経済関係
[それでも新資本主義についていくか]
(リチャード・セネット著)

【それでも新資本主義についていくか】
   ―――アメリカ型経営と個人の衝突――

   書籍名:それでも新資本主義についていくか
   著者名:リチャード・セネット
   出版社:ダイヤモンド社
   価 格:¥1,800−(本体)
   発行日:1999年12月2日 初版発行

P213  私はダボスの会議場を出たり入ったりしながら、また山間の村道にあふれるリムジ ンと警官のあいだを縫って歩きながら、この新しい資本主義制度は、少なくとも山の 下にいる者の想像力と感情をつかみそこねているように思えてきた。私は、私の家族 の苦い、激動の過去から学んだことがある。変化は、起きる時には生活の場で起きる ということ、群衆の反乱を通じてではなく、内なる必要から声を上げる人たちのなか に変化は起きる、ということである。この内なる必要がどのような政策に結びつくの か、私にはわからない。しかし私は、人間どうしが互いを気遣うということに深い思 慮を払わない体制(レジーム)は、正統性を長く保ち得ないことをよく知っている。
【帯より】 「人を傷つける経済」への警鐘 ●―――本書は、アングロ・アメリカ型経済社会への道を、ある種のあこがれと誤解 を抱いたまま突き進んでいる日本に警鐘を鳴らすものとして読むことが出来るだろう。 何よりも、「痛みをおそれず」「血を流す覚悟で」労働力の流動化やリスク・テイク を叫び、自営業者待望論をぶつ日本の改革論者と、それに浮き足立っている多くの人 びとにぜひとも読んでほしい本である。  日本の改革論者は、アメリカではリストラや転職が日常茶飯で、人びとは嬉々とし て労働力の流動化に身をゆだね、それがアメリカの活力と自由を支えていると吹き込 んでいるが、読者は本書によって、それは一面の――理論上の、あるいはアメリカ的 タテマエの――真理でしかないことを知るだろう。いやもっとはっきりいえば、圧倒 的多数の人にとって、そのような日本の改革論者の啓蒙は真っ赤なウソであることを 知るだろう。――――――――――――――――――――――「訳者あとがき」より
【表紙表扉裏より】 ●―――いま日本で吹き荒れているリストラ・失業旋風は、アメリカではすでに10 年前から続いている。著者セネットは、このいわゆる「経営革新」を、古い資本主義 からフレキシビリティを重視する「新資本主義」への移行ととらえ、変化に直面した 個人が直面する問題について考察した。 たとえば、いまのアメリカの大卒者は、平均すると生涯のうちに11回転職し、3回 スキルベースを変える。圧倒的多数の人びとはこのような変化についていくことはで きない。本書は、効率重視のスピード経営の追求がいかに生活の安定を奪い、人間性 を傷つけているかを明らかにする。そして、アメリカ型経済社会への道を突き進む日 本に鋭い問いを投げかける。「それでも新資本主義についていくか」と。 ビジネスウィーク誌は「本書の刊行によって、セネットは『孤独な群集』のデビッド・ リースマンと並び称されるにいたった」と絶賛し、ニューヨーク・タイムズ紙は 「ニューエコノミー・ワーカーの真実の姿を照らし出した、刺激的で説得力のある本」 と評した。英エコノミスト誌は本書を1998年の「ベスト・ブック」に選んだ。
(Web管理者記)  私が読む経済関係の本は、人々の生活がどのようになるか、が記載してあるもので す。正直言って、経済成長率がどうたらと言って人々の生活に関する記述がない著書 は、私は読む気がしません。  その点でも、この書籍は、人々の生活がどのようになったかがよく分かるものです。  是非読んでいただきたいと思います。