何の大義も正当性もなく、国際法にも違反し、世界をテロと戦争の暴力の連鎖に引きずり込むこの戦争を直ちに停止させ、米・英軍を撤退させることを要求します

ブッシュ大統領宛の申し入れ書


4月4日に米大使館へ提出

ジョージ・W・ブッシュ大統領 宛

申し入れ書

  イラク戦争には何の正当性もありません。「イラクの大量破壊兵器の廃棄」、「フセイン政権打倒によるイラク民衆の解放」がこの戦争の理由とされています。
 しかしこの戦争をはじめた当のアメリカこそが、核兵器をはじめとして世界最大・最強の大量破壊兵器保有国であることは誰も疑いえないところです。そのアメリカが、存在さえ疑わしいイラクの大量破壊兵器について、その疑惑を理由として先制攻撃をしかけることは明らかな国際法違反です。アメリカは自分自身の大量破壊兵器保有に対して廃棄を要求され攻撃を仕掛けられることを認めるのでしょうか。アメリカ自身が既に自分の論理において矛盾をきたしています。

  米英軍がイラク領内へ侵略を開始して以降、イラク民衆は米英軍を「解放軍」として歓迎してはいません。フセイン政権がどんな政治体制であろうとそれを変革することはイラク民衆自身の問題であります。他国から武力でもってその国の政治体制を変更することも明らかな国際法違反です。

  人口密集地である首都バグダッドへの空襲により、すでに多くの子どもをふくむイラク民衆600人以上が犠牲となっています。バスラの包囲と攻撃により、住民は水や食料、医薬品の欠乏により危機的状態にあるとも報じられています。
 ブッシュ大統領、あなたは、この悲惨な事実をどのようにお考えですか。ブッシュ大統領、あなたは人間として、あなたの命じた軍がこのような状態を作ったことに、大きな責任があるはずです。イラクの民衆もまたあなたの国の民衆と同じ人間である、とあなたが思われるのなら。

  今、計画している米・英軍のバグダッド攻略、地上戦はイラク軍とイラク民衆の決死の抵抗を生み出し、人類の歴史上でも特筆される大量殺戮の修羅場が現出される可能性があります。
 今からでも遅くありません。直ちに戦闘を停止し米英軍を引き上げ、戦争を中止することを要求します。

  米軍はこの戦争において劣化ウラン弾使用を認めました。劣化ウラン弾は大気中に極めて微小な放射能のチリを拡散させ、その放射能汚染はほぼ永久と言ってよい長さで地球上に残ります。これは新たな核兵器そのものです。すでに湾岸戦争症候群として米国兵士にも影響が出ているではありませんか。イラクにおいても特に子どもたちのガン、白血病、先天性障害の明らかな増大と言う形で影響が現れています。
 米政府と米軍当局は既にこの事実と影響を承知しているはずです。それにもかかわらずその事実を伏せ、「影響は微小だ」として劣化ウラン弾を使用することは極めて悪質な戦争犯罪であり人類への挑戦です。
 私たちは劣化ウラン弾使用を直ちにやめることを要求します。

  9.11テロ事件以降、米国はアフガニスタンを攻撃し、イラク戦争を開始しました。ブッシュ大統領はこれを「テロとの戦い」と位置付けています。しかしアメリカの圧倒的な軍事力を背景とした、一方的な決め付けによる攻撃開始、侵略戦争そのものが、アフガニスタンやイラクでの多くの犠牲者を生み出しています。アフガニスタンでも、イラクでも、そして全世界で子どもたち、若者がこの不条理で何の正当性もない戦争による悲惨な結果を見ています。このことが、新たに多くのテロの芽をばら撒いていることは明らかです。
 何の大義も正当性もなく、国際法にも違反し、世界をテロと戦争の暴力の連鎖に引きずり込むこの戦争を直ちに停止させ、米・英軍を撤退させることを要求します。

 

2003年4月4日

ピース・ニュース