訴状

被告 ものみの塔本部、団体

   エホバの証人フリモント会衆、団体

   ジョナサン・ケンドリック、個人

 

件名:性的児童虐待による損害に対する訴え

 

原告は次のように主張する

1 原告は成人。現在26歳。カルフォルニア在住。事件の秘匿性と個人情報の特性に鑑み、匿名とする。原告の本名と個人情報は告訴の送達時に被告に開示されている。

2 被告ものみの塔はニューヨーク州から認可された団体である。

3 原告は本件に告訴した被告の本名とその立場を認識していないから仮名として被告人1-10を訴える。被告1-10は以下に主張する件につき、怠慢を貫いた。それが原告の主張する損害への直接の原因となった。仮名の被告の本名とその立場が明らかになった時点でこの項目を修正する用意がある。

4 本件では被告エホバの証人フリモント会衆は団体であり、組織されており、所在地はカリフォルニア州。本件ではフリモント会衆は宗教施設を所有し、それを運営・監督し、管理人を配置している。エホバの証人の宗教を実践し、それを推進するために組織され、存在する。本拠をカリフォルニア州フリモントに置く。被告ものみの塔本部はカリフォルニア州フリモントに存在する該当の宗教施設を所有し、その運営・監督をし、管理人を配置した。

5 本件において被告ジョナサン・ケンドリックは個人であり、1954年1月31日生まれ。カリフォルニア州に在住。カリフォルニア州に性的犯罪者として登録されている。

 

 訟因第一

 怠慢

(被告ものみの塔本部とフリモント会衆だけに対して)

6 1994年から1996年までの間、原告は未成年だった。当時、原告は社会でエホバの証人として名の通った宗教集団の一員であり、そこに出席し、参加した。フリモント市に位置するエホバの証人宗教組織の一員であり、その組織は被告ものみの塔本部とフリモント会衆が所有し、管理し、運営し、管理人を配置していた。当時被告ケンドリックは自発的に加わり、活発な成員であり、会衆に参加し、関与し、フリモント宗教組織で会衆の指導的立場にあった。当時被告ケンドリックはアラメーダカウンティ内で複数回にわたり原告に性的虐待とわいせつな行為をした。被告ケンドリックはフリモントの宗教組織と会衆の仲間として、ボランティア成員として、また指導者としての信頼と職と権威を利用して、原告への性的虐待とわいせつな行為を実行した。

7 ものみの塔本部とフリモント会衆は、フリモント宗教組織内での被告ケンドリックの成員資格・参加資格の監督・管理を怠った。被告ケンドリックは当時、被使用者、代理人及びボランティアとして活動していたが、実際に注意をしてきた悪行と少女への性的虐待とわいせつな行為に関する犯罪歴という非行と危険を原告の家族にも、会衆の他の成員に知らせることを怠った。当時、被告らは、会衆の成員とその参加者、フリモント宗教組織の信者らと原告をケンドリックら犯罪人による性的虐待とわいせつな行為のリスクから保護するための合理的保護監督を実行すべきなのにそれを怠った。

8 ここまで主張したように被告らが怠慢だったから、原告は児童に対する性的虐待とわいせつな行為という身体的、精神的、感情的な傷を受けてしまった。保護と治療とカウンセリングのための医学的な出費を強いられた。就業の機会を失い、就業する資格を失った。原告には将来にわたってその損失が継続する。審問の少なくとも60日前に原告が被告に警告する。

 

第二訴因

故意・意図的行為

(ケンドリックのみに対して)

9 原告は再び1から8の項目を主張する。

10 当時、被告ケンドリックは未成年の原告に対し、意図的に、計画的に、故意に、かつ悪意をもって性的虐待とわいせつな行為を実行した。

11 前述した通り、原告はケンドリックの故意による計画的な行為により被害を受けた。そして当告訴状8に記した通り損害を受け続ける。

 

第三訴因

悪意のある行為

(ものみの塔本部だけに対する)

12 当時、被告ものみの塔本部とフリモント会衆の団体ポリシーを指示し、設定していた監督部門は集団的に「統治体」と呼ばれているエホバの証人宗教組織であった。当時、統治体はものみの塔本部やフリモント会衆などを始め、世界中の法律上の実体として活動していた。統治体はエホバの証人の実体が従うべき行政的ポリシーやプログラム、手続きのすべてを定め、認可し、それらを普及させていた。その中にはフリモント会衆の成員の活動から生じる児童への性的虐待を始め、その成員が関与する性的児童虐待の行為をどのように予防し、管理するかという事項も含まれている。ものみの塔本部とフリモント会衆を始めとして、エホバの証人の実体に対する性的児童虐待の問題に関係する統治体の管理上のポリシーと手続きは、監督の地位を維持するために選ばれた「長老」と呼ばれる責任ある自発的な代理人によって実行された。1993年から1996年にかけては、フリモント会衆の長老にはアブラハムソン、クラーケ、ラメルヂンが含まれていた。これら特定の長老らは当時、ものみの塔本部の代理人として働き、常にものみの塔本部及び法務部の直接の監督と指示と管理の元にあり、ものみの塔本部の同意と許可を得た上でしか長老として働けなかった。

13 エホバの証人の中では、「奉仕の僕」と呼ばれる管理的な立場に立つ人物がいる。フリモント会衆も含め、「奉仕の僕」は各会衆内で管理的な責任を負っていた。そして会衆内では重要な立場にあり、ものみの塔本部の許可と同意があった場合にのみ、その地位に指名された。ケンドリックは1990年、ものみの塔本部の命令によりフリモント会衆で「奉仕の僕」の地位に任命された。

14 1993年、長老アブラハムソンとクラーケは一通の報告書を受取った。ケンドリックが未成年のまま娘に対し、睡眠薬を飲ませた後に胸や性器に直接触れて、性的わいせつ行為をしたと書かれていた。またそのほかにも、ケンドリックがフリモント会衆内の家族以外の未成年の成員に不適切な方法で接触したという報告も受取った。長老アブラハムソンとクラーケはまま娘に対するわいせつ行為を認めた。それは両長老、ケンドリック、未成年のまま娘及び母親エプリンが出席した席でその一部が認められた。

15 1993年11月、長老アブラハムソンとクラーケは、ものみの塔本部事務所にわいせつ事件の書類を準備した。1993年12月、ケンドリックはものみの塔本部から「奉仕の僕」の地位を剥奪された。追加的な罰はなかった。ケンドリックはフリモント会衆において良い地位の成員として留まり、会衆のほかの成員と毎日の交わりを続けた。特に原告などの子どもたちとの交わりも含まれ、宗教の場での奉仕や集会、戸別勧誘、研究、会衆の公的行事をするエホバの証人の活動全般にわたる。ケンドリックはフリモント会衆の信者の子どもたちへ接近する手段としてエホバの証人内での良い立場を利用し、未成年の少女の中から原告たちを選択し、計画的に準備し、性的なわいせつ行為を実行した。

16 少女二人への性的虐待の犠牲者がいるらしいという報告を受取り、少なくとも子ども一人に対するケンドリックの最近のわいせつ行為を実際に知りうる立場にあったにもかかわらず、長老アブラハムソンとクラーケは意図的に、かつ故意にフリモント会衆のほかの成員に注意を促したり、警告をすることはなかった。ほかの成員とは、長老や「奉仕の僕」など管理する立場の者、子どもを持つ会衆内の成員親子、会衆の成員、フリモント警察、ケンドリックのさらなる性的児童虐待のリスクを負うほかの人々である。またケンドリックが行う原告など子どもたちへ接近を制限しなかったし、監督を怠った。また、長老アブラハムソンとクラーケは、ほかの長老や「奉仕の僕」などフリモント会衆を管理する立場の者、子どもを持つ会衆の成員親子、会衆の成員、フリモント警察などの人々に対し、少女二人への性的児童虐待の疑惑があるとする報告を秘密にし、ケンドリックの少なくとも子ども一人に対する最近のわいせつ行為を実際に知っていながらそれを隠蔽した。

17 長老アブラハムソンとクラーケがケンドリックの過去の性的児童虐待を隠蔽し、さらなる性的児童虐待のリスクを会衆のほかの成員に知らせなかったのは、ものみの塔本部からの特別な指図、命令、権威が原因である。ケンドリックの事件を秘密にし、ケンドリックによるさらなる性的児童虐待のリスクがあったのに原告ら少女を守ったり、警告をしなかったのは、その管理主体本部の統治体が発した守秘義務を求める書面によるポリシーを守ったためである。そのような情報をすべて隠蔽するとするポリシーは長老団への手紙で定められ、それは1989年、ものみの塔本部の統治体から発行された。現在でも有効である。守秘義務の目的が書かれている。長老やエホバの証人の実体に対する訴訟や法的問題を回避するためであった。

18 エホバの証人内での性的児童虐待に関するものみの塔本部の守秘義務は統治体において定められ、実行された。統治体はものみの塔本部の管理主体であり、エホバの証人内のさらなる性的児童虐待のリスクを実際に知っており、討議する立場にあった。それは権威ある出版物と文書の中で性的児童虐待の問題について特別に記述されている。性的児童虐待の詳細は1993年まで国内でも、若者にも、宗教関係者にも既知の事柄であった。知りうる立場にあったにもかかわらず、管理主体である統治体及びその代理人ものみの塔本部は、卑屈にも、子どもたちをエホバの証人内の少数の者だけしか知り得ない性的児童虐待のリスクにさらし、部外者には秘密にしていた。ケンドリックによるわいせつ行為のリスクを負っていた原告もその中に含まれる。ものみの塔本部が虐待者のリスクを承知していたことを知った犠牲者からの請求や訴訟を回避するといった自分たちの業務の利益、財務上の利益のためであった。

19 ものみの塔本部とその管理主体の権威の元に活動している長老アブラハムソンとクラーケの指導の結果、また、前述したように原告たち子どもの安全を個人的にかつ、意図的に無視した結果、原告は1995年から1996年までケンドリックが犯した性的児童虐待の被害を受け、損害を被った。

原告は次のような慰謝を強く求める。

1 経済的及び非経済的な損害賠償に対して。審問の少なくとも60日前に原告が被告に警告する証明に従う。第一、第二訴因に準ずる。

2 第三訴因だけに準じてものみの塔本部による著しい損害に対して。

3 訴訟費用に対して。

4 法廷が適切と思料する追加的慰謝料に対して。

                                          2012/5/3

                                           リチャード・J・サイモン

                                           原告側弁護士


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