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会報「JWの夫たち」バックナンバー

NO.4(97.9発行)
■巻頭エッセイ「ものみの塔宗教の今後を占う」/村本治

 ものみの塔宗教は今、大きな転換期にある。この判断はしかし容易ではない。常に教義の変更を繰り返してきたこの宗教が、今、特別な変換期にさしかかっているのかどうかを判断するのは困難である。

 しかし、多くの最近の進展は、今この組織が1980年代初期に経験したのと似たような大きな変換期に入りかけていることを示している。この宗教の根底にあるハルマゲドンの預言に関係した多くの教義、例えば「この世代」「羊とやぎ」の教義はすでに1995年に変更され、今後14万4千人の油塗られた者の教義が変更を余儀なくされるであろう。これに伴い、これまで独占的に「真理」を世界500万の信者に「霊的食物」として印刷物を通じてばらまいてきた「忠実で思慮深い奴隷」、すなわち絶対的な宗教権威を独占する統治体集団に関する教義にも変更の手が伸びざるを得ないであろう。

 一方、この数年のインターネットを通じたものみの塔宗教の告発と、エホバの証人の一部への働きかけは、あらゆる面で予想以上の効果を収めている。インターネットを通じてこの宗教の欺瞞に気付いたエホバの証人とその研究生の数は計り知れない。特に「改革派」を称するグループの台頭と、その中からの大量の脱退者の存在は、ものみの塔協会としても黙視できない問題である。協会はエホバの証人の自由な言論活動に、今までも飴と鞭の両面で対処してきた。協会は証人たちのインターネット使用に関しても、同様の態度で臨んではいる。しかし、これ以上のインターネット攻勢に対して協会はどこまで多くの信者のマンドコントロールの手綱を操ることができるだろうか。インターネットがますます普及するにつれ、協会は何らかの規制を設ける必要に迫られるかもしれない。

 ものみの塔宗教は今後どのように変化するであろうか。大部分の信者は日々の生活と、奉仕や集会に忙しく、インターネットに接する機会も無く、相変わらず組織に留まるのではないだろうか。一方組織は今後ますます教義の変更に迫られ、次第にカルト的非常識な教義を捨て去り、より常識的な「体制的」教団に変貌していくように思われる。歴史的に見て、モルモン教はエホバの証人と多くの共通点を持ち、同じ様な変貌を遂げた。モルモン教と同様、ものみの塔宗教は変貌を繰り返しながらも大教団として存続し続けるであろう。

 近い将来にこの組織が他の泡沫カルトと同じ様な自己破滅の道に進むことは、私は予想できない。何時の世にも、どこの世界にもこのようなカルトに依存しなければ生きられない人々のいることは悲しい現実である。私たちの活動が欺瞞的情報に基づいてこの組織に迷い込んだ人々の救済に役立てば、それ以上を望むことは困難ではなかろうか。



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