1999年5月、サッカーのワールドカップ開催に間に合わせるために成田空港に暫定滑走路を建設するという計画が降ってわいたように出てきました。これに対して、私たちは「成田空港の滑走路暫定案を白紙に戻すよう訴えます」という声明をだし、多くの方々から賛同のメッセージをいただきました。政府や空港公団は、これまでの強制収用をちらつかせ強制手段を用いるやり方を反省したはずなのですが、どっこいその本質にさして変化はなかったということなのでしょう。あれから三年、これまでとまったく同じようなやり方で工事は一方的に強行され、民家のすぐ軒先に滑走路が姿を現わし、4月18日には暫定滑走路の供用が行われるという事態を迎えています。 このまま暫定滑走路が使用されてしまうならば、滑走路の南端に住む人たちの頭上わずか40メートルをジェット機が飛びかい、轟音と排気ガスが人や鶏や野菜の上に降りそそぐことになります。人間と生き物の生存を脅かし、人権を踏みにじる暴挙です。 公共性に名を借りた工事が本当に「公共性」をもつのかということが厳しく問い直されるようになったのも、反対運動が存在したからにほかなりません。成田空港建設には、その緊急性、必要性、公共性のいずれについても、きちんとした説明がなされてきませんでした。そこに、暫定滑走路の見切り発車です。 私たちは、こうした事態を黙って見過ごすことはどうしてもできません。政府と空港公団のこういうやり方にきっぱり反対し、どうしても声を上げたいのです。政府と空港公団に対して、暫定滑走路の供用を中止することを強く求めたいのです。そして、少数派であったとしても成田の東峰部落で確信をもって人間らしく生きている人たちに、やはり人間らしく生きたいと願う私たちの連帯のメッセージを届けたいのです。 私たちは、目前に迫っている暫定滑走路の供用を中止させることが簡単にできるとは思いませんが、しかしできるかぎり声をあげ、何らかの行動を起こさずにはいられない気持ちで一杯です。そこで、暫定滑走路の供用の中止を訴える運動の一つとして、供用に反対するメッセージ、現地で生き暮らしている人たちに連帯するメッセージなどをできるかぎり多く発する運動を思い立ちました。この趣旨に賛同してくださる方のメッセージを集め、一冊にまとめて発表したいと考えました。みなさま方のご賛同とご協力、また、お知り合いに幅広く声をかけてくださいますようをお願い申し上げます。 2002年2月 |