イバラの道へ:阿佐ヶ谷住宅建替地区計画決定
第一種住専地区(高さ制限10m)の中にある阿佐ヶ谷住宅を、高さを倍の20mに緩和する再開発等促進区の地区計画について、本日の都計審で審議されました。結果は、20名中6名が反対、賛成が11名、白票3名。審議会としては、計画に賛成したことになります。
質疑の最終面になって、大泉時男委員(議員枠での参加。自民党区議団)から、ここで質疑を打ち切って採決するようにという動議が出され、「民主的でない」との批難があったものの、動議の採決をとったところ、動議に賛成10名、反対8名、白票2名で、動議は採決されました。質疑打ち切りの動議は、議会では方法としては、ありますが(奥山は6年で一回経験)、審議会では異例と思えます。
質疑時間往復で一人10分という制限の中で、今回は、たとえ地区計画を決定しても、事業計画は進まないことを明らかにしました。先日書いたとおり、テラスハウスの地権者が権利移転(今回はデベロッパーに所有権を渡すハンコを押すこと)に反対している以上、その権利を侵害することは出来ないからです。なお、全員合意が取れていると区は主張するけれども、その際に建替え組合は「区分所有法に基づく建替え決議」だと説明し、また顧問弁護士事務所もそのように説明しています。正しくは「区分所有法に基づく建て替え決議に任意に同意してもらった」のです。それをきちんと伝えていません。そのため「(反対しても、区分所有法に基づき)売り渡し請求をかけられる」からとしぶしぶ賛成した人もいます。これは虚偽の説明をした、もしくは錯誤を誘ったということになります。このことの責任を、建て替え組合、顧問弁護士はどのようにとるつもりなのか。
他には、道路付け替えの手続きも進んでおらず、このままでは(道路は)強制的に作ることはできるけれども、所有権移転の登記が出来ないため、完成する新しい道路と土地の登記簿(杉並の区道であるという登記)がずれるということになります。そのような不適正な道路を、杉並が作ろうとしているわけで、議員として看過できません。
6階建案に賛成する地権者は、これでやれやれ、建替えが進むとお考えでしょうが、実は、このことによって、建て替えはさらに遅れるというイバラの道を歩むことになるのです。それを本日の質疑で明らかにしましたが、賛成した審議会委員の耳には届かなかったようです。
気がつけば、2006年の秋に阿佐ヶ谷住宅建替えについて区議会で一般質問してから、都市環境委員としても質疑、2007年と08年は都計審の審議会委員として質疑と、ずっと関わってきました。この問題を調査するために費やした時間と手間は相当なものになります。それもすべては、周囲と調和した、価値ある建替えをと願っていたからです。しかしまことに残念な結果になりました(この問題はまだ続きますが、審議会委員としては終わり)。
正直、かなり疲れました。