常任理事会だより

― 1996年度 緊急2 ―

発行日 1997年5月23日(金)

発行 所沢高校PTA常任理事会

第二回 入学式についての説明会 1997年5月17日(土) / 18:30〜22:00 / 場所:視聴覚室

 5月17日(土)午後6時半より第二回入学式についての説明会が開催され、保
護者136名、教職員20名と多くの方々に参加戴きました。しかし、校長先生
はPTA会長はじめ役員の再三の出席要請、県教育局の指導にもかかわらず出席
を拒否しました。この様な校長先生の姿勢に参加者から強い抗議の声が上がりま
した。PTA役員としましては校長の出席を実現できず、参加戴いた方々に大変
申し訳なく思っております。

 説明会では役員からの経過報告、会長からの状況報告の後、参加者から質問、
意見が出され、活発な話し合いは3時間半にもおよびました。主な意見・協議内
容は次ページにあります。また、これからの対応についても話し合われ、次の事
が提案されました。

*県教育局に教育局担当者・校長・保護者の三者会談を申し入れる。
*それぞれの人が県教育局に電話をかけ、保護者の気持ちを伝える。
*校長の出席が予定されている総会できちんとこの件について話し合う。公開質
 問状の回答についても明らかにする。できるだけ多くの方に出席するよう呼び
 かける。

 また、決議文が採択され、参加者一同の署名を添えて校長先生に渡されました。
その内容は次の通りです。

┌───────────────────────────────────┐
│               決 議 文               │
│ 私たちは、校長先生が今日の説明会に再三のPTAの要請および埼玉県教育│
│委員会からの要請にも関わらず出席されなかったことに対して、強い憤りと今│
│まで以上の不信感を持たざるを得ません。保護者を無視した姿勢に対して、教│
│育者としての資質と見識を疑うと共に、あまりにも誠意のない態度に強い怒り│
│を持って抗議します。                         │
│ 今後、入学式に対する明確な説明と謝罪がない場合、又、公開質問状に正式│
│な文章での回答がない場合は、私たちは保護者として何らかの行動を取らざる│
│を得ません。                             │
│ 上記、出席者の署名をもって決議します。               │
│               第二回入学式についての説明会 出席者一同│
└───────────────────────────────────┘

 入学式のことについての校長先生との話し合いの内容は、これまで3回の常任理
事会だよりでお知らせしてきましたが、「入学式で何があったか分からない」「何
が問題になっているのか分からない」といったご意見が聞かれますので、もう一度
このことについて振り返ってみます。裏のページにまとめてみましたので、是非お
読み下さい。
主な質問・意見

・校長先生の欠席を知り、屈辱を感じている。保護者を無視している。
・管理職3人だけで入学式ができると思ったのか、校長先生に確認したい。
・校長先生は自分でやった事の始末をしていない。皆が納得できるまで、説明をす
 るべき。人格的に所高の校長としてふさわしくないのではと思う。子どもを預け
 るのがとても不安。卒業式はどうなるのか。
・問題点は大きく3点あると思う。
  。入学式の混乱の責任
  。PTAは学校運営に口をだすなと言った発言
  。5月2日の生徒総会での説明が不十分、生徒との溝をどう埋めるのか
 校長先生が今日出席しないので、総会でこの説明の続きをして欲しい。
・説明会に出席しなかった理由をきちんと話して欲しい。又、先生方は校長先生に
 対してどう思っているのか。
  。教職員一同、これまでの入学式をという事で一致していた。
  。この問題については校長の態度は終始変わらず、歩み寄りはないように思う。
・あの様な入学式は校長先生一人では出来なかったはず、他の二人の意見はどうだっ
 たのか。責任があるとしたら3人にある。
・あの様な校長を所高に任命した県教育局の責任も問わなければならない。
・いままでの校風が変わっていく事が心配。
・混乱の原因を子どものせいにしているようだが、本当か。責任は自分にあると謝
 罪文を書いて欲しい。県にも指導をお願いしたい。それをはっきりさせた上で、
 公開質問状についても追求していくべき。
・入学式よりも日の丸・君が代が優先しているように感じた。
・この校風・生徒を守ってくれている先生を守っていかなくてはならない。
・じっくり子どもと入学式・自主・自立について話ができ、勉強になった。子ども
 も頑張っている。私たちも頑張りたい。
・客観的な入学式の報告をPTAとして出す必要があるのでは。
・校長先生はリコールも辞さないという親の気持ちが分かっているのか。
・校長先生の現状の認識不足は甚だしい。任命したのは県教育局。PTA・校長・
 県教育局の三者で話し合いの場を作るよう県教育局に申し入れるべき。県教育局
 には総会にもオブザーバーとして出席して欲しい。声を聞いて欲しい。
・常任理事会だよりではわからない事が前回出席してはっきりした。校長先生のひ
 どさがまだ明らかにされていない。入学式の事実経過をはっきりさせる必要があ
 る。
・前回校長は官僚的態度だった。所高を破壊するために送られてきたのでは。自主・
 自立の伝統が守られるよう私たちの協力関係を強くしていく事で監視していかな
 くてはならない。
・リコールは意思表示になる。校長先生が変わっても子ども達はきちんと所高らし
 くやってきている。疲れるがいろいろ考えながらやっていかなければならない。
 昨年度の卒業式で子どもは何かをやれば大人のきまりも動くということを学んで
 いったのでは。
・いままで先輩達が作ったものを自分達の代で潰されたくないという想いが子ども
 達を行動に走らせた。校長先生が言い逃れるのを子ども達は許さないと思う。こ
 の伝統を守っていくのは生徒・先生・親。皆であきらめないで頑張っていきたい。

               これまでの経過

[これまで所沢高校で大事にされてきたこと]

 所沢高校では自主自立の校風のもと、生徒たちの思想が尊重され、いろいろな行
事を生徒自身が自主的に企画・運営しています。また、このような活動の中で先生
方と生徒の意見に違いがある場合は双方の代表による協議会を開き、学習・討議を
し、お互いの納得のゆく方向を見つけていくという制度もあります。日々の学校生
活の中でも、先生方は、生徒の人格を尊重して、子ども達の納得がいかないままに
物事を一方的に進めていくことはありません。
 この様に自分たちの意見をしっかり出し、十分な話し合いをし、そして結論を自
分たちで見いだすことが保証されていること、ここにこそ、所高の生徒たちのエネ
ルギーの源があると言えるでしょう。

 卒業式においても3年生生徒の卒業準備委員会が3年担任団の先生方と一緒に式
の企画に加わる制度が所高にはあります。
 昨年度は、その準備委員会でとったアンケートに「日の丸・君が代に問題を感じ
る人もいるのだから式で強制はしないで欲しい」という意見が多かったため、ホー
ムルームで話し合いを持ち、全部のクラスで例年通りの卒業式をという結論になっ
たので、前校長にこの3年の総意を口頭で伝えました。
 ところが、3学期の始業式で前校長が「卒業式で国旗掲揚・国歌斉唱を実施する」
と表明したため、さらに生徒たちは自分たちでもこの問題を学び、前校長先生と何
度も話し合いを持ちました。生徒達の意志を尊重し、支持して、先生方、PTAも
何度も前校長先生と話し合いを持ちました。
 その結果、従来通りの生徒たちが先生方と協力し作り上げる素晴らしい卒業式を
することとなったのです。

 1990年高等学校学習指導要領が改訂され、「入学式や卒業式などにおいては、
その意義を踏まえ、国旗を掲揚すると共に国歌を斉唱するよう指導するものとする」
とされた時、生徒達は学習を重ねて「揚げる揚げない、歌う歌わないのも個人の自
由だけど、学校という公の団体が個人に強制してしまうことは、憲法19条(思想
及び良心の自由はこれを侵してはならない)、教育基本法10条(不当な支配)か
らして問題であり、思想の統制、画一化につながる恐れがあるとして、それらの強
制に一切反対します」との「決議文」を採択しました。
 この決議文を毎年、生徒総会に図り、承認され、今日に至っています。

 二、三の例をあげてみましたが、この中に明らかなように、所高では、生徒を校
長の指示に単純に従う存在、先生の命令を待つ存在とは見ていません。ひとりの人
として、尊重しています。子どもの権利条約を先取りしてきた歴史を持っていると
言える学校なのです。
[今年の入学式では・・・]

 今年度の入学式については、生徒会は4月1日、新しく赴任されてこられたばか
りの校長先生に「入学式に日の丸・君が代を掲揚したり、歌ったりする場合は私た
ちに連絡して下さい」と要望していました。
 PTAでも、昨年度の卒業式が例年通り行われるに至った経過のわかる資料を添
えて、「生徒たちの意思を尊重して欲しい」と申し入れを事前にしていました。
 入学式の原案は、例年通りで行うと、3月21日の職員会議で審議・決定されて
いました。入学式前日の4月8日の職員会議で校長先生から「掲揚・斉唱を実施し
たい」との話があり、8日、式当日の9日と長時間にわたり話し合われました。ま
た、8日の夜には生徒会本部の生徒たちが校長先生と話し合いました。
 しかし、いづれも、納得できず平行線のままでした。
 9日朝、PTA常任理事が、校長先生の意志の確認をしましたが、明確な回答は
得られないままでした。
[抗議の中の入学式]

 予定より30分遅れて、校長先生・教頭先生、事務室長の3名が職員会議を中断
し、「私たちで入学式を行います。」と宣言して、新入生・保護者の待機していた
式場に来られ、3人で入学式を始められました。
 校長先生の立たれた演台に小さなスタンド式の日の丸が載せられました。30分
遅れた理由の説明もないまま、「開式のことば」があり、その直後、教頭先生に抱
きかかえられたラジカセから「君が代」が流されました。ざわめきの中、教頭先生
により入学許可者の名前が生徒の返事を待たずに、しかも、十分聞えない中に読み
上げ続けられたため、新入生・保護者から抗議の声があがりました。
 成りゆきを見守っていた生徒会の生徒たちもいまいまでの所高での取り組みを無
視したやりかたに抗議し、校長先生に説明を求めました。その訴えに、ほとんどの
新入生、保護者が起立で賛同しました。
 しかし、それらを一切無視して式は続けられました。
 新入生が会場に留まるには限界の状態になったため、校長先生からの入学許可の
宣言の後、新入生は会場から一時教室に移動しました。その間、先生から保護者へ
事情の説明がありました。校長先生も話をされましたが、大半の人にはよく聞えな
かったようです。
 その後、新入生が拍手と吹奏楽部の演奏に迎えられて再入場し、先生方による呼
名がやり直されました。生徒会長・新入生のすばらしい挨拶の中、入学式は終わり
ました。
[所高はどうなってゆくのか・・・]

 校長先生にこのような状況を引き起こした責任者として、新入生・保護者に対し
て、謝罪とお詫びの文書を出すようPTAとして要請しましたが、校長先生は「今
は、出せない」と言うのみです。先生方だけで文書を出すことも校長先生は許可し
ていません。
 また、校長先生による説明会の開催を要請しましたが、これも拒否されたので、
PTA主催で説明会を2回開催しました。しかし、2回目は校長先生は欠席されま
した。
 校長先生と生徒、先生、そして保護者それぞれに話し合いがなされていますが、
双方納得に至っていません。校長先生は、生徒の前で「生徒の意見は聞くが、決め
るのは私」「あなた達は教員免許を持っているのか」、保護者への説明会では「保
護者は学校運営に口出しするな」等々、繰り返されています。

 所沢高校では、これまで生徒、教職員、保護者の意見が反映される学校運営がな
されてきました。そんな中で生徒たちは自主的な自立した活動をしてきたのです。
これまでの校長先生の対応に、所沢高校の自主自立自由な校風が尊重されていくの
か危惧する声が聞かれます。

 PTA総会で、校長先生と所高の教育やPTAとの関わり方等について話し合い
を行いたいと考えます。所高の教育の今後に関わる重大な問題ですので、多くの保
護者の方に出席していただきたいと思います。

 この「常任理事会だより」には、何年度の何号かの記述はありませんでしたが、  「第二回 入学式についての説明会」なので「1996年度 緊急2」としました。                             (Web管理者記)

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