「新しい歴史教科書をつくる会」記者会見メモ 1996.12.2
                  

I. 声明文朗読

II.  今までの歴史教科書の叙述姿勢のどこに問題があったか
 1. 歴史教科書の執筆者が過去を今の価値観だけで語り、あったがままの過去に立
ち戻り、当時の人の身になってみようとしていない。
 2. 教科書執筆者が何かを敵視し、日本(ないし世界)のどかにいる何かに向けて
石を投げている姿勢だけが貫かれている。
 3. 日本はある意味で成功した国家ある。成功を説明することができていない歴史
は歴史にならない。
  (ひどいイラストの例三枚をお見せする)

              (西尾幹二)


III . 中学検定教科書からの「従軍慰安婦」の項の緊急削除を要求する
   (12月中に文部大臣が指令を出せば印刷に間に合う)

 慰安婦の前に「従軍」を付けた「従軍慰安婦」なる造語を、わざわざ子供に記憶さ
せる歴史教育って奇妙ではないか?戦地での慰安所は公娼制度のあった当時の遊郭の
ようなものである。軍は関与した。「業者の強制連行を防ぐように命令を出す」とい
う関与をした。その証拠はある。軍の犯罪、国の犯罪と主張する側は、なぜ「立証責
任」を果たさぬまま、世論を誘導して「冤罪」を作り出そうとするのか?インドネシ
アでは2万人の兵隊に2万2千人の慰安婦が賠償金を求めて名乗りを上げる珍事も発
生している。すべて反日運動家の謀略である。私たちは、従軍慰安婦の記述を教科書
から削除することを要求する。
               (小林よしのり)


IV 現行の教科書と教科書制度の問題点の検討

 1. 教科書と教材について
  (a)日本と外国の歴史教科書を比較検討する
  (b)日本の小中高の歴史教科書を分析する
  (c)日本の小中高の教師用指導書を批判的に検討する

 2. 教科書制度について
  (a)検定制の見直し
  (b)無償配布制度の再検討
  (c)教科書採択の実態の解明

                (高橋史朗)


V 新しい歴史教科書をどうつくるか

 1. 歴史には倫理的評価(侵略戦争か否か、平和的か否か)以外にも多様な観点が
ある。国際社会の中での日本の過去を見る視点をできるだけ多様化し、多彩な観点を
導入する。
 2. 国内史の理解のために、従来のような支配・被支配というテーマから、むしろ
競争を通しての統合というテーマへ切りかえていく。
 3. 全体として批判もしくは弁護という姿勢ではなく、過去の人々への共感を通し
て叡智を汲みとるという態度で記述していきたい。私たちの父母の歴史という視点が
大切である。
 4. 外国とりわけ近隣諸国の歴史のより詳しい紹介と内在的理解に努めたい。

                (坂本多加雄)


 以上を通じてわれわれは、賢明・公正・明朗な日本国民の形成に寄与する新しい歴
史教科書をつくり、世に問うことを申し合わせている。各界のご理解ご支援をお願い
したい。