アジア連帯講座 2000年沖縄連帯・反サミット連続講座
武藤 一羊さん ピープルズプラン研究所
国富 建治さん 国際会議事務局 |
『民衆の安全保障』沖縄国際フォーラムとは 6月10日、東京文京区民センターでアジア連帯講座の主催による沖縄連帯・反サミット連続講座が、「沖縄現地状況と対抗サミット 『民衆の安全保障』沖縄国際フォーラムをめぐって」というテーマで行われた。 このフォーラムは、1995年にフィリピンやインドの社会運動家が中心になって設立したNGO組織・Focus(地球的な南に焦点をあてる)の呼びかけに応えて「沖縄国際フォーラム」東京連絡会、沖縄連絡会の共催で行われる。Focusは、九五年にフィリピン・マニラAPECに対抗して反グローバリゼーション・反IMF・反世界銀行を掲げた国際NGO組織で、九七年に「アジア太平洋地域におけるオルタナティヴな安全保障システム」をテーマに地域の軍事状況からジェンダー・環境・武器貿易問題にいたる民衆の安全保障問題についての国際会議を開き、国際的なネットワークを拡大してきた。 そして、沖縄フォーラムでは、@アジア・太平洋での米軍と米戦略の役割をつきとめるAアジア・世界のなかでの沖縄民衆の米軍基地に対する闘いの意味を明らかにするBアジア太平洋における国際的な平和の創造の条件をさぐるC女性たちの運動が明らかにしてきた軍隊・基地の性差別的な成り立ちの認識を共有するD国家による暴力的介入に口実を与えている地域・宗教・人種間の紛争を民衆自身が解決する方策をさぐるEアジアの民衆への近代日本の関わりへの歴史認識を批判的に検討F民衆による民衆の安全保障のための国境を越えたネットワークの形成・・について論議することになっている。 沖縄サミットの意味を逆転させるために 今回の講座は、沖縄フォーラムを準備している事務局の武藤一羊さんと国富建治さんを招いて提起を受けた。 武藤さんは、「沖縄サミットの意味を逆転させるために」というタイトルで「グローバル化」体制とアメリカの世界戦略に対する批判、さらに沖縄の平和思想と「民衆の安全保障」などについて展開し、今後の方向性を次のように示した。 「『国家や軍隊は住民の安全を保障するものではない』ことは、沖縄の人びとの体験に根ざした考え方になっている。同じようなことが、ビルマで、インドネシアで、東チモールで、フィリピンの経験で言える。はっきりと向こうの平和とこっちの平和を区別しなければならない。国家安全保障と民衆の安全保障の区別をしなければならない」。 「そのうえで今起こっているプロセスに介入しなければならない。『民衆の安全保障』に純化して、引きこもってしまってはだめだ。介入するスタンスをはっきりさせていく必要がある。沖縄問題だけでなく改憲問題に対しても平和憲法があるからいいというレベルでは対抗できない。さらに南北首脳会談で朝鮮半島は大きく動くが、冷戦構造を解消するだけではなく、どういう状況を作り出していくのかを議論しなければならない」と強調した。 持続した沖縄連帯の運動が重要 次に、この間、フォーラムの準備で沖縄現地にいた国富さんは、冒頭、「名護新米軍基地建設問題をはじめサミットを口実にすべてのものがあいまいな状態が続いている。また、サミットに対してはっきりと反対と言えない雰囲気が存在している。それがいったいなぜなのか」と問題提起し、「われわれ自身の沖縄反米軍基地闘争に連帯する運動を考えていった場合でもサミットが終わったあと、急速に沖縄への関心が引いてしまうのではだめだ」と注意を喚起した。 さらに沖縄県議員選挙と総選挙状況、7月サミットをめぐる稲嶺県政と権力の動向、米軍基地の受け入れを前提にして日本の中での沖縄の役割を積極的にとらえ返していこうという右から提起された「沖縄イニシアティブ」論争について報告した。 二人の提起を受けて、質疑応答に移り「沖縄経済状況とサミット誘致の関連性があるのではないか」、「新米軍基地建設をめぐる推進派と反対派閥の状況は」、「沖縄独立論は続いているのか」、「『いい軍隊』と『悪い軍隊』という問題設定は可能か」などが出て論点を浮き彫りにした。 最後に事務局は名護市民投票訴訟第一審判決の傍聴報告と7・20〜22反サミット現地行動への参加を訴えた。(Y) |