142回-衆-予算委員会-14号
教育関係
1998年2月26日(木)
質問の流れで少年法についても記載がありますので、掲載いたしました。
《省略》
○中井委員 次に、時間がありませんので、あと三つぐらいの問題を質問させていた
だきたいと思います。
過日、長野オリンピックが終わりました。想像以上の盛り上がりで、大成功
のオリンピックだったと私どもも喜んでおります。特に、日本選手が大変御活
躍をいただいて、さわやかな笑顔や、本当に思わず一緒に泣くような涙やら、
共感を覚えるすばらしいオリンピックであったと思っております。
そのオリンピックの中でたった一つだけ、おやっと思ったことがございまし
て、それは、金メダルをおとりになった若い女子選手が、表彰台、国歌が吹奏
されているときに帽子をおとりにならなかった。終わってからのインタビュー
で実にあっけんからんと、君が代を習ったことないから知らない、こう言われ
たのであります。
実は、私どもの三重県も、学校でこれを教えない、掲げない、こういうとこ
ろでございまして、いろいろと御努力はいただいておりますが、やはり君が代
を知らないという子がたくさんいらっしゃる。学校だけで教えることでもなけ
れば、地域、家庭それぞれで常識として知っていなければならないことだろう。
あるいは、国際人として、国旗をどう思うかどうかということは別にして、礼
儀としてこうあるべきだということは知っていなければならないんだろう、私
はこう思っています。
町村文部大臣、あなたの北海道の子でございます。北海道も教えていないと
いう話が実は聞こえてまいりますが、この辺はどういう対応をなさっておるの
か、お聞かせをいただきます。
○町村国務大臣 国旗・国歌についてのお尋ねでございます。
委員御承知のとおり、学習指導要領におきましては、入学式あるいは卒業式
あるいは校内行事、そういう場合に国旗を掲げること、あるいは国歌を歌うこ
と、そして社会科などで国旗の意義とかその扱い方ということを指導するとい
うことになっております。
かなり数多くの学校、そして県、それぞれで努力をしていただいておりまし
て、うまくいっているところもありますが、残念ながら、議員御指摘のとおり、
一部の地域におきましては、一部教職員組合の反対運動によりまして十分なそ
うした指導が行われていない実態があるということは、率直に認めなければな
りません。
実を言いますと、私の娘も札幌の小学校に通っておりました。そのモーグル
の選手と同じ札幌市でございます。小学校の音楽の時間で、学校の先生が、こ
の歌は覚えなくてもいいのよと言って飛ばしたそうであります。そのことをう
ちでは大分時間がたってから娘から聞きまして、急いで、慌ててうちの妻が娘
に国歌を教えていたようでございます。
いずれにいたしましても、そうした形で、日本の国旗・国歌はもとより外国
の国旗・国歌に敬意を払う、これは当然のマナーであろう、こう思っておりま
す。
したがいまして、先生の御指摘をまつまでもなく、今まで文部省においては
そうした指導を各県、市町村教育委員会を通じて指導しておりますが、さらに
今回のこともございますので、引き続き指導をしてまいりたい。
それから、特にああいったオリンピックの選手とか、こういう選手は国際舞
台に行くことも多いわけでございますので、実は、今回のオリンピックの団長
さんには急いで注意を喚起いたしまして、団長の方から各選手に対してもそう
いう指導はあったやに聞いております。
○中井委員 あの選手個人を責めるつもりはありません。教えていないということが
おかしいのです。それを教えるようになっておると言いながら、教えられてい
ないということがおかしい。あえて申し上げます。
私どもは三重県で知事選挙を戦いました。皆さん敵でございました。これは、
何を変えたいかといったら、幾つか変えたいうちの一つはこれなんです。僕は、
三年たって変えているかとこの間から教育長を呼びまして聞きましたら、この
三年間で新しい教頭と校長の行ったところはやっています、従来のところはやっ
ていません。そうすると、何年たったら全部なるんだ、こう言ったら、二十年
でしょうかと。これではおかしいでしょう。
この教職員組合と皆さんは仲よくやっていらっしゃる。僕は、それはそれで
結構だ。当然、教職の現場でお働きの皆さんと文部大臣がお話し合いなさるの
は結構だ。しかし、ルールはちゃんと守らせてもらう、このことをあえて申し
上げます。お答えください。
(39/47) 次の分割内容へ
○町村国務大臣 なかなか教職員組合も、全国団体とまたそれぞれの県の団体とが同
じような行動をとっていないという事実は、先生もう既に御承知の上でのお尋
ねであろう、こう思っております。 私どもは、各組合は組合として、教育委
員会を通じ、それらのことを徹底するようにということでございますので、こ
うした今先生の御指摘もございますので、改めてその面でさらに文部省として
指導助言を強めてまいりたいと考えております。
○中井委員 それでは、次に少年法の問題。過日の委員会で、自民党さんからも私と
ほぼ同じような御議論がありまして、重複の部分もありますが、あえて質問を
させていただきます。
少年法による犯罪というのですか事件、子供の数も減ってまいりましたし、
貧困という要素も大分減ってまいりましたから、かなり件数的には少なくなっ
ておると僕は聞かせていただいております。ただ、昨今、神戸の少年殺人事件、
あるいはまたつい最近の栃木の教員殺人事件等々、凶悪な、世間を驚かす事件
が続きました。また、これらの事件を起こした人はかなり低年齢の方々であり
ます。そういう中で少年法というものがマスコミ等で報じられて、いろいろな
議論を呼んでおります。
これは一九九三年、山形県の中学校で七人の生徒によるマットの、同級生を
蒸して殺しちゃったという事件がございました。それ以降、少年法の改正につ
いて法務省は議論を始めました。二十年間ぐらい、実は法制審議会の少年法部
会、これは開かれていなかったわけでございます。僕は、ちょうど法務大臣の
ときにこの時期でしたから、どうしてだと聞いたら、司法制度の改革について
は、法務省、最高裁、日本弁護士会一致をしないとなかなか改正できない、こ
れが慣習であり、昭和四十五年に衆参の附帯決議の中にもそういう趣旨が盛ら
れておる、こういうことでございます。
司法制度の改正についてなかなか難しいのは、弁護士会と一致するというと
ころが時間がかかってしまう、タイミングを逸してしまう、ここにあるんだろ
う。今こういうことを続けているというのは、僕はちょっと、法の世界に携わ
る人たちの権威主義である。最高裁といえども、弁護士さんといえども、まし
て法務省といえども、批判されるべきは批判される、変えるところは変えてい
く、これは当然のことだ。法律をつくって変えるのは国会であると私は思って
おります。しかし、専門家の御意見は十分聞いたらいい。
そういった意味で、二十年ぶりに議論をされております少年法の論議。この
間、法務大臣は答えにくそうにお答えになられておりましたが、答えるとまた
この議論が二十年間ぐらいとまってしまうのかと心配をしておりますが、どう
いう状況にあるのか、どこまで来ておるのか、具体的にお答えをいただきます。
○下稲葉国務大臣 お答えいたします。
一昨日も深谷議員の御質問にお答えしたわけでございますが、最近の少年を
取り巻く事件はなかなか厳しいものがございますし、その対処を迫られている
わけでございます。私は、少年の保護育成を基本にするという少年法の精神そ
のものはいいと思うのでございますが、現下のこのような厳しい情勢に対応で
きるかどうかというふうなことを痛感いたしております。
そこで、今お話がございましたように、衆議院、参議院の法務委員会の附帯
決議等々もありまして、建前として、法曹三者で意見をまとめてきなさいとい
うことになっておるわけでございます。そういうふうなこともあって今日まで
参っておるわけでございますが、私どもは、やはり何といっても現実の厳しい
情勢に対応できるような法制でなくちゃならぬわけでございますので、何とか
その辺のところを進めてまいろう。
具体的には、平成八年の十一月に法曹三者で話し合いの場ができました。そ
こでどういうふうな問題があるのかということを相談いたしました。それで、
その結論を受けまして、具体的に法制の改正を視野に入れまして、ことしの一
月から三者の会合を重ねているところでございます。
まず、事実解明の手続の面から申し上げますと、現在、裁判官が一人でなさっ
ている。重要な事件について一人でいいのだろうかどうか。それから、期間が
原則として四週間ということになっている。殺人事件等の難しい事件の事実解
明が四週間でできるかどうか。あるいはまた、検察官の立ち会いもできません。
それから、抗告も検察官側からはできません。そういうふうな点等を中心に今
議論いたしております。
それから、年齢の問題につきましては、もう既に御承知のとおり、現在の刑
法の規定によりますと、十四歳未満の者の行為は罰せずということになってお
ります。したがいまして、栃木の例の学校の先生の事件につきましては、家裁
の決定で教護院送致ということになりました。教護院につきましては、厚生大
臣の御説明がございましたが、児童自立支援施設というふうなことで、四月一
日からなるわけであります。十四歳以上は少年院に送られますが、十六歳以上
になりますと刑事処分ができるわけでございます。
そして、刑事処分ができる実態というのがだんだんふえてまいっております。
平成八年の資料しか手元にございませんが、殺人でございますとかあるいは強
盗強姦で、十八歳ないし十九歳で懲役七年以上十年以下というふうな判決の事
例もございますし、十六歳の少年で、傷害致死で三年以上五年未満というふう
な判決等々もございます。だから、そういうふうなことで、高年齢になれば、
少年院に送るよりも検察官に逆送致して正式裁判を求めている事例というのが
最近多くなっております。
そういうふうなこと等も踏まえ、年齢の問題等々、今後精力的に前向きに検
討してまいりたい、このように思っております。
(40/47) 次の分割内容へ
○中井委員 大臣が具体的に問題となっておることを検討しておる、こうおっしゃい
ましたから、私どももできるだけ早くこの少年法の改正ということについて図っ
てほしい、ここら辺を強くお願いしておきます。
年齢について、なかなか難しいんだろうと思っています。私は、二十という
のを十八までに引き下げるというのは、これは選挙権とやはり同じでなければ
ならない、少年法の適用を十八以上にするのなら選挙権も与えるべきだ、ここ
ら辺があるのだろう、こう思います。
しかし、十四歳以下は罪にならず保護処分、これを決めたのは実は明治四十
年であります。明治四十年にどうして十四歳、こう決めたのかわかりません。
江戸時代の元服が十五歳であったのかもしれません。しかし、その当時の十四
歳と今の十四歳では、医学的にも情報収集においてもはるかに違う。ここら辺
をお考えになって、十四歳は十二歳、小学校、こういう形での年齢をお考えに
なる、このことは大事だと思っております。
それから、教護院とか少年院。日本は、そこに働く人たちは世界一優秀だと、
僕は経験者だから褒めるわけじゃなしに思っております。ただ、そこでいい子
にして早く社会へ出てやるんだよということだけで、医学的に、病的に犯罪、
再犯の可能性のある人の芽を本当に摘み取っているかというと、そこのところ
は少し足りないんだろう、こう思っています。
そういう意味で、罪を犯してこの制度のもとで社会復帰、家庭復帰する人が
大人になって凶悪な犯罪を犯さない、そういったことの予防を十分できる精神
医学的な分析とかあるいは治療、そういったことを私は取り入れるべきだ、こ
のように思います。
そういったことを法務大臣にこの際強く要望して、この少年法の問題は終わ
りたい、このように思います。
《省略》
(41/47) 次の分割内容へ
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