反戦運動からのオバマ大統領の演説への抗議
ANSWERの声明

The anti-war movement responds
to President Obama's speech
Statement from the ANSWER Coalition


米オバマ大統領は12月1日、再びアフガンへの3万人の兵士の増派を命じました。
これに対する、ANSWERの声明です。

ブッシュからオバマへの政権交代で
「大統領の個性は変わったが、軍事、戦争そして絶対支配の諸制度はなんら変わることなく残されている」
と大変鋭い指摘をして

「真の変革は下から生まれ出てくるのだ」
としてアメリカ帝国の暴力と占領支配を終わらせる行動を力強く呼びかけています。

普天間問題で日本の鳩山新政権が後退を始めていることに対して
我々に対しても日本で闘う決意を新たにさせるものです。


ウソと真実:撤退計画で戦争拡大をごまかす
Rhetoric and Reality:
Masking War Escalation as a Withdrawal Plan



 米国はアフガニスタンでの戦争に勝利することはできない。バラク・オバマが大統領に就任したときには戦争に負けていたのである。2009年3月、オバマ大統領は3万人の兵士を増派した。米とNATO軍は結果を逆転させるどころか、更に地歩を失った。そして今、オバマ大統領は更に3万人の兵士をアフガニスタンへ派遣したのである。

 アフガニスタン戦争の劇的ともいえる拡大の発表に対してあがってくる反対の声をそらせようとして、オバマ大統領は同時に2011年7月に米国の兵士の撤退を開始すると断言した。

 軍司令官と幕僚長、そして今やホワイトハウスも軍事的後退の責任を取ろうとしない。大統領は勝利できないことを知りながら、それでも尚、軍を撤退させようとしない。リーダ達は誰も責任をとろうとせず、それどころか数千人を死に追いやろうとしているのである。

 ブッシュとチェイニーはいとも気楽に考えて侵略を命令した。彼等はイラク侵略も簡単にいくだろうと考えた。彼等はイラン、シリア、そして北朝鮮の政府を一掃しようとしていた。この「偉大な国民(アメリカ)」という傲慢さと、議会の堕落した政治家階級の黙認によって育てられた植民地主義的な幻想(ファンタジー)が現在の終わりなき戦争という惨禍の舞台を整えたのである。

 アフガン戦争が始まって八年経過した今、140を超えるアフガンの武装グループが米の侵略に対抗し、国土の大部分を支配している。アフガンの人民にとっては、米による占領は、自分達の国が植民地として乗っ取られたことになるのだ。9月11日は口実にすぎなかった。飛行機をハイジャックしたのはアフガン人でもイラク人でもなかったのだ。アフガンの人民はヴェトナムの人民と同じく、自分達の国における外国の軍隊による占領を決して受け入れることはないのだ。

 1968年の大統領選においてニクソンはベトナムに対する「秘密の平和プラン」という公約を掲げていた。
しかし、この"平和プラン"というのはヴェトナムへの爆撃の更なる強化、カンボジアへの戦争拡大、さらには"ヴェトナム化"、すなわち南ヴェトナムでの米の"顧問"の指揮に置かれた傀儡軍の発足させるということであった。傀儡軍は日毎に嫌悪の度合いが増す戦争においてアメリカ軍の代わりに戦闘し、死んでいくということになっていたのである。

 アフガンに対する新たなプランでは爆撃、無人飛行機による爆撃の強化、さらには"アフガン化"、すなわち米軍の指揮官によって訓練・指揮を受けた傀儡アフガン軍の設立を目的としている。これはオバマ大統領による、パキスタン人民への大規模爆撃の拡大に続くものである。

ブッシュの政策--オバマの政策

 オバマが大統領としての宣誓を行った1月20日、ジョージ・W・ブッシュを乗せた政府のヘリコプターが離陸し、ワシントンから去っていくという儀式によって、一時代が終わり、新しい政権がスタートしたことが示された。

 これはなかなかの見物であった。ブッシュを乗せたヘリコプターが就任式に集まった人の群れの上を去っていくと、地上の数百万の人々は思わず喝采の声をあげたのだった。政権の交代の公式な華やかさがブッシュと彼の政治を憎んだ人々の上機嫌によって圧倒されたのだった。

 では、権力の移譲は行われたのだろうか? 大統領の個性は変わったが、軍事、戦争そして絶対支配の諸制度はなんら変わることなく残されているのである。

 オバマが大統領に就任してから、アフガンに駐留する米軍隊の数はほぼ倍増している、しかもこれは3万の新たな増派の前のことである。

 ブッシュが去って一年に満たない今、実際にはブッシュの在職期間中のどの時期よりも多くの軍隊がイラクとアフガンを占領している。正式な軍隊、傭兵、請負人を合わせれば、2010年の半ばまでには、アフガン、イラクの二国に約50万もの米国人が駐留しているということになる。

 深刻な経済的危機の状況下、数千万人が職を、家を失っている現在、アフガンとイラクにおける戦争と占領の戦費は既に年間2250億ドル、二日で十二億ドルを上回っているのである。戦争を拡大することでこの戦費(コスト)は更に拡大することになるのだ。

 この戦争は"危険にさらされているアメリカ人民の安全"を守るためのものではない。本当にそうであるなら、戦争からの離脱計画が語られたり、撤退計画が発表されたりするはずがないのだ。

 これから、米国内においては反戦運動がますます活発化することになるだろう。今夜もそして明日も全国各地でデモが行われている。

 2010年の3月20日の日曜日には数万人がワシントンで反戦の行進を行い、これに呼応してサンフランシスコ、ロスアンゼルスでも大衆行動が予定されている。
 
 真の変革は下から生まれ出てくるのだ。失業、差押さえ、立退き、貧困に苦しむ数百万もの大衆からこそ生まれ出てくるのだ。高騰する授業料が払えずに大学を追放される若者達からこそ生まれ出てくるのだ。労働者階級の家庭の子供達こそが、"国の安全"のためだと言われて(戦場で)血を流し、殺人を行っているのだ。

 この戦争は我々のための戦争ではない。絶対支配統治のための戦争であり、占領軍にとっては悲惨な結果となった戦争なのである。アメリカが戦争に敗れたと思われないために、これから更にどれだけ多くの人間が死ぬことになるのだろう。

 ANSWER 同盟は、数々の諸組織と連帯し、戦争終結を願う数百万の人々の声に共感し、今日、明日、そしてこれから数カ月にわたって街頭行動を行う。これこそがアメリカ帝国の暴力と占領支配を終わらせるための唯一の手段なのだ。


アフガニスタンの人々の個人を特定するための登録のために
虹彩の写真をとる米兵
---戦争が植民地支配であることを示す証拠