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ブルー・イン・ザ・フェイス

BLUE IN THE FACE

85 分・アメリカ・1995年
監督:ポール・オースター、ウェイン・ワン 
製作総指揮:ハーヴェイ・カイテル、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン 
脚本:ポール・オースター、ウェイン・ワン  
出演:ハーヴェイ・カイテル、ミラ・ソルヴィノ、ジャレッド・ハリス、ジャンカルロ・エスポジート、
ロザンヌ、ジム・ジャームッシュ、マイケル・J・フォックス


場所:キノ・キュッヘ
日時:2005年8月21日(日)16:30〜
問合せ:042ー577ー5971(キノ・キュッヘ)

担当 小見憲

 連れ合いによれば、私はケチなのだそうである。最近は、ほとんど着るものを買わないし、連れ合いが買ってきたバーゲン品の値段を聞いても、必ずや常識はずれの安い金額を言うのだそうだ。否定はしない。寿司屋に行けば、いかや小肌、焼肉屋ではホルモンをまず頼む。思うに、これは一つの防衛本能なのだ。つまり安いものを頼んでおけば、たとえそれがまずくてもしょうがない、と諦められるから。もし高くてまずかったらメチャクチャに損をした気分になるから。まあ、料理人の佐々木さんなんかの敵ともいうべき「マイナス思考」だ。
 最近よくビデオ屋に行く。そして小一時間ほど粘る。時々、思い掛けない面白い作品に出会うことがある。そうすると、安いのに上等なものを食べたような、随分とトクした気分になる。かつての古本屋で意外な掘り出し物を見つけた時と同じ気分だ。
 しかし、実のところ私は「映画は映画館で」という正統派(?)なのだ。いい映画は千八百円を払って映画館で観る、それが本当と思っている。でも時々ひどい映画にぶつかるからね。で、その対処法として映画館に行く時は映画を精査する。結果、映画館には足が遠のく。
 さて、そのビデオ屋通いだが、この頃、面白い作品にぶち当たらない。近くの「ゲオ」にはかなり通い、漁ったので、どうも私が面白いと思う作品が少なくなっているのかもしれない。
この「ブルーインザフェイス」は、観たままの作品で解説には及ぶまい。大傑作ではないかもしれないが、佳作。これを面白いと感じるかどうかは、(当り前だが)実に個人の好みによる。同じくウェイン・ワン監督の「スモーク」の続編的作品だが、私はストーリー性のある「スモーク」より、脈絡のないコラージュのような「ブルーインザフェイス」のほうが好きである。(観た順番は逆である、「ブルーインザフェイス」を最初にビデオ屋で見つけ、面白かったので後で「スモーク」を借りた)「スモーク」撮影直後、可能なキャストをそのまま使い、短時間・低予算で製作された、という作り方も好感がもてる。
あと、私は知らなかったが、ポール・オースターという作家(詩集もある)はけっこう有名らしい。面白そうなので、今度読んでみようかな。(小見憲)
 
ブルー・イン・サ・フェイス(内容)
小説家のポール・オースター(ここでは共同監督、のち「ルル・オン・ザ・ブリッジ」を監督)とウェイン・ワン監督が組んだ秀作「スモーク」の続編的作品。
ニューヨーク、ブルックリンの一角にあるオーギー・レンの煙草屋、そこに集まって来る妙な人々。この人々の様々な思い出が詰まった最愛の店がなくなるかもしれないという話が持ち上がるが……。
もともと、この作品は「スモーク」撮影直後、可能なキャストをそのまま使い、主要ロケ地に留まり、短時間・低予算で2本目の映画が撮れないかというP・オースター&W・ワンの希望で製作されたというもの。"ブルー・イン・ザ・フェイス(=顔色が真っ青)"になるまでセリフを喋らせるという案からつけられたタイトル通り、10分きっかりの各テイクで出演者は即興的(?)演技を披露している。物語性をもった「スモーク」とはある意味で対称的な雰囲気の作品。自由で独特な雰囲気、妙で味わいのあるユーモア等、実験的な手法で作られながら1本の映画として完成している。