1999春の企画
アジア連帯講座はすべての皆さんに呼びかけます!


あたらしい社会をアジア民衆とともに作り出そう!


アジアと日本
 たとえば、私たちは「アジア」をイメージするとき、思い浮かべことは何だろうか?「栄養失調の子供たち」や「ボート・ピープル」、あるいは「北朝鮮の食料援助」問題などなど、NIES諸国の経済発展以降も「貧困」の問題が抜き難くあるのではないでしょうか。
 しかし、その「貧困の原因は?」と問われたとき、私たちはどのように答えることが出来るでしょうか。実は「貧困の原因」を作っているのは、日本など「先進国」の「豊かさ」のツケだということを皆さんは考えたことがあるでしょうか。
 日本政府が行っているODA(政府開発援助)で、「援助」と称して何が行われているでしょうか? 日本政府によってアジア各国に多額のカネが「援助」と称してばらまかれていますが、実態は現地の地場産業や住民の生活圏をブルドーザーで破壊して作られた開発政策であることを知っているでしょうか?あるいは、53年にわたって続いてきたスハルト独裁政権への援助であったことを知っているでしょうか? さらには、日本やアメリカの多国籍企業が、莫大な援助資金でインフラ整備されたアジア各地に巨大産業を進出させ、現地の労働者を低賃金で雇っていることを知っているでしょうか? そのようにして、多国籍企業は現地の独裁政権などと結び付き、経済をほしいままに動かしてきたのです。
 スポーツメーカーで有名な「ナイキ」は、80年代に物価の安い韓国に工場を進出させました。しかし、韓国ナイキ工場の労働者が賃上げや団結権を求めてストを行ったところ、工場をインドネシアに移転してしまったのです。
 同様に、環境破壊も多国籍企業の手によって進行しています。例えば、日本で配られるローン会社のティッシュなどのためにフィリピン、マレーシアの熱帯雨林は激減してしまいました。
 アジア各地で安い賃金で雇われた労働者が生活と権利を脅かされながら生産した商品によって、あるいは開発によって資源や共同体を破壊しながら、私たちの「豊かさ」がつくられてきたのです。
 私たちは、このように多国籍企業の進出によって「発展した」とされるアジアの状況を見つめ直し、行動を起こしていくことが求められているのではないでしょうか。多国籍企業や独裁政権のためではなく、アジア民衆の生活と権利の視点から私たちの「豊かさ」が問直されなければされなければならないのではないでしょうか。いまの日本は完全失業率4.4%(約300万人)という大量失業時代を迎えつつあります。このようなの中でこそ戦後日本の在り方をもう一度捕え返して行きたいと思います。

戦争の足音をぶっとばそう!
 周辺事態法案の審議が3月19日より国会で始まりました。とうとう、来るところにきたなという感じがします。周辺事態法案とは、内閣が「これは有事(戦時)だ」と判断したら(国会には事後報告)勝手に自衛隊を出動させ、民衆を戦争協力させることができる法案のことです。要するに、「敵が発砲した」とデッチ上げて全面戦争になった日中戦争のときのような事態でも判断は「内閣」が一任できて、その後の戦争強力のために公務員や一般企業を動かせるという法律です。
 すでに述べたように、アジアの貧困や環境破壊を作り出している原因が多国籍企業であったりするわけですが、その権益を守るための役割を果たすために、周辺事態法案などが審議されていることも見落としてはなりません。それは、昨年のインドネシアでの学生や民衆による民主化を求める声は、独裁政権を倒す大きな力であると同時に、アメリカや日本にとってその力が脅威でもあったのです。事実、アメリカ海兵隊は、その学生、民衆の大衆行動の激化に備えて、インドネシア周辺海域で待機していたのです。このような事態を政府はもちろん「周辺事態」として考慮にいれるでしょう。私たちが周辺事態法案など
に反対することは、多国籍企業の防衛のために、インドネシアをはじめとするアジア民衆が日米軍の武力鎮圧にさらされることを許さない闘いでもあります。
 アジア連帯講座は訴えます。アジア民衆とともに多国籍企業の経済侵略をゆるさず、日米安保体制の新たな強化に反対しよう。アジアの民衆と共に新しい社会を!
(1999年3月)
アジア連帯講座




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