シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト 第29号 2001年11月26日発行(不定期刊) 発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編 集 チームS・電子オフィス |
今号の目次 (1)<緊急速報1>牛久収容所がシェイダさんの仮放免を許可 シェイダさんの身柄は今週中に解放 (2)<緊急速報2>在日アフガン難民9名に難民不認定処分 「再収容」を許さない世論を巻き起こそう
とてもうれしいニュースが入りました。牛久収容所(東日本入国管理センター)に収容されていたシェイダさんに仮放免決定がおりたのです。5回目の申請にして、ようやくかちとれた勝利です。 酒井明・牛久収容所長がシェイダさんの仮放免を決定したのは11月22日(木曜日)。保証金は30万円ですが、保証書をさし入れるということで、実際に現金を支払う必要はありません。 シェイダさんが逮捕されたのは2000年4月22日。シェイダさんはまず高島平警察署に留置され、それ以降、5月に東京入国管理局収容場(東京都北区)、8月に牛久収容所に移送され、収容は1年と7ヶ月におよびました。さる8月31日、シェイダさんの仮放免を求めて牛久収容所と交渉をもった際には、すでにシェイダさんは、牛久収容所で7番目に収容期間の長い人になっていました。その後、9月に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がシェイダさんの難民認定の支援を決定、10月31日にはUNHCRのスタッフの方の名義で仮放免を申請しました。この申請については、おそらく許可が出るだろうとの見通しが立っており、問題はいつ許可されるかということに移っていました。「チームS」としては、早期の許可と処遇の改善を求めて、今月末に国会議員の方の仲介で所長交渉を予定しており、22日に交渉の申し込みを行った矢先の決定でした。 シェイダさんの仮放免については、これまで多くの皆様からのご協力を頂きました。シェイダさんが牛久に移ってからも、ほぼ1ヶ月に2回の割合で面会体制を組むことができました。また、「チームS」として呼びかけたシェイダさんの仮放免を求める嘆願書には、合計600人以上の方が署名してくれました。また、多くの方々が、自らの知識を生かして協力してくれました。今回の仮放免決定は、こうした皆様の努力が結晶したものであると言えます。 シェイダさんの仮放免が実現した現在、焦点はシェイダさんの難民認定が認められるかどうか、また、シェイダさんをイランに送還することを命令する「退去強制令書」の取消訴訟の行方がどうなるかに焦点が絞られることになります。今後とも、シェイダさん在留権裁判のゆくえに注目を、そしてシェイダさんにさらなるご支援をお願いいたします。 なお、次回の「シェイダさん在留権裁判」第8回口頭弁論は来る2001年12月4日、午後4時から、東京地方裁判所606号法廷にて行われます。原告シェイダさん本人が出廷する初めての裁判となります。 また、裁判終了後には、「報告集会」あらため、「シェイダさんお帰りなさい!そして難民認定、在留権獲得へ」集会(仮)を実施する予定です。長い収容から解放されたシェイダさんの弁を聞きたいという方、ぜひともお越し下さい。
次は、先月から問題になっていたアフガン人少数民族の難民申請者9名に関する緊急速報です。 彼らアフガン人たちは、今年の7〜8月に難民申請を行っていましたが、東京入国管理局は10月3日、申請に対する決定がおりていないにも関わらず、彼らを強制収容し、日本の難民史上でも大きな注目を浴びる問題となっていました。11月6日、東京地裁民事第三部は9名のうち民事第三部に機械的に振り分けられた5名の収容を停止する歴史的決定を下し、5名は解放、残る4名については、東京地裁民事第二部の収容停止却下決定によって収容が継続していました。 本日朝のNHKニュースによれば、2001年11月26日、法務大臣(森山真弓)は本年上半期に日本に入国して難民申請を行っていたハザラ人などアフガン少数民族9名全員に対して、難民不認定処分を決定しました。 タリバンと戦っていないから難民ではない? 法務省の驚くべき「難民条約」認識 難民不認定の理由は、「タリバンと戦ったり政治活動をした経歴がなく、迫害を受けるおそれは乏しい」などというものですが、これは噴飯ものです。 彼らはタリバーン政権によって拘束され、暴行を受けるなど、実際にタリバーン政権による迫害を受けてきた人々であり、その迫害などによってATSD(急性心的外傷後ストレス障害)の診断を受けています(毎日新聞・北海道新聞11月24日夕刊)。法務省の処分は、彼らをテロ対策の一環として拘束・強制収容したことを隠蔽し、「法務省の難民政策は国際秩序に反する」として彼らのうち5名を解放した東京地裁民事第 三部の歴史的決定を「なかったこと」にするための政治的な処分です。 また、この難民不認定処分については、9名の代理人である「アフガニスタン難民弁護団」が提出した資料を入管側が受け取りを拒否するなど、本来必要な証拠の検討を全く行わないまま出されたものであり、手続上の瑕疵も見られます。 難民申請に関して不認定処分がおりた場合、一度だけ異議の申し出を行うことができます。また、行政事件訴訟法で規定されているいくつかの方法で、不認定処分の取消や無効の確認を求める訴訟を提起することが可能です。 一方、難民申請について不認定処分がおりた場合、退去強制手続についてもほぼ同時に最終段階の判断が下され、法務大臣が「退去強制令書」を発付するのが通常です。「退去強制令書」は送還と収容の二つの命令から成り立っており、もし退去強制令書が発付されれば、解放されていた5名も再収容される可能性が高いです。 「再収容」を許さない世論を作り、法務省の不当な決定に対抗していきたいと思います。 東京高裁も残る4名の収容停止申立を棄却 一方、同じ26日、東京高等裁判所は、東京地方裁判所民事第二部が出したアフガン人4名に対する収容継続の決定に対する即時抗告(通常の裁判で言う控訴)について、棄却の決定を下しました。内容は、東京地裁民事第二部の決定を踏襲するもので、収容されていても難民認定手続などは行うことができるため、収容は彼らに回復不可能な損害を与えるものではないというものです。 しかし、実際には、収容が続く4名のアフガン人のうち一人が自殺未遂、もう一人が摂食障害を起こすなど、アフガン人たちの精神状態は極度に悪化しています(新聞報道)。ただちに彼らを解放することが必要ですが、彼らにも難民不認定処分がおりているため、退去強制令書の発付も近いものと思われます。 また、アフガニスタンの情勢は極めて混沌としており、現状で彼らにとって安全な場所ではありません。強制送還は許さない、彼らをただちに解放し難民認定を、という声を、大きく上げていきたいと思います。 ○アフガニスタン難民関係の資料は、ウェブサイト国家による憎悪犯罪:日本のアフガニスタン難民申請者の現在に詳しく掲載されています。 電話 070-6183-5165(田中) FAX 03-3330-0324 メールアドレス cbo51340@pop12.odn.ne.jp(庄子) シェイダさん救援グループHP http://www.fairy.net/~power/teams.htm |