8月15日は紛れもなくアジア各国への侵略をほしいままにしてきた日本帝国主義が一敗地にまみれた特別な日であるが、少なくない日本人が「お国のために」死んだ人を慰霊する日だとしか考えていない。今年も、日本武道館で開かれた「全国戦没者追悼式」では、天皇が「お言葉」を発し、靖国神社における20代の若者の参拝者が激増したという事だ。このように依然として天皇家を頂点とする日本の、アジア民衆に対する戦争責任をあいまいにしたまま、新たな戦争国家化をもくろむ小泉首相は、13日に日程を前倒ししながらも公式参拝を行ない、この日の午前中には千鳥ヶ淵墓苑にも訪れた。また石原都知事や幾人かの閣僚も公言どおり、靖国神社に参拝した。 「右翼銀座」と化した靖国神社前で敢然と抗議行動
右翼による集会破壊・参加者への暴力糾弾!
続いて韓国から帰国したばかりの松井やよりさんから報告があった。当然の事ながら小泉の参拝に対して、韓国各地で抗議デモが沸騰している様子を報告した後、自身が右翼の執拗な妨害の矢面に立って行なった「女性国際戦犯法廷」の経験を交えつつ、靖国神社という「装置」を使って国が生み出す戦争犠牲者の問題について多彩な切り口から分析が試みられた。アジア各国に対する政治的配慮などという事は、犠牲者への補償と天皇への断罪によって果たされるべきだと訴えた上で、本来自分達を戦禍の中へ叩き込んだ憎い敵であるはずの天皇制を、タブーのかなたに押しやって顧みない多くの日本人の情況と、それを打開するにはどうしたらよいかという事に焦点をあてていて示唆にとむ講演だった。 この集会中にも右翼やくざが、はさみで参加者に切りつける、などの行為を働いて、集会後まで参加者への接近を図ろうとする徹底したストーカーぶりを見せつけたが、参加者が一体となって怒りの声をあげたため、一切の集会破壊を許さなかった。 跋扈する右翼勢力の背後にうごめく国家権力を撃て! 一昨年の「国旗・国家法」制定以来、エスカレートしつづける右翼の襲撃を目にしてきたが、この日経験した暴力のすさまじさは、自分が経験したことのないものだ。そして、鬱憤のはけ口を求めて嬉々とした表情で飛びかかってくる、「右翼」という名の若者を最も後押ししているのが、他ならぬ小泉の公式参拝実施であったことを忘れてはならない。そんな小泉が教育のことや、平和のことをしたり顔で発言する欺瞞を引き続き暴いていかなければ、と思う。 当分、一連の右翼の襲撃行為はやむことはないだろうが、これは「ならず者右翼」が個々の意思においてなせる業ではない。警察当局のお墨付きがあっての、白昼堂々のテロ行為なのだ。そしてジェノヴァのサミットでも見られたように、例えば「天皇制解体」というような明確な主張を掲げて実力行使をも辞さない人々と、そうでない人々を分断しようという国家権力の姑息な意図をこの1日ではっきりと感じ取った。 肉体に刻印された痛みは絶対に忘れない。激しく傷つけられたアジアの民衆と連帯して日本天皇制は絶対解体する。靖国神社の存在も絶対に抹殺する。決意を新たにした1日だった。(U・N) |