- 名古屋港水族館の内田館長に聞く
- 「名古屋のシャチ」見せたい
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- 入手に全力、飼育にも自信
- 等身大の姿を/批判の声に「感動伝えたい」
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- シャチを飼育展示する名古屋港水族館(港区)の二期計画工事が始まった。二百億円余りをかけて2001年の開館を目指す。野生のシャチは生息数が減っていると言われ、昨年、和歌山沖で捕獲された五頭をめぐっては全国的に非難の声が起きた。国内では四つの水族館でシャチを飼育しているが、新たに計画があるのは名古屋港水族館だけで、動物保護団体は、動向を注目している。内田館長にシャチの飼育や展示についての考えを聞いた。(聞き手=行方史郎)
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- なぜ、今シャチなのですか。
- 当初から「もっと大きな動物を」という考えは内部にありました。アンケートをとったら、「シャチやイルカが見たい」という声も強かった。(金のしゃちほこで知られる)名古屋にはシャチがふさわしいのではないか、という意見もありました。
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- 飼育に問題はないのですか。
- 難しいことではありません。すでに二十年も飼育の歴史があるし、現在でも世界で約五十頭が飼われています。
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- どのように展示するお考えですか。
- 世界中を見て回りましたが、今ある水族館がシャチの魅力を十分に引きだしているとは思いません。
- うちでは基本的の等身大の姿で見せます。まだ、手の内は明かせませんが、水中で泳ぐ姿を見せればいい。例えば、シャチは正面から見たとき、見事な流線型をしています。それを見せれば何も芸はいらない。
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- 芸を覚え込ませたりはしないのですか。
- 一切やらないということではありませんが、わい小化して見せることはしません。ただ、訓練は必要ですよ。血液を採ったり、尿を採ったり。健康管理ができませんから。
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- 困難が予想されますが、シャチをどのように入手するのですか。
- 野生か、繁殖したものか、「もう飼うのをやめました」というのをいただくか、三通りしかありません。今、可能性のあるものは全部当たっています。繁殖のために他の水族館から借り受ける「ブリーディングローン」という方法も考えています。
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- 計画では、四〜六頭となっていますが、、、、
- 精子を凍結保存することも可能ですから、極端な話、メス一匹でも繁殖は可能です。六とか四とかいう数字は器の大きさで、将来的な話です。
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- 開館までに確保できる見通しは?。
- まだ三年後のことでわかりませんが、あまり心配はしていません。繁殖が可能ですから、将来は「シャチ余り現象」みたいになるかもしれませんよ。
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- 国内では、現在十二頭のシャチが飼育されていますが、現状をどう考えますか。
- 今年に入って初めて繁殖に成功しましたが、遅いくらいです。外国ではすでに何例もあります。導入が遅いのもあるが、そういう意味では飼育技術が未熟と言わざるを得ないです。
- うちでは昨年、飼育繁殖の方法を学ぶために職員一人を海外の水族館に研修に出しました。今年も数人を出す予定です。
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- シャチの飼育には批判的な声もありますが。
- 考え方はうかがっていくつもりです。ただ、可愛いとかね、そういう面だけで見てほしくない。動物が本来持っている恐ろしさみたいなものが埋没してしまう方が問題ですよ。
- 「かわいそう」というのも感覚的にわからないわけではないが、それ以上に、シャチの素晴らしさみたいなものを、伝えて、感動してもらえればと思っています。
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- 欄外に「名古屋港水族館のシャチ飼育計画」の説明
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- 現在の水族館の北側約1万6000平方メートルに新館を建て、シャチのほかハンドウイルカ、シロイルカを飼育展示する。プールの容量は計約2万4000トンで「国内最大級」といい、屋外席のほか、水中からも観察できる席を設ける。水族館を所有する名古屋港管理組合が今年度予算に、用地造成や建設費約16億円と、動物の入手費約4億円を初めて盛り込んだ。総事業費は200億円を超えると見られる。
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[朝日新聞(愛知)1998年5月2日朝刊より]
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