“ブッダ生誕の地”ともいわれるジャドゥゴダは、インドのビハー ル州南部シンガハム地方にあり、先住民が多く住む地域。インド で唯一のウラン鉱山があります。ウランを採掘・製錬する国営の ウラン公社(UCIL )は、廃棄物を野ざらしのまま投棄、近隣の住民 のあいだにはガン、白血病、流産・死産、奇形、先天異常、皮膚 疾患など深刻な病気が広がっています。ジャドゥゴダにウラン公社がや ってきたのは1962 年、いまから 40 年近く前のこと。以来、ウラン 公社は、鉱山や製錬所から出る廃 棄物や廃液を何ら処理せず、投棄 ダムをつくって野ざらしのまま投 棄し、たれ流しつづけてきました。 いまでは他の核施設からの廃棄物 の投棄場にもなっています。
周囲には、5 キロ以内に15 の村 があって約3 万人が住み、15 キロ 以内では42 の村に7 万5000 人が住 んでいます。そんなまっただなか に核廃棄物が野ざらしのまま投棄されているのです。
乾燥すれば砂嵐となって村々を 襲い、雨が降れば水浴や洗濯など 生活に使う川へと流れ込むという 状態がいまも続いています。 深刻なのは村人たちのあいだ に、それまで見たこともない病気 が広がっていることです。
ウラン鉱山で働いていた人はも とより、村人のあいだに皮膚疾患 が広範に広がり、ガンや白血病が 多発しています。女性たちのあい だでは流産・死産があたりまえに なっています。1 キロ以内の7 つの村では、47 %の女性が月経不順 で、18 %がここ5 年以内に流産か 死産を経験し、3 分の2 が不妊を 訴えているとの調査もあります。 さらに生まれながらに重い障害を 持つ子どもたちが増えています。 骨の奇形で手足の指が多かったり 少なかったりする子どもたち、小 頭症、水頭症、ダウン症などが広 がっているのです。
住民たちはジャルカンディー反 放射能同盟を結成して、ウラン公 社を追及し、医療援助や補償を求 めていますが、ウラン公社はいま なお「安全だ」とくり返すだけで、 村人たちには最低限の医療すら提 供されていません。それどころか、 村人たちの畑をとりあげ、家をブ ルドーザーで押し壊して、新たな 投棄ダムの建設を強行するなど、 住民無視の姿勢を変えていません。