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- ・近年、野生生物にかんする研究が飼育下から野外に移動し、野生動物の生態が明らかになってきた。その中で、生物多様性の価値と野生生物の保全の必要性の認識が世界的に広まり、希少種を捕獲・展示する動物園・水族館にたいする批判も強まっている。
- また、人工的な施設で行う研究の限界とともに、野生生物種に与える苦痛についても明らかにされるようになった。特に、イルカやクジラ類は、動物園では廃止されたショーの実施など、本来の生態とは全く異なる展示が一般的である。このような展示は、群れで生活し、音響を使って互いのコミュニケーションを図り、広い大洋を移動するといった彼らの本来の姿を伝えるには全く相応しくない方法である。さらに人工の飼育環境では、彼らの寿命は野生下と比べて平均で3分の一以下になってしまうことが実証されてきた。
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- ・こうした動物を飼育することにたいする批判が年々強くなり、イルカ・クジラ類を飼育しない水族館も増えてきている。
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- ・日本には現在12頭のシャチとおよそ400頭のバンドウイルカ、ベルーガがすでに飼育されている。飼育下での研究がされに必要とされるにしても、これらの飼育動物で十分可能であり、新たな捕獲による自然界への負荷を極力さけることも水族館の役割だと思われる。
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- ・生物についての研究が進むなかで、種だけでなく、地域個体群の保護の重要性も認識されるようになっている。このため、種間を超えた新種をつくるようなことや、全く生息域の異なる個体同士をかけあわせることにたいして、科学的に疑問が出てきている。
- シャチなどの飼育下での研究では、最終的には繁殖が目的とされているが、全く異なった海域、たとえば日本とアイスランドのシャチをかけあわせることは、これまで分かってきている彼らの生態から考えて、時代に逆行した行為であると考えられる。
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- ・シャチは、世界の各地ですでに捕獲禁止になっている希少動物である。購入費は非常に高額である。飼育下の個体の売買の事例としては、96年にフランスから伊豆三津シーパラダイスが購入したオスのシャチ1頭が輸送費をふくめて2億円であったとされている。
- また、その年間の維持費も億単位であり、時には太地で97年に捕獲された2頭のシャチのように、数カ月で死んでしまう事もある。これらが市民の税金によってまかなわれることになる。
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- ・広い大洋を移動するイルカやクジラは日本だけでなく、世界の人たちの財産でもある。
- イルカ・クジラ類の展示計画をやめてほしいという要望は、世界中の一般市民は勿論、研究者などからも名古屋港水族館に寄せられている。
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- ・水族館の社会的な役割として「教育的な施設」であることがあげられるが、希少動物などをその環境から切り離して展示する見せ物的な方法よりも、地元の自然環境の理解を育むような方法が望まれる。こうした選択をして成功したモンタレーベイ水族館などを参考にしてもらいたい。
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- ・すでにシャチを飼っている水族館が4館もある以上、経済効果としても限界がある。
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- これらの問題点をふまえ、私たち導入に反対する市民から提案を行った。
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