142回-衆-予算委員会-26号
教育関係
1998年3月17日(火)
○佐藤(茂)委員
《省略》
せっかく文部大臣に来ていただいていますので、話題をかえまして、最近続
発する少年のナイフ殺傷事件について、文部大臣も、テレビに出られるとか、
昨日も各種関係団体と懇談されるとか、また緊急アピールされるとか、いろい
ろ御努力をされていることは、私の立場でもうかがい知るところなのですけれ
ども、昨年ぐらいから、警察庁の統計によると、少年による凶悪事件が一気に
ふえてきたのですね。
そこで、私は、特にことしに入って問題だと思うのは、その凶悪事件が、学
校現場で殺傷事件が行われた、学校現場に入ってきたということが、一つの角
度として、非常に大きな特徴であり問題点なのではないかなという気がしてい
るわけです。
この認識も後で大臣に聞きますけれども、私は、やはり学校というのは、い
かなる場合であっても危険な場所であってはならないというか、安全をきちっ
と確保する義務があるのではないのか。特に中学生までは義務教育で、いやが
応にも親の皆さんは子供を学校に行かせているわけですね。そこで危険がある
かもわからないなどという状況があるということ自体、何としても防がなけれ
ばならないだろう、私はそのように考えているのです。
その中で、特に学校での所持品検査を校長の判断ですることを容認するとい
う段階なのですけれども、私は、やはり事ここに至っては、容認から一歩踏み
込んだ工夫したやり方というものを、文部省としてもうちょっとアイデアを出
してもいいのではないか。
例えば、学校でやると先生と生徒の信頼関係が崩れるというのであれば、そ
こに例えばPTAの方が入るとか、地域の方々が協力するとか、そういう第三
者も入って、それで学校内で所持品検査をやっていくというような、そういう
一歩踏み込んだ具体策を、学校現場で殺傷事件が起こらないようにするために
やっていく時期ではないのかなというふうに思うのですが、大臣としてどうい
うように考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
○町村国務大臣 佐藤委員初めほとんどすべてのと言ってもいいと思いますが、大勢
の国民の皆さん方から非常に御心配をいただいておりまして、二月六日に全国
の教育委員会の指導担当者にお集まりをいただきまして、その場で私が申し上
げたことと実はそう変わっていないのでありますけれども、まず、命の大切さ
というのを再三再四教えてもらいたいということ、それから、ナイフの持ち込
みはもう絶対に許されないということ、法律違反であるということをまず徹底
して教育をしてもらいたい、その上に立って、各学校において、必要があれば
学校長の判断において適切な方法によって持ち物検査をやることにためらいを
覚えてはいけない、毅然とやってもらいたいということを申し上げました。
何も一斉にやれとも申し上げませんし、それぞれの学校の状況というのが違
うだろうと思いますので、その学校の状況に応じてということで、それぞれやっ
ていただいているところ、あるいは諸般の事情の判断でやっていない学校もあ
るということで、ここはばらつきがあってもやむを得ないのかなと思っており
ます。
今委員御指摘のように、PTAの協力を得てという方法ももちろんあり得る
と思います。現に、これは、二月二十日に日本PTA全国協議会会長さんから
全国のPTAの会長さん方へのお願いといいましょうかペーパーが出ておりま
して、この中で、適切な方法で所持品検査を行うときはPTAとして学校の対
応を理解するよう努めましょう、こういう要請までしておられます。そんなこ
とも含めて考えたときに、私はPTAが協力をする形ということもあると思い
ます。
ただ、申し上げたいことは、本当は、本来であれば各家庭が一義的には責任
を持つ話であって、それでもなおかつ学校でというのはやはり二番目に来るこ
とで、本当は家庭の最も信頼感のあるであろう親子の間できっちりとした対応
をやってもらうことが一番ではないか、こう考えております。
○佐藤(茂)委員 私も大臣の考えていることはそんなに変わらないのであろうと思
うのですね。
確かに、家庭のことは大事だと思うのですが、これは、大臣も入っておられ
る次代を担う青少年について考える有識者会議で、もうちょっと本質的な議論
もしていただいて、抜本策を、これはちょっと時間がかかるかもわかりません、
そういう対応を、関係閣僚の皆さんも入っているのですから、いろいろ議論さ
れると思うのですけれども、やはりそれを待っていていいのかどうかというこ
とですね。学校現場で、文部省が関係しているところで何らかの努力をしてい
けるのではないのかな、そういう感じがしているのです。
そういう中で、昨日ですか、これはまだ文部大臣のところに上がっていない
かと思うのですけれども、中教審の小委員会で中間報告案が出されております。
その中で、結局どうしても指導して聞かない生徒に対しては校長の判断で警察
に通報するとか、また警察の校内巡回も認める、そういう案になっているとい
うことなのです。
私は、そういうことも本当に事ここに至っては必要であるし、また、各学校
にそういうことも周知徹底していくことが必要であるかなという感を持ってい
るのですけれども、文部大臣としてはどのように受けとめておられますか。
○町村国務大臣 委員と私も多分同じ認識ではなかろうかと思います。
緊急対応というのは、今伝染病のように、ナイフを持ち歩いたり、それを使っ
たりというようなことが広がっていますので、緊急的な対応としての所持品検
査であったり、あるいは、今中教審の方の報告案でございますが、警察とのよ
り密接な連携、あるいは児童相談所といった、要するに外部の機関、外部の関
係者との協力関係をしっかり保っていくというようなことも緊急対応としては
私も有効ではないだろうか、こう考えておりまして、そういう方向で今報告案
がまとめられているということを聞いております。
そのほかにもまだまだ緊急対応もあるかもしれませんし、それと同時に、や
はりより大切なことは、より基本的な、やや時間がかかり迂遠なようであって
も、子供たちと先生方と、そして父兄の皆さんも入って、安全な、そして勉強
しやすい、いろいろな活動をしやすい学校環境をどうやったらつくっていける
かということを、さまざまな角度から努力してつくっていかなければいけない
な、こう思っております。
○佐藤(茂)委員 それで、もう一つ案があるのですけれども、私は今回の対応で、
一つはやはり大人の毅然とした態度というのが必要になってくるのであろう。
実は、学校教育法の第二十六条に児童の出席停止という条項がありまして、
「市町村の教育委員会は、性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認
める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることが
できる。」こういう条項なのですね。
今まで、学校現場でこの条項に基づいて採用されたことがあるのかないのか。
採用されないのであれば、それを活用していくべきではないのかなという気が
しているのですけれども、大臣の所見を最後に伺いたいと思います。
(38/44) 次の分割内容へ
○町村国務大臣 率直に言って、この出席停止という条項がそう使われていたわけで
はございません。あくまでもこれは義務教育の段階でございますから、義務教
育で出席停止というのはある意味では大変な事態ということになるわけでござ
いまして、これは、懲戒という観点ではなくて、むしろ学校の秩序を回復しよ
うとか事態の悪化を防ごうという趣旨でございます。
したがいまして、今までのところそう多くなかったのですが、昭和五十八年
に通達を出しまして、やはりこの辺まずいのではないかなと。その時期も実は
相当学校が荒れたことがございました。そんなこともありまして、現在どのぐ
らいあるかというと、平成八年度で全体で三十九件ございました。あるいは七
年度は五十一件、六年度は四十三件ということで、大体四十件から六十件ぐら
いの間で過去推移をしてきているところでございます。
したがいまして、今後、こうした措置が有効であろうというときには、やは
りこれも、出席停止措置ということも適切であればやることにためらいを覚え
てはいけないということも、先般の会議で申し上げたところでございます。
○佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございま
した。
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