有事立法ニューススクラップ帳
国会での混乱の一方で有事立法の制定の動きか進んでいます。
有事立法関連ニュースを集めました。有事立法反対の行動や学習に役立てて下さい。

7/1〜7/31


                 しばらくお休みします

 米ブッシュ政権は、なりふり構わずイラクへの攻撃準備と戦争挑発を続けています。早ければこの秋にも攻撃を開始する可能性があります。日本の有事法制は、このブッシュのデタラメな戦争を直接にしろ間接にしろ支援し、それに加担するものであることは間違いありません。したがって、この「有事法制ニュース・スクラップ帳」も内容を拡大させて、これらの動き全体を捉え追及するものにしていく必要があると考え、いま準備中です。そのため、秋の有事法制反対の闘いがホットになる時期には再開するとして、いったんここで本スクラップ帳をお休みさせていただきます。

                     2002年8月2日

                      ピース・ニュース

7/31

有事法案継続審議に抗議する! 有事法制整備責任者への安倍官房副長官起用を許すな!

衆院有事法制特別委員会は31日午前、有事法制関連3法案を継続審議とすることを与党3党の賛成多数で決めた。これだけの多数の国民の反対にもかかわらず、廃案とせず継続審議としたことに強く抗議する。われわれは、つぎの臨時国会での廃案に向けて、さらに運動を強化していくであろう。

・小泉首相は31日、国会内で自民党の山崎幹事長と会談し、継続審議となった有事関連3法案に盛り込まれなかった国民保護法制などの整備について、安倍晋三官房副長官を責任者とする方針で一致したという。これはとんでもないことである。

・5月31日福田官房長官が非核三原則見直し発言をし大問題となったが、この安倍官房副長官は、その前の5月13日、早稲田大学での講演で、無茶苦茶な発言をしている。@ミサイル注入段階で攻撃しても専守防衛、A攻撃は兵士が行くと派兵になるが、ミサイルを撃ち込むのは問題ない。日本はそのためにICBMを持てるし、憲法上問題はない。B小型核兵器なら核保有はもちろん核使用も憲法上認められている。都市攻撃はダメだがミサイル基地の核兵器による先制攻撃は専守防衛だ。こんな信じられないような発言をしているのである。憲法を真っ向から否定するのみでなく、今までの政府見解からも全く対立する発言をしているのである。

・このような人物が「国民保護法制」整備の責任者になったらどんなことになるか、火を見るよりも明らかではないか。国民を馬鹿にするのにも程がある。断じて許すことはできない。

7/30

鳩山民主党代表、秋の臨時国会で有事法案の対案提出の意向表明。横路氏は「有事法制は不要」

・民主党の鳩山代表は30日、有事関連法案に関して「政府案と全く違う、質の高い法案として提出する勇気を持ちたい。われわれの考えている緊急事態法制を法制化することも考える」と述べ、今秋の臨時国会にも党としての対案を法案にして提出する意向を明らかにしたという。

・一方、9月の民主党代表選に出馬する意向を示している横路衆院議員が8月6日の正式出馬表明で発表する政策提言の原案が明らかになったが、有事法制の整備について「自衛隊法などが緊急事態に対処する法として施行されており新法制定は不要」と明記して、緊急事態法制は必要とする党見解に真っ向から反対している。

・また、29日に開かれた民主党憲法調査会(鳩山代表の諮問機関)総会は、憲法改正論議に関する最終報告を基本的に了承したが、その報告書では、「さらなる論憲を進めて創憲へ」と掲げ、9条改正を選択肢の1つとして明記したほか、憲法改正手続きの緩和も求めるなど、新憲法制定を視野に入れる姿勢を初めて明確にしたという。

・民主党が反対しつづけたことによって、有事法案の今国会成立を阻止することができたことは間違いない。しかし、民主党の反対姿勢は不安定で危うい。この国会休会中も与党との修正協議にいつ乗るか分からない。だから、反対運動がやらなければならないことは、民主党が動揺しておれないような国民の反対世論を築くことであり、さらに横路氏らと連携して民主党を監視し突き上げることであろう。

7/29

今秋国会で有事関連法案は「必ず成立を期す」/与党党首会談

・小泉首相と公明党の神崎代表、保守党の野田党首は29日、首相官邸で与党党首会談を開き、秋に臨時国会を召集したうえで、今国会で継続審議となる個人情報保護法案を修正し、有事関連3法案と併せて成立を図る方針を決めた。

・31日の国会閉会を前に開かれた党首会談では、重要法案の扱いなどに関する7項目の合意文書をまとめた。その中で、有事関連法案については、「衆院で継続審査とし、閉会中に国民保護法制などの作業を進め、臨時国会において必ず成立を期す」とし、個人情報保護法案については、「政府原案を継続審査とするが、閉会中に表現の自由を侵すものでないことをより明確とするなどの与党修正案をまとめ、臨時国会で提案し成立を図る」としている。

・政府・与党は国会休会中も含めて「臨時国会での成立」に向けて全力投球してくる。反対運動側がこれに対して手をこまねいていたら、取り返しのつかないことになってしまう。さらなる地道な反対世論作りを中心にして、この約2ヶ月をつぎの闘いのために有効に使っていくことが求められている。

7/29

有事法制整備に5作業班、臨時国会成立めざして。憲法を踏みにじる法案準備を許すな!

・政府は29日、秋の臨時国会で有事法制関連3法案の成立を図るため、今国会終了後ただちに内閣官房を中心に新たな推進態勢をとることを決めたという。

・政府部内の態勢立て直しは、テロ対策特措法や武力攻撃事態法案づくりの事務方の司令塔となった古川官房副長官が中心となって検討したという。(1)国民の保護(2)自衛隊の行動の円滑化(3)米軍の行動の円滑化(4)捕虜の取り扱い(5)武力紛争時における非人道的行為の処罰−−の5分野について、関係省庁の課長級による作業チームを設ける。政府は1日にも全省庁の局長級による連絡会議の初会合を開き、こうした新態勢を確認する。

・国民保護については、国民に(1)土地や家屋の提供(2)物資の保管、収用(3)医療や輸送業務への従事――を命令できる権限を政府や地方自治体に付与し、国民全体の生命・財産を守ることを目的に、一部の人の私権を広い範囲で制限する内容が含まれるという。また、避難や救助を迅速化するのが狙いで、武力攻撃や国際テロを発見した人の通報義務も盛り込むらしい。

・また、自衛隊の行動の円滑化に関する法制には、自衛隊による電波の利用や航空機・船舶の航行時の規定などを、米軍の行動の円滑化には、物品や役務の提供などの支援活動を盛り込む。捕虜の取り扱いと非人道的行為の処罰では、ジュネーブ条約など国際人道法を順守するための国内規定を設ける。

・国会休会中という、国民に見えないところで、憲法に保障された国民の権利、基本的人権が踏みにじられようとしている。 反対運動の側はこれらの動きを厳しく追及・監視し、臨時国会での廃案の闘いに向けて準備していかなければならない。

7/24

「有事には思想・良心・信仰の自由に制約も」官房長官明言。有事法制の反憲法性が歴然!

・福田官房長官は24日、今国会最終の衆院有事法制特別委の質疑で、武力攻撃事態での国民の権利制限についての政府見解を示し、「思想、良心、信仰の自由が制約を受けることはあり得る」として、思想や信仰を理由に自衛隊への協力を拒否することが認められないケースがあるとの考えを明らかにした。

・見解は、武力攻撃事態に対処するために国民の自由と権利に制限を加えることについて「国及び国民の安全を保つという高度の公共の福祉のため、合理的な範囲と判断される限りにおいては、その制限は(個人の尊重などを定めた)憲法13条等に反するものではない」と指摘。思想、良心、信仰の自由については「内心の自由という場面にとどまる限り絶対的な保障である」とする一方、「外部的な行為がなされた場合には、それらの行為もそれ自体としては自由であるものの、公共の福祉による制約を受けることはあり得る」と明言した。

・制約がありうる「外部的な行為」の例として福田長官は、3法案のうち自衛隊法改正案が定める物資の保管命令に対し、命令を受けた人が思想や信仰を理由として自衛隊に協力しないケースをあげた。「作戦行動の中で、教会や神社、仏閣の撤収や除去は可能か」との前原氏の質問については、津野修内閣法制局長官が「根拠となる法律は必要だが、収用されることはありうる」と答えた。

・今国会最終の特別委とあって、政府の基本的人権無視の姿勢が明け透けに出てきた。「公共の福祉」を口実にした基本的人権の制限はすでに違憲訴訟などでは捨てられた論理である。それを再び持ち出してきて、思想・良心・信仰の自由を抑圧して戦争遂行への協力を強要している。いまは例として物資の保管命令しかあげていないが、今後拡大していくことは火を見るよりも明らかである。下位の法律(有事法制)が上位の憲法を完全に否定している。メチャクチャな法体系である。

7/23

有事3法案廃案に向けて、頑張って! 女性たちの院内集会

・23日午後、「緊急!院内集会 女たちの声part2 有事3法案廃案に向けて――国会議員がんばって!――」が、NCC、日本キリスト教婦人矯風会、ふぇみん婦人民主クラブ、日本YWCAの呼びかけで、国会議員11名、市民など約100名の参加のもと開催された。政府・与党が有事3法案を継続審議とすることを決め、明日にも有事特別委でその審議に入るという中、野党議員を励まして「廃案」まで追い込んでもらおうというのが本集会の趣旨。

・民主党がどれだけ徹底して廃案を要求するかが決定的な意味をもつため、集会は伊藤民主党特別委筆頭理事からの民主党の対応の報告で始まった。10項目の法案批判(7月18日付本スクラップ帳参照)を紹介しながらも、「有事のときに自衛隊が超法規的になってはならないから有事法制はしっかり整備しなければならない」として、政府・与党に対して法案の「出し直し」を要求していく不徹底な姿勢については、会場から大きな不満が出た。そのあと、民主党の佐々木議員が挨拶し、自分としては有事法制に反対であり、是非とも廃案にしたいと述べ、盛んな拍手を浴びた。

・講師の埼玉大学三輪氏は、この10項目を徹底するならば法案は廃案にせざるを得なくなること、しかし民主党はこのうちの1つか2つが満たされれば妥協してしまう可能性があること、したがってわれわれは民主党に最後まで厳守させ、監視することが必要であることを強調した。さらに、質疑の中でいろいろな面から有事法制を批判したあと、運動の現状について、被害者の立場からの反対が強いのに対して、再び加害者にならないという立場への切り換えが重要であると指摘した。

・その他に福島幹事長をはじめ社民党議員、川田議員から、最後まで共に闘っていくことの決意表明がなされた。

7/23 与党3党、有事法案を秋の臨時国会で成立させる方針確認。臨時国会に向けてさらに強大な反対運動を!

・与党3党は23日午後、国会内で幹事長や国対委員長らによる「国家の緊急事態に関する法整備協議会」を開き、有事法案の取り扱いについて協議し、今秋の臨時国会で同法案の成立を目指すとともに、国民保護法制の「輪郭」を提示する方針を確認したという。

・協議会では、野党側が有事3法案の廃案を求めていることを踏まえ、今国会での成立を断念し、継続審議とすることを正式に決定。その上で、政府側から出席した安倍晋三官房副長官が「有事法制を整備する機運を逃すことはできない。臨時国会では必ず成立を期してほしい」と強調、臨時国会での成立を目指すことで一致したという。

・また、政府は23日、今国会終了後直ちに検討作業に着手する国民の保護のための法制整備について、秋に予定される臨時国会に概要を中間報告として提示する方針を固めた模様。臨時国会で示される中間報告は、警報発令や被害復旧、交通手段の確保など、国民生活に大きくかかわる問題に対する措置について大枠を示す見通しという。

・政府・与党は、国民の大きな反対運動とそれを背景にした野党の闘いの前に、今国会では一歩後退を余儀なくされたが、秋の臨時国会での成立に向けて、着々と準備していくことを確認し合った。臨時国会開会は9月末〜10月始めとも言われている。この2ヶ月ほどの期間に、政府・与党のあらゆる画策に負けず、国民の間に有事法制反対の声をさらにどれだけ大きくできるか。今まで反対運動に取り組んできた諸政党・諸団体・諸グループは、新たな気持ちでこの活動に取り組んでいくことが求められている。

7/20

「住基ネットの8月5日実施を許さない!」 東京で集会・デモ

・「ウシは10桁、ヒトは11桁 キミにもボクにも背番号 住基ネット8月5日実施を許さない大集会 & パレード」が20日午後、労働スクェア東京ホールにて550人の参加者のもとで開催された。主催は、多数の市民団体が参加する住基ネット8月5日実施を許さない実行委員会。http://www1.jca.apc.org/juki85/

・集会は、実行委員会を代表して白石氏の経過報告から始まり、16人のさまざまの立場からの住基ネット反対のアピールが行われ、最後に集会宣言採択と8月の行動提起がなされた。経過報告では、住基ネットの危険性、今日に至るまでの経過のデタラメさ、反対運動の状況などが報告され、まだまだ住基ネットそのものが一般の人々に知られていないため8月5日実施阻止が困難な現状と、導入されたとしても拡大させない運動を展開していく必要性が強調された。アピールの中では、朝鮮研究者からは、韓国が13桁の番号の住民登録証で管理されていること、その由来は大日本帝国の植民地支配にさかのぼること、そして導入のきっかけは徴兵制であること、などが紹介された。また、政党からは社民党、共産党、民主党からのアピールがなされた。

・8月の行動では、3日、4日の全国街頭キャンペーン、5日の実施に対する抗議声明発表、12日の番号の返上行動などが提起された。集会後、炎天下の中、銀座を経由して日比谷公園までデモが行われ、「住基ネットの8月5日実施を許さない!」のスローガンが道行く都民に訴えられた。

7/18

民主党、有事法案の「出し直し」を政府に求めて問題点10項目提出。全項目最後までの厳守を求める!

・民主党は18日、政府に対して、有事法制に対する姿勢・考え方を抜本的に改め、関連法案を出し直すべきだとして、その場合に踏まえるべき問題点として10項目を発表した。

・発表されたものは「有事関連3法案をめぐる問題点〜政府に出し直しを求める理由」で、有事法制審議に値しない防衛庁や外務省等の惨憺たる現状を指摘し、さらに審議姿勢における政府・与党の不誠実さと不十分さを批判したうえで、法案の10項目の重大欠陥を列挙している。指摘されている問題点は、「武力攻撃事態の定義及び認定の規定が不十分」「国会承認、民主的統制のあり方が不適切」「表現の自由など基本的人権の確保に関する規定が曖昧」「避難・警報、医療・救助など、国民の安全確保と被害の最小化への措置が先送り」「地方公共団体や指定公共機関の役割・権限・内容等が不明確」「米軍との関係についての基本方針が不明確」など。

・民主党の主流は、有事法制整備そのものは必要という姿勢であり、「廃案」という党の要求も「出し直し」を迫るものでしかない。したがって、指摘している10項目の批判も曖昧な部分もまた多い。しかし、この10項目の批判を最後まで徹底させるならば、政府・与党と決定的に対立し、現在の有事法案は廃案とならざるを得ないもの。問題は、この10項目批判を最後まで堅持するように、民主党に国民が要求しつづけることであり、監視しつづけることである。

7/17

民間防衛活動の中心に町内会・自治会(自主防災組織)を想定。戦時中の「隣組」と同じ! 

・毎日新聞報道によると、政府が有事法制に関連して検討している住民避難など民間の防衛活動に、自主防災組織の活用を想定していることが17日、わかったという。国民保護法制の制定作業と並行して、具体的な業務内容は今後検討するらしい。

・自主防災組織は、多くが自治会や町内会と重複している組織で、消防庁によると昨年4月時点で全国2503市区町村に約10万組織あり、2353万人が参加している。特別職の地方公務員である消防団と異なり、原則としてボランティアの民間人で構成されており、普段は防災訓練や巡視活動などを行い、災害時は初期消火や負傷者救出、住民避難誘導、情報収集などにあたっている。

・すでに活用する方針を固めている消防団に加えて、内閣官房は自主防災組織は要員が多いうえ、人口が少ない地域で防災に果たす役割が大きいため、有事の際にこうした活動の一部を分担するのに有効と判断しているという。

・7月3日付けの本スクラップ帳で、片山総務相の「有事の際の民間防衛組織は自治会、町内会が核になる」という発言を伝えたが、今回の毎日新聞報道は、政府内で本格的に計画が進んでいることを示す。かつて、国家総動員法のもとで民間防衛組織として「隣組」が組織され、侵略主義的軍国主義を支える大きな力となったことを、国民は絶対に忘れてはなるまい。

7/12

平時でも統幕議長が3軍を統合へ/防衛庁中間報告。シビリアン・コントロールがますます弱体化

・読売新聞報道によると、防衛庁は12日、陸・海・空3自衛隊の部隊が効率的に行動するために必要な統合運用に向けた検討課題についての中間報告をまとめた。防衛出動時に限られている統合幕僚会議(統幕)議長の権限を強化し、3自衛隊の代表者として明確に位置づけることが特徴で、12月に最終報告をまとめ、自衛隊法など必要な法整備を目指すという。

・中間報告では、統合運用に向けた基本的な考え方として、現在、個別運用が原則の3自衛隊を効果的に動かすため、「統合運用を基本とし、それに適合しうる態勢を整備する」ことを明記したうえで、統幕議長の責任と権限について、〈1〉3自衛隊を代表して防衛長官を補佐する〈2〉自衛隊運用について、防衛長官の指揮は統幕議長を通じて行う〈3〉長官の命令を執行する――などを盛り込んだという。

・今回の組織強化方針は、シビリアンコントロールをますます危うくするものである。防衛出動時にかぎらず、平時においても統合幕僚会議議長が3軍を統合する。平時では、防衛庁長官が3軍を指揮していたものが、統幕議長を通すことになる。明らかに制服組の権限強化である。4月に海幕の幹部がイージス艦・P3C哨戒機のインド洋派遣を米側から要請するよう働きかけていた事実や、インド洋での対テロ戦争の補給作戦で海上自衛艦が米海軍の「戦術指揮統制」下に入ることを容認していた事実などは、シビリアンコントロールが現状でも危うくなっていることを示している。それが、一層危険なものになるということである。

・また、今回の組織強化方針が、有事法制整備によって、平時においても戦争遂行の準備をしておくことと軌を一にしていることを指摘して必要がある。

7/11

「自衛隊海外派兵は違憲」 埼玉市民がテロ特措法を違憲提訴

・テロ対策特別措置法とそれに基づく自衛隊のインド洋派遣は憲法9条に違反するとして、埼玉市の市民ら253人が国を相手取り、テロ対策特措法の無効確認や慰謝料などを求める訴訟を11日、埼玉地裁に起こした。テロ対策特措法をめぐる提訴は初めて。

・訴えたのは、埼玉県に住む「テロ特措法・海外派兵は違憲 市民訴訟の会」(代表・尾形憲法政大名誉教授)会員や賛同者などで、9・11同時多発テロに対応した米英軍のアフガニスタン攻撃について、「国連憲章で認められた自衛権の行使を逸脱した武力行使」であり、「米英軍支援を目的としたテロ対策特措法は、武力行使を禁じた憲法9条に違反する」と主張している。本会は今年3/9の発足以来準備を重ねてきて、6/15の「世界の平和共存を求め テロ特措法も有事法制もノー6.15緊急集会と講演会」を成功させ、本日に至ったものだという。
  参照  http://www.hahei-iken.org/hahei-ikenindex.htm
       http://www.jca.apc.org/~p-news/YUUJI/6_15syukai.htm

7/10

小泉首相、住基ネットの8/5施行をあくまで表明。全野党と一部与党の結束で凍結まで追い込もう!

・小泉首相は10日の参院予算委で、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を予定通り稼働する方針を強調して、「住民の利便を向上させようと取り組んでいる。8月までに施行できるように今、準備を進めている」と述べた。

・一方、中田横浜市長は10日、住基ネット稼働の延期を求める要望書を、小泉首相と片山総務相に出した。政令指定都市が延期を求めたのは初めて。中田市長は「プライバシー、セキュリティーの問題がしっかりとなされてからというのが国会での議論だった。現場の懸念をどれだけ政府は真剣にとらえているのだろうか」と会見で述べたという。総務省によると、これまで意見書の形で延期を求めたのは三重、鳥取の両県議会と57市町村の各議会、そして6市村の首長という。
・自民、民主、共産、社民各党の有志の国会議員約30人が4日、国会内で開かれた「国民共通番号制に反対する会」に出席し、住基ネットの稼働開始を3年間凍結するための住民基本台帳法改正案を、超党派の議員立法で今国会に提出することで一致した。自民党からは亀井前政調会長をはじめ7人が出席し、議員立法の提案者となることを了承、署名している。亀井氏は「個人情報保護についてきっちりした処置をとらなければ住基ネットを実施しないと(当時の)小渕首相が言っていたのに、これだけは何が何でも実施するなんてばかげた話はない」と。

・住基ネットをそのまま施行させるか凍結に追い込むか、日本の民主主義は重大な岐路に立っている。このこのまま施行させたならば、国家によって、諸個人の情報が11桁の番号によって一元的に管理され、監視される。国家はますます見えにくいものになっているのに、国民は逆に素っ裸にされる。憲法が保障している国民の基本的人権、個人の尊厳、個人のプライバシーが踏みにじられる。防衛庁ブラックリスト問題などその比でなくなる。さらに有事法制と住基ネットが結びついたらどうなるか。

・施行までまだ25日程ある。まだ間に合う。残る国会会期の最大の争点にし、野党は一致結束して、与党の凍結派を巻き込み、あらゆる戦術を動員して凍結まで追い込んでいくことがいま求められている。

7/9

山口県の文学者・音楽家が、有事3法案反対声明。 山口県議会も、慎重審議の意見書採択

・中国新聞報道によると、文学者や音楽家など山口県在住の学術、文化関係者66人が連名で9日、「憲法を守り、有事法制に反対し、廃案を求める声明」を出した。衆参両院の議長や二井関成知事、県内全市町村長などに郵送するという。

・平和憲法の下でこそ学問の自由や表現の自由も守られる、と児童文学者の那須正幹さんや山口県立大の磯野有秀名誉教授ら16人が呼びかけた。声明は「有事法制3法案は、戦争協力を国民に強制する立法。憲法で保障された基本的人権や地方自治を著しく侵害する」と批判。「発動されれば、岩国基地がある県は攻撃の標的になり、多くの県民が危険にさらされる」と危ぐを表明し、廃案を求めているという。

・また毎日新聞報道によると、山口県議会は5日、有事関連3法案の慎重審議を首相や衆参両院議長に求める意見書を可決した。意見書は「武力攻撃事態の定義があいまい」と指摘。「法律が成立すれば有事の概念が明らかにされないまま、地方公共団体や指定公共機関は国への協力を義務づけられる」とし、地方の意向を尊重するよう求めているという。

・地方議会からは、三重県議会の撤回の要請、長野・山口・沖縄各県議会の慎重審議要請をはじめ多くの意見書が政府や国会に提出されているが、他方、北海道や石川県のように、「制定を求める意見書」を採択し提出している地方議会もある。

7/8

政府・与党、有事法案を衆院で継続審議の方針。野党は廃案を目指して共闘を!

・政府・与党は8日、有事法制関連法案について、衆院段階で継続審議とする方針を固め、衆院有事法制特別委の自民党筆頭理事である久間政調会長代理が8日、伊藤民主党筆頭理事と会談し、こうした方針を伝えたという。伊藤氏は有事法案の廃案を求めたが、久間氏は拒否した模様。

・自民党内では当初、いったん廃案とし、有事法案に盛り込まれていないテロ対策や不審船対策などを含めて新たな法案として出し直すことも検討されたが、廃案にした場合、小泉首相の責任問題に発展する恐れがあることや、一貫して廃案を主張する社民党や共産党が勢いづき、法案成立のメドが立たなくなる可能性があることなどを考慮し、継続審議とすることにしたという。

・有事法案をここまで追い込んだのは、労働者や市民や宗教者などの運動を軸とする国民の幅広い反対の声であり、それを背景とした社民党や共産党など野党の国会での踏ん張りであった。この勢いをいま失速させてはならない。継続審議の形で次の国会での足掛かりを政府与党に与えてはならない。野党は結束して、審議拒否も含む闘いによって、有事法案を廃案に追い込め! これが国民の声である。

7/4

民主党、有事法案の今国会採決反対・与野党協議機関設置拒否を決定。この方針を最後まで貫け!

民主党は4日、拡大役員会を開き、有事法制関連3法案への対応について、与党側が今国会で採決をしてくる場合は反対する方針を改めて確認した。また、国会閉会後に与党側が修正協議の場となる「与野党協議機関」の設置を求めてきた場合には拒否することを決めた。

熊谷国会対策委員長は、与党側が強硬に有事関連法案の採決に踏み切るような場合には、参院での医療制度改革関連法案や郵政公社関連法案の審議も拒否する姿勢を示した。ただし、民主党内でも有事法制全般について論点を整理し、今国会中に見解をとりまとめるという。

・岡田民主党政調会長は4日の記者会見で、政府・与党内に有事法制関連法案に関する与野党協議機関を設置する意見があることについて「(応じることは)百%ない。協議をするつもりはない」と述べ、そのうえで、「政府案は非常に問題があるもので、出直しを求める」とし、廃案を求めていく考えを示したという。

・民主党は、この今国会採決反対・休会中与野党協議機関設置拒否を最後まで貫いてもらいたい。防衛庁ブラックリスト問題についての突然の野党共闘離脱(6月18日)のようなことのないように。そして国民はそれをしっかり監視していこう。

7/3

福田官房長官「有事報道で自粛要請も」と答弁。報道管制の意図が見え見え

・福田官房長官は3日の有事法制特別委員会で、有事の際のマスコミ報道に関し、新聞、通信社や放送局に対し、一定期間の報道自粛を当局との間で取り決める報道協定締結を要請する可能性があることを明らかにした。

・政府は有事関連法案に関し、有事の際に国への協力が義務付けられる「指定公共機関」に報道機関も含まれるとの見解を示しているが、報道自粛など具体的措置に言及したのは初めて。福田長官は答弁で「状況に応じ、人命尊重のため必要ならお願いする。協定を結ぶ場合には報道機関の自由意思を尊重する」と強調したが、これは国家による報道管制をも考えていることを示すもの。

・また、片山総務相は6月29日、栃木県足利市であったタウンミーティングで、有事法制関連法案として今後整備する国民保護法制に関連し、「有事の際の民間防衛組織は自治会、町内会が核になる」「自治会、町内会は、昔の隣組のイメージがあって問題だが、民間防衛組織、自主防災組織を考えなければいけない」と述べた。

・マスコミへの報道管制によって、国民の基本的人権である「表現の自由」の一部としての「知る権利」が侵害され、民間防衛組織としての町内会、自治会によって、互いに監視され「思想・良心の自由」が侵害される。有事法制と日本国憲法が全く相容れないものであることを示す一例である。

7/3

鳥取県議会(7/3)三重県議会(6/26)が住基ネットの延期求める意見書採択

・鳥取県議会は3日の本会議で、8月5日施行の住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の延期を求める意見書を賛成多数で可決した。意見書は、最大会派の県議会自民党などが提出。個人情報保護法の成立見込みがないことや防衛庁リスト事件などを挙げ、「個人情報保護に十分な対策が確保されるまで、延期するよう強く要望する。このままでは住民のプライバシーが侵害される危険が非常に高い」としているという。

・また、三重県議会は、住基ネットの延期と凍結を求める意見書を賛成多数ですでに6月28日の定例会で可決している。その他に、延期を求める同様の意見書は東京都日野市、大阪府高槻市、高知県須崎市などで可決されている。

・福田官房長官は2日の記者会見で、住基ネットについて「地方自治体も今、十分な準備をしていると聞いており、予定通りやらせていただきたい」と述べ、改めて8月5日から稼働させる考えを示している。

・住基ネットは、国民一人一人に11桁の番号が割り当てられ、市町村に現在蓄積された住民情報を国家のもとに吸い上げ、一元的に国民を管理できる恐ろしいシステムである。93事務に限定した運用と言いながら、スタートする前から150,264事務へと拡大が目論まれている。今回の防衛庁ブラックリスト問題を見れば、これが国家的規模で、全国民を対象にするのであるから、その危険性は火を見るよりも明らかである。そして、このシステムが、有事法制に利用されたならば、大変なことになる。

7/2

「つくる会」提出の陳情書を鹿児島県議会採択/愛媛県でも「つくる会」教科書採択の動き

・朝日新聞報道によると、鹿児島県議会は2日、中国を訪れる県立高校の修学旅行の訪問先から、南京市の南京大虐殺記念館を除くよう求めた陳情を賛成多数で採択した。陳情は鹿児島市の「新しい歴史教科書をつくる会」が提出していたという。県議会は、最大会派の自民が定数54人中42人を占め、採決では、社民・県民会議、共産などが反対した。県教委によると、修学旅行で同館を訪問した県内の公立高校は99年度が9校。00年度は2校で、01年度は1校。今年度も1校が予定しているという。

・愛媛県では、来年開校予定の中高一貫校(3校)の教科書採択が、この8月に迫っているが、5月加戸知事は講演会で「新しい歴史教科書をつくる会主導の中学歴史教科書(扶桑社版)採択を、外国の批判で取り下げるようでは、主権国家と言えない」と述べ、「つくる会」教科書採択へ向けて政治的発言・圧力を始めたという。同県では昨年、知事、県教委による昨年県立養護学校・ろう学校の一部で「つくる会」教科書採択をしたが、それは今回の中高一貫校で採択するための布石として強行したものであった。
  (関連 http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Movements/ehime_yousei.htm

・「つくる会」は、昨年の韓国・中国と連帯した「つくる会」教科書不採択運動の高揚の前に、東京・愛媛の養護学校・ろう学校などごく一部での採択しかできなかったが、執ように教科書採択や教育への右翼的干渉を策動しつづけている。これらの動きは、平和憲法を亡きものにして、軍国主義をあおり、日本を対外戦争に動員しようとする有事法制とは、目指すものは同じである。


5/1〜5/31                 6/1〜6/30