被害者の立場からの反対
から加害者として反対することへ頭を切り換えて行かなければならない
有事3法案廃案に向けて、頑張って! 
会期末の国会で、女性たちの院内集会
「緊急!院内集会 女たちの声part2 」


 政府・与党が有事3法案を継続審議とすることを決め、明日にも有事特別委でその審議に入るという7月23日午後、野党議員を励まして是非とも「廃案」まで追い込んでもらおうと、「緊急!院内集会 女たちの声part2 有事3法案廃案に向けて――国会議員がんばって!――」が、NCC、日本キリスト教婦人矯風会、ふぇみん婦人民主クラブ、日本YWCAの呼びかけで開催されました。有事法制に関するマスコミ報道もめっきり減り、法案の処理をめぐる政府・与党「継続審議」と野党「廃案」の対立の行方も不明確になりつつある国会情勢のなかでの本集会の意義は大きく、民主党3名、社民党8名の国会議員と市民など約100名の参加のもとで、熱心な討論がなされました。

 民主党がどれだけ徹底して廃案を要求するかが決定的な意味をもつため、集会はまず伊藤民主党特別委筆頭理事からの民主党の考え方・対応の報告から始まりました。7月18日に民主党が出した10項目の法案批判を紹介しながらも、「有事のときに自衛隊が超法規的に行動することのないように、いまから有事法制はしっかり整備しておかなければならない」として、政府・与党に対して法案の「出し直し」を要求していくという全く不徹底な姿勢に対しては、会場から大きな不満が出ました。10項目のうち1つか2つ満たされれば妥協するのではないかという質問・危惧に対して、「そのようなことは全く考えていません」と弁明しながらも、10項目を最後まで徹底して追及していくと言う言葉は出てきませんでした。伊藤議員が退席したあと、民主党の佐々木議員が挨拶し、自分としては有事法制に絶対反対であり、是非とも廃案にしたいと述べ、盛んな拍手を浴びました。


 当日の講師である埼玉大学三輪氏(憲法学)は、この10項目はもしそれがすべて貫かれるならば法案を廃案にせざるをえない内容であること、しかし民主党はこのうちの1つか2つが満たされれば妥協してしまう可能性があること、したがってわれわれは民主党に最後まで自ら出した10項目を厳守させ、それを監視することが必要であることを強調しました。そして、民主党がこの10項目すべての実現要求を貫くとは考えにくいことから、平和運動がどうしても譲ることのできない点として、つぎの3点の指摘がありました。1つ目は、「米軍有事」「周辺有事」とのリンクに歯止めをかけるのか、という点で、米軍が本気で対イラク先制攻撃をやろうとするなかで、第1項目の「武力攻撃事態の定義及び認定の規定が不十分」、第8項目の「米軍との関係についての基本方針が不明確」をキチンと貫き、「米軍有事」「周辺有事」に有事体制が発動されないように歯止めをキチンと設けるかどうかという点。2つ目は、地方自治体などの強制動員体制に反対するのか、という点で、第7項目の「地方公共団体や指定公共機関の役割・権限・内容等が不明確」に関連して、住民の平和と権利保障に直接の責任をもつ地方自治体が中央政府や自衛隊のもとに一方的に服従することを求める現法案に正面からの反対を貫けるのかという点。3つ目は、第2項目の「国会承認、民主的統制のあり方が不適切」に関連して、「民主的統制」と言いながら批判の中身が引いたものになっているが、「武力攻撃事態」の認定や「対処基本方針」の策定が、野党や政治的反攻勢力も含めた場でなされなければ民主的統制などとは到底言えないこと、さらに少なくとも「予測」「おそれ」段階についての国会事前承認を貫くことが最低限度の要求である点。

 講演・討論の間をぬって、つぎつぎと福島幹事長をはじめ社民党議員や川田議員が駆けつけ、最後まで共に闘っていくことの決意表明がなされました。「野党はいくら足しても与党に100人も足りないのにここまで闘って来れたのは、こうして駆けつけてくれる皆さんがいるから」という熱いアピールもありました。

 さらに、三輪氏からは、質問に答える形で有事法制のいろいろな面を批判したあと、運動の現状について、「国家総動員法」のような人権侵害などの被害者の立場からの反対が強いけれども、問題は再び加害者になろうとしていることにあること、W杯サッカーを見ながら戦争を遂行すること、その戦争に加担していくことにある、との指摘がありました。そして秋の臨時国会へ向けた闘いの中で、被害者の立場からの反対から加害者として反対することへ頭を切り換えて行かなければならないと。それに関連して、三輪氏から自衛隊が加担しているアフガン戦争でどんな悲惨なことが起こっているのかを暴露した翻訳資料集「アメリカはアフガニスタンで何人の人々を殺したのか!?」の熱心な紹介がありました。

 集会は、政府・与党を「継続審議」まで追い込んでいった自信と、これから臨時国会へ向けた闘いの新たな決意にみなぎった雰囲気の中で終了しました。