付録F
古代ギリシア語写本のファクシミリ
数多くの古代ギリシア語写本はファクシミリ型式で試みることが可能である(ファクシミリの写しは実際の写本自体の写真製版による複版である。一般的に写本はページの型式である)。今日、入手できる最古のギリシア語聖書写本の一つは、チェスター・ビーティー・パピルスとして知られ、P46と分類されている。そして、その写本は200年ころの日付である。西暦50年から61年に使徒パウロが書いてから150年を経ないで作られた。
この付録にある資料は、「チェスター・ビーティー聖書 ギリシア語聖書のパピルス上にある12の写本の記述とテキスト」と題する本に由来する。編集者はフレデリック・G・ケニヨンであり、1937年、ロンドンのエメリー・ウォーカー社が出版した。
もっともよい叙述は、その書物自体の前書きに由来する。
この書物には、パウロの手紙のパピルスの完全な写真複版がある。所有権は、チェスタ・ビーティ氏とミシガン大学が共有している。‥‥‥完全なコーディックス(版)は、104葉からの構成で現われる(その最後の5葉には何も書かれなかったようだ)から、研究生は聖パウロの手紙(牧羊者(テモテ第一、同第二、テトスは別にして)の完璧に近い写本の複製を手にする。少なくとも以前から知られているどんな写本よりも一世紀は古い。そのパピルスは三世紀の前半以降のものではないことは確かなようだ。ウルリッヒ・ウィルケン教授(生存するパピルス学の第一人者)は、その日付をおよそ西暦200年頃と定める。かなり大量の新訳聖書(クリスチャン・ギリシア語聖書)のもっとも古い、現存する写本であり、聖パウロの死後、150年を経ないで書かれたとする強い主張がある。
ものみの塔はP46 を「200年位」と認識している。そして次にあげているギリシア語聖書の写しの複製から、( ではなく)ギリシア語 kyrios がこのきわめて古い日付よりも以前に決められただろうことが分かる。
次にあるP46 のまとめは、新世界訳聖書が kyrios (またはtheos )の訳として「エホバ」を用いる28例を一覧にしている。Plate No.:パピルス断片識別番号(recto(前)には"r"、verso(後)には"v"の印を付した)。Plate contents:パピルス断片にある聖句。引用された聖句:新世界訳聖書からの「エホバ」参照。記載事項:P46 にある代用語(短縮形)。「王国行間逐語訳」:王国行間逐語訳において記述されている語
Plate No. | Plate contents | 引用された聖句 | 記載事項 | 王国行間逐語訳 |
---|---|---|---|---|
f.16.r | ローマ12:11-13:1 | ローマ12:11 | ||
f.19.v | ローマ15:11-19 | ローマ15:11 | ||
f.23.v | ヘブル2:2-3:3 | ヘブル2:13 | ||
f.28.r | ヘブル7:28-8:8 | ヘブル8:2 | ||
f.31.r | ヘブル10:8-20 | ヘブル10:16 | ||
f.37.v | ヘブル13:3-11 | ヘブル13:6 | ||
f.40.r | 1コリ2:11-3:5 | 1コリ2:16 | ||
f.41.r | 1コリ3:16-4:3 | 1コリ3:20 | ||
f.42.v | 1コリ4:4-10 | 1コリ4:4 | ||
f.45.r | 1コリ7:12-19 | 1コリ7:17 | ||
f.50.r | 1コリ10:21-30 | 1コリ10:21 | ||
同上 | 同上 | 1コリ10:21 | ||
同上 | 同上 | 1コリ10:22 | ||
f.56.r | 1コリ14:16-23 | 1コリ14:21 | ||
f.60.r | 1コリ16:2-12 | 1コリ16:7 | ||
同上 | 同上 | 1コリ16:10 | ||
f.64.r | 2コリ3:14-4:3 | 1コリ3:16 | ||
同上 | 同上 | 1コリ3:17 | ? | |
同上 | 同上 | 1コリ3:17 | ||
同上 | 同上 | 1コリ3:18 | ||
同上 | 同上 | 1コリ3:18 | ||
f.67.r | 2コリ6:14-7:4 | 2コリ6:17 | ||
同上 | 同上 | 2コリ6:18 | ||
f.71.r | 2コリ10:11-11:2 | 2コリ10:17 | ||
同上 | 同上 | 2コリ10:18 | ||
f.77.r | エフェソ2:21-3:10 | エフェソ2:21 | ||
f.80.v | エフェソ6:8-18 | エフェソ6:8 | ||
f.83.r | ガラテア3:2-15 | ガラテア3:6 |
カタログ識別番号:P46 、プレートf.40.r
ギリシア語写本の日付:200年頃
プレート内容:コリント第一2:11から3:5
引用された参照:コリント第一2:16
この標本の特徴:1)ヘブライ語聖書からの直接引用の中での神の名の箇所に Kyrios()を使用。( Lord )と(Christ)の語の両方に代用語(短縮形)を使用。は、はと短縮されている。
ヘブライ語聖書の配置:イザヤ40:13。
新世界訳聖書で用いられれる訳:「エホバ」
王国行間逐語訳で用いられれる訳:"Lord"
翻訳を決めるために参照する最も古い日付
新世界訳聖書:「エホバ」。ヘブライ語訳1838年。
王国行間逐語訳:"Lord"。この写本は200年ころ。
原文の形式:この時期以降の写本は、語と語の間に空白を用いなかった。さらに行の終わりで語を切らなかった。アクセント記号も強勢記号も用いられなかった。変化に富んだ付随的な短縮形もこのページ全体で明らか。書体は筆記体。
ギリシア語文と英訳文の両方を示している王国行間逐語訳でコリント第一2:16を読むと、
τισ γαρ εγνω νουν Κυριου,οσ συνβιβασει
Who for knew mind of Lord who will make go together
αυτον;ημεισ δε νουν Χριστου εχομεν
him? We but mind of Christ are having.
チェスター・ビーティ・パピルスでのコリント第一2:16
注:ウェストコットとホートのギリシア語テキストから下のギリシア語の言い回しと綴り方、書き方を再現した。それは実際のP46 のテキストとは異なっているようだ。(Lord)や(Christ)といった短縮形の場合、識別を容易にするため、空白を付け加えた。
配置:この聖句は直面しているページの14、15行目にあり、右の欄外に括弧(])で区別される。短縮形とは円で囲まれている。
ΤΙΣΓΑΡΕΓΝΩΝΟΓΝ ΚΥ ΟΣΣΓΝΒΙΒΑ
ΣΕΙΑΥΤΟΝΗΜΕΙΣΑΕΝΟΥΝ ΧΡΥ ΕΧΟΜΕΝ
プレート1 コリント第一2:11から3:5が書かれたP46のファクシミリコピー。写本はおよそ西暦200年に写された。
カタログ識別番号:P46 、プレートf.83.r
ギリシア語写本の日付:200年頃
プレート内容:ガラテヤ3:2から15
引用された参照:ガラテア3:6
この標本の特徴:Theos(God)の代用語(短縮形)を使用。語は、で短縮される。
新世界訳聖書での翻訳:「エホバ」
王国行間逐語訳での翻訳:"God"
翻訳の選択のためのもっとも古い参照:
新世界訳聖書‥‥‥『エホバ』:ヘブライ語訳;1599年
王国逐語訳‥‥‥‥"God" :その写本は200年頃。
原文の形式:この時代からの写本は、語と語の間に空白を用いなかった。一行の終わりで語を分けた。アクセントも強勢のしるしも使われなかった。短縮の例は明らか。
ギリシア語テキストと英訳テキストの両方を示している
王国行間逐語訳からガラテア3:6を読むと、
καθωσ Αβραμ επιστευσεν τω Θεω,και
According as Abraham believed to the God,and
ελογισθνη αυτω εισ δικαισυνην
it was reckoned to him into righteousness.
チェスター・ビーティ・パピルスからガラテア3:6
注:ウェストコットとホートのギリシア語文からギリシア語の言い回しとつづりかた、書体について下に再現した。実際のP46とは異なるかもしれない。短縮形の場合、識別を容易にするため、空白(スペース)を加えた。
配置:この聖句は直面しているページの6、7行目にあり、右の欄外に括弧(])で区別される。短縮形は円で囲まれている。
ΚΑΘΩΣΑΒΡΑΑΜΕΠΙΣΤΕΥΣΕΝΤΩ Θω ΚΑΙ
ΕΛΟΓΙΣΘΝΗΑΥΤΩΕΙΣΑΙΚΑΙΟΣΥΝΗΝ‥‥‥
プレート2 ガラテア3:2から15が書かれているP46のファクシミリコピー。写本はおよそ西暦200年に写された。