犯罪学理論を通じた「マイノリティ」と権利の理解
(2008年度春学期のシラバス)
【授業内容】
「マイノリティ」という存在は、必ずしも社会的な実態として先にあるわけではない。むしろ「マイノリティ」というレッテルが社会統制の場面で利用されているところに「マイノリティ」の本質がある。
そうした動きが特に顕著なのは「犯罪」や「治安」を巡る言説である。古くから、「犯罪」は「社会問題」であるとされてきた。しかし犯罪に対処する活動は、実は抑止するべき「マイノリティ」を階層的に創出する過程に他ならない、という理解も可能である。その意味では「社会問題」は意図的に作り出されるのである。犯罪学は、経験科学というよりも、むしろそうした層を創出するためのツールとして提供された、という捉え方もできる。