142回-参-予算委員会-11号

教育関係

1998年3月26日(木)



             《省略》     ───────────── ○委員長(岩崎純三君) 次に、和田洋子君の質疑を行います。和田洋子君。 ○和田洋子君 民友連の和田洋子でございます。     リゾートの問題についてお尋ねをいたします。              《省略》 (25/46) 次の分割内容へ              《省略》 ○和田洋子君 リゾート法はこのくらいにいたしまして、教育問題についてお伺いを    いたします。     私は、さきに農水大臣にもお尋ねをしたり、御提言も申し上げましたとおり、    私たち人間が他の命をいただきながら生きていかなければいけないということ    で、とっても命を大切にしなければいけないというふうに毎日思っている一人    であります。     それで、今、子供たちの大変痛ましい事件を見るたびに聞くたびに本当に残    念な思いがしているんですけれども、平成八年度の文部省の調査の中で見てみ    ますと、また校内暴力が一万件を突破したとか、そういう発表があります。こ    のことについて、文部大臣、御所見をお伺いします。 (26/46) 次の分割内容へ ○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のとおり、人の命を大切にするというのは、    これは学校教育と言わず、すべて人間社会の基本であろうか、こう思っており    ます。そのことが教育の中でももっとしっかりと貫徹されなければならないの    は、委員の御指摘のとおりだろうと思っております。     そういう中にあって、いじめは若干今鎮静化、といってもまだかなりの水準    でありますが、かわってといいましょうか、校内暴力でありますとか、その中    でも特に対教師あるいは対生徒という対人暴力がふえているという意味で大変    憂慮すべきことであろう、このように認識しております。     そのために文部省としても各般の手を打ってきたところでありますが、まだ    まだ足らざるところ多々ある、こう思いまして、今後とも心の教育を中心とし    てしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ○和田洋子君 校内暴力は上向きというか、またピークを迎えるのではないか。それ    で、いじめは横ばい状態だという発表があるんですが、昨今の事件を見てみま    すと、横ばいというよりは陰湿になって隠れてしまっているんじゃないかとい    う思いがします。     これは平成九年の十二月に発表になった平成八年の統計でありますが、八年    のものが何でこんな八カ月も十カ月もかかって発表されるのでしょうか、ちょっ    と長いんじゃないか、もっと早くに情報は得られないのか。 ○政府委員(辻村哲夫君) 先生お尋ねの調査でございますけれども、この調査は全    国のすべての学校を対象に行っている調査でございます。都道府県の教育委員    会を通しまして市町村の教育委員会、そして各学校。それで、各学校で過去一    年間の校内暴力、それからいじめ、登校拒否あるいは教育相談というようにた    くさんの調査項目を調べなければならないということがあります。     それから、より分析をするということから、例えば登校拒否につきましても、    単に数ということだけではなくて、どういうきっかけで登校拒否に陥ったのか、    あるいは登校拒否の態様はどういうことなのか、それから登校拒否児童生徒に    対してどのような指導を各学校はしているのか、そしてその指導を受けた後ど    うなっているのか等々、かなり詳細な項目にわたっております。これが、登校    拒否だけでなく、校内暴力やいじめ等につきましてもかなり細かな調査をして    いるということがございます。     そういうことで、私ども集計を急ぐわけでございますが、各都道府県での集    計、それから各学校での記述等考え合わせますと、これは六、七カ月かかって    いるわけでございますけれども、やはりこのくらいはかからざるを得ないのか    なと。我々もっと努力をしたいと思いますけれども、何分にもそうした調査で    あることを御理解願いたいというふうに思います。 ○和田洋子君 例えば、私たち、今から十年ぐらい前までは、何かそういう問題を起    こす子供は、外見的に突っ張りだったり洋服が変わっていたりとかいうことが    あったわけですが、今問題を起こす子供たちは、普通の子だった、頭のいい子    だったとか、本当に考えられないような事件が続発しております。     先日の児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議というところで、    こういう問題を起こす子供はやっぱり自分たちもわからないと会議の中でもおっ    しゃっているんですが、こういう結果が出るまで、そういう会議の中身はどん    な状況だったのでしょうか。 ○政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生の御指摘になりました点は、報告書のこの    ような記述についての点だと思います。     ちょっと紹介させていただきたいと思うのでございますが、問題行動を起こ    す可能性について学校等の関係者が余り注意を払うことのなかった子供が、状    況によっては、日常生活の中で心の中にたまっていたストレスや不満等を、暴    力行為など周囲の予想を遥かに超えた形で表すということである。この場合、    その時点では突発的・衝動的に暴力行為等を起こしたように見え、なぜそのよ    うな行動に走ったのか、周囲もすぐには理解しにくい。しかし、この子供が暴    力行為等に至る経緯を丹念に振り返ってみると、その前に心身の不調を訴えた    り、ささいなことに過剰な言動をとったりするなど、何らかの前兆を示してい    ることが多い。こういう表現をとらえての先生のお尋ねだと思います。     この協力者会議は昨年七月に発足いたしまして、先般まとめていただいたわ    けでございますが、二十三名の構成員といたしましては、学校の先生方を初め    といたしまして、大学の研究者、それから家庭裁判所あるいは青少年団体、精    神科医、警察の関係者等々、多角的にこの問題行動について分析しようという    ことで、それぞれのお立場で持ち合わせの知識、情報等をお互いに交換し合い    まして、今の問題行動をどう分析するかというさまざまなやりとりがありまし    た。     そうしたことの中で、今のような合意といいましょうか、今日見られる問題    行動の特徴というものを専門家としてまとめられた。これにつきましてはさま    ざまなデータを出し合っての議論を経た結果でございます。 ○和田洋子君 現場の先生の中には、警察との連携も指導内容も既に多くの学校がやっ    ている一般論ばかりで、何にもならない。荒れの原因分析を抜きにして、対策    のマニュアルだけ上から示されても自分たちには何にも役に立たないというよ    うな声もあるようです。     学校と家庭と地域の連携も大事だし、それと同時に学校がどのように取り組    んでいくか、子供と教師がどういうふうにかかわっていくか。     先日、総理は自分の郷里でとてもいい教育をされて、今でもいい関係を持た    れているという御答弁がありましたが、それにとどまらないで、じゃ何で今の    先生たちには、今の子供たちには、今の学校には昔のようないい関係が生まれ    ないんだろうか、そういうことを総理に御答弁いただきたいんです。 (27/46) 次の分割内容へ ○国務大臣(橋本龍太郎君) 先日私が申し上げましたのは、まさにこの三月末、義    務教育課程を修了いたします一番下の子供までを含めました自分の子供を通じ    た地方都市における公立の小中学校における経験をお話ししたつもりでありま    した。     そして、今議員御自身も触れられましたように、子供たちが何でそうした行    動に走るのか。家庭、学校、地域社会みんなが手を携えて取り組むにはどうす    ればいいのか。これは本当にそれぞれの経験や知識を持ち寄っていただきまし    て、意見を出していただきまして、幅広い観点から議論しながら実行していく    必要があると思います。     そのためにも、まず学校は、保護者また地域の方々に対して学校としての考    え、あるいは問題行動の実態を含めて教育活動の現状について率直に語ってい    ただくことが重要だと思います。同時に、地域の方々あるいは保護者の方々で    さまざまな経験をお持ちの方があるわけです。そうした方々を非常勤講師とし    て採用していただき、学校ボランティアとして働いていただくことはできない    のか。あるいは地域の諸機関の協力も得ながら、薬物乱用防止教室を開催して    いただくなど、学校が教育活動を展開するに当たりまして地域の教育力という    ものを生かしていくことも非常に大切だと思います。     現在、中央教育審議会や青少年問題協議会など幾つかの審議会においてそれ    ぞれの観点から議論をしていただいておりますけれども、いずれにしても、こ    れは社会全体で取り組まなければならない大きな大変難しい課題でありますだ    けに、いろんな立場から議論をしていただいて解決策を見出すことが必要だと    考えております。     そこで、去る三月六日、次代を担う青少年について考える有識者会議という    形で関係審議会の会長さん方、それに現場の先生の代表も入っていただいたり、    青少年活動のリーダーに入っていただいたり、いろんな方々の御意見をいただ    いて、これに関係閣僚も加わり、私も出席できるときには出席させていただく    ということで、青少年をめぐる問題を幅広く議論していただくことを始めまし    た。きょうも実は二時からこの会議が開かれております。そして、ここで出て    まいります御議論というものを、今度はもう一度関係審議会を通じて行政の中    に生かしていきたい、私はそう考えているところであります。     実は今、御質問を受けながら、きょうの二時からの会議で、ちょうど非行少    年や不良行為少年に接する、少年補導に携わる現場の声を警察庁から報告して    もらうことになっておるようです。     そうしますと、これはいろんな事例が挙がっておりますけれども、まさに先    ほど議員も言っておられた普通の子という話が一つございます。そして、要す    るに非行少年には非行前にもいろいろな問題があり必ずしも普通の子とは思え    ないが、昔とは違って服装や成績などの外見では判断が難しい。両親とも一応    立派で、子供もよい学校に通う。普通の子ではない、普通の家の子が問題を起    こしている面があるという指摘がございました。     あるいは、これは大変親にとってきつい話でありますが、街頭での補導をし    ましても昼間には親御さんがおられないケースが多い。連絡がついても、五人    に三人の親御さんは感謝してくださる、しかし二人ぐらいは、一応補導に当たっ    ている方の話は聞くけれども、それがどうしたんだという反応が返ってきてし    まう。補導に当たっている現場の声としてそのような声も出ております。     そうしてみますと、心の中には実はいろいろ複雑な問題を抱えているなと思    いますのが、婦人補導員の方の声として、子供の問題に気づかない親も多いけ    れども、気づいていてもなすすべのない親が多いと。私たちが、というのはこ    の補導員の方が言っておられるわけですが、私たちが親にいろいろなアドバイ    スをするのは当然としても、その子供や家庭が抱えている問題に応じた相談先    を紹介してあげるといった配慮もしなければいけないんじゃないか。     これは現場で補導に当たる方の声として、一つずつ御紹介することは控えま    すけれども、先生方に対する注文、あるいは親に対する警告、現場の声を集め    たものがきょうここでちょうど議論されております。その点を御報告申し上げ    ます。 ○和田洋子君 いろいろありがとうございます。     よく聞いてみますと、やっぱり先生たちにゆとりがないんですね。それで、    この間の質問でも学級の人数の問題も出ました。それはなかなか大変であると    いうようなお答えもあったわけでありますが、財政構造改革という中で、総理    はみずから行政改革会議の会長になられたり財政構造改革会議の議長を務めて    おられますけれども、子供の教育というのは、その中に引き入れてほしくない    というふうに私は日ごろ思っている一人であります。     極端に言えば、教育は全然別の体系で持っていくべき、財政構造改革の中で    シーリングとして子供の教育費まで減らされる、そして未来の子供たちに本当    にしっかりやってもらうためには、教育基本法にもございますけれども、諸条    件の整備確立こそが目標であるということを書かれておりますが、本当に子供    の教育からお金、予算を減らすようなことが絶対あってほしくないというふう    に思っておりますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(町村信孝君) 先生方はゆとりがない、精神的にも時間的にもというこ    とは、確かにいろいろ聞いてみますと、そういう状況は私もあるのかなという    気もしております。いろいろ会議が忙しいでありますとか、問題児童が起きる    とそれこそ現場にまで行ってという。     先ほどちょっと報告書の話をしましたけれども、ややもすると少し学校の先    生が抱え込み主義といいましょうか全部の責任を学校の先生が負おうとし過ぎ    ている。ある意味では責任感の発露でいいんですが、いささか手に余ることも    全部抱え込もうとし過ぎているんじゃないか、あるいは情報も抱え込んで外に    出さないとか、それはちょっとどうなのかな、つかさつかさの知恵と力をかり    ることもいいんじゃないか、そんなことも考えております。いずれにしまして    も、先生方がゆとりを持ってもらうということも御指摘のとおり必要だろうと    思っております。     一つの根本的な対応として、私どもは学校週五日制というのを二〇〇二年か    らという方向で今作業を進めております。そういたしますと、逆に今度は土、    日で部活の試合がふえて先生が忙しくなるという反論も実はなきにしもあらず    なのでありますが、私はやっぱり基本的にはそれはいいことだと思っておりま    す。あるいは授業も教科書を一ページから全部丹念に丹念に教えることではな    くて、指導要領で決められているそのエッセンスだけをもうちょっと絞って教    えるような、そんな工夫、努力もしていただきたいなと思っております。これ    も二〇〇二年に合わせて学習指導要領もさらに精選化、厳選を図って、教える    方も教えられる方も本当に必要なものにできるだけ絞るような努力をしていき    たい、こう思っております。     なお、予算の話を委員からいただきました。それは私、文部大臣といたしま    しては、予算にゆとりがあるならばもっとあれにもこれにもという希望はござ    いますが、政府全体の中でその一員としてやはり協力すべき点は協力しなけれ    ばならないだろうということにしたわけでございます。     ただ、予算が減らされるというお話ございました。確かに校舎整備の方は公    共事業横並びで七%減ということでございますが、私学助成あるいは国立大学    の特別会計への繰入額は前年横ばいということになっておりますし、それから    教員の配置も減らしているわけではございませんで、自然減はもちろん大きい    わけでありますけれども、ちゃんとそれにプラスアルファを乗せて自然減より    は減る数を少なくしているということで、例えば問題の多い学校には指導教員    をより多く配置する等々の工夫は最大限させていただいているところでござい    ます。 (28/46) 次の分割内容へ ○和田洋子君 私たちの子供のころは放課後は先生と遊んだり、とてもいい時期を過    ごしたなと今でも思っています。そして、大臣がおっしゃられるように、そう    いう中身は全部でなくて、ピックアップと言っては失礼ですけれども、そうい    うエキスを教えていくというのにも私も賛成です。     そして、それに加えて地方の子供というのを私は育てたいなという思いがし    ます。例えば私は会津なんですが、会津の子供たちはスキーはもう本当にみん    なに教えられるぐらい上手になるとか、磐梯山に登ればここにこんな石がある    とか、そういうぐらいまで地方の子供は地方のことを十分に知ってほしい。福    島県の地形をかけと言われたらすぐかける、そしてどういう国道が通っている、    そんなことまでもうそらで暗記できている子供たちに育ってほしいなという思    いがします。地方の子供を育てるということで、大臣、お答えをお願いします。 ○国務大臣(町村信孝君) 大変貴重な御指摘をいただきまして感謝をいたしており    ます。     指導要領の中でも、例えば家庭科で地域の特産品を使うとか、あるいは給食    に使いますとか、あるいは音楽の教材にその地域の歌を使うとか、かなりいろ    いろな工夫、努力がなされております。     たまさか私は、中高一貫ということで全国に現時点では一つしかないんです    が、宮崎県の五ケ瀬中学・高等学校というところに行ってまいりましたが、そ    こにはカリキュラムの中に五ケ瀬学というのがありまして、よく見るとそこの    地域とか、まさに委員おっしゃったような地域の地理とか自然とか歴史とか、    あるいはそこに営まれている人々の生活をみんなで勉強する、現場に行ってみ    る。中には、御指摘のように、宮崎県もあそこまで行きますとスキーが近くで    できるそうでありまして、スキーもそこでやるといったような工夫が今始まっ    ているということでございますから、例えば福島県で白虎隊の勉強を大いにす    るとか、さまざまな各県それぞれの御努力があっていいし、そういうゆとりと    いいましょうか、そういうことは大いに文部省としてもそれぞれの教育委員会    にお勧めをしているところでございます。 ○和田洋子君 時間がなくなってしまいましたので、はしょって申し上げます。     先日、どこの県でも高校の入試がありました。私は、高校の入試を今受けた    らきっと外れるだろうなと思うほど面倒くさい入試問題でした。しかし、これ    が福島県の高校の入試か、これが沖縄の入試だよと言われてもちっとも疑問に    思わないような入試だったと思います。     例えば、今おっしゃられるようなことであるとすれば、福島県は福島県なり    の生い立ち、会津がこういう時代を過ぎたからこそ今の会津がある、この問題    を見たらこれが福島県の高校の入試だなとわかるような教育になってほしい、    それを切に願っておりますので、高校入試、どこがやっているかそういうこと    はよくわからないんですけれども、そういうことについてお願いします。 ○国務大臣(町村信孝君) 高等学校の入学者選抜、かなりいろいろな工夫がなされ    ておりますし、面接とかあるいは推薦でありますとか、その中で今、委員は試    験の中にもそういうものを含むべきではなかろうかと。私ども文部省では、平    成八年度、九年度、二カ年かけましてそうした高校の入試問題の分析、検討を    実はやりました。その中で模範的な問題例などを各都道府県に紹介する事業を    やっております。     その中には、例えば鹿児島県の社会科の歴史では特産品の歴史を問う、要す    るに薩摩焼の歴史を問う問題でありますとか、あるいは長崎県ではリアス式海    岸、地理の特徴を問うとか、あるいは自然環境を問う問題で、山形県は大変水    がいいということで水質を問う問題でありますとか、かなりそういう工夫はそ    れぞれの都道府県の教育委員会で御努力をいただいていると思いますが、さら    にそれがより一層広まりますように各都道府県にお願いをしていこうかなと考    えます。 ○和田洋子君 もう時間がないのですけれども、私は、今地方のことばかり言いまし    たけれども、これは日本の国の子供であるということにも通ずるというふうに    思っていますので、そういう意味で大臣よろしくお願いします。     終わります。 ○委員長(岩崎純三君) 以上で和田洋子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────              《省略》 (29/46) 次の分割内容へ
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