付録A:J参照の源泉
新世界訳聖書はクリスチャン・ギリシア語聖書において、ギリシア語kyrios (ときにはtheos)を神の名として237回、置き換える。これら237例につき、ものみの塔は、翻訳者がエホバを選択することを支持する文書を出版してきた。クリスチャン・ギリシア語聖書におけるテトラグラマトンの採用を研究しようとする者は、まず、この付録に集約された情報源を調べるほうがいい。
1.ものみの塔が1969年と1985年に版権を得た『ギリシア語聖書の王国行間逐語訳』は貴重で、重要な情報源である。エホバが新世界訳聖書の中に挿入された各例において、脚注資料は、ヘブライ語翻訳でのテトラグラマトンの出現を引用する。脚注には、もっとも古いギリシア語写本にある各々のギリシア語についての代表的な資料をも含んでいる(1969年版は文書の源泉について、より一層完璧な情報を書いている)。しかし新しい1985年版は、J22からJ27の新しい資料を加え、追加となる古いギリシア語写本と版の情報を一覧に上げている)。『王国行間逐語訳』はクリスチャン・ギリシア語聖書におけるテトラグラマトンの広い範囲に及ぶ研究において、まず引かれなければならない。その付録の最初の見出し「欄外の参照に用いられる印の説明」以下の情報は、1969年版の26−31頁、1985年版の13−15頁にまとめられている。
2.『参考資料付 新世界訳聖書』(1984年版)は、この研究のためには二番目の情報源である。この版は聖書の文章に加えて、多数の付録の中にテトラグラマトンに関するものみの塔の立場をさらに多く含んでいる。この付録の情報は、新世界訳聖書での237回のエホバの参照と、テトラグラマトンに対するJ参照の広範な一覧を含んでいる。この付録の二番目の見出し「新世界訳聖書のクリスチャン・ギリシア語聖書における237の「エホバ」参照」の下にある情報は、この後者の情報の集約である(『参考資料付 新世界訳聖書』xxxxページからxxxxページ)。
「欄外の参照に用いられる印の説明」
『新世界訳聖書』のさまざまな版にあるエホバ脚注はすべて、一定の印や識別の記載を使う。古代ギリシア語写本は、Aleph,A,Bなどのような呼称で区別される。ヘブライ語翻訳は適切な上書きが後にある「J」で区別され、J1、J2、J3からJ27と表れされる。
次の資料は、『王国行間逐語訳』の脚注の項に引用される古代ギリシア語訳、ヘブライ語版及び、補助的な情報源の各々をまとめる。この項の見出しは次のように使われる。ギリシア語(またはヘブライ語)文:写本の内容を区別する。ギリシア語写本には「日付」の見出しはおおよその年を識別する。ヘブライ語版は「出版日付」によって区別される。古代の版は「版」の見出しの下に区別される。「近代ギリシア語」の見出しはギリシア語写本文の現代の出版を識別する。「参考書」の見出しは、J参照として引用された雑多な参考書を識別する。
古代ギリシア語写本
次の記載は、クリスチャン・ギリシア語聖書の文のために主要な源泉と見なされた古代ギリシア語文献である。
Aleph
ギリシア語文。ギリシア語聖書。日付:4世紀
シナイ写本(ラテン語でcodexSinaiticus)は、4世紀の筆記体のギリシア語写本である。コーディックスの形式を取る。ロンドン大英博物館にある。
A
ギリシア語文:ギリシア語聖書
日付:五世紀
「アレキサンドリア写本」は、五世紀の筆記体のギリシア語聖書である。冊子本(コーディックス)の形式を取り、初めには聖書全体を包含した。マタイ1:1から25:6、ヨハネ6:50から8:53、コリント第二4:13から12:6のほとんどすべてを含み、大部分損なわれていない。ロンドン大英博物館に保存されている。
B
ギリシア語文:ギリシア語聖書
日付:四世紀
「バチカン写本1209」(ラテン名:コーデックス・バチカヌス)は、四世紀以降の筆記体のギリシア語写本である。冊子本(コーディックス)の形式を取り、初めには聖書全体を包含した。現在、ヘブル9:14から13:25、テモテ第一、テモテ第二、テトス、黙示録が欠落している。ローマ、バチカン図書館にあるだろう。
C
ギリシア語文:ギリシア語聖書
日付:四世紀
「コーディックス・エファラエミ・レスクリプタス」は、五世紀の重ね書き用羊皮紙の写本である。福音書、書簡、黙示録の一部を含む。初め、ギリシア語聖書全体を包含していたが12世紀に削除され上書きされた。パリの国立図書館にある。
D
ギリシア語文:一部ギリシア語の写本
日付:六世紀
「コーディックス・ベザエ」。この印はケンブリッジ写本とクレモント写本の両方を含む。両方とも六世紀以降。福音書の大部分、「使徒の働き」の一部、ヨハネ第三11章から15章のラテン語訳がケンブリッジ大学にある。ラテン語訳の使徒パウロの手紙の部分はパリの国立図書館にある。
L
ギリシア語文:ギリシア語の写本
日付:九世紀
九世紀以降のローマでのギリシア語筆記体写本として、上げられている。
P
ギリシア語文:ギリシア語写本
日付:200年から三世紀
この収集物は、チェスタ・ビーティ・コレクションNo1,2,3のパピルス断片を含んでいる。それらはP45,P46,P47と呼ばれる。
P45 (チェスター・ビーティ1)は、三世紀と確定された。この断片は主に福音書から成る。ロンドンに保管されている。
P46 (チェスター・ビーティ2)は三世紀と四世紀と確定される写本断片を含む。この写本は、ローマ、コリント第一、第二、ガラテア、エペソ、ピリピ、コロサイ、テッサロニケ第一とヘブルを含んでいる。ロンドンとアン・アーバー(ミシガン州)に保管されている。
P47 (チェスター・ビーティ2)は三世紀と確定される写本断片を含む。黙示録9章から17章を含む。ロンドンに保管されている。
P66 (ボトマー・パピルス2)。このギリシア語写本はヨハネの福音書の一部を含み、200年ころの日付。ジュネーブに保存されている。
P74 (ボトマー・パピルス17)。このギリシア語写本断片は、ギリシア語聖書の分解された部分を含む。七世紀以降のもので、ジュネーブに保存されている。
P75 (ボトマー・パピルス14)。この断片はルカの福音書とヨハネの福音書を含み、200年ころの日付。ジュネーブに保存されている。
「J」参照の文書
これら参考書はクリスチャン・ギリシア語聖書の中でテトラグラマトン()を用いる。新世界訳聖書のギリシア語聖書におけるエホバを検証するために用いられる。『王国行間逐語訳』1969年版はJ1からJ21を一覧に上げる。1985年版はJ22からJ27を加える。
J1
ヘブライ語文:マタイの福音書
公開日付:およそ1555年
1555年、パリでジーン・ドゥ・チレがヘブライ語マタイ福音書を刊行した。原文はローマで発見された古代写本からで、J・メルセラスが編集した。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J2
ヘブライ語文:マタイの福音書
公開日付:およそ1385年
ヘブライ語によるマタイの福音書。この版は、1385年ころ、スペインのカステルにおいて、Shem-Tob-ben-Shaprutによって完成された。キリスト教に反対する業績の一部。彼の「ヘブライ語によるマタイの福音書」は別々な章に分けられて含まれている。ニューヨーク市のアメリカ神学セミナ(ジョージ・ハワードによる「原始ヘブライ語文によるマタイの福音書」のための文献も見よ)。
J3
ヘブライ語文:マタイの福音書
公開日付:1537年
1537年、セバスチャン・ミュンスターは、Shem-Tobの「ヘブライ語によるマタイの福音書」の改訂版を刊行した。バーゼルで出版された。1557年、ミュンスターは「ヘブル人への手紙」のヘブライ語版を出版した。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J4
ヘブライ語文:マタイの福音書
公開日付:1551年
1551年、ヨハンナ・クインクアボローがパリでミュンスターの「ヘブライ語によるマタイの福音書」の改訂版を刊行した。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J5
ヘブライ語文:典礼用福音書
公開日付:1574年
1574年、フレデリック・パトリはギリシア語から翻訳された「典礼用福音書」のヘブライ語版を出版した。アントワープでC・プランチンによって1581年に改訂された。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J6
ヘブライ語文:福音書
公開日付:1576年
1576年、クライアスはヘブライ語で「典礼用福音書」の翻訳を出版した。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J7
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1599年
1599年、ニュールンベルグでエリアス・フッターが「ヘブライ語のギリシア語聖書」を出版した。正典化されたクリスチャン・ギリシア語聖書全体の初めてのヘブライ語訳であった。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J8
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1661年
1661年、ウィリアム・ロバートソンは、フッターの「ヘブライ語のギリシア語聖書」の改訂版を出版した。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J9
ヘブライ語文:四福音書
公開日付:1639年
1639年、ジョンニ・バティスタ・ヨナはラテン語のウルガータ訳聖書から四福音書のヘブライ語訳を完成した。1668年、著作はローマで出版された。写しはニューヨークの連合神学セミナーにある。
J10
ヘブライ語文:四福音書
公開日付:1800年
1800年、リチャード・カディック博士は福音書のフッター・ロバートソン訳の改訂版を刊行した。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J11
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1817年
1817年、T・フライ、G・B・コーリアーらが、ロンドンでロンドン・ユダヤ人協会のために「ヘブライ語のギリシア語聖書」の新しい翻訳を出版した。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J12
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1831年
1831年、W・グリーンフィールドは、「クリスチャン・ギリシア語聖書」のヘブライ語訳を出版した。1851年版の写しはニューヨーク市アメリカ聖書協会の図書館にある。
J13
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1838年
1838年、A・マッコール、J・C・ライハルト、S・ホガとM・S・アレクサンダーは、ロンドン・ユダヤ人協会のために「ギリシア語聖書」全篇の別なヘブライ語訳を出版した。1872版の写しはニューヨーク市アメリカ聖書協会の図書館にある。
J14
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1846年
1846年、ジョン・クリスチャン・ライハルトはロンドンで、「クリスチャン・ギリシア語聖書」の翻訳を出版した。1853年版の写しはニューヨーク市アメリカ聖書協会の図書館にある。
J15
ヘブライ語文:選ばれた書
公開日付:1855年
1855年、ヨアシム・ハインリッヒ・ラファエル・ビエセンサルはベルリンでヘブライ語の「ルカ、使徒、ローマ人、ヘブル人」を出版した。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J16
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1866年
1866年、ロンドン・ユダヤ人協会は、ジョン・クリスチャン・ライハルトとヨアシム・ハインリッヒ・ラファエル・ビエセンサルによる「クリスチャン・ギリシア語聖書」の三番目のヘブライ語版を出版した。写しはニューヨーク市公共図書館にある。
J17
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1877年
1877年、ライプチッヒでフランツ・デリチッチが「クリスチャン・ギリシア語聖書」をヘブライ語で翻訳した。彼の死後、1982年までに改訂版を含む10の版が出版された。新世界訳聖書が引いた版は、ロンドンの「英国と外国の聖書協会」のために1892年と1937年、ドイツで印刷された。『王国行間逐語訳』1985年版はさらに1981年版も一覧に上げている。
J18
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1885年など
1885年、ロンドンのトリニタリアン聖書協会は「ヘブライ語のギリシア語聖書」の新しい訳を出版した。翻訳の業はイサク・サルキソンが手を染め、彼の死後、クリスチャン・デビッド・ギンスブルグが完成した。テトラグラマトンの源泉として用いられた最古の写しは1891年発行の第三版。1939年版、1941年版も調べた。
J19
ヘブライ語文:ヨハネの福音書
公開日付:1930年
1930年、T・C・ホートンがヘブライ語で「ヨハネの福音書」を翻訳した。パレスチナのハイファにある英国ユダヤ人協会によって出版された(『王国行間逐語訳』1985年版は、この参考書を1957年のモーセ・I・ベン・メアーの著作として一覧に上げている)。写しは、ニューヨーク市アメリカ聖書協会の図書館にある。
J20
参考書:ギリシア語聖書語句辞典
注:完全を期すため、「参考書」の見出し以下を見なさい。
J21
現代ギリシア語、エンファティック・ダイアグロット
注:完全を期すため、「参考書」の見出し以下を見なさい。
J22
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1979年
ヘブライ語での「クリスチャン・ギリシア語聖書」全編。エルサレムの連合聖書協会が出版した。
J23
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1975年
1975年、ローマでJ・バウチェが翻訳した「クリスチャン・ギリシア語聖書」全編。
J24
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1863年
1863年、ロンドンでヘルマン・ハインフェッタが「バチカン写本の文からの‥‥‥新訳聖書の逐語訳」を出版した。
J25
ヘブライ語文:ローマ人への手紙
公開日付:1900年
1900年、ロンドンでW・G・ラザフォードが「ローマ人への手紙」を出版した。
J26
ヘブライ語文:マタイの福音書
公開日付:1533年
1533年、ライプチヒでアントン・マーガリッサが詩篇とマタイの福音書1:1から3:6を出版した。
J27
ヘブライ語文:ギリシア語聖書
公開日付:1796年
1796年、ウィーンとプラハでドミニク・フォン・ブレンターノが”DieEligeScriftdes neuen Testaments ”(第三版)を著わした。
版参考
次の著作類は、ギリシア語Kyrios を置き換えるために『王国行間逐語訳』エホバ脚注で参照として使われた古代の版である。
Arm
版:ギリシア語聖書
日付:四世紀または五世紀(原本)
四世紀または五世紀以降のアルメニア版。しかし現存する写しは、9世紀から13世紀までのもの。写しは、モスクワ、イスタンブール、ベニスとアルメニアで見つかる。
It
版:古代ラテン語
日付:四世紀から六世紀
古代ラテン語版は、ラテン語を話すユダヤ人とクリスチャンの間に存在した。ジェロームは広い範囲で流通したラテン語ウルガータ訳を著わした。古代ラテン語版の系統は次のように区別される。 アフリカ系、 ヨーロッパ系、 イタリア系。二世紀ころに存在していた版もあるが、大部分は四世紀から六世紀のものである。
Sy
版:シリア語版
日付:464年から6世紀
シリア語聖書である。シリアのクリスチャンのためのヘブライ語聖書の翻訳。ヘブライ語文から直接、翻訳された。現存する写本は、464年ほどの日付であろう。
Sycは、カレトニア・シリア語訳を識別する。この版は四福音書の一部を含んでいる。
Syhは、七世紀、フィロキセニア・ハルクレイ改訂版である。元の版は、ハルケルのトーマスが著わした六世紀の東シリア、マブグのフィロキセニア版。
カレトニア・シリア語訳を識別する。この版は四福音書の一部を含んでい
Syh1は、エルサレム版(ヒエロソリミタス)である。六世紀と定められる。
Sysは、シナイ・コーデックルスで、四世紀または五世紀と定められる。福音書を含む。
Vg
版:ウルガータ
日付:405年
ラテン語ウルガータ聖書。初めにエウゼビオス・ジェロームによる古代ラテン語文を改訂した。本来のヘブライ語聖書とギリシア語聖書を参照する。383年から始まり、405年に終了した。
現代ギリシア語
次の参考書は、現代ギリシア語文とその関連する話題を支持していて、新世界訳聖書が引用するために用いる。
J21
現代ギリシア語:逐語訳
日付:1942年
この参考書は、長い題名である。「英語訳のための逐語訳付き、通常の新訳聖書(J・J・グリエスバック博士の改訂版に従う)の型式を取る原本のギリシア語を含むエンファチック・ダイアグロット‥‥‥新エンファチック版』。イリノイ州ゼネバの新聞編集者、ベンジャミン・ウィルソンが著わした。1902年、版権と原版がものみの塔に譲渡された。『王国行間逐語訳』1985年版は、ものみの塔による1942年の複版を一覧に上げている
ネストレ・アーラント
現代ギリシア語:ギリシア語聖書
日付:1979年
シュツットガルトで出版された標準クリスチャン・ギリシア語聖書の参考書、『ギリシア語新訳聖書』第26版。
UBS
現代ギリシア語:ギリシア語聖書
日付:1975年版
『連合聖書協会によるギリシア語新訳聖書』第三版。
参考書
以下は、クリスチャン・ギリシア語聖書におけるを支持して新世界訳聖書の翻訳者が引用した参考書である。
J20
参考書:ギリシア語語句辞典
日付:1963年版
W・F・モールトンとA・S・ゲデンが出版した『ギリシア語聖書語句辞典』。1897年にエディンブルグ(スコットランド)で出版された。1963年版が引かれていた。関心となる見出しは、を含んでいるヘブライ語文の一部を引用するΘΕΟΣ(Theos )とΚΥΡΙΟΣ(Kyrios )の下の聖書参照である。