社会関係
[靖国問題]
(高橋哲哉著)

【靖国問題】

   書籍名:靖国問題

   発 行:2005年4月10日 第1刷発行
       2005年6月 5日 第7刷発行

   著 者:高橋哲哉(たかはし・てつや)
   発行者:菊池明郎
   発行所:株式会社筑摩書房
       〒111-8755 東京都台東区蔵前二−五−三
       振替 00160-8-4123
   装幀者:間村俊一
   印 刷:三松堂印刷株式会社
   製 本:三松堂印刷株式会社

   ISBN 4-480-06232-7


【表紙カバーより】 ……「お国のために死ぬこと」や「御天子様のために」息子や夫を捧げることを、 聖なる行為と信じさせることによって、靖国信仰は当時の日本人の生と死の全体に 最終的な意味づけを提供した。人々の生と死に最終的な意味づけを与えようとする ものを「宗教」と呼ぶならば、靖国信仰はまさしくそのような意味での「宗教」で あった……
【表紙表扉裏より】  二十一世紀の今も、なお「問題」であり続ける「靖国」。 「A級戦犯合祀」「政教分離」「首相参拝」などの諸点については、いまも多くの 意見が対立し、その議論は、多くの激しい「思い」を引き起こす。 だが、その「思い」に共感するだけでは、あるいは「政治的決着」を図るだけでは、 なんの解決にもならないだろう。 本書では、靖国を具体的な歴史の場に置き直しながら、 それが「国家」の装置としてどのような機能と役割を担ってきたのかを明らかにし、 犀利な哲学的論理で解決の地平を示す。決定的論考。
【表紙裏扉表より】 高橋哲哉(たかはし・てつや) 1956年福島県生まれ。 東京大学大学院総合文化研究科教授。 二十世紀西欧哲学を研究し、 哲学者として政治・社会・歴史の諸問題を論究。 明晰な論理と批判的思考には定評がある。 NPO「前夜」共同代表として、雑誌『前夜』を創刊。 主著に    『デリダ』(講談社)、    『戦後責任論』(講談社学術文庫)、    『教育と国家』(講談社現代新書)、    『記憶のエチカ』    『歴史/修正主義』(以上、岩波書店)、    『逆光のロゴス』    『証言のポリティクス』(以上、未来社)、    『「心」と戦争』(晶文社)、    『反・哲学入門』(白澤社/現代書館)、    『〈物語〉の廃墟から』(影書房)。
【目 次】 はじめに  007 第一章 感情の問題 ―― 追悼と顕彰のあいだ  011     激しい遺族感情/     一様でない感情の対立/     靖国と「血」のイメージ/     感涙座談会/     折口信夫が見た招魂祭/     靖国神社が人々に与えたもの/     抑圧される悲哀感情/     「戦死者と遺族に栄誉を!」/     感情の錬金術/     「聖戦」・「英霊」・「顕彰」/     十分な喪のために/     戦死の「大歓喜」 第二章 歴史認識の問題 ―― 戦争責任論の向うへ  061     共同体とその他者/     「A級戦犯」合祀問題/     東京裁判で裁かれなかったもの/     中国の政治的譲歩/     分祀は可能か?/     スケープゴートと免責の論理/     戦争費任論が見落とすもの/     「台湾理蕃」 ―― ほんの一例としての/     護るべき「国」と植民地帝国/     「英霊」という名の捕囚 第三章 宗教の問題 ―― 神社非宗教の陥穽  097     感情の問題、再び/     政教分離問題/     首相の私的参拝?/     存在しない「合憲判決」/     改憲か非宗教化か/     靖国神社の特殊法人化は何を意味するか/     宗教法人ではなくても……/     「神社非宗教」論/     祭教分離の効果/     キリスト者によるコミットメントの論理/     仏教者によるコミットメントの論理/     非宗教というカモフラージュ 第四章 文化の問題 ―― 死者と生者のポリティクス  149     「伝統」としての靖国/     江藤淳の文化論/     靖国を支える政治的意志/     靖国は日本文化を代表できるか/     特別な死者たち 第五章 国立追悼施設の問題 ―― 問われるべきは何か  179     「わだかまり」の解決策/     不戦と平和の施設?/     欠けている歴史認識/     追悼対象の資格/     各国の追悼施設/     古代ギリシアの葬送演説/     個人による追悼、集団による追悼、国家による追悼/     「戦争を否定する」施設のために/     政治がそれを決める おわりに  227 あとがき  237
(Web管理者記)