生徒だ。}
―参加した皆さんの発言より―
所高OB{生徒主催の式はすばらしいと思う。母校なのでうれしい。}
保護者{所高の生徒会は充実している。自信を持ってよい。}
保護者{苦い入学式だったので、卒業記念祭はぜひ成功してほしい。
入学式・卒業式の問題は自分も教師として勤務校で何年も抱え続けている。
これは大きな教育行政の問題だと思う。}
……あとがき……
3年生の皆さん、未来へ向かって大きくはばたけ!
3年生の保護者の皆さん、お子さん共々、所高を見守り続けて下さい。
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