今話題の靖国神社 |
8月15日だから問題、「A級戦犯が合祀されている」から問題なのではありません! |
はじめに小泉首相は中国や韓国の強い批判にもかかわらず靖国神社公式参拝を強行しようとしています。 「戦没者に対する心からの敬意と感謝の気持ちを込めて、8月15日に参拝する」、「日本の繁栄は尊い犠牲の上に成り立っている。純粋な気持ちを参拝で表す」、「靖国神社に参拝することが憲法違反とは思っていない」、「A級戦犯が祭られているからいけないとも思わない」、「首相として参拝する必要がある」、「(中国・韓国との関係について)参拝してから、どういう改善方法があるか考える」・・・・ 彼はこう主張して強行しようとしています。 ◆なぜ、小泉首相は靖国神社参拝にこだわるのか。 靖国神社 大鳥居 |
大鳥居をくぐると長い参道が続く |
だまされてはいけない!小泉首相は「二度と戦争を起こしてはならないという気持ち」で靖国神社へ参拝するという。しかし、靖国神社へ行って見れば、それがいかにごまかしであるかすぐに分かる。 右翼のメッカ11時に地下鉄「九段下」駅に集合して地上に出てみると、靖国通りには巨大なスピーカーで軍歌をがなり立てながら、真黒や真白に塗りたくり「日の丸」を掲げた街宣車が何台も走っている。 大鳥居の前で、簡単なオリエンテーションをしてから境内に入ってゆくと、第二鳥居のところに、異様な一団がいる。枯草色の迷彩服に身をかため「日の丸」を先頭に先ほどの右翼が行進をしている。 カメラでその様子を写すのも勇気がいる。そばをすれ違うのにも思わず距離をおいてしまう。こんな異様な集団が少なくとも3グループはいた。 小泉首相に問いたい!彼らは何を祈りに靖国へ来ているのか。あなたが参拝の理由としている「哀悼の誠をささげる」、「祖国のために命を亡くした人に敬意を表す」というのと彼らと何が違うのか! |
第二鳥居の前に堂々と駐車する街宣車−靖国神社と右翼とは相性が良い? |
中から出てきた右翼の人たち。隊列を組んで神門から入って行く。 |
思わず手が震え画像がブレた |
「菊のご紋」と「日の丸」、何ともいえぬ威圧感第二鳥居を過ぎてさらに奥に進むと「神門」がある。大きな観音開きの扉には、これまた巨大な「菊のご紋」がついている。 その奥に中門鳥居と拝殿が続く。ここでも身の丈以上もある巨大な「日の丸」をいくつも掲げた人間がゆっくりと拝殿に近づき、最敬礼をしている。これも異様な雰囲気だ。
拝殿の奥を覗き、当然ながら拝礼はしないで戻ってくるが、こうしたささいなことさえ許さないような雰囲気がある。 神門の扉。大きな「菊のご紋」。 |
二人づれの横を通る巨大な「日の丸」を抱えた人。奥に見えるのが拝殿。 |
天皇と国のために戦えば何でも神?! 拝殿から引き返し、左手に曲がって遊就館(資料館)へ向かう。面白いものに出くわす。馬の銅像、犬の銅像、そして鳩の銅像だ。しかしあなどってはいけない。これらも皆、立派な慰霊の対象なのだ。それぞれ軍馬、伝令・捜索・襲撃に使われた軍犬、そして軍の通信用の伝書鳩の慰霊像なのである。 軍事通信用に使われた伝書鳩の慰霊碑。奥に見えるのは軍用犬の慰霊碑。 どう考えたって戦争賛美 遊就館の入り口付近には更に驚くべきものがある。実際に使われたという大小さまざまな大砲、戦艦「大和」の主砲弾(これだけはレプリカ)、戦艦「三笠]の主砲弾、極めつけは人間魚雷「回天」などなど。どれもみな実物を展示してある。そんな中に何と場違いなC56型機関車も展示されている。子供にも飽きさせないようにとの配慮かと思ったらとんでもない!タイ・ミャンマー(当時はビルマ)間を結んだ泰緬鉄道*1の開通式に参加した蒸気機関車であった。どこまでも戦争賛美は続く。
*1「映画『戦場にかける橋』で有名」と靖国神社の説明には書いてあるが、日本軍が連合軍捕虜や東南アジア各国の人々を強制連行・強制労働で建設した「死の鉄道」とも言われる。 戦艦「大和」主砲の弾丸 |
実際に使われた大砲 |
靖国で学ぶ−日本の近代は侵略戦争の繰り返し。遊就館で学ぶ−靖国は都合の良いことだけ並べる。 遊就館(資料館)は改築中でその隣の護国会館2階で特別展示をやっていたのでそれを見学する。タイトルからしてそれらしい、「かく戦えり。近代日本」。小泉さん「二度と戦争を起こしてはならない」なんて気持ちは靖国神社には少しもありませんよ!どうしても行くんだったら、本殿だけではなく、数々の兵器の展示や泰緬鉄道機関車、「かく戦えり。近代日本」展示へも行ってテレビに収まるべきだ。国民は靖国神社の意味と、あなたの真意をすぐに理解するに違いない。 この展示は批判的に注意して見れば、「反面教師」として非常に価値のある教材だ。靖国神社が誰を神として祀っているのか、それを解説している。明治維新で倒幕側に立った志士から始まり、日清戦争、台湾出兵、北清事変(義和団事変)、日露戦争、シベリア出兵、満州事変、日中戦争、太平洋戦争、そして「A級戦犯」(靖国神社では「昭和殉難者」としている)等々。 このように並べて見れば、明治維新以降の近代日本の戦争は全て侵略戦争だったことが良くわかる。しかし、靖国神社の展示では、これらの戦争が「近代日本の建設」、「国を守る」戦いとして説明されているのである。そして兵士達がいかに勇敢に「お国のため」、「大儀」のために戦ったのかが延々と解説される。 特徴的なのは、アジアでの戦争犠牲者、戦争に巻き込まれて犠牲になった一般住民についての解説は一切ないこと。戦争のむごたらしさ、悲惨さについても一言の解説もない。これを素直に見るならば「戦争を起こしてはならない」という考えは全く浮かんでこない。「日本軍は負けたが大儀のために戦った姿はすばらしい」ということしか浮かんでこない。 やはりここは「軍事的宗教施設」、「宗教的軍事施設」というのがふさわしい。 もう一度、小泉首相に問いたい!中国、ベトナム、タイ、ビルマ、南太平洋の島々で死んだ兵隊が何故、「祖国のため命を亡くした」ということになるのか。天皇と軍部の命により「侵略戦争に行かされ、祖国をはるか離れたところで命を失った」というべきではないのか。 靖国神社は平和を祈念する場所ではない! 靖国神社は日本の過去の侵略戦争を、都合の悪いことは一切隠して、正当化する場所だ! |