アジア連帯講座 2003 新自由主義的グローバリゼーションにNO!を |
北朝鮮の民衆は、いま |
講師 加藤 博さん(北朝鮮難民救援基金事務局長) 日時 3 月 1 日(土) 午後 6 時 30 分〜 場所 文京シビックセンター地下2階研修室(消費生活センター) 交通 都営地下鉄:三田線・大江戸線春日駅すぐ |
これまでの講座報告はこちら |
昨年一年間に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から韓国に亡命した人は、1000人を突破し前年比倍増となった。亡命の動機の大半は、慢性的食糧難の中で「食べていくため」「生き延びるため」という必死の思い、ただその一点につきるといわれる。そして、この中にはかつての「帰還事業」で北朝鮮に渡った日本人も含まれていることが明らかになっている。北朝鮮と中国の国境にある豆満河を渡河して中国領内に逃れ近辺の朝鮮族地域に身を潜めている北朝鮮脱出者は、少なくとも10万人に達するとみられている。彼ら彼女らは、中国や北朝鮮の公安当局の厳しい監視網の中で息詰まるような毎日を送りながら韓国や日本などからの国際的支援に一縷の望みを託している。
中国政府当局は、つい昨年まで「中朝間に難民問題は存在しない」「経済難から国境を越えたごく少数の朝鮮の不法越境者がいる」という公式的立場を表明していた。しかし今年に入り、「脱出者は5万人以下」「昨年に中朝国境地帯で密入国で逮捕したのは525人」「脱出者については中朝公安当局が結んだ協定に基づいて北朝鮮に送還している」などとして北朝鮮難民問題の存在を渋々ながら追認せざるを得なくなっている。そして、こうした難民の存在が事実であれば国際的救援活動が求められる。南北朝鮮は隣国だ。難民問題発生をさかのぼれば、朝鮮半島の南北分断、それに先行する日本による朝鮮植民地支配という歴史的背景につきあたる。 「隣人である朝鮮民族との関係を長期的に考えても過去の植民地支配の真摯な清算、それに現在進行形の民衆の苦難への支援が合わさって日本と朝鮮民族のわだかまりは氷解の速度を増す、と私は確信している」(中朝国境での長期取材を続けているジャーナリストの石丸次郎さん)。北朝鮮難民問題の実情は、中朝国境地帯では何が起きているのか、そして北朝鮮食糧事情の窮状は……。私たちが知らなければならないことは多い。 今回私たちの講座にお招きしたNGO北朝鮮難民救援基金事務局長の加藤博さんは、1998年の同基金創立メンバーとして、募った食糧や衣類を届けるなどの当地でのNGO救援活動に携わり、昨年10月には容疑事実すら明らかにされないまま中国公安当局に拘束され厳しい取り調べの後国外退去処分に遭いました。加藤さんが現地で目撃したこと、聞いたこと、そした私たちに伝えたいことをお伺いし、ともに考え、これからの行動の道しるべにしていきたいと思います。みなさんの参加をお待ちしています。 ―北朝鮮難民救援基金とは― 5年間にわたり食糧・医療・移住の援助を続け、昨年の同基金総会では中国国内で約三百人の北朝鮮脱出難民を保護・援助していることが報告されている。「現在ロシアや中国には数多くの北朝鮮難民がいます。食糧難から餓死するのを防ぐため国境を越えた人や国の体制をちょっと批判しただけで拷問を受け強制収容所に送られたり公開処刑されるのを避けてきた人など様々です……助けてくれと来た人に知らんふりは出来ません……ひとりひとりの暖かい人道的救援活動が一人でも多くの北朝鮮難民の命を救います」(同基金設立趣意書から) |