自衛隊がしようとしている水を補給する仕事は、 イラク人たちにやらせて欲しいとイラクの人が言います。 自分たちは仕事を必要としていると。 イラクの復興はイラク人の手でやるべきだと思います。 占領下のイラクを訪問した細井明美さんの報告をPN学習会でお聞きしました |
アメリカ占領下のイラクを行く イラク現状報告 テロ特措法・自衛隊海外派兵は違憲市民訴訟の会世話人 細井 明美 |
陥落後のバグダット
初めにバグダットの様子をスライドで紹介します。
石油産出国なのに車の列が続くガソリンスタンドの様子です。これは、攻撃を受け、砲弾の穴があいたイラク政府の役所です。一方でまったく無傷の石油省ビルの美しいたたずまいの建物の姿です。バクダットは本当はこのように美しい建物がある街だったのですね。
アリババ(略奪)のすさまじい実態を女学校に見ました。このように黒板から窓枠まで何もかも略奪された状態になっていました。そのような中で、子ども達は勉強をしているのです。
友人からのカンパを使って、エジプトから来ていたバックパッカーの日本人青年らと役所に掛け合い525人分の机を手配し、44個のファン、22個の蛍光灯を買う資金を支援しました。9月の新学期から子どもたちは蛍光灯の下で学習することになり本当に良かったなと思っています。
ツワイサの悲劇 ここは、フセイン政権下、一万人の人々が働いていた化学プラント工場でした。その中の核処理センターのタンクにイエローケーキが入っているにもかかわらず飲料水の容器として使おうと近くの住民はそれを略奪しました。 4月17日以降、貧血や消化器系統の障害患者が急増しマスコミに知れ渡りました。その後米軍が回収した筈なのにまだ撤去しなかったものがゴミ捨て場に残っていて、子ども達がその周辺でこうして遊んでいます。 グリーン・ピースがその後調査した結果、タンクの下には3000倍の放射能物質がありました。それらは掘り出され米軍が管理する核処理センターに運ばれました。 |
イエローケーキのタンクのそばで遊ぶ子どもたち |
アメリカの戦争責任
4月7日 ドーラにアメリカ軍が侵攻し350人の住民が殺されました。結婚直前であった28歳の青年ウダイは、その父の目の前で、クラスター爆弾によって殺されました。ここにあるのはそのクラスター爆弾の小片です。
この家の塀には無数のクラスター爆弾の破片が突き刺さっていますが、よく見ますと皆人間の高さに破裂しています。クラスター爆弾が人間の殺傷を目的とした卑劣極まりない兵器であることがこのことからもわかります。
この子どもは小児がんで血が吹き出ています。止まらないのです。子ども達は床に寝かされています。劣化ウラン弾の被害がこのように子ども達に及んでいます。ユニセフの7月17日の発表によると、米英軍が投下したクラスター爆弾やイラク軍が放棄した弾薬などで千人以上の子ども達が死傷しているのです。
白血病の少女
占領の実態
米兵自体がこの戦争に疲れています。自分達はイラク人たちを解放しに来たのに・・・。気温は45℃、暑さと恐怖で情緒不安定になっています。
おもちゃのピストルを向けられた米兵がその子どもを捕まえようとして追いかけ、逃げ込んだ子どもの家に銃を打ち込んでいるのです。母親はその米兵によって重傷を負いました。その子どもがどうなったのか解りません。
6月13日にはイラク全土で4件の武装蜂起がありました。マンスールの病院でも機関銃の音が聞こえてきて戦争状態が続いているという事を実感しました。
ドーラで私が出会った米兵は3月に来てから一度も休みが取れず毎日連続勤務で大変疲れている様子です。早く帰りたいといっていました。自衛隊が行くのはこのような米兵の肩代わりではないかと私は思います。
イラク人の求めるものは
韓国のNGOは二週間づつ交代制でチームを組んでイラクのために働いていました。
イラクに何が必要か?イラクの人に聞きました。「電気が欲しい」と言いました。6月で45℃もあります。7月8月になったらもっと暑くなるでしょう、冷房が効かないのです。電線はあるが米軍によって火力発電所が破壊されてしまっていて電気が来ない。米軍はイラクを破壊しておいて何をこれからしようとしているのか。
自衛隊がしようとしている水を補給する仕事は、イラク人たちにやらせて欲しいとイラクの人が言います。自分たちは仕事を必要としていると。イラクの復興はイラク人の手でやるべきだと思います。
イラク特措法―米軍支援の危険性
7月18日に国会に傍聴に行きました。防衛庁は、隊員の危険手当や万が一の補償金を大幅に増額していて、自衛隊員の死を予想しているわけです。政府は軍隊として自衛隊をイラクに行かせようとしています。
今、自衛隊の人たちの中で動揺があるといわれています。私たちは自衛隊員に対してその家族に対してイラクに行くのはやめようと言っていく運動をすべきではないでしょうか。小田実さんたちによってその運動はすでに始まっています。