映画の紹介 |
監督ミカ・X・ペレド 「女工哀歌」 (原題CHINA BLUE) 2005年米 |
主人公ジャスミンは16歳、四川省の農村から広東省に働きに出る。生まれて始めて乗る列車は、同じように大きな荷物を持った出稼ぎ労働者であふれている。 丸二日かけて着いた工場はジーンズを縫い上げ欧米に輸出している。ジャスミンは糸切り係にまわされ一日中ミシン糸を始末し糸くずを取る。時給は0.5元、朝8時から働いて夜7時を過ぎると残業代がつくという契約だ。毎晩日付が変わるまで働き、出荷前は夜明けまで仕事が続く。休みはほとんどない。工場の中に住み部屋と職場を往復するだけ。食事を取る場所さえない。 輸出先からの視察団が来ると、工場主はちょっと突っ込めばわかる程度のインチキを答えさせる。視察団はうわべだけで満足して帰っていく。彼等に大切なのは品質と納期だけである。 工場主は貧農の出身だ。苦学して警察に入り署長にまでなったが、退職して会社を立ち上げた立身出世の見本のような人物だ。朝から晩まで精力的に働き、工場中に監視カメラを置いて自分でチェックする。労働者は目を離すとすぐ怠けると信じている。 業績は拡大を続け、仕事はいくら働いても終らない。それなのに給料は遅配が続く。あまりの状況に彼女達は就業を拒否し、交渉を求める・・・。 多くの妨害にもかかわらずこの映画を撮影し完成させた監督に感謝したい。 山のように積み上げられたジーンズとその陰でひと時眠る労働者の姿、ひたすらファスナーだけを、あっという間に縫い続ける姿。人をパーツとしてしか扱わない工場の内部を赤裸々に映し出す。だが少女達はへこたれない。夢を語る表情は美しい。 ラストの映像はすごい。世界で一番儲けているのは誰かを強く訴える。 世界中で給料遅配の末倒産していく企業が一挙に増えている。彼女達は今どうしているのだろう?一瞬は呆然とたたずむかもしれないが、決してそのままではいないにちがいない。そう感じさせる映画である。 |
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公式HP http://www.espace-sarou.co.jp/jokou/index2.html |