ウエストバンクにおけるイスラエルの軍令:1967-1992年はじめに |
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本書に収録した軍による命令や規則は、イスラエルの26年にわたる西岸地区とガザ回廊の占領の基礎をなすものである。イスラエルの占領政策は「合法性」を強く意識しており、その点では特異なものといえる。この軍令や規則は、パレスチナ占領地における不法行為のほとんどに「合法性」を付与するためのものである。これによって、占領そのもの、公民権や人権の侵害、パレスチナ人の政治、経済、社会、文化的諸権利の侵害が是認されているのだ。 西岸地区では1300以上の軍令が施行されており、ガザ回廊でも1000以上の類似の法令が施行されている。その主眼は、さまざまな手段を通じてパレスチナ人の大半を追放し、居残った住民を征服支配することにあった。土地の取得と接収、経済活動の活力を奪う諸々の制限などは、みなこの軍令と規則を通じて可能になったものである。住民の福祉ではなく軍事占領者の便宜のために天然資源の利用を人為的に操作し、パレスチナ占領地の経済、社会、文化的な開発の試みをことごとく抑圧するため意図的な障害を設けるような行為に、これらの法規が「合法性」の見せかけを与えてきたのである。これらの法規は、イスラエルの利益の増進を目的としている。 その顕著な例は経済分野で、イスラエルは自己の利便のためにパレスチナ人の経済を操作し、抑圧している。同じく重要なのは、「治安目的」に必要だという口実のもとに、軍令を利用してパレスチナ人から土地を奪うイスラエルの手法である。安全のために接収された土地は、パレスチナ占領地に流入するユダヤ人移住者を住まわせるための入植地建築用地に転用される。 交戦中の支配者が占領地に特定の法規を施行することを国際法が認めているのは、二つの場合に限られている。(1)占領軍の安全のために新たな法規が必要な場合、または(2)民間住民の利益のために新たな法規が必要となる場合である。イスラエルの軍令と規則のほとんどは、いずれの条件にもあてはまらない。イスラエルの占領は国連安保理決議242(1967年)に違反したまま継続してきた。この決議は、西岸地区とガザ回廊は「占拠」地であると認定し、イスラエル軍の撤退などを要求している。同決議に沿って、イスラエルはジュネーブ第四条約をはじめとする「交戦時や軍事占領下における民間人の保護に関する国際法規」を遵守するよう求められた。だが、そうする代わりに、イスラエルは軍令や規則を使って現実を作り変えてしまった。西岸地区とガザ回廊の事実上の併合である。 イスラエルによる西岸地区とガザ回廊の占領についての議論が高まりつつある現状を受けて、わたしたちは軍令集の英語版を出版することにした。本書の要約した翻訳が、この問題に関心を持つ人々に、占領下のパレスチナにおける生活のあらゆる側面を支配している複雑な法体系に触れる機会を提供できれば幸いである。また、わたしたちは、現行の和平努力が実を結ぶためには、イスラエルの軍令を撤廃し、パレスチナ人みずからの立法を可能にすることが交渉の中心に据えられねばならないと信じている。 JMCC所長ガッサン・アルハティーブ
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