本の紹介
ADDICTED TO WAR Why the U.S. Can't Kick Militarism |
戦争中毒 アメリカが軍国主義を抜け出せない本当の理由 |
ジョエル・アンドレアス−著 きくちゆみ−監訳 グローバルピースキャンペーン有志−訳 合同出版 |
引き込まれる漫画本である。アメリカの戦争中毒 ─Addicted to War─ がいつからどこから引き起こされているのかをとてもわかりやすく伝えてくれている。
「アメリカはなぜいつも戦争を始めちゃうの?」 この問いに答えようと著者が「戦争中毒」の初版本を発行したのは1993年1月、湾岸戦争でのマスコミの報道に対し、別の情報を提供しなければと考えてのことだったという。改訂版を準備中9・11事件が起き「対テロ戦争」の章を加えたこの本は、今年(02年)春に刊行された。その後半年で2万部が米国の活動家中心に大学生や高校生にも読まれている。
1776年イギリスから独立して以来、アメリカ合衆国の歴史は侵略戦争の連続である。第2次大戦後は「世界の警察官」を名乗り200回以上の軍事介入を繰り返し、特にソ連崩壊後の「弱小国」への侵略はやりたい放題だ。先住民とメキシコへから始まってフィリピン・カリブ海諸国・ハワイ、さらに他国と連合しての中国・ロシアへの侵攻、朝鮮・ドミニカ・ベトナム・レバノン・グレナダ・リビアと一つ一つを列挙するだけでもすごい。
9・11事件後、「なぜあの人たちはこんなことをしたの?」という問いにマスコミはほとんど答えない。この本は事件以前から書かれているものではあるが、まじめな問いかけにわかりやすくこたえている。軍需産業や石油産業・銀行をはじめとする大資本の経営者たち・政治家・軍人たちが何を行っているか、そのためにアメリカ国民の生活さえもがどれくらい犠牲になっているか、さらにアメリカの国内での反戦活動の紹介まで盛りだくさんの内容がギュッと詰め込まれている。
アメリカの戦争は世界中を巻き込んでいく。それどころかアメリカの始める戦争に加担し利益のおこぼれを享受しているのが日本の支配層であり、そのつけを支払わされているのは私たちだ。
「もうけるのは だれだ?」「支払うのはだれだ?」「そして、死んでいくのはだれだ?」このことを考え行動していくのはアメリカ国民だけでない。日本に住む私たちにも共通した最重要課題ではないだろうか。