「香港はどこへ 香港民主派に連帯する集い」 |
97年4月5日、東京・池袋区民センターでアジア連帯講座の主催による「香港民主派に連帯する集い 香港はどこへ 民主派活動家を迎えて」が行われ、80人が参加した。 97年7月1日、約150年にわたるイギリス植民地支配下におかれていた香港民衆は、「一国二制度」を掲げる中国に「祖国復帰」した。中国政府は、返還に先立って「香港特別行政区準備委員会」を設立し、返還準備を進めてきた。しかしその過程で明らかになってきたことは、これまで香港の民衆がかちとってきたさまざまな権利と自由を制限・抑圧しようとすることであった。 準備委は、97年2月1日に北京で開いた全体会議で、91年発効の人権法をもとにデモや集会、結社の自由を認めた「社団条令」に対して「香港基本法に違反する」として規制を強化することを決定している。中国国務院香港マカオ弁公室は「人権法も基本法を上回ることはないし、デモや集会も当局が管理する必要がある」と述べ、香港民主派に対する弾圧を強めることを明らかにした。 すでに中国国内において多くの反官僚・民主活動家たちが逮捕・投獄され、多数の行方不明者が出ていることが明らかになっている。今後の民主派に対する厳しい弾圧が予想される。 だが、昨秋における日本帝国主義の釣魚台略奪反対闘争の高揚、民主活動家の王丹氏に対する懲役11年の実刑判決に対して「王丹は無罪」と訴える香港市民支援愛国民主運動連合会の呼びかけた大衆的抗議デモの取り組みなど、弾圧に反対する民主派の運動は持続している。香港返還後の香港民衆の諸権利防衛・民主化要求は、中国政府と対立していかざるを得ない。中国政府による香港民衆への弾圧を許さず、民主化支援の運動を世界的に作り出すことは、国際主義的に重要な任務として提起されている。 アジア連帯講座は、中国の官僚独裁と香港の植民地支配と闘ってきた先駆社の劉宇凡さんを迎え、ポストケ小平や香港返還後の反官僚・民主化闘争の展望などの提起を受けた。 劉宇凡さんは、「中国資本主義復活と民衆運動の展望」というテーマで報告した。 また、司会から都合により来日できなかった香港の『十月評論』編集部の「香港の民主的返還、香港人による香港統治をかちとろう」というアピールが届いていることが紹介された。 次に日本において中国民主化支援運動を粘り強く続けている民主中国陣線メンバーが特別ゲストとして発言し、中国共産党による香港民主派への弾圧状況などを紹介し、中国民衆と結びついて民主化を実現しようと訴えた。 質疑応答のコーナーでは、「7月1日以降の闘いの具体的なプログラム」、「中国国内の人権状況」、「少数民族問題」、「中国革命の財産について」などについて質問があった。劉宇凡さんは、とりわけ「私たち『徹底した民主主義派』は、中国共産党の弾圧を恐れず闘っていく。そのためにも国境を越えた日本の労働者の皆さんの支援運動が必要です」と強調した。 続いてアジア連帯講座の仲間が「中国官僚による弾圧反対!香港民主派に連帯するたたかいを 4・5アピール」を読み上げ、さらに@『天安門事件』八周年のための取り組みA6月30日、7月1日の香港返還に合わせて、日本における香港民主派支援の取り組みB香港への派遣団を組織するC香港の民主派、労働組合とのネットワークの構築などの行動提起がされ、参加者全体で確認。最後に「団結がんばろう」を行い、新たなスクラムの前進を作り出していくことを誓い合った。 返還後、民主派は中国政府の圧力に屈することなく活動を継続している。今後弾圧を許さないためにも国際的なネットワークによる連帯が求められている。(Y) 劉宇凡さんの報告から 昨年、香港で起こった釣魚台略奪反対運動に日本の皆さんが支援を送ってきてくれたことは、私たちの時代における新しい国際主義のしるしだった。 資本家に奉仕する中国共産党 まず最初に中国が現在どうなっているかという問題から述べていきたい。 この間の中国の状況を見ると、経済発展は年率9%で上昇している。しかし数年前から中国の民衆の間には、有名な「東方紅 東の空が赤くなった」という歌がありますが、この替え歌がはやっている。それは、「西の空が赤くなった、太陽が沈んでいく、ちっぽけなケ小平という男が現れた。ケ小平は自分のために幸福を図り、人民に対しては自分の面倒は自分でみろ」と言っている。 確かに経済発展が続いていることは事実だ。しかし同時に貧しい人々と金持ちになっている人々、その格差は急速に拡大している。ジニー係数(富んでいる人間と貧しい人間の格差がどれぐらいなのかという係数。0から10の値がある。)で0.3ぐらいだと比較的平等な社会だが、0.5というのは、かなり格差がある社会である。79年にはジニー係数が0.31であった。それが94年には、0.434に達している。中国の経済発展というのはそんなにすばらしいものではない。 若干統計を上げてみると、国内債務は、現在、3300億人民元に達している。対外債務額は、ドルに直して1000億ドルに達している。この1000億ドルは、中国が輸出によって獲得する外貨の額と、ほぼ等しい。外国資本の投資額は、2875億ドルで、この額は、中国全体の財政収入の60%に当たる。 こういう財政モデルは、すでにメキシコ、ブラジルなどで現実に実践されたものだ。その他の国でもこういう発展モデルがやられている。そして、その結果がどういうものになるのかということをわれわれは十分に知っている。 中国共産党は、自分たちは依然として社会主義を守ると言っている。公共的な所有を守るということが、自分たちの原則であると言っている。 確かにソ連とか、東欧のような、きわめて大規模で全面的な形で民営化が進んでいるわけではない。GDPの現状を見ると、依然として国有部門、集団的な所有の生産高は50%を越えている。こうした公式統計によれば、資本主義的な所有形態というものは、全体的な比率から見ると、まだ少ないものである。 しかしこうした数字というのは、デタラメなものである。まず第一に集団的な所有と言っているが、その80%は事実上、すでに個人的な所有形態になっている。「非共同所有的な形態の経済」と言われているものは、これは実質的な資本主義経済と言っていい。 中国共産党は、雇う労働者の数が7人以下の企業については個人経営の企業であると認めていない。そういう点などを考慮してみると、実質的な資本主義経済というものが持っている比率は、中国経済の実態の中では非常に大きいものであると言わなければならない。 資本主義経済の現実について、ひとつの例をあげると、いわゆる個人的に所有している株式の量と対外投資の量を人民元で換算すると、現在、1兆人民元になる。この1兆人民元は、現在の中国の国有財産のほぼ4分の1に当る。 それではなぜこれほど資本主義経済が急速に発展したのか。もちろん中国共産党の政策ということがある。88年に憲法を改正して、公式に資本主義的な所有を認めた。第二に、こうした政策が国有財産、共有資産から私有経済に吸い上げていく事態を加速させた。 中国型の民営化は、すでに15年間以上続いている。最初の民営化は、農村部門において始まった。80年代の初め人民公社を解体し、共有財産のかなりの部分が解体されて民営化された。これをきっかけに農村における資本家の第一の世代が誕生した。 公共部門、商業部門における資本主義というのは、もっと急速に展開することになった。それは隠された形で公共部門、商業部門で進んでいった。例えば、新しく設立された企業は、土地、労働力、さまざまな資産を非常に安い価格で買うことができるようになった。毎年200億から300億人民元ぐらいが国有財産から失われていく。なぜかというと、土地などが非常に安い価格で私的企業に販売されるからである。 第三は、労働者階級が自らの権利を政治的に防衛することができない状況に置かれている。したがって資本家の側は、労働者を厳しく搾取することができる。これが大きな要因だと言える。 中国共産党は、このような形で労働者階級にではなく、資本家に対して奉仕をしているというのが現状だと考えている。 なぜこのような形で急速な資本主義化が進んだのか。その理由としては、中国が非常に後進的な国だからと言っていい。 国営企業のうち利益をあげるものは、3分の1にすぎないと言われている。国営部門は、いつも非常に弱体であった。人民公社が解体されたことによって、農村地域は、小規模な農民経済に入っていった。このような小規模な農村の経済を基礎にして資本主義の発展が行われていった。78年においては人口の90%が農民であった。 私的な資本について話してきたが、次に官僚資本の問題について話していきたい。官僚資本の第一は、利益を追求していくための官僚による私有財産、資産。第二は、名前のうえでは国有財産だが、実質上、官僚がコントロールして私的な利潤をあげるために利用している資産。いまや官僚は、自由に私的な企業を設立することができる。きわめて恥知らずな形での民営化と企業の設立を長年にわたって行ってきた。官僚のセカンドビジネスの在り方は、合弁企業を設立することだ。 官僚は合弁企業を設立する時に国営企業から資産を合弁企業に吸収していく。例えば、土地とか、諸設備の値段を非常に安い価格で自分たちが作った合弁企業に吸い上げていくやり方をとる。合弁企業を設立するうえで国営企業の資産が90%以上値切られている。このようなやり方で国有資産の六百億人民元の価値が合弁企業の設立によって失われた。 現在の官僚は、毛沢東時代の官僚とは異なった性格を持っている。毛沢東時代の官僚の特権は、消費物資をたくさん手に入れるというものだ。現在の官僚は、消費物資を収奪するという形ではなく、利益を吸い上げて自分たちのビジネスに使い、作りあげていく。 中央政府が行っている投資は、全体の資本の投資の中で3.1%である。それに対して官僚的資本が自分たちのために行っている投資の額は、53.2%に達している。 外国からの投資についてはどうだろうか。海外からの投資があまりにも巨大であるために、中国国内の産業資本は非常に危機に陥っている。例えば、洗剤、石鹸などの産業部門は、ほとんどが外国資本によって支配されている。この部門では、中国の旧来のポピュラーな製品が実質上、存在なくなっている。この産業部門はイギリスのユニリバー、日本の花王などによって支配されているのが現状である。ビール製造業では、70%以上が外国資本によって支配されている。医療産業、自転車産業などについても同じようなことが起こっている。 結論的に言えば、中国における資本主義はすでに再建されていると見ていいのではないかと思う。われわれは、すでに中国共産党の体制を官僚的に堕落した労働者国家であると規定できなくなっている。 次に香港の問題に移っていきたい。 香港に対する中国共産党の政策を考えてみると、それは労働者階級のために行われていることがはっきりしている。ブルジョアジーのために行われている。いわゆる「一国二制度」という政策は、その一つの現れであると言っていい。中国共産党の政策の中には、労働者階級の権利や福祉を増大させていく、拡大させていくというような方向性はみられなくなってきている。 100万人の香港民衆が投票に参加した香港議会は、中国共産党によって投げ捨てられてしまった。将来の返還後の香港の代表として指名されたのは、非常に大金持ちの人間であった。80年代以降、中国と香港での経済的な統合関係が急速に進んでいった。香港における資本の50%以上が、中国の南部に移動した。それとともに香港の労働者は、増々深刻な失業に直面している。他方、香港側の資本は、中国において300万人から500万人の労働者を非常に低賃金の労働者として雇っている。二つの相互関係があって、一方では中国の資本が香港に投資する。他方、香港の資本も中国に投資をしている。官僚資本と香港ブルジョアジーが共同して中国と香港の労働者を搾取する構造が作られている、と言っていい。これはすでに「一国二制度」と言われるものではない。それは資本主義による一国一制度にほかならない。政治的な統合関係というものも急速に進展している。香港の大金持ちが中国の立法議会に議席を持つという事態になっている。 香港の中国への返還は、中国共産党の資本主義復活の政策の過程というものをさらに促進させていくものとなるだあろう。なぜならば香港のブルジョアジーは、非常に巨大な経済的な力というものを持っているからだ。香港の人口は、中国全体から見るならば0.5%である。しかしそれに比して香港のGDPは、中国全体のGDPの20%に達する。 香港における労働者階級は、以前に比べて増々ひどい状況になっている。それは中国における資本主義の復活によってもたらされている。香港の労働者は、中国の低賃金の労働者と競争関係に立たされている。 香港における労働者階級のメンタリティーは、この間、大きく変化してきた。われわれは、かつて香港における自由競争政策に反対してきた。しかし香港の中ではだれもそれを支持する人間はいなかった。 現在は、それがどうなっているかというと、香港の労働者は自由市場政策が、かならずしも良いものではないと気付き始めている。私が日本に来る前に香港では、家賃だとか、土地の値上げに抗議して、道路などにニセモノの爆弾を置くという事件が起こっている。 われわれは、もちろんテロリズムに反対である。しかしこれは何かが起こっていることのあらわれだ。何かが変わりつつあることの一つの兆しであると言っていいだろう。いまでこういうことが香港で起こったことはなかった。 しかし香港の労働者が反撃に立ち上がるという点では、巨大な困難が伴っている。全体としての力関係は、香港の労働者にとっては非常に不利である。もしも労働者が反撃の闘いに立ち上がり、そのためのイニシアチブをとろうとするならば中国の労働者階級の支援が絶対に必要である。それは同時に中国にとっての問題である。 中国の現在の国家体制をもしブルジョア国家だと規定するとするならば、もはや中国の労働者階級に展望がないのか、あるいは労働者階級は歴史的な敗北を喫したという結論になるのだろうか。 もしもそういう結論になったならば、社会主義にとっての未来はないということになってしまうだろう。もちろんわれわれは、そのように思っていない。 第一に、中国共産党の裏切りというものは、なにもいまに始まったことではない。それははるか昔からそうである。しかし中国共産党の国家体制の堕落が進行していくと、ある一つの転換点を迎えることになるだろう。それは労働者階級にとって大きな打撃である。 しかし、中国において国家権力が現実に労働者の手によって所有されているというようなことは一度もなかった。国家は常に労働者階級を支配し、労働者階級にとってよそよそしい存在であり続けてきた。そういう意味では、労働者階級は中国国家を自分たちの国家であると認めてこなかった。現在の中国の国家体制の堕落というのは、労働者にとって自分自身の権力の堕落を意味しなかった。 資本主義の復活は、決して歴史的な敗北ということではない。中国の労働者自身の主体的な歴史的な敗北ではなく、疎外された存在である中国共産党の国家体制の堕落の進行と考えている。 さらに考えなければいけないことは、中国経済というのが依然として上昇、発展をしているということだ。それが意味することはいくつかあるわけだが、第一に労働者階級は、この10年間ぐらい生活水準の実質的な向上を経験してきた。第二に、労働者階級は、その数において非常に増大している。 80年代の農村における近代化以来、農民は大規模な形で労働者になってきている。したがって労働者階級が持っている潜在的な能力というのは、減少しているのではなくて上昇していると言っていいだろう。そういう意味では闘争はまだまだこれからである。 現在、中国のさまざまな地域で労働者による経済闘争が発展している。それに対して官僚の側は、いくつかの点で譲歩を行ってきている。中期的に見るならば労働者階級の闘いの高揚が見られるだろう。 中国の労働者はソ連邦の労働者とは違って、すでにかなりの期間にわたって市場経済を経験している。したがって中国では、ソ連や東欧の労働者が持っていた市場経済、資本主義経済に対する幻想というものは、はるかに少ないと言える。 欠けているのは、明確なオルタナティブだ。まさに資本主義経済の復活に対してどういうオルタナティブを提起するのか、この問題が欠けている。その点において私たち社会主義者が役割を発揮していかなければならないと考えている。 7月1日以降、中国共産党が民主的権利をはく奪したらどうするのか。それは簡単なことで、私たちは徹底的に闘おうと思っている。 ではどのように闘うのか。現在、香港の民主派運動の活動家は、徹底的に闘うという考えを持ってはいない。なぜなら中国は大きくて香港はこんなに小さいではないか、ということを考えているからだ。 これは事実で私も同意する。しかしこれは私たちが何もできないことを意味することではない。一つの例として、中国共産党は、香港の人権法をすべて反古にしようとしている。もちろん私たちは、中国共産党に対して激しく抗議した。 中国共産党は、論調を変え、「やはり人権法は必要ない。必要ないが全部なくしはせずに一部を変更する」と言うようになった。これは、私たちの要求が中国共産党の発言の変化を呼び起こしたということの実例だ。少しは影響力があったのではないかと思っている。 私たちが今後どうするのかという具体的なプログラムだが、目下の最大の目標としては、今年の6月30日の夜に民主派による大きなデモと集会を行うことを決めている。その時に中国共産党は、本当に私たちも含めて民主派を弾圧できるのかどうか。 多くの親資本主義的な民主派は、そのような決意をもってはいない。彼等は6月30日にこのようなことをやろうとしない。私たちの勢力は非常に小さいもので、6月30日にこうした行動ができるかどうかわからないが、とにかく全力を尽くす。 もしこの行動が成功すれば中国共産党は、引くに引けない状況になるし、かといって弾圧できない状況になると考えている。もしその時に中国共産党が私たちを弾圧するのであれば、香港の人々の中国共産党に対する信頼が決定的になくなってしまうだろう。 すでに、過去10年において60万人が移民として海外に逃げた。比較的、中国共産党に近い党派がある。そのリーダー自身が外国のパスポートを持っていて、いつでも逃げられるような態勢にある。中国系の活動家でさえ、中国共産党に対して全く信頼していないということだ。 だから中国共産党がこういう現実を無視してまでわれわれを弾圧するということは困難。もしその時に中国共産党が私たちを弾圧できないとすれば、それは私たちの勝利だ。もちろん逆のことも考えられる。私たち全員が中国共産党に捕まるということも考えられる。しかし、徹底した民主主義派と名乗っている私たちは、それを恐れることはない。 なぜならば80年代以降、いままでになかったような状況が生まれたからだ。80年代以前であったら、だれかが中国共産党に対して批判したり、攻撃したりすると彼は非常に悲惨なものになった。もしそういうことをすれば彼は親戚との交流、通信も全くできなくなった。その人のパートナーは、その人と離婚していた。 中国共産党が資本主義になればなるほど、その威信は失われていく。現在、中国でも、台湾でも、香港でもそうだが、もしだれかが中国共産党に対して抗議の声を上げると、その人は英雄とみなされる。 もし私たちが弾圧された場合、中国共産党の腐敗がどの程度まで進んでいるのか明らかになるということだ。私たちの間では、「もし有名になりたいのであれば中国共産党に抗議すればいい」という文句がはやっている。こういう状況が中国、香港、台湾であるので長期的に見れば非常に楽観的に見ている。 もちろんこういう楽観的なものだけに頼るのではなく、国際的、国境を越えたような連帯、とくに日本の労働者による支援連帯が必要だ。 中国国内の人権問題について。国内状況については皆さんもご存じだと思う。かつてヨーロッパに行った時、ヨーロッパの同志と話したことがある。その仲間は、中国国内に多くの収容所があることについて疑問に思っていると言っていた。一部の人は、収容所に対して誇張したことを言ったりしていることは事実だ。しかし国内にたくさんの収容所が存在していることもまた現実だ。 去年の世界中で行われた死刑の半数が中国で行われている。中国国内で組織を作って、共産党に反対することを行えば死刑になる。どういう罪状で死刑になるかというと、例えば、ポルノグラフィーを持っていただけでも死刑になることがある。パンダを殺しても死刑になるだろう。パンダのほうが人間より大事だということだ。 一番何が怖いかというと、死刑を執行される時に苦痛なく死にたいと思ったら、撃つ兵隊にカネを払わなければならない。そうすると兵隊は確実に殺してくれる。もしお金を払わなければ、すぐには殺してくれない。こういうことまで行われている。これは以前の封建的な時代と比べてもひどいものだ。 中国革命によって得られた財産は、いまだに守られているか。現在、それらは、次々に失われている状況だ。労働者のさまざま保障、医療保障など多くのものが徐々に削減されている。 離婚する権利は保障されている。革命以前においては、女性が離婚するということは非常に困難だった。しかし現在国内の女性や女性団体の地位は、徐々に低下している。 2000万の失業者の中の圧倒的多数が女性だ。男女平等の観点から言えば、革命によって得られた財産というものはすでにその多くが失われた。 たくさんのものがなくなっている中でいまだに防衛されているものがあります。それは土地を耕作する農民の権利です。まだ農民は、自分の土地を使う権利はある。中国において、すでにブルジョアジーは復活しているが、地主に関しては、ブルジョアジーのように全面的に復活したとは言えない。 しかし、土地使用の自由が保障されているということは、社会主義革命による成果というより、ブルジョア革命によって得られる成果である。 先日の香港立法議会選挙に対して私たちの仲間が立候補しました。結果は、落選したのですが、その後、彼の職場に対して中国共産党から圧力があって、彼はそこで働けなくなりました。私たちは、彼をアメリカへ送ることを考えています。 このように香港返還前において、このようなことが起こっています。返還後、いま以上に香港の民衆に対しての圧力、弾圧が強まることは当然、予想されます。 香港では暴力団組織がはびこっています。将来、考えられることは、中国共産党はこのような暴力団の力を使って民主派に対するさらなる弾圧を強めるでしょう。 中国の人権状況に対して一つ一つ述べるまでもなく、今のような状況が続けば香港の人権状況も全く改善されないでしょう。 香港がどこに向かうのか。その大きな鍵は、大陸の変化にかかっています。 |