連続講座「北朝鮮はどこへ」が97年11月1日に行われた。「北朝鮮の指導者 金正日氏が朝鮮労働党総書記に就任」(97・10・8)と報道され、「食糧難であるにもかかわらず連日祝賀会が開かれている」「北朝鮮針路見えぬまま」等々といった新聞の見出しが目立つなか、アジア連帯講座は北朝鮮の現在をどのように評価していけばいいのか、そして私たちの課題は何なのかという観点から講座が行われた。 講座のテーマは「金正日体制に対する立場と課題」。報告者は、「北朝鮮ファン・ジョンブ書記の亡命と金正日体制の危機」などを「週刊かけはし」で執筆した荒沢峻さんから問題提起が行われた。 荒沢さんは、@北朝鮮の主な権力機構A金正日総書記就任の意味するものB金王朝体制確立のプロセスCチュチェ思想とは、そもそも何かD朝鮮戦争をどう見るか? 金日成王朝の起源を求めてE出身成分(ソンブン)分類とは何か?Fファン・ジャンヨフ証言をどうみるかG北朝鮮の軍事体制をどうみるかH金日成のルサンチマンなど、北朝鮮の歴史から現状に至るまで詳細な報告が行われた。 「いま私たちが共通認識を必要とされるいくつかの課題について何か」と問いかけながら、次のような諸問題について提起した。 「改革・開放」の展望―「北朝鮮農業・工業ミッション団が米国や独国に、さかんに行っている。台湾と貿易事務所を相互に置いている。だが、経済開放だけで改革のほうの動きは何一つないという状況だ」。 「朝日関係の今後の進展」―「朝日正常化に向けて予備交渉が行われている。ノドンミサイルが飛んでくるみたいな過激なイメージがあるが、日本や米国よりもはるかにたけた外交技術を持っている。国際的合意の下で食糧援助ょするような常設機関を作ってほしいというのが本音だろう」。 日本人妻の里帰り問題―「帰国運動はそもそも日本赤十字がしかけたもの。帰国事業はなんだったのかということ。さらに帰国した人の中には行方不明になっているとか、銃殺にされたとかでアムネスティーとかが乗り出している。こういうことも含めてとらえないとだめだ」。 最後に「朝鮮総連の苦悩」について紹介し、「言いつくせない苦悩の中に身をおいているところまで了解したうえで、日本の地で私たちができることはなんなのか皆さんと共に考えていきたい」と訴えた。(Y) |