「オートポイエーシス論」の法学分野への応用はじめにヴァレラ=マトゥラーナが「オートポイエーシス」概念を打ち出したこと(1973)により、システム論は第3世代に入ったといわれる(河本1992年)。物質の有機構成とその動的平衡状態(ホメオスタシス)に着眼した初期(キヤノン、ベルタランフィ)、開放系の動的非平衡システム(自己組織化の着想)を唱えたシステム生成論(プリゴジヌ)に続き、オートポイエーシス論は、閉鎖系での自己言及システムを根本に置いた自己組織化モデルとして展開される。これを社会システム論へと応用したルーマン(1987)は、自己言及システムとしての社会という理解を問題提起し、「法」も社会のサブシステムである以上、オートポイエーシス的構成をとっていると考えた。この法システムに関するルーマンの理解をめぐって、現在主にドイツを中心に議論が起きている。ここでは、オートポイエーシス論の登場した経緯と理由、その内容、そして法学分野への応用の様子を概観する。 |
「オートポイエーシス論」の法学分野への応用 |