国連開発計画が今年まとめた「人間開発報告書1996」は発展途上国と呼ばれる多くの国が10年前より経済的に後退し、世界で富裕と貧困の2極化が進行していると述べています。それによると途上国のうち70ヵ国が1人当たりの所得で見ると1960年代よりも低下し、世界全体の国民生産は75〜85年の10年間で約40%増加したにもかかわらず貧しい人の数は逆に17%増え、経済格差は「不平等な段階から、非人間的なレベルに移行して」います。 このような発展途上国の経済的な停滞の結果、いま世界を覆う飢餓や貧困、そして深刻な環境破壊などの危機的な状況について述べるのに改めて多くの言葉を費やす必要はないでしょう。例えば国連食料農業機関の報告によれば発展途上国では8億人が慢性的な栄養不良状態であるといわれています。また5才未満の子供だけでも2億人が重度もしくは慢性のタンパク質不足の状態にあり、このままいけばその数は2010年には7億3000万人にも増えると推測されています。 では、これらの深刻な事態は一体何に起因するのでしょうか? いうまでもなくそれは途上国の側に帰せられるべきではありません。私たちはその原因こそ今日の国際関係の中に求めなければならないと考えます。 周知のとおり発展途上国と呼ばれる国を含む第3世界の多くの国はかつて帝国主義によって植民地として支配され、その下で徹底的に収奪をされました。このことが第3世界の国々の経済的な困難の今日にいたる大きな要因になっていることは否定できないでしょう。それゆえこれらの国々は、第2次大戦以降「民族の解放と独立」の闘いに起ち上がり、国家の独立と自立的な国民経済を建設する闘いを開始しました。 しかしながら、1980年代に入るとこれらの闘いは一挙に破綻してしまいます。歴史の流れを狂わせたのは1982年のメキシコに始まる債務危機でした。またその際にIMFは債務危機に陥った各国に対して一律に輸出振興を中心とする構造調整政策を押し付けました。このため一次産品の洪水のような輸出が一斉に始まり、その結果先進国での省エネなどの産業技術の革新とも相まって一次産品の価格の大幅な下落を招いてしまいました。このことから80年代は「失われた10年」と呼ばれているのですが、こうして第3世界の国々にとってはまさに経済的に不利な状況が現出したのです。 このような状況のなかで1980年代以降全世界的にマルクス主義やケインズ派経済学を基礎とした国家管理主義的な従来の国家福祉経済体制から、市場メカニズムを重視する自由主義的な経済体制への転換が始まります。第3世界諸国の内部にグローバル化する世界経済の波に乗る以外に生き残る道はないと考える勢力が台頭してきたのです。このことは89〜91年のソ連・東欧の崩壊によって一層の拍車がかかりました。ソ連・東欧の経済の行き詰まりは、市場経済こそ唯一の救いであるとの信仰を生み出したからです。こうして新自由主義が世界を席巻することになりました。 それでは、新自由主義は世界を救うことになるでしょうか? 世界はますますグローバル化の様相を深めていくことでしょう。それはなによりも資本のグローバリゼーションがつくりだしたものであり、新自由主義はその地ならしの役割を果たしていくでしょう。それゆえそれが行き着く世界は、より一層の飢餓と貧困、差別と南北格差の拡大、そして環境破壊をもたらすことはもはや明らかです。そして、それこそは私たちが拒否しなければならない未来の世界です。 私たちはこのような歴史の流れに抗し、資本の支配と闘う国際主義的な潮流をアジアにおいて建設することを目指していきます。そのために私たちはアジアの民衆に敵対するガイドライン安保に反対し、有事体制を許さない闘いをつくりだしていきます。そして、海外の友好組織との連携を深め、アジアの民衆とともに新自由主義と対決していきます。 アジア連帯講座に結集し、ともにアジアの民衆に連帯する運動をつくりだしていこう。 (会則) @名称 本会を「アジア連帯講座」と呼ぶ。 A事務所 東京都渋谷区初台1―50―4―103 新時代社に置く。 B目的 アジアの民衆に連帯し、そのために必要な活動を行う。また、この目的のため海外の友好組織との連携を深めていく。 C機関 本会に全体会議、事務局を置く。全体会議は随時開催し、必要な議案を審議、決定する。事務局は本会の活動の強化発展を図り、より効果的に機能させるために運営上の責任を負う。会計を1名置く。 D財政 本会の活動は会費その他の資金を以って充当する。会費は6カ月で2000円とする。 |