奥山たえこ:東京都杉並区議会議員(無所属)

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異議あり! 多数派の暴挙/強行裁決

自らの決定を覆し、少数派の言論弾圧!
深まる疑義---高円寺会館の指定管理者の指定で、一体誰が得をするのか?

 昨日2006年6月30日(金)、奥山は、杉並区議会の歴史に残る汚点の現場に遭遇しました。23日の区民生活委員会で正式に議決した採決「全員賛成」を白紙に戻し、「継続審査」としたのです。

 議会には「一事不再議」の原則があり、「ひっくり返し」はありえません。委員会ではその適用はゆるやかとは言え、今回のように、過半数を占める多数派の申し出にのみ依拠して再審査するならば、議会の決定そのものが、まこと不安定になるからです。もし委員会の採決のやり直しがどうしても必要と考えるならば、杉並区議会議会規則には、再付託の制度が規定されています。ところが今回は、本会議場で全員の目の前で行うこの制度を使わずに、わざわざ議会規定にない再審査を用いた委員会を開催し、しかも奥山の「動議! 委員長、動議!」の声(再審査の必要性の存否をまず確認せよと発言するつもりだった)を封殺して再審査の議決をとり、委員会開始に踏み切りました。なぜ、ここまで強引な方法を取る必要があったのか。 確かに、裁判に再審制度があるように、議会審査にも例外はあります。新たな客観的事実が判明し、それが原採決判断根拠に与える影響大であるなら、むしろ審議し直すべきでしょう。ところが、そんなものちっとも見当たらない。

 委員会再審査を求めて質疑した藤本なおや議員@杉並自民議員連盟、佐々木浩議員@杉並自由無所属区議団、西村文孝@杉並区議会公明党の質疑を、奥山はじっと聞いていました。しかしどこを聞いても、彼らが指摘する事実は、前回23日の質疑(この時は奥山も充分質疑した。)に判明していた事実と異ならない。せいぜいが五十歩百歩であり、量的な違いはあっても、質的な相違はありません。自信たっぷり(奥山の感想)に突きつけている割には、ちっとも例証になっていません。彼らが最大の根拠にしているのは、今回議案で、指定管理者の選定で一位になったNPO法人劇場創造ネットワーク(CTN)のメンバーが、高円寺会館改築検討会のアドバイザーになっていること。前回23日の委員会では1名が入っていたことが判ったが、さらに2名が入っていた(全5名)! と問題にしています。またアドバイザーでもあり、選定委員のメンバーでもある佐藤信(まこと)氏(CTNのメンバーではない)が、CTNのメンバーと個人的にも親しいことを指して、特別な関係があったかのように言います。しかし、そんなことの一旦は、すでに前回23日の委員会で判明していました。演劇界は狭くて、経験多い専門家は数少ないこと。演劇のホールは、それを使う人たちの意見を聞くことが必要で、地域説明会の時にも、専門家を入れてくれとの要望が出ていた。だから、高円寺会館の改築に専門家が入ったことはむしろ喜ばしいこと。奥山はそんな状況を披瀝して、議案に賛成をしました。その意見を、彼らもしっかり聞いており、その後で賛成したのです。彼らは反対することも出来たし、さらに質疑を尽くすことも出来た。それをしないで「賛成」し、その一週間後自らの採決を、言論封殺の中、白紙に戻したわけです。杉並では、中学生区議会が年に1回ほど開かれます。例えるに失礼だが、中学生でも「みっともない」と判る話でしょう。

 それだけではありません。区側の説明員(役所の部長や課長)に対して、侮蔑的な言葉(議事録には残ります)を投げつけました。ふだんは礼儀正しい人がなぜあのような態度を? これも不思議。
 議案の審議の場なので、前回23日も、今回30日も、山田宏区長は列席して、時折目をつぶりながら、じっとやりとりに聞き入っていました(そのように見えた)。

 さて、奥山が自分の質疑順番を待っていたところ、上記3名の質問が終わったところで、西村さんが「委員長、継続審査の動議を提出します」と発言。原口昭人@日本共産党杉並区議団と、奥山が「委員長、動議! 質疑はまだ終わっていません! 動議!」と叫ぶ怒号の中、委員長井口かづ子議員@杉並自民議員連盟は、質疑を終結してしまいました。まだ残りの時間は20分あったのだから、奥山や原口さんに質疑させた後、採決する方が言論の場にふさわしいはず。それとも、奥山に明らかにされては、ごまかせないとでも思ったのでしょうか。 その真意は奈辺にあるのか。 今回の議案の中身を探ってみましょう。

 来年あけると、高円寺会館を建替えて杉並芸術劇場にする。議案は、その指定管理者を決めるものです。NPO法人劇場創造ネットワークが第一順位に予定しており、後は議会の決定を待つばかり。このNPOには、斎藤憐(れん)さんはじめ、別役実、鴻上尚史、坂手洋二、マキノノゾミ、鈴木聡各氏といったそうそうたる日本の演劇人が入っています。そればかりか、井上ひさし、永井愛氏など、日本劇作家協会の人脈も協力するというもの。演劇関係の人であれば、完成が楽しみな事案です。この設定に何か問題を見つけることはあるでしょうか。そう言えば井上ひさしさん。最近では「九条の会」。護憲派の筆頭です。
 さて、継続審査となったらどうなる? 第二順位の法人(株式会社です。名前は公表できます)に繰り上がるのでしょうか?
 
 それにしても、わからないことだらけ。これほどの強引な手法をとってまで、NPO法人劇場創造ネットワークの指定を白紙に戻す。それで溜飲が下がる、得をする人々(法人含む)は誰でしょう? そして、そのシナリオを書いたのは?
 なお、我が会派は、このような暴挙を本会議場でしっかりと指弾すべく、意見を表明しました。その時の、提案者たちの怒号の、まあ、すごかったこと。小野議員の発言が一時聞こえないほどの喧噪でした。今期の区議会は、お行儀がよかったのに。「動議を出せばいいじゃないか!」のヤジには私もさすがにカチンときたので、「動議を無視しただろう!」と奥山もヤジの応酬。いやはや子どものケンカ(失礼)です。
 直後は、怒りでいっぱいでしたが、一日経ってみると、なんか脱力しています。議会運営に関しては多摩地区は進んでいます。23区は市民派議員が少ないため、こんな無理がまかり通っているのです。その中にあって、どう振る舞うか。奥山の責任重大と思い知った一日でした。

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