シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト 第3号 2000年9月2日発行(不定期刊) 発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編 集 チームS・電子オフィス |
今号の目次 1.シェイダさんは今(牛久市・東日本入国管理センターをたずねて) 2.シェイダさん難民認定・仮放免のための嘆願にご協力を! 3.「シェイダ基金」設置のお知らせ〜ぜひともご協力・ご出資を!
《シェイダさん面会記》 東京から、約2時間半、百キロ離れた山里に収容センターがぽつんと建っています。8月28日、10日ぶりに面会したシェイダさんは、髭も剃り、入浴後のため(少し待ちました)さっぱりしていました。長期収容者が多いため、みな独房に居り、外での運動や入浴は週2回、体操は毎日朝晩あり、耳の痛みも医者が診察しているそうです。ただ、物品購入などの申出書記入が大変だとのことです。 面会して感じたことは、外での運動時他の収容者と話しができるようで、それは良い面もあるのですが、変な噂話が一人歩きしているようで、「イラン人が昨日退去強制に同意していないのに帰らされたようだ」とか「ある弁護士は裁判で負けたらしい」とか、変なうわさからシェイダさんが、大変神経質な心理状況になっているのではということです。彼の長期収容については、もちろん、日本の法務省や裁判所が根本的問題であるわけで、嘆願書を集めていることなど、きちんとした情報を面会時伝えることも必要ですが、月2回の面会では限りがあり、みんなでカタカナ手紙などを送って、シェイダさんを精神的にも支えていくことが大切だと思いました。 面会は、一度に3人までですが、面会する人が変われば、一日2〜3回でも可能で、30分程度十分話せます。面会時間は午前9時〜12時、午後1時〜4時ですが、ジュースなどの自販機があるだけで、面会者用の売店・食堂などはありません。面会者は通常、非常に少なく、この日も5〜6人程度しかいませんでした。 《東日本入国管理センターの住所》 〒300-1147 茨城県牛久市久野町1766 東日本入国管理センター 電話:0298-75-1293 (「シェイダさん」は仮名のため、現状では、シェイダさん名義では手紙は届きません。手紙を出す場合、面会をしたい場合については、「チームS・シェイダさん救援グループ」まで事前にご一報下さい。) 《センターまでのアクセス》 JR上野駅もしくは日暮里駅から常磐線で牛久駅まで(約50分)。 牛久駅東口から、バス乗り場2番から牛久浄苑(牛久大仏)行、農芸学院前下車(約30分、600円)。降りると、農芸学院案内と入国管理センターの看板が出ています。そこから徒歩、約10分でセンター入り口に着きます。帰りはこの逆です。牛久駅からタクシーだと、行き2000円、帰路は呼出した場合3000円。 ●牛久駅発・牛久大仏行きバス時刻表(平日) 8:59, 10:16, 11:30, 14:40 ●平日農芸学院前発・牛久駅行き時刻表(平日) 9:43, 11:00, 13:35, 15:24, 16:39
前号でも書きましたとおり、シェイダさんは現在、入管当局によって「東日本入国管理センター」(茨城県牛久市)に収容されており、法的には以下のような状況にあります。 (1)難民申請:不認定 (2)退去強制処分:法務大臣が異議申出を「理由なし」と裁決 「法務大臣による特別在留許可」も出ず (2)の裁決と同時にシェイダさんには退去強制令が発令され、退去強制が執行される状態となりました。そのため、シェイダさんは (1)については、難民不認定に対する異議の申し出、 (2)については、退去強制に関する行政訴訟と、退去強制の執行停止の申立を行い、現在、退去強制の執行停止の申立に関する裁判所の判断待ちの状況となっています。 この執行停止の申立は認められるのが普通で、難民認定の異議申し出や、退去強制に関する行政訴訟の結論が出ないうちに、強制的に退去させられてしまうことはほとんどないようです。しかし、法的に宙ぶらりんな状況にあることは確かであり、シェイダさんが一日も早く難民認定をかちとり、収容を解かれて安定した日常生活に戻れるようにすることが、強く求められます。 そのために、私たち「チームS」では、シェイダさんの難民認定と仮放免(注1)を求める嘆願書を作成しました。9月中を目処に、多くの方の賛同・署名を得て、早期に法務省に提出していきたいと考えています。ぜひとも、多くの方のご賛同をお願いいたします。 なお、第三国出国ということも、重要な解決方法の一つと考えられますが、いまのところ、オーストラリア・カナダなど難民に寛容な国でも、日本での難民認定手続が完全に終了しないと、難民調査の手続を開始しないのが実状です。チームSでは、現在、オーストラリア、米国、カナダ等の同性愛者難民の支援組織に連絡を取っており、日本での難民認定の手続が不調に終わった場合に、第三国出国の方向性をすぐに追求できるように準備しています。 注1 仮放免とは 仮放免とは、入国管理法上の規定で、入管当局が定期的な入管局への出頭と保証金の供託(300万円以下、通常20〜100万円)などの条件の下に、入管法違反の被収容者を仮に放免(釈放)することができるというものです。シェイダさんの場合、本来難民に該当すると思われること、逃亡の恐れがないこと、長期間にわたる訴訟中ずっと勾留しておくことは非人道的で経費もかかること、などから考えれば、仮放免を行うことは当局にとっても合理的なことです。 嘆願書の作成について:以下のようにお願いします ●以下、「難民認定」「仮放免」それぞれの嘆願書があります。所定の欄にお名前・ご連絡先等(ここには、差し支えない範囲で住所・電話番号・電子メール番号などの連絡先や、ご所属団体名などをお書き下さい)・法務省へのメッセージをご記入下さい。 ●その上で、チームS・電子オフィス までご返送頂ければ幸いです。9月中をメドに集約を行い、法務省に提出します。 ●なお、嘆願書はそれだけを一つのメールで送っていただき、「チームS」宛のメッセージがある場合は、別のメールにて送っていただく様にして頂ければ幸いです。 シェイダさんの難民認定に関する嘆願 2000年 月 日 法務大臣 保岡 興治 様 貴省におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 さて、私は、日本国政府に対して難民認定を申請しているイラン人のゲイ、シェイダさん(仮名)について、難民としての認定をしていただくことを、強くお願いするものです。 シェイダさんは、イスラム原理主義政権下で、同性愛者への激しい迫害が続いていたイランから、1991年に出国し、日本に来ました。その後、1999年に都内で開催されたイベントでゲイとしてカミングアウトし、イラン政府やその他のイスラム諸国の同性愛者への弾圧を批判しました。 イラン刑法では、同性愛者を死刑に処することのできる条項があり、同性愛者が実際に処刑されたケースも数多く存在しています。改革派と伝えられるハタミ現政権下でも、同性愛者への死刑執行のケースが存在しており、非公然部隊によると思われる同性愛者への謀殺疑惑事件なども発生しています。 こうした状況からみれば、ゲイとしてカミングアウトし、イラン政府の同性愛者政策にはっきりと反対しているシェイダさんがイランに退去強制させられた場合、ゲイという社会的集団に属することにより迫害されるおそれは十分にあり、シェイダさんははっきりと、難民条約・難民議定書に示されている難民の定義にあてはまります。 貴省におかれましては、この事実を直視し、公正な判断の下にシェイダさんを難民として認定するよう、心よりお願い申しあげます。 氏名 連絡先等 メッセージ シェイダさんの仮放免に関する嘆願 2000年 月 日 法務大臣 保岡 興治 様 法務省東日本入国管理センター 所長 様 貴省におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 さて、私は、現在日本国政府に難民認定を申請中のイラン人ゲイ、シェイダさん(仮名)を仮放免していただくよう、強くお願いするものです。 シェイダさんは本年4月22日、入国管理法違反により警視庁に逮捕されて以来、現在まで4ヶ月以上にわたって、警察署の留置場や入管局の収容施設に勾留・収容され続けています。 シェイダさんは、同性愛者を死刑をもって罰しているイラン・イスラム共和国における迫害から逃れるために来日したものであり、在留資格なき滞在にもはっきりした理由が存在します。また、シェイダさんは現在、難民認定手続の異議の申し出、ならびに退去強制に関する行政訴訟の提起を行っており、中であり、逃亡の恐れはまったくありません。人道上の見地から、シェイダさんの仮放免を許可することが強く求められます。 貴省におかれましては、この事実を直視し、公正な判断の下にシェイダさんに対し仮放免を許可されるよう心よりお願い申しあげます。 氏名 連絡先 メッセージ
これまで、シェイダさんを救援するための「チームS」の活動は、メンバーによる持ち出しと、シェイダさんの許可をうけての本人の貯金の活用などによって行ってきました。 しかし、シェイダさんの身柄が牛久市の「東日本入国管理センター」に移され、面会などにすら多くの金額(東京からの交通費だけで数千円)かかるようになるなど、基本的なサポート活動にも多くの経費がかかるようになっています。 また、シェイダさんが現在行っている行政訴訟や、仮放免が許可された際の供託金の支払い(これは将来的には返ってくるお金ですが、一時的に用立てしなければなりません)などにも、高額の費用がかかることが予想されます。 これらの諸活動を賄うには、シェイダさんの自己資金とチームSメンバーの持ち出しだけでは到底不十分です。そこでチームSでは、「シェイダ基金」を設け、これらの活動のための資金面でのご寄付・ご協力をお願いすることといたしました。 以下の要領で、基金を設置いたしますので、ぜひともご協力・ご出資のほどお願い申しあげます。 ご協力ご出資の方法 ●一口1000円(複数口でのご寄付、一口以下でのご寄付、いずれも歓迎いたします) ●以下の郵便振替口座まで、お振り込み頂ければ幸いです。 (口座名称)シェイダ基金 (口座番号)00100-2-554626 ●郵便振替用紙等については、ご住所を「チームS電子オフィス」まで頂ければ、資料等とともに郵送いたします。もちろん、郵便局等に備え付けの郵便振替用紙にご記入の上振り込んでいただいても構いません。 「シェイダ基金」要項 ●1.名称 「シェイダ基金」とします。 ●2.目的 2000年5月よりオーバースティを理由に逮捕・勾留されているイラン人同性愛者、シェイダさんの難民申請を日本政府法務省に認めさせるために使います。 ●3.主な出費など ・シェイダさんとの日常的な面会のための交通費・差し入れ品購入の経費 ・シェイダさんの難民認定・行政訴訟などにかかる経費 ・シェイダさんの仮放免が許可された場合の供託金としての出費 ・シェイダさんの状況を伝えるための広報費・郵送費等 ●4.目標金額 100万円とします。(この金額は、当面のシェイダさんの訴訟費用・救援活動にあてる上で必要な額として算定しました) ●5.会計状況の還元 お振り込みいただいた方には、定期的に会計状況の報告をいたします。郵便振替用紙に住所・ファクス番号・電子メールアドレスなどを記載して頂ければ幸いです。 ●6.残金の処理 本基金が目的を達成し解散する際に残金が生じた場合には、シェイダさんとも協議した上で、難民問題や、同性愛者の人権確立などに取り組むNGO活動に寄付するものとします。 伝統的な共倒れの非妥協的討議から、むしろもっとDemocratic Friendlyな対話へ転じるための長く困難な道のりが残されている。進んでこの道を見いだそうとするものにとっては、たとえば、対話と討議を不可能にするためにだけ考えられた仕掛けに過ぎない論拠のような、いくつかの危険な場所を見分ける標識を自覚しておくことは価 があるにちがいない。 A・O・ハーシュマン「反動のレトリック−逆転、無益、危険性」 電話 070-6183-5165(田中) FAX 03-3330-0324 メールアドレス cbo51340@pop12.odn.ne.jp(庄子) シェイダさん救援グループHP http://www.fairy.net/~power/teams.htm |