IRIYE Teruyuki Notes

政治関係 ［G.W.ブッシュ政権とアメリカの保守勢力］ （久保文明編）
【G.W.ブッシュ政権とアメリカの保守勢力】

　　　書籍名：〈JIIA現代アメリカ６〉G.W.ブッシュ政権とアメリカの保守勢力
　　　　　　　――共和党の分析

　　　発　行：2003年9月16日　第1版第1刷
　　　編　者：久保文明
　　　発行者：佐藤行雄
　　　発行所：財団法人　日本国際問題研究所
　　　　　　　〒100-6011東京都千代田区霞が関3-2-5　霞が関ビル
　　　　　　　電話03-3503-7262　振替・00120-3-8792
　　　　　　　http://www.jiia.or.jp/
　　　印　刷：株式会社太平社
　　　定　価：本体3500円（税別）

　　　ISBN 4-8193-0248-5 C3331

【目　次】

序文

第一章　共和党の変容と外交政策への合意　　　　　　　　　　久保　文明　1
　　はじめに　2
　　一　政党変容のメカニズム　3
　　二　支持団体の連合の変化　5
　　　　　大統領選挙運動の遺産　――　宗教保守派／
　　　　　新たな動員　――　中小企業／
　　　　　「アメリカとの契約」作成過程における利益団体／
　　　　　「木曜会」　――　「アメリカとの契約」の立法化／
　　　　　ロビーイング規制法案
　　三　新保守連合の成立　13
　　　　　連合の制度化：「水曜会」と「ほっといてくれ連合」／
　　　　　「経済成長クラブ」の結成と成長
　　四　連合の広がり：文化と外交　19
　　　　　ホロウィッツとポピュラー・カルチャー研究センター／
　　　　　外交関係の利益団体／
　　　　　安全保障政策センター／
　　　　　新アメリカの世紀プロジェクト
　　おわりに　28

第二章　ブッシュ政権とその政策形成について　　　　　　　　吉原　欽一　35
　　　　――――　政策形成過程における「レーガン主義」の影響
　　はじめに　36
　　一　戦後アメリカにおける「保守」の台頭とブッシュ政権　37
　　二　ブッシュ政権を見る眼　39
　　　　　ブッシュ政権の特徴　――　「レーガン主義」の流れ／
　　　　　レーガンの「遺産」と「やり残したこと」
　　三　ブッシュ政権と「グラス・ルーツ・ポリティックス」　44
　　　　　「グラス・ルーツ・ポリティックス」と「水曜会」／
　　　　　ブッシュ政権と「グラス・ルーツ・ポリティックス」との「結び目」
　　四　共和党多数議会の成立と政策形成過程の変化　47
　　　　　ブッシュ政権の政策形成の特徴／
　　　　　「革命的議会」としての第一〇四議会／
　　　　　政策形成過程の変化と新しい「権力関係」／
　　　　　ブッシュ政権と下院議会共和党の「結節点」／
　　　　　一九九八年　――　「ブッシュ政権」の政策シナリオは
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いかにしてつくられたのか
　　おわりに　59

第三章　思いやりのある保守主義　　　　　　　　　　　　　　新田　紀子　67
　　　　――――　その政治的・政策的意味
　　はじめに　68
　　一　ブッシュ候補の「思いやりのある保守主義」の形成　70
　　　　　福祉政策批判と文化の重視／
　　　　　福祉制度改革と信仰に基づくイニシアティヴ／
　　　　　大統領候補としてのメッセージ
　　二　政策面での「思いやりのある保守主義」　77
　　　　　ＦＢＣＩ／
　　　　　福祉制度改革法再授権／
　　　　　教育／
　　　　　対外援助
　　三　ＦＢＣＩへの幅広い支持　88
　　　　　レトロコン／
　　　　　民主党指導者会議（ＤＬＣ）／
　　　　　カトリック保守派／
　　　　　アフリカ系アメリカ人／
　　　　　コミユニタリアニズム
　　四　思いやりのある保守主義の意味するもの　92

第四章　共和党多数派議会と保守的政策の実現　　　　　　　　廣瀬　淳子　101
　　はじめに　102
　　一　共和党多数派議会の形成　102
　　　　　保守的政策課題と連邦議会選挙「アメリカとの契約」／
　　　　　連邦議会選挙への政党の関与
　　二　連邦議会における保守派　109
　　　　　共和党議員の保守化／
　　　　　保守派議員グループの活動／
　　　　　保守派とリーダーシップ
　　三　ブッシュ政権と保守的な政策実現　118
　　　　　ブッシュ大統領と連邦議会の関係／
　　　　　一〇七議会主要法案の動向
　　四　共和党議会における保守派の影響力　126

第五章　アメリカにおける保守主義台頭の力学　　　　　　　　中山　俊宏　133
　　　　――――　「アイディア」の戦略的動員
　　はじめに　134
　　一　逆風のなかで：アメリカにおける保守主義という矛盾　136
　　二　融合主義（フュージョニズム）と運動の萌芽　141
　　三　ゴールドウォーターの敗北と
　　　　カウンター・エスタブリッシュメントの台頭　146
　　四　コンサーヴァティヴ・エスタブリッシュメント　152
　　おわりに　156

第六章　宗教的保守勢力とブッシュ政権　　　　　　　　　　　蓮見　博昭　165
　　はじめに　166
　　一　アメリカ宗教的保守勢力の概観　166
　　二　宗教右派の政治的成熟・洗練化・穏健化　171
　　三　ブッシュ大統領の　「宗教」　174
　　四　ブッシュと宗教右派の微妙な関係　179
　　五　宗教的保守勢力を代弁する政治家たち　182
　　六　人権外交推進で呼応する宗教的保守勢力　186
　　おわりに　190

第七草　「慎みある外交」から「先制行動ドクトリン」へ　　　高畑　昭男　195
　　　　――――　外交姿勢の変容とその背景
　　はじめに　196
　　一　「慎みある外交」の出発点　198
　　　　　「国益」の再定義／
　　　　　「力の現実」の認識
　　二　「慎み」の喪失　――　単独行動主義の台頭　201
　　　　　「現実主義派」対「強硬派＋新保守主義派」／
　　　　　パウエルの孤立
　　三　九・一一とブッシュ・ドクトリン　207
　　　　　ブッシュ・ドクトリンの形成／
　　　　　アラカルト国際主義／
　　　　　「気の進まぬ保安官」から「毅然たる保安官」へ／
　　　　　「調整役」ライス　――　特異な位置づけ／
　　　　　攻撃的現実主義
　　四　「強硬派＋新保守主義派」のルーツ　215
　　　　　ブッシュ・ドクトリンとウォルフォウィッツ構想／
　　　　　新保守主義の人脈　――　「チームＢ」の復活？／
　　　　　親イスラエル人脈
　　五　米欧の新イデオロギー対立とイラク戦争　220
　　　　　「火星と金星の違い」　――　カント流の西欧 VS ホッブスのアメリカ／
　　　　　ヨーロッパ八首脳書簡
　　おわりに　224

第八草　ブッシュ・ドクトリンと同盟管理　　　　　　　　　　川上　高司　231
　　はじめに　232
　　一　「脅威」認識の変化と国防計画の推移　234
　　　　　九・一一テロ以前／
　　　　　九・一一テロ以後
　　二　アメリカ戦略のバラダイム的シフト　238
　　　　　基礎基盤戦略から能力基盤戦略への転換　――　二正面戦略からの脱却／
　　　　　アメリカ軍のトランスフォーム／ＭＡＤ体制からの脱却／
　　　　　ＭＡＤからＵＡＤへ ?!
　　三　同盟管理　252

第九章　国土安全保障戦略の形成と政権基盤への影響　　　　　古川　勝久　263
　　　　――――　「先制攻撃型ドクトリン」の対テロ活動への適用
　　はじめに　264
　　一　ブッシュ政権の国土安全保障戦略　265
　　二　安全保障の概念上の主要な変化　268
　　　　　犯罪行為ではなく戦争行為としてのテロ／
　　　　　先制予防型の法施行：市民的自由重視から安全保障重視へ／
　　　　　捜査機関と諜報機関との連携強化／
　　　　　軍の司法関連活動への関与強化および捜査機関との協力強化
　　三　変化の要因と背景　272
　　　　　九・一一のインパクトと政府の裁量権拡大志向／
　　　　　犯罪対策をめぐる共和党右派のイデオロギー／
　　　　　「国土防衛」のイデオロギー的側面／
　　　　　司法省高官の思想と政策
　　四　成果と政策上の問題点　278
　　　　　目標達成の不可能性／
　　　　　予算上の問題：減税政策対国土安全保障政策／
　　　　　官僚制縦割りの弊害／
　　　　　銃規制は例外事項／
　　　　　人権、市民的自由権やプライバシー権の侵害の恐れ／
　　　　　移民差別、宗教差別の懸念／
　　　　　「大きな連邦政府」への反発
　　五　国土安全保障の政治的合意　286
　　まとめ　289

ブッシュ政権の保守系人脈　304
保守派関連年表　305

【表紙裏扉裏より】

執筆者紹介（執筆順）

久保　文明（くぼ　ふみあき）
　一九五六年生まれ。東京大学法学部卒。法学博士（東京大学）。
　筑波大学助教授、
　コーネル大学・ジョンズホプキンズ大学・ジョージタウン大学客員研究員、
　慶應義塾大学教授を経て、現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。
　専攻、アメリカ政治。
　主な著書に、
　　『現代アメリカ政治と公共利益』（東京大学出版会、一九九七年）、
　　『ニューディールとアメリカ民主政』（東京大学出版会、一九九八年）、
　　『国際社会研究Ⅰ　現代アメリカの政治』（放送大学教育振興会、二〇〇二年）
　　他。

吉原　欽一（よしはら　きんいち）
　一九五四年生まれ。成蹊大学大学院法学政治学研究科博士後期課程単位取得退学。
　政策シンクタンク主任研究員を経て、現在、社団法人アジアフォーラム・ジャパン常務理事。
　この間、中国現代国際関係研究所客員研究員などを歴任。
　専攻、現代アメリカ政治、アメリカ政治外交史。
　主な著書・論文に、
　　『現代の国際紛争』（共著、人間の科学社、一九八二年）、
　　『現代アメリカの政治権力構造』（編著、日本評論社、二〇〇〇年）、
　　「共和党多数議会と『新しい権力構造』の創出」（『国際問題第四九一号、二〇〇一年二月）
　　他。

新田　紀子（にった　のりこ）
　一九五六年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。
　スタンフォード大学政治学修士号取得。
　外務省北米局北米第一課課長補佐、日本国際問題研究所主任研究員を経て、
　現在、外務省北米局北米第二課課長補佐。専攻、現代アメリカ政治。
　主な論文に、
　　「変化の信託を担うクリントン氏」（『外交フォーラム』第五一号、一九九二年一二月）、
　　「米国の独立検察官制度－その成立と展開」（『議会政治研究』第三五号、一九九五年九月）、
　　「「実験国家・アメリカ」の不安」（『This is 読売』一九九六年一〇月号）
　　他。

廣瀬　澄子（ひろせ　じゅんこ）
　一九六〇年生まれ。東京大学農学部卒。
　ハーバード大学ケネディ行政大学院修了（行政学修士）。
　放送大学、中央大学講師を経て、
　現在、国立国会図書館調査及び立法考査局行政法務課主査。
　専攻、アメリカ政治、政策過程論、公共政策。
　主な著書・論文に、
　　『選挙と国の基本政策の選択に関する研究』（共著者、総合研究開発機構、一九九六年）、
　　「立法補佐機関－その意義とわが国の現状」（「ジュリスト』第一七七号、有斐閣、二〇〇〇年五月）
　　他。

中山　俊宏（なかやま　としひろ）
　一九六七年生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒。
　国際政治学博士（青山学院大学）。
　ワシントン・ポスト極東総局記者、日本政府国連代表部専門調査員を経て、
　現在、日本国際問題研究所アメリカ研究センター研究員。
　専攻、アメリカ政治外交、アメリカ政治思想。
　主な著書・論文に、
　　“Counterring Terrorism and the Role of Intelligence,”Noor and Hassan,eds.,Terrorism:Perspectivs for the Asia Pacific(Kuala Lumpur:ISIS Malaysia,2002)、
　　『アジア太平洋の多国間安全保障』（共著、日本国際問題研究所、二〇〇三年）
　　他。

蓮見　博昭（はすみ　ひろあき）
　一九三三年生まれ。東京外国語大学欧米第一課程卒。
　時事通信社ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドン各特派員、解説委員、
　出版局長などを経て、
　現在、恵泉女学園大学人文学部英米文化学科教授。
　専攻、アメリカ政治外交。
　主な著書・論文に、
　　「現代アメリカの銀行と国家」（『国際政治』第一〇八号、日本国際政治学会、一九九五年）、
　　『戦後アメリカ外交の軌跡』（共著、勁草書房、一九九七年）、
　　『宗教に揺れるアメリカ―民主政治の背後にあるもの』（日本評論社、二〇〇二年）
　　他。

高畑　昭男（たかはた　あきお）
　一九四九年生まれ。国際基督教大学教養学部卒。毎日新聞ロンドン特派員、
　ウィーン支局長・東欧特派員、外信部副部長、ワシントン特派員、同支局長、
　北米総局長を経て、現在、論説室論説委員。
　専攻、国際政治、軍備管理・軍縮、米国政治・外交。
　主な著書に、
　　『サッチャー革命』（築地書館、一九八九年）、
　　『東欧ソ連の明日を問う』（共著、毎日新聞社、一九九〇年）、
　　『クリントンの大逆転』（毎日新聞社、一九九九年）
　　他。

川上　高司（かわかみ　たかし）
　一九五五年生まれ。京都産業大学大学院法学研究科博士課程前期修了。
　フレッチャースクール外交政策分析研究所研究員、世界平和研究所研究員、
　防衛庁防衛研究所主任研究官を経て、現在、北陸大学法学部教授。
　専攻、安全保障論、国際関係論。
　主な著書に、
　　『国際秩序の解体と統合』（東洋経済新報社、一九九五年）、
　　『米国の対日政策』（同文館、一九九六年）、
　　『Japan and Ballistic Missile Defense』（共著、RAND、二〇〇一年）
　　他。

古川　勝久（ふるかわ　かつひさ）
　一九六六年生まれ。ハーバード大学ケネディ行政大学院修了（行政学修士）。
　日本網管㈱勤務後、平成維新の会事務局、
　米国アメリカンエンタープライズ研究所、米国外交問題評議会を経て、
　現在、モントレー国際間題研究所主任研究員。
　専攻、国際関係論、安全保障論、軍備管理・大量破壊兵器拡散問題。
　主な著書に、
　　“New Ambititions,Old Obstacles:Japan And Its Search for an Arms Control Strategy,”Arms Control Today,July/Augest 2000（共著）、
　　『靖国論争』（共著、PHP出版、二〇〇二年）
　　他。

（Web管理者記）