「ブッダの嘆き基金」より
2回目のニュースをお届けします。
2007年末前回の発行が2002年でしたから、もう5年も経過してしまいました。基金に募金を寄せて くださったみなさまには長い間の失礼をお詫びいたします。この間、基金の関 係者はパキスタンでの震災の救援やイラク戦争への反対運動、劣化ウラン弾の 使用に対する調査、劣化ウランに反対する(NODU)国際会議の開催などで 奔走していました。またアメリカとインドが原子力協力協定を結ぶことを発表 したことにより、反対の運動を作り出すことに追われました。ジャドゥゴダ現 地もより一層悪くなった状況に対する闘いに追われています。そのために先住 民たちの手によるシェルター建設は土地の取得と資材の調達の後、なかなか進 められない状況のようです。 今年の夏には、3年ぶりにインド・パキスタン青少年交流が開かれて、ウラン 鉱山問題の活動家と先住民の学生が来日しました。現地の最新の様子について 彼らが語ってくれましたので、みなさまにご状況の説明と報告、関係する資料 をお届けしたいと思います。
(ブッダの嘆き基金・原水爆禁止調布市民会議、 藤川泰志)
◆インドにおける反ウラン運動
テジャスウィニ・マダブシ◆今こそ、放射能兵器・劣化ウラン兵器の廃絶を
森瀧春子◆シュリプラカッシュからのメール ◆米印原子力協定に対して全国から反対の声を! ◆藤川の現地訪問報告
インドにおける反ウラン運動
テジャスウィニ・マダブシ
++プロフィール++
TEJASWINI MADABHUSHI
ハイデラバードで反核・反ウラン鉱山の活動に取り組んでいる女性、22才。ジャドゥゴダ鉱山周辺の家々を訪問して貧困と差別に苦しむ人々の生活に接しながら健康調査にも取り組んでいる。インド・セントラル大学の学生で、インド反ウラン運動プロジェクト(MAUP)に所属。以下は、2007年8月6日の、NODU全国交流集会でのスピーチです。
JOAR(ジャールカンド放射能反対同盟)は、インド・ウラニウム公社(UCIL)に対する最初の先住民抵抗運動として、インド・ジャールカンド州で放射能反対運動をしている組織です。ジャドゥゴダは最初のウラン鉱山で過去40年操業しています。もともとこの地方はサンタル族やホー族などアディヴァシ人の居住地でした。UCILができてからは、他の地域からの移住者が増えました。村人の耕作地はウラニウム公社に没収されましたが、交換に住居と仕事がもらえる約束でした。その約束は今日に至るまで十分に果たされていません。状況は悪くなっています。しかし、仕事をもらった人はいますし、地元の人で日雇い労働やトラック運転手として雇われている人はいます。
後になって奇病がこの地域に急増していることがわかりました。中絶や不妊や、精神的・身体的遅れの症例が多くの家に起こりました。とくに子どもや中高年の死亡率が上昇しました。時としてなぜ家族が突然死したのかの理由がわからないこともありました。人々はウラン鉱山や廃棄物や鉱滓池に疑いの目を向けるようになりました。
一方、住民はUCIL に取られた土地は別として、自分の所の土地も完全に耕作不能になり、公社に雇われた人々は農業を捨ててしまいました。アディヴァシ人にとってもとの仕事を顧みる余裕はありませんでした。直接・間接にUCILに依存せざるを得なくなってしまったのです。このような状況のもとで数人のジャデュゴダ住民が立ち上がって、JOARを結成しましたが、これは、州当局や、UCILや、また時としてUCILに生活手段を頼る同じ村の住人たちと対立して起こす運動だったのです。彼らは問いただし、情報を集め、それを全ての人々に広めましたが、同時に、UCILの説明・結果責任を追及しつづけました。JOARの継続的闘争の結果、鉱山の安全対策は改善しました。今日では教育を受けていない平均的な女性でも放射能の簡単な意味や放射能が与える健康や環境への影響を知っています。
アニュムクティという独立組織がジャドゥゴダ地域の科学的な健康実態調査を行い、放射能の影響を受けていない類似の地域と比較研究をした結果、この地域の状況がはっきりしました。すでに栄養失調状態の住民は放射能による病気の発症率が高いことが判明しました。がん、慢性肺疾患、結核、中絶、不妊、様々の障害がみつかりました。この6月にIDPD(平和と発展をめざすインド医師連盟――IPPNWノーベル平和賞を受賞した医師団体に所属)が調査を行いました。また、京都大学の先生による放射能研究も行われ、私たちの運動に科学的裏付けを与えてくれています。私たちはこのような研究がもっと行われ、また皆様からのより多くの援助を必要としています。
問題の影響は他の局面にも現れます。同様に、放射能や環境、健康問題が経済的・社会的問題になっています。すでに述べたように、農業が大規模に破壊されました。人々は医者に診てもらうお金も薬を買うお金も、飲み水を買うお金もありません。そうなると、家族や自分が今後働いてくらしをたてる見通しも立たないのです。この悪循環で人々の借金はかさみ、子どもたちはごく小さいときから学校をやめて低賃金の仕事を余儀なくされるのです。
この調査研究の担当者の一人は少女たちのグループに揶揄されたのですが、彼女らはこの担当者にこんな話しをしました。それによると、少女たちはなかなか結婚ができない、というのも彼女らは不妊症で結婚生活ができるほど丈夫でないと皆に思われているからというのです。
もう一つの例をお話ししましょう。サントシュ・パトロという老人のことです。彼は脚にできものができ、それが細菌に感染していました。どうもがんではないかとの疑いがありましたが、彼自身は自分の苦痛の原因がわからず、やはり同じUCILで日雇いをしていた妻が急死しても何の病気で亡くなったのかわかりませんでした。医師ははっきりと病気の診断をしても説明をしないので、多くの村人が不満をもっていました。
彼の病気が伝染すると恐れた村人たちは彼を村の外に追いやりました。彼には子どもがなく、人の住まない空き地に3ヵ月間くらしました。あとになってJOARがましなすみかを探してあげ、松葉杖も用意してあげました。この例は特殊な事例を大げさに取り上げただけだとお考えにならないでください。妻の死や子どもがうまれなかったことなどの問題は放射能が原因であると考えられます。彼への村人たちの仕打ちや無理解はUCILによる雇用者福祉無視によって悪化しました。JOARはこれらの今日よく知られている問題の解決に努力しました。他にも私たちが知らない多くの問題があるかもしれず、それらが地球温暖化によって将来悪化することも考えられます。
UCILはアンドラ・プラデシュ、カルナタカ、メガラヤなどの地方に勢力拡大をはかっています。そして、MAUP(反ウラン・プロジェクト)やKSU(カシ学生連合)などの市民による反対運動が起こっています。
2つの鉱山と原発があります。ジャドゥゴダと同様の事態が起こらないようにするのは我々皆の責任です。我が国では核科学者たちは国民的英雄になり、核関連の学問は難解で知的な分野だと重んじられています。今や裏面を知るべき時です。こうした運動がウランと核のないインドという目標に到達することを確信しています。
インドやパキスタンなどの途上国は、米国などの発展国がエネルギー需要を抑制しないときに、選択肢がなく、グローバル化した世界で生き残るために強い核化の野望をもたざるをえません。インド・米国の核協約はその一例です。それに反対するのは我々の義務です。
Anti-Uranium Movements in India
Tejaswini Madabhushi
JOAR, Jharkhandi organization against radiation, is the first indigenous movement that has resisted Uranium corporation of India limited, UCIL. Jadugoda was the first uranium mine that was established has been operating for about past 4 decades. This place is mainly inhabited by Adivasi tribal populations such as Santhal and Ho. After the UCIL has arrived today we see a lot of people from other places who have settled down here. Villager’s cultivable lands were taken for the establishment of UCIL mines and residential quarters etc and were promised jobs in return. The promises were not met fully till date, but the situation got worse. But some people did get employed, locals mostly as daily wage labors in mines and truck drivers.
Later the people discovered how different and strange illnesses in their area were on a sharp increase. Abortions, infertility, mental and physical retardation in children were found in many families. The death rate specially in children and middle ages was on rise. Sometimes they did not even understand the reason behind their kin’s sudden death. People started questioning the mining and waste disposal, tailing ponds etc.
Meanwhile the lands in their own places, apart from the ones taken by UCIL have become completely uncultivable and people employed have moved away from their own agrarian practices. There was no scope for Adivasis for looking back to their previous occupations. Dependence on UCIL directly or indirectly has become inevitable. Under such conditions few active people of Jadugoda came forward and formed JOAR against the odds from the state, UCIL and sometimes of their own villagers who couldn’t go against their source of bread- UCIL. They have questioned, collected information and spread it to all the people, apart from making UCIL more accountable. The safety measures have been improved after JOAR’s continuous struggle. Today an average uneducated woman knows what radiation in a simple definition is and what are its effects on peoples health and ecology.
An independent organization called Anumukhti has conducted a scientific health survey in Jadugoda area and established facts about the health conditions in that place and similar villages which didn’t fall in the radius of radiation. It was found that the local populations who were already undernourished had very high incidence of illnesses caused due to radiation. Cancer, chronic lung diseases, Tuberculosis and abortions, sterility, handicap ness were found. Recently in the month of June another survey was conducted by IDPD(Indian doctors for peace and development), a wing of IPPNW ( A Nobel prize winning doctors organization). There was a remarkable radiological study by a professor of Kyoto university, which has given a lot of authenticity to the movement. We need more such studies and more help from you.
A problem often manifests itself in different dimensions. Similarly the ecological and health problems caused due to radiation have manifested into economic and social problems. As mentioned earlier, agriculture has been destroyed to a large extent. Often people have no money for visiting doctor, buy medicines and even drinking water. It further affects the prospectus of them and their family members to work and earn a living. This vicious circle ends up the villagers in debt and the keeps their children out of school and into low wage work from a very early age.
One of the supervisors of the survey was mocked by a group of girls who told him that girls of Jadugoda find it tough to get married because everybody believes that they are infertile and not healthy enough for married life.
I would like to give another example of an old man by name Santosh Patro. He is suffering with a growth and infection in his leg, which is suspected to be cancer. He has no clue as to what he is suffering from and had no clue as to what disease his wife died of, who also worked as laborer in UCIL. This is the case with a lot of villagers who complain that they are not given a report after the doctor apparently diagnoses their disease.
The villagers who suspected it to be contagious have ostracized him out of the village. He has no children and lived in an open ground with no human settlement around him for 3 months. Later JOAR tried helping him by providing him a better place to stay and crutches to walk. Please don’t consider this an isolated case that is being over emphasized. Each of his health problem including wife’s death and lack of children could be problems of radiation. The villagers cruelty and lack of understanding were aggravated by UCIL’s negligence to its employers welfare. JOAR has been fighting against these problems, the problems that are know to us today. There could be many other problems which we haven’t recognized and discovered and that might come in the future aggravated by global warming.
UCIL is trying to extend in Andhra Pradesh, Meghalaya, and Karnataka. There are strong protest from civil society such as MAUP (movement against uranium project) and KSU (Khasi Student Union).
There are two mines and a nuclear power plant in the pipe line. The responsibility now lies on all of us to see that another Jadugoda will not take place. In our country nuclear scientists become national heroes; nuclear disciplines are fancied as difficult and intellectual academics. Its time that people are more informed about the other side and I am sure that these movements are going to reach their goal of Uranium and nuclear free India.
Developing countries like India and Pakistan sometimes have no choice as fully developed countries like U.S.A are only not curbing their energy needs, then third world countries in order to survive in the globalized world have high nuclear ambitions. The new Indo-U.S nuclear deal is an example. It is our duty to oppose it.
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今こそ、放射能兵器・劣化ウラン兵器の廃絶を
〜ウラン鉱山被害から劣化ウラン被害まですべての核廃絶を〜森瀧 春子
インド・パキスタン青少年と平和交流を進める会代表
NODUヒロシマ・プロジェクト事務局長イラクであるいはアフガニスタンのいたるところで、今も、無数の劣化ウラン弾が打ち込まれ、無辜の民が傷つき殺され続けている。無法に何の理由もなく殺される人々のみならず、生き残った人々の未来も、その次世代、次々世代にわたる人間生活も劣化ウランによる環境破壊の下に奪われていこうとしている。
62年前に、人類は科学文明の最高の到達点で手にした核兵器によって、大量無差別殺戮を断行してしまった。ヒロシマ・ナガサキは一瞬にして二十数万の命を奪われたがそれに続く歴史の事実が見せつけたのは核兵器がもたらした放射能による健康破壊、次の世代への影響への恐怖だった。
放射能の被害は、ウラン鉱山でのウラン採掘という核開発の入り口から始まり、核兵器の製造、実験、使 用、原子力エネルギーの開発、利用、事故、さらにその過程で排出される大量の放射性廃棄物・核のゴミの保管、再利用、兵器としての転用という核開発の出口にいたるまであらゆる段階で、はかりしれないほどの深刻な影響を人間と環境にもたらしてきた。
白血病の末期による腹水で膨れたわが子のお腹を指し示す母親、
隣のベッドには脳腫瘍で頭や眼に瘤が突き出た女の子
核戦争の未曾有の体験からヒロシマは、「核と人類は共存できない」という教訓を61年間訴え続けてきた。
チェルノブイリの原発事故によるなお続く放射能被害もまたヒロシマのこの教訓が、「核の絶対否定」を人類の生存のための哲学であることを証明したはずである。
しかし、私たちは「ヒバクシャ」の声に応えてきたのだろうか。原爆犠牲者の、核実験犠牲者の、原発事故犠牲者の、劣化ウラン弾犠牲者の、声なき声に耳を傾けてきたのだろうか。
私は、広島に生まれ育った人間として、放射能がもたらしてきた、あるいはなおももたらそうとしている非人間的な事実に目をそむけることができない。
何故、原爆被爆者が多くの同胞が死を迎え、自らも老いとともに加速する原爆放射能後遺症の苦悩の中にあって今なお立ち上がり原爆症認定集団訴訟をおこさなければならないのか。
核開発の出発点である世界各地のウラン鉱山地域に住む先住民族が、私がインドのジャドゥゴダ・ウラン鉱山現地で出会った先住民のように放射能汚染によってどのように嬲り殺され、先天性障害に蝕まれているのか。
イラク現地の多くの病院で垣間見た死に面しているいたいけな子供たちの悲惨な状況がなにをいみするのか、湾岸戦争や、イラク戦争で二度にわたって劣化ウラン弾を大量に打ち込まれてしまったイラクでおこっている異常な現象、白血病、悪性腫瘍などの発症数増加、とくに子どもたちの死亡数の増加はどう説明されるのか。
私が直接周囲に体験し、あるいは出かけた地で見た核の被害者にとどまらず、核保有国が自国の民衆を犠牲にあるいは実験台にして強行してきた核実験の被害者、原視力発電所の労働事故、原発事故などによる数多くのヒバクシャたち、そこでは同時に取り返しのつかないほど環境が汚染され破壊されてしまっている。
その現実を無視するかのように、核兵器は廃絶どころかなお3万発といわれる核弾頭が存在し、現実使用をめざして超小型核や信頼性代替弾頭計画やなお強力地中貫通型核爆弾開発などさらなる開発が続けられているし、劣化ウラン兵器はアメリカによる輸出などによりすでに20数カ国が保有し、アメリカによって使用され続けておりさらに、地震列島日本では原発の増設、プルサーマル計画、軍事転用の可能性があるプルトニュームを取り出す六ヶ所村の使用済み核燃料再処理試運転などますます開発に拍車をかけている。
このような状況に棹差して、日本政府は巨額を投じてミサイル防衛システムの日米共同開発を進め、朝鮮人民共和国の核・ミサイル開発への対抗を口実にミサイル攻撃まで口にし始めているが、その先には核武装の危険性が感じられる。
日本政府が自衛隊をイラクに強行派兵してきたことは単に、世界でもっとも危険な地域とされてしまった戦地イラクに派兵するということの違憲性や自らが成立させたイラク特措法への違法性の問題にとどまらない。
放射能の危険性を知る被爆国の政府が、劣化ウラン弾が乱用され放射能汚染されたイラクの地に、派兵し何ヶ月間も被曝させてしまうという危険性、しかもその指摘に対して、「アメリカから使用したとは聞いていない」とか「WHOが劣化ウラン弾の人体への影響は認めていない」とか言いながら放射線量計を自衛隊員に携行させるといった欺瞞的態度をとってきたが、アメリカのイラク帰還兵たちにも現れているように、健康被害、帰還後生まれた子供の先天的障害などにも明らかなように取り返しのつかない事態が容易に考えられる。
私はイラク戦争後(ブッシュの2003年5月の終結宣言後)直ちにイラク現地に入りイラク戦争被害および劣化ウラン弾使用状況の調査を行った。イラク各地で土壌やチリ、水、さらに人体の尿などの諸サンプルの採集を事前に広大や京都大の専門家の指導を受けて行った。持ち帰ったそれらのサンプルのうち、爆撃された戦車から採集したチリのサンプルの広大原医研による分析によって明確に劣化ウランが検出された。ウラン235の存在比率が0.15%という結果を得て、劣化ウランにおけるU235の存在比率と一致する、即ち、自然界のウラン235の存在比率0・72%よりも低い値が分析されたということで、このことから、劣化ウラン弾が使用されたことが証明された。さらに、このサンプルがバグダッド周辺のアブ・グレーブから採集したものであることから、都市部の真ん中で劣化ウラン弾が使用されたということを明らかにした。
(「劣化ウラン兵器禁止を求めるヒロシマ・アピール」及び「NO DUヒロシマ・プロジェクトのHPに掲載)。また、人体へのDU(劣化ウラン)取り込みを調べるために持ち帰った白血病児などの尿サンプル(24時間分)からも劣化ウランの吸入を疑わせる自然界とは違うU235の存在比率を示す結果が金沢大学低レベル放射能実験施設で分析されている。 水道水などの水サンプルからは高い放射線量値が分析されている。
今回の戦争では、人口密集地の都市部でも劣化ウラン弾が使用され、爆撃跡では10倍から100倍以上にも及ぶ放射線値が計測された。こうした事実から予測される、イラクの人々へのこれからの放射線・重金属毒性の影響のすさまじさと、半減期45億年といわれる劣化ウランによるイラク大地の環境汚染は、人類と自然への取り返しようのない非人間的罪悪である
バスラ市南部の製氷工場では、製氷タンクの劣化ウラン弾による貫通穴を溶接修復し製氷再開しようとしていたが、45倍もの放射線量が測定された。しかし、50度を超える7月の電気も水もないイラクでは、氷だけが頼りなのである。
病院では子ども病院ではなくても患者の大半が白血病の子どもたちである。放射線の影響は一番子どもに出るからだ。起こりつつある事態はほんとうに深刻である。
劣化ウラン弾が戦車や標的に命中し爆発する瞬間に非常な高温を生じ、中の兵士を黒炭化する。同時に劣化ウランが、目に見えないほどの超微粒子の酸化ウランとなって空中に飛散する。この放射性微粒子は、重金属性猛毒性もあわせて持ち、口から体内に吸収されることにより体内被曝を引き起こす。ウラン238の劣化ウランは四十五億年という地球の歴史に匹敵する長さの半減期をもっているので永久に体内で放射し続け、人体の細胞を傷つけ続ける危険極まりないものである。砂漠と砂嵐という気候風土をもつイラクや近隣アラブ圏で、これから起こるであろう深刻な事態は想像に余りある。
イラク二三〇〇万の人口のうち一ヶ月に一五才以下の子どもが六〇〇〇人から七五〇〇人白血病などで死んでいっている状況からは一民族の抹殺ということさえ予想される。
救いようのない白血病のわが子をただ見守るだけの若い母親たちを代弁するかのように、瀕死の孫を手団扇で扇ぐしかないおばあさんが私に向かって叫んだのを忘れることはできない。「アメリカがわれわれ市民をこんな目に合わせた、フセインは私たちを置いて逃げた、あんたはどうしてくれるんだ、この子の命を返してくれ!」と。
劣化ウラン兵器はこれまで、バルカン戦争でも、アフガニスタンでもテロ報復攻撃の名のもとに使用されたことからイラクだけでなく世界各地に被害が拡がっている。
アメリカが使用した事実や危険性を認めないのは、世論が高まって劣化ウラン弾が使えなくなるのを警戒しているからに他ならない。劣化ウランというのは、天然ウランから、核兵器や原子力発電に役に立つ核分裂反応力の強いウラン235を取り出した残りのウラン238がその実体であり、処理に困る放射性廃棄物、すなわち核のゴミである。ウランは金属の中でもっとも比重が重く、砲弾に使うと優れた貫通力を持つ兵器となり、しかもただ同然の材料であるから兵器産業にとって劣化ウランは手放せない、まさに「優秀な兵器」と彼らが呼ぶところのものなのである。アメリカは一五カ国に輸出して儲けている。 あくまで、非人道的放射能兵器と認めないアメリカは必ず次のターゲットを求めて先制攻撃をするとき再び使用するであろうことを考えると一日も早く使用禁止にもっていかないと大変なことになる。
この数年、広島や日本各地で、劣化ウラン弾被害に苦しむイラクやイラク戦争米英帰還兵の現状などを現地訪問や、現地からの医師、元米兵などの招聘によって広く知られるようになり、劣化ウラン禁止を求める国際署名活動や、11月7日の国際共同行動でーの取り組み、NY国連やジュネーブ、カナダなどでのワークショップ、IPPNWヨーロッパ会議や同じくIPPNW世界大会などでのワークショップ、証言などのより国際的にも次第に劣化ウラン兵器禁止の持つ緊急性が問われだしている。
その国際キャンペーンの大きな盛り上がりを起こそうと、ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)の3年前の創立以来、各国でのロビー活動や科学者たちの調査研究、イラクでの疫学調査の準備支援、イラク医師の医療研修受け入れ、医薬品などの医療支援などが活発に展開されてきた。
放射性毒性とともに化学的毒性を合わせ持つといわれる放射能兵器・劣化ウラン弾はいまや世界20カ国が保有し、地球規模での拡散は猶予できない深刻な状況でその完全な廃絶を求める国際的な運動の展開が求められている。
2006年8月には、核被害、戦争被害を経験したヒロシマの地に、世界各地からウラン兵器の被害者、その医療、研究に取り組む医科学者、劣化ウラン兵器による環境汚染調査に取り組む放射線専門家、国際禁止条約の実現に取り組む法律専門家、また禁止運動キャンペーンに取り組むジャーナリスト、活動家たちが世界12カ国から40人、国内からも述べ1000人が集い4日間にわたって初めての大規模名国際大会を開催し、本格的な国際キャンペーンをスタートさせた。
2007年12月5日、国連総会において初めての劣化ウラン兵器に関する決議が採択され、全面禁止条約に向かっての一歩が記された。
放射能被害は、インドのジャドゥゴダ・ウラン鉱山放射能被害に見られる核開発の入り口から、その出口である放射性廃棄物の劣化ウランの兵器利用まで、無数の放射能被害者を生み出しまた、取り返しのつかない環境汚染を現在進行形で拡げている。
「核絶対否定」というヒロシマの未曾有の核被害体験から生まれたテーゼは人類に与えられた解決すべき最大の課題ではないだろうか。
▲ ▲ JOAR(ジャールカンド放射能反対同盟)、「核のない未来賞」受賞!
ジャドゥゴダのウラン鉱山に対する反対運動と被曝した先住民の救済活動を行っているJOAR(Jharkhandi Organization Against Radiation)が、2004年度の「核のない未来賞」を受賞しました。この賞はドイツに本部があるFranza Moll財団が毎年選定しているもので、2007年度は広島市長の秋葉忠利さんが受賞されています。
〔Franza Moll財団について〕
1992年にザルツブルグ(オーストリア)で開催された「世界ウラニウム会議」で採択された「ザルツブルグ宣言」の精神に基づき、核兵器廃絶と原子力エネルギーからの世界の解放に取り組む個人、団体の顕彰を目的に1997年に設立された非営利団体であり、毎年「核のない未来賞」を贈呈しています。本部はドイツのミュンヘン。
「核のない未来賞」について
1998年に創設された同賞は、核兵器及び核の恐怖からの世界の解放に向け、@問題解決、A教育、B反核活動の3つの分野において世界各地で特筆すべき活動を行っている個人、団体を顕彰する賞であり、このほか、長年にわたる核兵器廃絶等の平和活動への功績を讃える生涯功績賞も設けられています。
以下は、受賞を知らせるシュリプラカッシュ(映画「ブッダの嘆き」監督)からのメールです。
親愛なる友人のみなさん
喜ばしいことに、JOARは2004年のNFFA(核のない未来賞)に選ばれた(授賞式は2004年11月28日インドのラジャスタン州ジャイプルで行われた)。しかし、JOARは小さな団体であってUCIL(インドウラン公社)のような大きな会社に抵抗しつつも、常にその抑圧にさらされている。
また、核の問題というのは、現地でのそのほかの問題と同様に、メディアや社会的あるいは政治的団体に問題視されていないのが現状である。反核を訴える知識人の集団のなかでさえ、意見は分かれ、核エネルギーの支持派も入れば、CTBTやNPTを支持する人もいる。
しかし、ここ50年の開発計画によって、現地の部族に広がる貧困は深刻化し多くの失業者を生み出している。その一方で、こうした貧困への対処としてUCILが乗り出し、雇用を生み出す代わりに、部族が祖先の時代から護ってきた土地を奪う結果となっている。
こうした状況は、少なくとも一世紀以上前から世界中で聞かれる話である(オーストラリア、カナダ、アメリカ、インド)。そして、グローバル化した新たな社会経済状況によって、ミネラルや天然資源の豊富な土地が、現地の人々から大企業によって横領され、人々の生活が危険にさらされている。さらには、地域の人口の流動によって、その文化、信仰、言語の存続も脅かされている。不幸なことに、世界中で(例えばインドのジャドゥゴダのように)ウラン鉱山の開発は、人々から土地を奪っているので、JOARの役目への期待は大きい。従って、このような危機的状況にあっては、核不拡散と公正な世界の実現という目標を共有するため、道徳的な支持としての国際的認識が欠かせない。
Shriprakash
(翻訳 和田 直)▲ ▲ 米印原子力協定に対して全国から反対の声を!
アメリカ・インド原子力協力協定に反対する声を全国から上げてください!
この協定が発効すると、インドは民生用のウランをアメリカからの供給を受けることができるようになり、国内のウラン鉱山で採掘されるウランは核兵器用に使い放題となります。ジャドゥゴダの被害は固定されるばかりでなく、インドが核大国への道をさらに強めることで状況はさらに厳しくなるでしょう。現在、日本全国の自治体に対して日本政府がこの協定に慎重な態度をとるように求める意見書の採択を広めていく運動が提起されています。この問題についての原水爆禁止日本国民会議の背景説明を読んでいただき、また2007年3月の東京都調布市議会で採択された意見書を例として添付したいと思います。調布市は「ブッダの嘆き基金」の事務局がある自治体です。全国の自治体で同様の意見書採択に取り組んでいただきたいと思います。
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背景説明
米印両政府は、2007年8月3日、米印原子力協力協定の全文を発表しました。予想通り、インド側の主張に大幅に譲歩したもので、核実験・核爆発という言葉は登場しませんが、協定は、インドが核実験を行うことを認めるととれる内容となっています。これは昨年12月に議会が定めた米印原子力協力法の規定を無視するものです。 米国原子力法(AEA)」は、核不拡散条約(NPT)の規定する核保有国以外の国(=非核保有国)が、原子力活動全てを国際原子力機関(IAEA)の保障措置下に置いていない場合には、その国との原子力協力を許さないと定めています。2006年米印原子力協力法は、この輸出規制において、インドだけを例外扱いにしようというものです。その法律が、インドが次に核実験を行った場合には協力は終了するとしています。5月14日に米国の14人の専門家が米国の上下両院の議員に対し出した書簡は「いかなる誤解も残らないようにするために、米印原子力協力協定は、インドによる核実験の再開は、米国の原子力援助の終焉をもたらすと明確に述べなければならない。」と訴えていました。 ところが、発表された協定文では、核実験・核爆発という言葉を避けながら、協定を終了させるには1年前の通告が必要であり、終了を求める原因となる行為(核実験)が安全保障状況や他国(パキスタン・中国?)の行為(実験)に対する反応であるかどうかを考慮すべきであるとし、さらに、協力を終了させる行為は両国の関係に重要な影響を与えることを考慮すべきである強調する内容となっています。 協定文には、その上、核実験を行った結果として米国が核燃料供給を中止する措置をとった際には、米国は他の国に働きかけて燃料を供給するようにすると解釈できる文言も入っています。そして、核実験に対する制裁措置として燃料供給が途絶える場合に備えて、核燃料の戦略的備蓄措置をとることを米国が支持すると解釈できる文言もあります。 燃料供給などの面での米国の協力と引き替えにインドが3月2日に約束したのは、基本的に、22基の運転中及び建設中の原発のうち14基を国際原子力機関(IAEA)の保障措置下に置くということだけです。しかも、6基は外国製であるため元々保障措置が義務づけられているものです。つまり、国産原子炉16基のうち、半分の8基だけを2014年までに保障措置下に置くというのが、インドの「譲歩」の中身です。軍事用プルトニウム生産炉に加えて、国産の残りの8基は、保障措置の対象とせず、軍事用のプルトニウム生産に使う可能性を残し、新たに建設される原発については、保障措置下に置くかどうかインドが好きなように決める、高速増殖炉は、保障措置下に置かないということになっています。発電用のウランの供給について心配がなくなれば、インドは限界のある自国のウラン資源を核兵器用だけに使うことができるようになり、それが核兵器の増強を促すことになる恐れがあります。 協定は、インド限定の保障措置協定を結ぶとしていますが、その内容は不明です。インドが核実験をした結果、核燃料の供給が途絶えた際には、民生用原子炉を保障措置から外すことを認める内容の保障措置協定をインドは望んでいると伝えられています。そもそも、NPTに加盟せず、包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名もせず、核兵器用の核分裂性物資の生産を続けている国の一部の原発だけ保障措置下に置くということ自体がほとんど意味が無く、IAEAの労力・資金の無駄遣いとさえいえますが、インドの要求をそのまま認める保障措置となれば、保障措置という言葉にまったく値しないものとなるでしょう。CTBTの批准を拒否している米国としてはあまり大きなことは言えないでしょうが、自らもCTBTを批准すると共にインドにもCTBTの署名・批准、核兵器用核分裂性物質の生産中止を迫ることが先決でしょう。 協定が発効するには、インドと国際原子力機関(IAEA)の間の保障措置協定の締結、日本も含めた「原子力供給国グループ(NSG)」の規則の変更、米国上下両院での支持決議などが必要です。インドの側では、インドの核開発に反対する立場、米国との戦略的パートナーシップに反対し外交の独立性を求める立場から協定反対の声も上がっていますが、インドと国際原子力機関(IAEA)が、11月21日に保障措置(査察)協定についての交渉を開始することで合意した結果、状況が一気に進む可能性がでてきました。インド側が要求している「インド限定の保障措置」の中身にもよりますが、交渉は数週間で終わって、来年1月にはIAEAの緊急理事会が招集されて保障措置協定が承認され、続いて、原子力供給国グループ(NSG)の協議グループ会合、NSG緊急総会などが招集され、米印原子力協力協定の実施が認められる可能性もあります。各地の12月議会での行動などを通じて、日本政府が正しい判断をするよう働きかけていくことが極めて重要です。
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調布意見書
南アジアの核軍拡競争を防ぐため原子力供給国グループ(NSG)での慎重な議論を求める意見書
Letter of opinion requesting that the Nuclear Suppliers’ Group (NSG) conduct a cautious debate, in order to prevent a nuclear arms race in South Asia.
核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核実験を行い核兵器計画を進めているインドに対する原子力関連輸出を認めるための議論が原子力供給国グループ(NSG)で予定されている件について、南アジアの核軍拡競争を防ぐためにグループ内での慎重な議論を求める意見書を政府および外務省に提出する。
In regard to a debate which is planned in the Nuclear Suppliers’ Group (NSG) to permit nuclear energy related exports to India, which conducted nuclear tests and continues to pursue its nuclear weapons program, while not joining the Nuclear Nonproliferation Treat (NPT), we submit this letter of opinion to the government and to the Foreign Minister to request that the NSG conduct a cautious debate, in order to prevent a nuclear arms race in South Asia.
理由
Reasons
米国が昨年制定した「米印原子力協力法」は、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核実験を行い核兵器計画を進めているインドに対し米国が原子力関連輸出を行うことを認めるものである。この協力が実施されると、インド・パキスタンの核軍拡競争に拍車がかかる可能性があると懸念されている。米印の協力が実施されるには、日本も加盟している原子力供給国グループ(45ヶ国)による規則の変更が必要であるから、国際的にも被爆国日本の立場が注目されている。
The United States-India Peaceful Atomic Energy Act, enacted in the United States last year, permits nuclear energy related exports from the US to India, which conducted nuclear tests and continues to pursue its nuclear weapons program, while not joining the Nuclear Nonproliferation Treat (NPT). There are concerns about the possibility that such cooperation will promote a nuclear arms race between India and Pakistan. In order for cooperation between India and the US to be implemented, the Nuclear Suppliers’ Group (NSG), of which Japan is a member, must change its rules. (There are 45 member countries in the NSG.) International attention is therefore focused on the stance of Japan, as the victim of atomic bombings.
原子力供給国グループ(NSG)は、1974年のインドの核実験を契機に設立されたものである。米国が中心になって設立されたグループであるが、その決定は、参加国のコンセンサスで行われる。また、日本は原子力先進国であるだけでなく、「我が国の在ウィーン国際機関日本政府代表部がNSGの事務局機能としてのポイント・オブ・コンタクト(Point of Contact: POC)役割を担っている」(外務省)ことからも、日本がどのような立場をとるかは重要な意味を持つ。
The Nuclear Suppliers’ Group (NSG) was established in the wake of India’s 1974 nuclear test. America was central to the establishment of the group, the decisions of which are made by consensus of the member countries. Not only is Japan an advanced nuclear energy country, but also the Permanent Mission of Japan to the International Organizations in Vienna acts as the NSG Point of Contact. Consequently, the stance adopted by Japan holds great significance.
国連安全保障理事会は、1998年に印パ両国が核実験を行った際、決議1172号(1998年6月6日)を全会一致で採択し、インド及びパキスタンに対し、「ただちにその核兵器開発計画を中止」するよう要求すると同時に「核兵器用の核分裂性物質のすべての生産を中止する」よう求めている。決議はまた、「すべての国に対し、インド及びパキスタンの核兵器計画に何らかの形で資する可能性のある設備、物質及び関連技術の輸出を防止するよう奨励」している。また、インド国内においてはウラン鉱山や核施設周辺において他数の国民が被曝によって苦しんでいるといわれている。とくに北東部のジャールカンド州においては、住民の多数を占めるインドの先住民に多大な生活被害が出ているという。インドにおける核兵器開発をこれ以上助長するようなことに協力するべきではない。
In 1998, when India and Pakistan conducted nuclear tests, the United Nations Security Council unanimously passed Resolution 1172 (6 June 1998) calling upon India and Pakistan "immediately to stop their nuclear weapon development programmes … [and] to cease … any further production of fissile material for nuclear weapons." The Resolution also "encourages all States to prevent the export of equipment, materials or technology that could in any way assist programmes in India or Pakistan for nuclear weapons." It is also said that many Indian citizens near uranium mines and nuclear facilities are suffering from radiation exposure. In the north-eastern state of Jharkhand in particular, where the majority of residents are indigenous people, it is said that the damage to people’s lives is very severe. It is inappropriate to cooperate with anything that will further encourage India’s nuclear weapons development.
日本はこれまで核被爆国として核兵器の不拡散と廃絶を率先して求めてきた。そのような意味からも、NSGにおいて、その設立の主旨、1998年の国連安全保障理事会の決議などを考慮して、慎重な議論を主導することが日本の国際的な使命と言える。また調布市議会は、昭和58年に「非核平和都市宣言」を、平成11年に「核兵器のない21世紀を希求する決議」を採択している。核兵器を廃絶する上で重要な核不拡散条約(NPT)体制が揺らいでいるこの事態に対して調布市は懸念を表明する。
Hitherto Japan, as the victim of atomic bombings, has led the way in calling for non-proliferation and nuclear disarmament. It can be said that in the NSG too Japan’s international duty is to lead a cautious debate, taking into account the reasons for the establishment of the NSG, and based on the 1998 United Nations Security Council Resolution. Furthermore, in 1983 Chofu City Council adopted a “nuclear-free peace city declaration”, and in 1999 it adopted a resolution expressing a “strong desire for a 21st Century free of nuclear weapons”. Chofu City expresses its concern that the Nonproliferation Treaty (NPT) regime, which is of great importance for the elimination of nuclear weapons, is under threat.
よって、南アジアの核軍拡競争を防ぐため原子力供給国グループ(NSG)での慎重な議論を求める意見書を、地方自治法99条に基づいて内閣総理大臣及び外務大臣に提出する。
In accordance with Article 99 of the Local Autonomy Law, we therefore submit this letter of opinion to Prime Minister Shinzo Abe and Foreign Minister Taro Aso to request that the NSG conduct a cautious debate, in order to prevent a nuclear arms race in South Asia.3月22日 調布市議会
Chofu City Council
22 March 2007
▲ ▲ 事務局・藤川の現地訪問報告
2003年、事務局の藤川が現地を訪問しました。もう4年が経過していますが、この時の状況は現在も変わっていないと思いますので、写真を見ていただきながら報告したいと思います。
1999年の映画「ブッダの嘆き」に描かれていたジャドゥゴダには、3つのウラン鉱山がありました。その中心に国営のウラン公社とウランの精製工場がありました。私が訪れた時は、4つめの鉱山が計画されていた時です。その建設予定地をJOAR(ジャールカンド放射能反対同盟)代表のガンシャム・ビルリと、「ブッダの嘆き」監督のシュリプラカッシュのふたりに案内されました。現地の被曝させられた先住民たちの闘いにもかかわらずウラン鉱山が増えることも問題ですが、現地の住民にとって大問題なのは、この新しく計画されている鉱山が危険な露天堀りだということです。今までの地中深く坑道を掘り進む鉱山より、ずっと危険性が高いというのです。建設予定地は小高い丘で、その周辺は牛やヤギが放牧されている自然豊かな平原でした。そこが廃棄物のダムにされてしまうという話でした。「ブッダの嘆き」は先住民たちが何百年も生きてきた土地を奪われた後の風景を映し出していました。私がこの建設予定地で見た風景は、あの奪われて廃棄物のダムになってしまった土地の原風景というべきものでした。外国から訪れた私のためにこの地域に住む先住民たち
が集まってくれました。そして私を放牧地の中心にある木陰に庭石を置いて、墓標のような石碑を建てた場所に案内してくれました。そこは先住民たちが先祖の霊と交信する神聖な場所だそうです。そこも廃棄物のダムに沈んでしまう予定の場所でした。
米印原子力協定によって、ジャドゥゴダのウランは核兵器の原料としての位置付けがはっきりしていくでしょう。核大国化を進めるインドで、この先住民たちとの闘いとどのように連携していくことができるのか、どうすればこの核開発を止めることができるのか、答えは簡単には見つかりませんが、この先住民たちとともに歩んでいく決意を新たにしました。(藤川)
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