第13章 大問題を抱えている

 ものみの塔本部は大きな問題を抱えている。協会の教義をよく理解しているエホバの証人が少ないからではない。ほかでもない。この教団を滅ぼしかねない大問題を抱えているのだ。
 まずはそれを私に説明させて欲しい。
 イエスが1914年に目に見える形で再臨した後の1918年頃、エホバが地上のすべての宗教を査察したと、エホバの証人は信じている。するとエホバの証人を唯一の例外にして、その他のすべての宗教は邪教だと断定した。真理を分かっている人々の群れが一つだけあったとエホバが断定したのは1918年頃。ご承知の通り、その唯一の例外とはエホバの証人であった。
 エホバの証人によると、エホバは協会を介して働く決断をし、エホバは油注がれた級(144千人)を仲介して働くことを決断をした。油注がれた級とは、マタイ25章に書かれている忠実で賢明な奴隷であり、彼らを通してエホバは世界中の証人に給食を施す。
 証人の宗教にとって、それは長年にわたって教義の中心であり続けた。油注がれた者(144千人)がいなければ、エホバは活動しない。エホバの証人の中核となる教義である。忠実で賢明な奴隷級がいなければエホバからの霊的給食は供されない。私たち全員が組織に従わなければならないのには理由がある。エホバからの霊的食物を得て、「ものみの塔」誌のような出版物を通して霊的食物を証人に施しているのは「油注がれた者」だ。
 今のところ、実際の「油注がれた者」は基本的にはものみの塔協会の会長を指す。
 1920年代からラザフォードが死ぬ1940年代までエホバが霊的食物を施すために用いた「油注がれた者」のひとりはアル中のラザフォード判事という意味だ。
 1940年から70年にかけて、その級は少しばかり拡張された。ノア兄弟とフランズ兄弟は基本的に出版物に書かれる記事を承認する立場にあった。彼らも「油注がれた者」だった(エホバの証人は144千人だけが油注がれていると信じている――これは忘れないで)。
 ノアとフランズが死んだ1980年代以降、その権力は「油注がれた者」に譲渡された。それが統治体と呼ばれる機関だ――それは基本的に組織に入っていた壮年・老年のエホバの証人だ。統治体に入るには、油注がれた者でならなければならない。そうであれば「大群衆」に神の御言葉を与える責任を担う忠実で賢明な奴隷の一員になれる。統治体の成員は、18人程度だ。ここで火種がある。
 ハルマゲドンは起きてほしくないなんて、エホバの証人は決して思わない。だから、エホバの証人の時計の歯車は狂ってきた。エホバが50年もハルマゲドンを起こさないと、油注がれた者は全員、死んでしまう(なぜなら油注がれた者の選抜は1935年に完了しているからだ)。
 最後の油注がれた者が選ばれてから70年。ハルマゲドンが起きない期間で70年を過ぎた。ものみの塔協会の統治体に残っている者は相当に老いぼれているから引退するか、身を引くかしかない。すなわち、それは責任者としてとどまっている者は「大群衆」のメンバーであるという意味である。油注がれた者ではない!! エホバの証人が解決できない難問が待ち構えていた。「大群衆」は油注がれていないのだから、羊は羊を牧することができない。「大群衆」は羊だからだ!!
 思い出してください――エホバの証人の教義に拠れば、神は査察してから正しい宗教が無いと分かった。だから忠実で賢明な奴隷としてエホバの証人の144千人の級(油注がれた者)を選んだ。エホバの証人によると、エホバは霊的な油注がれた級を通してでなければ、活動しない。唯一、霊的食物を施せ者は、油注がれた級であった。現在では、油注がれた者の大多数は死亡し、指導者として機能するには老け過ぎている。だからエホバの証人は油注がれている証人が運営する組織を持っているなんて言えなくなっている。機能するはずがない! エホバの証人の教義が根底から崩されている。
 油注がれた者がいないとどうなるか。油注がれていない者、エホバから選ばれていない「大群衆」の平凡なメンバーによって運営されている組織に証人は入っている。エホバの証人だけが真理の中にいるなんて、行き当たりばったりに、かつ大胆によくも言えたもんだ!!
 エホバの証人の神学によれば、「大群衆」は聖霊に満たされていないし、エホバの証人の本部を運営する権限を持たない。「大群衆」は「大群衆」に過ぎない。いつから羊が羊を牧しているんだ!! 羊は羊に食物をやらない!!
 「大群衆」は聖霊に満たされていないし、神から油注がれていないという偽りの教義がエホバの証人の思考回路を狂わせている。「大群衆」にものみの塔協会の責任を負わせるなんて、過去百年以上エホバの証人が教えてきた教えにまったく逆行している。正直な心を持つエホバの証人をはっきりと目ざめさせる出来事が将来、起こることを祈るし、それを期待している。どうか、それを祈ってください

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